校正のてびき


 プロジェクトに参加していただきましてありがとうございます。
 通常の校正作業は形式整備点検済のテキストファイルの校正をお願いしてます。形式整備は今までファイル点検グループが行っていました。今回のプロジェクトでは同じような状態の多くのファイルを分担して校正することとなります。そこで形式整備をより多くの方に体験していただくことを目的として、形式整備点検前のテキストをお渡しして形式整備点検・校正作業を行っていただくことになりました。
 以下を読んでいただくと分かりますが、形式整備は非常に煩瑣な作業です、しかしこれを行うことで青空文庫の公開テキストの形式の統一性が保たれています。以下の手順についてよく読んで作業をお願いします。


【形式整備について】


形式整備点検前「桐壺」テキスト

形式整備点検済み「桐壺」テキスト
1.表題

青空文庫では一番最初に作品名、次に作者名を記載する。
今回は2行目に副題として巻名を入れる。
そして4行目に翻訳者を記載する。

 (例)「桐壺」より
   源氏物語
   桐壺
   紫式部
   與謝野晶子訳

(注意)「与謝野」ではなく底本通り「與謝野」とする。

2.記号の説明

 表題から1行あけて、本文前に「テキスト中に現れる記号の説明」を記載。

 説明の前後に破線を入れる。(桐壺参照)

入力ファイルを「テキスト版」に仕上げるためにより引用
------------------------------------------------------------
テキスト版に求められる形式3 体裁

【ファイル冒頭の「記号について」】
テキストファイルの冒頭には、「■基本となる書式」に示された形にのっとって、「テキスト中に現れる記号について」を入れる。
「記号について」の(例)には、一般に、当該作品の中で一番最初に現れたものがとられていることが多い。
ルビの例は、ファイルの冒頭から「《」で検索をかけて、最初にヒットしたものを入れる。
「|」の例は、ファイルの冒頭から「|」で検索をかけて、最初にヒットしたものを入れる。
「#」の例は、
1 外字に関するものがあれば、その中で初出のもの、
2 外字に関するものがなければ、それ以外で初出のもの、
を入れる。
2に該当するものとしては、以下のような、傍点注記や字下げ注記などがあるが、それらの中では、どれかを優先することは行っていない。
------------------------------------------------------------

3.本文前1行あけ

 記号説明後の破線から1行あけて本文を始める。

4.本文冒頭「晶子詞」の処理

 本文冒頭に与謝野晶子の歌がある。底本では地から3字上げとなっているので、次のように地付き注記とする。(数字は全角)

(例)桐壺より

[#地から3字上げ]紫のかがやく花と日の光思ひあはざる
[#地から3字上げ]ことわりもなし      (晶子)

5.本文中挿入歌の処理

 本文中、挿入されている和歌について底本では全角スペース2字下げとなっている。前後1行あけて、次のように2字下げ注記する。

[#ここから2字下げ]
宮城野《みやぎの》の露吹き結ぶ風の音《おと》に小萩《こはぎ》が上を思ひこそやれ
[#ここで字下げ終わり]

 「付き、『付きの和歌の場合、1字下げ注記をつける。和歌の前後は1行空けとなっている。
(この措置は最終的に変更される時もある)

6.本文後3行あけ

 本文終了からファイル末尾の注記までは、3行あける

7.ファイル末尾の注記

入力ファイルを「テキスト版」に仕上げるためにより引用
------------------------------------------------------------
テキスト版に求められる形式3 体裁

【ファイル末尾の注記】
テキストファイルの末尾には、「■基本となる書式」に示された形にのっとって、「青空文庫収録ファイルへの記載事項」を入れる。
※調べの付いていない項目(「底本の親本」や「初出」など)、必要のない「※〜」形式の注記は、それぞれ削除する。
------------------------------------------------------------

