調査報告書「ゲームに対する意識調査」 2006.1.10



・調査背景

日本国内ではテレビゲームがひとつのメディアとして君臨している。
映像、内容ともに進化し、国内外から高い関心が集まっているのは紛れも無い事実である。
しかしそれはゲームというメディアを好む人間から寄せられる賞賛であって、
世間一般でゲームに対する認識はどの程度変化したのか?
私はゲーム好きを宣言する事によって、しばしば冷たい反応を受けたことがある。
「遊んでばかりいるのだろう」、「ゲームなんてやっているのか・・・」
ゲームが客観的には確固たる地位を築こうが、未だ主観に基づく偏見は根強いのではないか。
今回アンケートを行う上で、私は幾度感じた疑問を確かめるべく、私は主題を
ゲームに対する意識調査に絞ることにした。
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・調査目的
私の予想では、世間ではゲームに対し批判的な方のほうが多いと思うのだが、その真偽をはっきりさせたい。
それだけでなく「ゲームの普遍的なイメージ」を捉えることにも成功したい。
また同様の調査は、せいぜいテレビゲーム専門誌で一問一答形式の簡単なものが行われる程度である。
可能な限り踏み込んだ設問を用意し、調査対象者からより主観的な意見(本音)を引き出してみたい。
ゆえに今回、参考・引用に利用した文献は特に無い。

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・調査方法

調査対象: 親族、両親の職場の同僚
調査実施期間: 平成17年12月20日~12月31日
調査方法:アンケート用紙を手渡し、記入し終えたら紙袋に入れてもらう。後日、袋ごと回収する
回収状況:50名に配布し、50名全てから回答を頂いた。

回答者: 男性31人  女性:19人
年齢 10代:5人  20代:8人  30代:8人  40代:15人  50代:10人  60代:4人 

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・調査内容

Q1:あなたはゲームで遊びますか?その理由についてもお書き下さい。

Q2:ひとりで遊ぶゲームと多人数で遊ぶゲーム、選ぶとすると、どちらにより興味がありますか?

Q3:遊ぶとしたら、どういうゲームで遊んでみたいですか?

Q4:ゲームにはアクションやRPGなど、様々な種類があるのですが、大別した場合どれくらいの種類があると思いますか?

Q5:世の中にはゲームマニアと呼ばれる人たちも存在します。それは特にどういったタイプの人が多いと思いますか?

Q6:ゲームを遊ぶことによって得られるものは様々です。それから受ける影響には当然良い面と悪い面があります。

 それを割合にするとして、次の中から貴方が最も適当だと思うものを選んで下さい。

Q7:以下に様々なタイプのゲームを示します。あなたの好みにあえば○、好みでなければ×、どちらでもなければ△を記載して下さい。

Q8:貴方が思う、ゲームの正しい在り方について答えて下さい。

※頂いた回答の中には、一部の設問に関してのみ無記入のものもあった。

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Q1:あなたはゲームで遊びますか?その理由についてもお書き下さい。

A(よく遊ぶ):4人

B(たまに遊ぶ):16人 

C(めったに遊ばない):19人 

D(全く遊ばない):10人 

まずは単純に、どれくらいゲームと接する時間を持っているのか調べてみることにした。
すると予想通り、遊ぶ時間が少ないという回答のほうが多くなった。C~Dと回答した方の理由は、ほとんど共通している。
「時間が無い(忙しい)」「ゲームに興味が無い」「目が疲れてしまう」この三つが大半で、Bと答えた方にも同意見が多い。

特に、ゲーム自体にさほど関心の無い方が多い模様で、その傾向は年齢が上がるにつれて強くなっていた。
「所持していないから」という回答もあったが、これも「ゲームに興味が無い」に加えてしまって差し支えないと思う。

私はゲームの進歩=コンピューターの進歩に他ならないと考えているので、年配の方にも技術面で
ゲームに着目している方がいるのでは・・・という淡い期待があったが、実際はそんな方は皆無のようであった。
反対によく遊ぶと回答した方は、純粋にゲームが好きだということを第一に挙げていた。

この設問の結果から、ゲームを遊ぶ時間は兎にも角にも、関心の高さが比例するのだと分かった。

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Q2:ひとりで遊ぶゲームと多人数で遊ぶゲーム、選ぶとすると、どちらにより興味がありますか?

