歴史に学ぶ歴史教育
(逆から教える歴史授業)

杉本幹夫

目次

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序 文

 私は歴史教育の目的は「何時どのような事があったか」を覚えさせるものでなく、「何かの出来事に対し、原因は何か、どのような対策をし、その結果どうなったか」とか、他のやり方がなかったか等を考え、これからの人生の参考にする一助にすることだと思っている。そしてその為には参考になる事の多い現在から遡って教えるべきだと考えている。

 そこでその具体化のため、平成10年12月制定の中学校学習指導要綱を調べてみた。まず基本方針として示されている事項は次の通りである。
 (ア)日本や世界の諸事象に関心を持って多面的に考察し、公正に判断する能力や態度、我が国の国土や歴史に対する理解と愛情、国際協力・国際協調の精神など、日本人としての自覚を持ち、国際社会の中で主体的に生きる資質や能力を育成することを重視して内容の改善を図る。
 (イ)児童生徒の発達段階を踏まえ、各学校段階の特色を一層明確にして内容の重点化を図る。又網羅的で知識偏重の学習にならないようにすると共に、社会の変化に自ら対応する能力や態度を育成する観点から、基礎的、基本的な内容を厳選し、学び方や調べ方の学習、作業的・体験的な学習や問題解決的な
学習など児童生徒の主体的な学習を一層重視する。
 次に標準授業時間は週5日制の実施により、歴史は在来より35時間少なく105時間となっており、1,2年で学ぶことになっている。

 ここで強調されているのは、日本人としての自覚、世界史との関連、生きる力の養成、時間の短縮に伴う主体的な学習であろうか。いずれも私の主張と合致する。この目的の為にも私は真っ先に「戦後のどん底の生活から、今日の隆盛に至った経過」を調べさせ、何故可能であったかを考えさせる事が望ましいと考える。特に技術・経済の発展の経過等については、両親や祖父母等の協力を要請することにより、親子の会話を促進し、主体的な学習能力の育成に繋がる。世界が狭くなり、国際問題が重要になったのも、近現代である。この目標の達成には戦後から始めることが最も適正と考える。

 次に目標として次の4項目が上げられている。
 (1)歴史的事象に対する関心を高め、我が国の歴史の大きな流れと各時代の特色を世界の歴史を背景に理解させ、それを通して我が国の文化と伝統の特色を広い視野に立って考えさせると共に、我が国の歴史に対する愛情を深め、国民としての自覚を育てる。
 (2)国家・社会及び文化の発展や人々の生活の向上に尽くした歴史上の人物と現在に伝わる文化遺産を、その時代や地域との関連に置いて理解させ、尊重する態度を育てる。
 (3)歴史に見られる国際関係や文化交流のあらましを理解させ、我が国と諸外国の歴史や文化が相互に深く関わっていることを考えさせると共に、他民族の文化、生活などに関心を持たせ、国際協調の精神を養う。
 (4)身近な地域の歴史や具体的な事象の学習を通して歴史に対する興味や関心を高め、様々な資料を活用して歴史的事象を多面的・多角的に考察し公正に判断すると共に適切に表現する能力と態度を育てる。

 ここで要求されているのは歴史の大きな流れの把握と、世界史・人物史・地域史であろうか。この中で人物史は宿題として、伝記・歴史小説等で主体的に学ばせるのが良いと思う。宿題という負担を余り感じさせず、学べるのではなかろうか。郷土史については郷土の資料館の活用が重要である。

 次に内容として5つの大項目と、21の中項目が示されている。大項目は最初に、歴史の流れと地域の歴史が据えられ、以下古代・中世・近世・近現代の4項目の時代史となっている。最初に郷土史を持ってきているのは、小学校の歴史教育とのつながりと、歴史への興味を持たせる為となっているが、私は現代の技術史の方が遙かに生徒の興味を引き、歴史に興味を持たせると考えるので、現代史を先行させる。誰しも身近なことほど関心が深く、学んで役立つ。
又昭和初期の金の解禁、江戸時代の貨幣の改鋳の意義は為替レートの変更、インフレ政策と考えれば非常に分かりやすい。このように現在の政策と結びつけて、過去の政策を考えた方が、歴史の本当の理解に結びつくのである。従って現代史から次第に遡る授業を行いたい。歴史を逆から教えると言っても、あらゆる事象は原因、経過、結果から成り立つ事、教科書が年代順に記述してあるので、教科書の利用の面からもある程度まとまった年代単位で、年代順に教える方が教えやすい。 郷土史としては各年1回、地域の資料館見学等を中心に学ぶこととする。又地方の偉人についてはその時代の人物史の一環として取り上げる。歴史の大きな流れについては、最終授業の総括として学ばせるのが良いと思う。
 次に各時代での中項目数は古代4項目、中世2項目、近世5項目、近現代8項目である。そこで近世から幕末を近現代に移すと古代から近世まで10項目、近現代9項目となる。従って近現代を1年で、古代から幕末までを2年で教えるような授業計画を立てたい。又近現代は、終戦後・日露戦争終了後から第2次世界大戦まで、幕末から日清戦争までの3つの時代区分に従って教えたい。

 以上の観点より各項目についての時間の配分案を別紙に示す。

 尚内容の取り扱いとして全般的な事項を5点と、内容の各項目別に方針が出されている。この中で、生徒の発達段階を考慮して難しいことを教えるなとしているが、私は教師の経験がなく生徒の発達段階がよく分からない。又世界史では日本史と直接関わる事項に留めるとしているが、日本のその時代の発展程度と、世界の比較といった点より、ある程度の常識を教えたい。地理、公民との連携に留意する事についても教育の実態を知らないので、この内容の取り扱いについては無視し、私ならこのような事を教えたいと言うことをベースに授業作り案を作成する。是非ご意見、ご批判を賜りたい。少しづつ発表するが、1回発表した物も不具合に気づいた都度修正する。

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