この建物は、大手ステンレスメーカーの厚生施設として、大阪郊外の同社工場敷地内に建てられた
ものである。一階が社員レストラン、二階がアスレチッククラブ・研修諸室という構成になっている。
計画に際しての大きなテーマの一つは“工場敷地内というコンテクストを得難いロケーションの中で、
如何に建築を成立させるか”ということであった。本計画では、この敷地に隣接するグランドとテニ
スコートを取り込み、このエリアを工場内のオアシスゾーンとして一体的に緑化整備し、その中の核
施設としてこの建築を位置づけることで、この場所に根付かせようと試みている。
この建物は、6.5mの平面基本グリッドの中に、半径が異なる2つの円を立体的に挿入させた空
間構造を持っている。そしてこの基本グリッドと、挿入された曲面壁は、グランドとこの建物の間に
中間領域としてのプロムナード空間を生じさせている。このエリアへのアプローチ空間、一階レスト
ラン前のエントランスプラザ、それに続く曲面壁に沿って登る大階段、二階のデッキ空間、奥のテニ
スコートへ継がる路地的空間など・・・・・。これらは、この建物と、グランド、テニスコートを有
機的に連繋させ、この建物をこの場所に根付かせると共に、このエリア全体に空間のゆとりと変化を
もたらしている。
|
|
| |||
|
|
| |||
|
| ||||