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八溝山地の植物SERVICE&PRODUCTS

 栃木県と茨城県を南北に縦断する八溝山地には、北関東北部を特徴づける多種の植物が分布しています。そのうち、いくつかを紹介します。

(1)ムカゴイラクサ(イラクサ科)
  スギ林などで見かける多年草。イラクサ類(イラクサ属&ミヤマイラクサ属;本種は後者)の一種で茎や葉には触ると痛い刺毛を着けています。また、茎の中部にはむかごが着きます。茎の上部には雌花序が、中部には雄花序が着き、晩夏に開花します。写真は2014年8月30日に益子町雨巻山で撮影したものです。栃木県・茨城県の低山にはやや普通に自生しています。八溝山地鶏足山塊に自生するイラクサ類は本種のみです。



(2)ササガヤ(イネ科)
  林の縁によく群生する一年草。葉が笹のような形であるからこのように名づけられましたが、笹のような形のイネ科植物は多数ありますね。写真は2014年10月11日に茂木町焼森山で撮影したものです。稈の節に毛が密生するものは変種のキタササガヤと言い、北方(栃木県では主に北西部山岳地)に分布していますが、益子町雨巻山にはこれが隔離分布することが知られています。



(3)ツクバネウツギ(スイカズラ科)
  コナラ・アカマツ林でよく見かける低木。がく片が羽根つきのツクバネ(衝羽根)のような形なのでこの名前がつきました。花の大きさは個体差が大きく、これは花冠の大きいタイプです。同じ山には同じような花の木のみが自生するようです。写真は2014年5月6日に益子町大郷戸で撮影したものです。八溝山地鶏足山塊では花冠が紅色の変種ベニバナツクバネウツギも自生しているとのことですが、産量は少なく、私は見たことがありません。