A(ひとりで遊ぶゲーム):24人  B(多人数で遊ぶゲーム):25人

ゲームはコミュニケーションのツールに成り得る。多人数で遊べるタイプのものは言うまでも無く、
ひとりで遊ぶものにしたって、同じゲームを好きな者同士で情報交換、語り合いができる。
そういった背景を持つ上で、世間一般的にはどちらがより好まれるかを調べてみたところ、
見事に半々になった。もし答に明らかな偏りがあれば、それはゲームのイメージにも偏りがあることになるだろうが、
幸いにもそんなことは無かった。一人遊びにもパーティーの盛り上げ役にもゲームは役立つのだ。

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Q3:遊ぶとしたら、どういうゲームで遊んでみたいですか?

A(気軽に遊べる簡単なゲーム):26人

B(じっくり遊べる硬派なゲーム):13人

C(遊ぶだけで落ち着く、癒されるゲーム):7人

D(その他):2人

設問通り、どういうゲームが好かれるのかを調査してみた。D「その他」で挙がったのはRPGや、PCに最初から入っているゲーム。
気軽に遊べるゲームが人気だが、他のジャンルの作品にも票が入っていることから、単純に人の好みが色濃く反映されたように思える。

ここでBと回答した方の殆どが、Q2ではAと答えている。

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Q4:ゲームにはアクションやRPGなど、様々な種類があるのですが、大別した場合どれくらいの種類があると思いますか?

これはあえて質問の内容を曖昧にしてみた。主旨としては、「ゲームの多様性」をどの程度認識して頂いているか、
それを知ることにある。選択肢は用意せず、数字を好きに予想してもらった。

1~9 :17人
10~20:18人
21~99:1人

100以上:9人
無回答 :5人

その結果、最も多かった数字は10。私もこれくらいかな、と考えている。100以上と答えた方が9人も居たのは驚きだ。
よほど細かく分けても、100種類まだもっていくのは難しいと思う。これはもはや多様性というよりも、
ゲームを得体の知れない巨大なものと捉える、そんな考えに基づくものかもしれない。

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Q5:世の中にはゲームマニアと呼ばれる人たちも存在します。それは特にどういったタイプの人が多いと思いますか?

A(コンピューターが好きな人):12人

B(本や小説をあまり読まない人):5人

C(あまり外に出ず、引きこもりがちな人):18人

D(現実に満足できない人):9人

E(その他):5人

ゲーム自体ではなく、ゲームを遊ぶ人間はどのようなイメージを持たれているか。それを知るための調査である。
選択肢はいずれも、世間での回答を予想して用意したものである。その他で挙がった回答にも注目するべきものが多く、
「新しいもの好き」「凝り性」「現実から遠くに行きたい人」などがあった。「自分でものが造れない人」という、
妙に意味深な回答も。これらはいずれも、次の設問でゲームに対し好意的なイメージを持っていると判断できる方から寄せられた。
ゲーム好きな方のほうが、より深い考察ができるようだ。「暇人」という、核心を突きすぎた回答もあった・・・

私は用意した選択肢はいずれもゲームマニアに当てはまる要素だと思っている。この設問に関してはどれを選ばれても間違いは無いが、
予想通りCに票が多く集まったのは残念。

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Q6:ゲームを遊ぶことによって得られるものは様々です。それから受ける影響には当然良い面と悪い面があります。

それを割合にするとして、次の中から貴方が最も適当だと思うものを選んで下さい。

A(良い90%、悪い10%):1人

B(良い70%、悪い30%):3人

C(良い50%、悪い50%):26人

D(良い30%、悪い70%):15人

E良い10%、悪い90%):5人

ゲーム大好きと、大嫌いを自称した方々が、それぞれAとEを選んだ。
Eを選んだ方にはゲームへの悪意は無くとも、コメントからは「百害あって一利無し」という
発想が読み取れる。あとはCに集中する結果に。

私はゲーム大好きの側だが、回答するならCである。やはりゲームは薬にも毒にもなるものであると考えるからだ。
ただ、全体的に見ると「毒」のイメージのほうが強いようであるが。結局のところ自己責任だろう。
最初から偏見の目で見られている疑いが、ここでも明らかになった。

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Q7:以下に様々なタイプのゲームを示します。あなたの好みにあえば○、好みでなければ×、どちらでもなければ△を記載して下さい。