(例)巻数、日付、版数、校正者名は適宜記載する。

底本:「全訳源氏物語 上巻」角川文庫、角川書店
   1971(昭和46)年8月10日改版初版発行
   1994(平成6)年12月20日改版56版発行
※このファイルは、古典総合研究所(http://www.genji.co.jp/)で入力されたものを、青空文庫形式にあらためて作成しました。
※校正には2002(平成14)年1月15日改版70版を使用しました。
入力:上田英代
校正:kompass
2003年2月11日作成
青空文庫作成ファイル:
このファイルは、インターネットの図書館、青空文庫(http://www.aozora.gr.jp/)で作られました。入力、校正、制作にあたったのは、ボランティアの皆さんです。

8.ファイル末処理

 ファイル末尾注記の後に1行あけてファイル終了。
(今回はその後に校正記録を記載する。)

9.参考

興味がある方は、レイアウトの注記法を解説した「テキスト版の注記をどう書くか」を参照。


【校正関係について】

 今回のテキストファイルは、他のサイトで公開済みの2つのテキスト(角川文庫版と河出書房版)をもとに作成した。角川文庫版テキストの本文に、河出書房版テキストによるルビが付与されている。
 またルビ付与は機械処理したので、校正に際しては特に注意する必要がある。

入力ファイルを「テキスト版」に仕上げるためにより引用
------------------------------------------------------------
テキスト版に求められる形式4 本文

青空文庫のテキスト版には、「ルビを「《》」におさめて示す」、「被ルビ文字の区切りを示す記号として「|」を用いる」などの約束事がある。

【ルビ記号】
ルビ記号に関しては、期待通りに入力されているケースがほとんどである。
ごく稀に「青《あお》空《ぞら》文《ぶん》庫《こ》」的に、過分割したものが見られる。
過分割されたものは、青空工作員マニュアル「2.入力-1」の「(5)特殊な表記」【ルビ】の規定に従って、適当な形にまとめる。

【被ルビ文字の区切り記号】
入力されていないものが、かなりある。
「テキスト中に現れる記号について」の例を求めるために、「|」で検索してヒットしない場合は、「使われていない」と考えるのではなく、「必要なものが入力されていない」と受けとめた方がよい。
「|」が入力されていない場合は、青空工作員マニュアル「2.入力-1」の「(5)特殊な表記」【ルビ】の規定に従って、必要な箇所に「|」を入力する。
------------------------------------------------------------

 次の4つは今回の作業特有の校正必要箇所である。そして校正記録を記載する。

1.全角スペース削除

 行頭の鍵かっこ(「 )が全角1字下げとなっている。
 鍵かっこ前の全角スペースを削除する。
 ただし、「付き、『付きの和歌の場合、1字下げ注記をつける。和歌の前後は1行空けとなっている。
(このただし書きは最終的に変更される時もある)

2.ページ数の削除

 テキスト中、底本のページ数が入っている、校正には便利だが最後には削除する。
 文章を中断してページ数が入っているときは、文章が続くようにページ数の前の改行を削除する。

3.htmlタグの削除

<html></html>等の"<"">"で囲まれたタグは機械的に削除している。もし残っていれば削除する。

4.「壺」と「壷」「壼」

底本では壺が使用されているが、テキストでは壷(区点3659)が頻出する。壺(区点5268)に統一する。
また壼(区点5271)と誤っている場合がある。底本を確認して壺(区点5268)に修正する。

5.校正記録

 ファイル末尾の注記の後に校正記録を記載する。

(例)桐壺より
【01桐壺校正記録】
(1)壷を壺に置き換える。2カ所
(2)壼を壺に置き換える。21カ所
(3)−を――に置き換える。6カ所
(4)派手《はで》な準傭の費用→派手《はで》な準備の費用【傭】
(5)わが娘を現代に勢カのある→わが娘を現代に勢力のある【カ】
(6)そして無カな家を→そして無力な家を【カ】
(7)まったく気カはなくなって→まったく気力はなくなって【カ】
(8)関白と思われている右大臣の勢カは→関白と思われている右大臣の勢力は【カ】
(9)涙の中の御朝タであって→涙の中の御朝夕であって【タ】
(10)無限の悲しみがあったがロヘは何も出して→無限の悲しみがあったが口へは何も出して【ロ】【ヘ】
(11)と帝は些言いになって→と帝はお言いになって【些】


2003年2月15日公開
2003年2月25日最終修正

戻る
トップへ