A(メッセージ性が強く、色々と考えさせられる) ○:23人 ×:16人 △:11人
メッセージ性というと、例えば大人気ゲーム・ファイナルファンタジーでは「命の大切さ」「愛」について繰り返し語られる。
ゲームにはそのようなテーマを語る資格が無いとでもいうのか。×にここまで票が集まるとは思わなかった。
もし質問の意図が正しく伝わった上での結果なら、さすがに戸惑いを隠せない。

B(クリアするのが簡単) ○:23人 ×:19人 △:8人
すぐやってすぐ終われる、そんなゲームが好ましいかどうか。これはゲーム好きの間でも意見が分かれるところである。
アンケートを集計してみると中毒性の要因となるものは嫌われやすいようで、ここでも若干その傾向が見受けられる。

C(長く延々と遊べる)  ○:17人 ×:21人 △:12人
まさにBとは対極になるタイプのゲーム。回答は予想通り表と裏の結果に。当たり前かもしれないが。

D(露出の高い衣装を着た、魅力的な女性が出てくる) ○:3人 ×:37人 △:10人
架空世界の女子がどんな格好をしていようが良いじゃない・・・とはいかなかった。
もしこのアンケートに私が答えるとしたら○にすぐ印を付けてしまうところだが・・・
匿名性のある調査でこれほどシビアな答が返されるとは思わなかった。・・ある種の反省が必要か。

E(犯罪まがいのことを自由に行える) ○:3人 ×:42人 △:5人
Eこそゲーム最大の利点だと私は思うのだが。暴力衝動を、ゲームなどで解消する事により平静を保っている私にとって
この回答は予想した通りの結果ではあるが、失望させられるものでもある。
私自身がイレギュラーな存在だと指摘されたら、それまでかもしれないが。

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Q8:貴方が思う、ゲームの正しい在り方について答えて下さい。

完全な記述式の設問。にも関わらず、同内容の回答が続出した。
圧倒的に多かったのは、予想通り「現実との区別がハッキリしていて、気晴らし程度になる遊び」であった。
良いゲームとなると、もっぱらパーティー用や、学習系の勉強ソフトが好まれるらしい。
中でもやたらと犯罪への繋がりを懸念する声が多く、
暴力的なゲームを遊んでいる内に現実でも試したくなる・ゲームから、誤った悪い知識を得る
という危険なケースを回答者は揃って想定しているようであった。
そんな人間が出現してしまうケースは、確かにゼロではないだろう。しかしそれならTVドラマの殺人シーンなど、
私に言わせると他にもっと危なっかしいものが幾らでもあるのではないか。
もちろん、指摘自体は間違いでは無いと思う。しかし私は、ゲーム嫌いな方が決まってこの論ばかり展開する事が疑問なのだ。
世間の声に対し、
ゲームは推奨年齢を表記する・暴力描写の有無を明記するなど、色々と譲歩している。
それを知って知らずか、どうも回答を見ていると「ゲームはただのお遊び」という概念をかたくなに死守したいのではないか、
そう思わせるフシさえある。さすがにこれは私の行き過ぎた感想だろうか。
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・総評

アンケートを行って特にショックだったことがある。今時のゲームがどれほど美しいビジュアルやサウンドを誇っているのか、それを
全く知らずに回答している方が多かったという事実だ。というのも、テレビゲームと聞くと「ファミコン、スーパーマリオ」といった
極めて古い、電子音が軽快なドット絵のゲームを挙げる方が少なく無かったため。彼らにとってゲームとは、
未だにその域を出ていないのだろう。実際は、ゲームというものは当時から飛躍的な進歩を遂げており、その進歩は日々続いている。
一つのメディアとして定着したのもそれほど高いクオリティに到達したからである。

そのことが知られていないのはとても悲しい。加えて、全てのゲームは例外無く悪いという、ゲームアレルギーとでも称すべき
極端な反応を示した方も少なくなかった。そういうものがどこから来るのか、今回のアンケートだけでは判断しきれないが、
結局良くも悪くも、うわべのイメージが先行しやすいジャンルなのであろう。

今回のアンケートの結果から、改めてゲームが必要以上の偏見をもたれていることが分かった。
私は今後もゲームのイメージ改善に努力したい。