データハウス刊『吉本新喜劇名場面集』は
取り急いで刊行したのか間違いが非常に多い。
 
 そこで、その間違いの中で気づいたものの数々をここに記す。
 
 
P20 中  「これ1枚しか残っていない。」とあるが、大ウソ。
       P22に早くも1枚ある。
 
P32 下左 「この頃、桑原和男も秋山たか志と肩を並べるほどの役者に
       なっていた。」とあるが、なんという秋山びいきの論評か? 
 
P35 下  「昭和40年11月上席、うめだ花月『天下一品』。」とあるが
       たぶん間違い39年頃である。
       40年11月にはルーキーはすでにやめている。
       演目はおそらく『天高く』だろう。
       セットは類似し、メンバーも一致。
       左端の西川ひかる風の女はいったい何者だろう。
 
P40 阿吾寿朗 「S52年まで阿吾凡十として漫才をやっていた。」
         とあるが大きなウソ。
         3行目と大きな矛盾があり45年までだろう。
         45年阿吾十朗になり入団、52年寿朗と表記を変えた。
         55年今日規汰代と漫才結成し退団。 
P43 泉多美子 占いの泉アツノの若き日の姿。それ以前に宝塚歌劇団にいた。
 
    泉ひろし 「入団 S43.9.11」とあるが、再入団。
          それ以前に「泉ゆたか」として入団していた。
 
    伊豆あすか 本名の「谷本登志子」で出演。「伊豆あすか」は漫才名。
          「S54、奄美あすかとコンビを結成し、漫才畑へ」とあるが、
          「奄美きょうか」の誤り。
 
P44 市川小金吾 「現在もなお、脇役に徹して活躍中である。」とあるが、
          現在吉本にいない。
          別のどこかのプロダクションで
         たぶん別の芸名で活躍中なのだろうが
         この説明では不親切で難解。
 
P45 糸川ナホミ 「伴大吾達と同期に入団した」
          と言うが、いい加減にもほどがある。
         5年も離れている。何の勘違いだろう。
 
   今岡まき子 「これからの人」とあるが
          刊行時すでにマジックの後見に転向していた。 
 
P51 甲斐野トミ 「うめだ・なんば・京都の花月とともに活躍した。」とあるが、
           あたりまえの事を書くなといいたい。 
 
P52 片岡あや子 「入団月日 S43.6.1」とあるが、
          その次の文面からもわかるように、再入団。 
 
P53 河村節子 「入団月日 S32.3.1」は新喜劇結成前で完全に矛盾。
         かなり早い時期に入団していたのは確かだが。 
 
P54 菊池大助 「小さいくせに知ったかぶりをするギャグがあった。」
         という表現はあまりにも変である。 
 
P62 下  「昭和39年3月上席、うめだ花月『水ぬるむ季節』。」とあるが
       巻末のリストとちがう。別の花月だろう。
       白羽・原・河村・由利・内海の組み合わせから見て
       時期的にはそう違わない。 
 
P63 下  「白羽大介」は明らかに井上竜夫の間違い。 
 
P65 中  「うめだ花月」はたぶん別の花月だろう。左端の女性は何者だろう。 
 
    下  これもうめだでない。この時期のルーキー組+白木のメンバーである。 
 
P66 中  「ルーキー新一」は明らかに花紀京。似てもいない。 
 
P67 上  これもうめだでない。和田志朗・伊藤哲三・浜裕二などの配役から
       岡八郎復帰以前の布陣。 
 
    下  これもうめだでない。 
 
P69 中  「ルーキー新一」は今度は奥津由三。
       ルーキーが岡八郎と共演するはずがない。 
 
P70 中  「昭和41年1月下席、うめだ花月『命の証文』。」は違う。
       おそらく42年1月下席『学歴無用』。 
 
P71 中  「白羽大介」はまたも井上竜夫。
       『花の駐在さん』をいいたさの故意の間違いか?
       もちろん井上は端役なので警官ものでない。
       それにしても、参平みたいな格好をした岡八郎は珍しい。 
 
P73 上  これもうめだでない。
       さらに「岡八郎」は前田五郎の間違い。
       この手の本の刊行に前田五郎氏の協力が不可欠な重要人物。
       それを間違うとはいい加減にもほどがあるとしか言いようがない。 
P73 下  メンバーから見て異様な組み合わせで、流動期らしく
       時期的にはさほどずれていないが
       別の花月だろう。 
 
P78 中  キャプションとは裏腹にこの爺さんは桑原と思う。
       伴・谷のコンビの全盛期のパワーが凄かったのは事実である。 
 
P90 下2段左 左端の山田裕子は存在を忘れられタレントリストから漏れてます 
 
P97 小島あきら 下の説明文がむちゃくちゃである。
          初期の新喜劇での芸名はこれであるが
          S44年頃の再入団後における芸名は「青芝フック」である。 
 
P101 白川珍児 この説明文もひどい。
          入団年月日は、おそらく再入団であろう。
          さらに深山なおみとのコンビの後で入団したのであれば
          白羽大介とのコンビなどありえない。
          たぶん漫才と並行して客演していた時期もあったのだろう。
          再入団と思われる47年以降は脇役のへんなおっさん役が多く
          説明文とは、とにかく差がある。 
 
P108 津島ひろ子 「末成由美とコンビで入団した」はおかしい。
            剣戟出身と歌手志望と色も違うし、
            むしろ中堅時代二人で即席コントコンビを組んだことを
           言っているように思う。 
 
P109 中野みさよ 説明文欠落。
           白川珍児の再入団時とほぼだぶって活動し、記憶に新しい。
           書き忘れだろう。 
 
P111 西川ひかる 説明文がむちゃくちゃです。
           「入団年月日S46.9.1」は記憶に新しい方の入団であり
           原組に入ったが、
           もしかしたら本当にこれが初入団ではなかろうか。
           「S37〜S42.5松竹芸能で
           夢野タンゴ・西川ひかるで漫才をする」と言うことは
           後述する「財津一郎との相手役が多く」と
          完全に両立不能の事象である。
           46年にはすでに財津は東京に行ってしまっているし、
           42年から44年まで松竹新喜劇なら
           わずかな財津との共演の可能性も消える。
           しかしながらP35のルーキー・森信・財津・小島のぶえと
           共演している女性の写真、
           P65のルーキー組の写真に彼女に似た顔の写真がある。
           すると松竹で漫才、吉本で喜劇をやるという
           そんな常識破りがあり得ないので真相不明。
           他人のそら似か? 
 
P113 桑原和男 ギャグが列挙してあるが
          彼の2大傑作流行語が葬り去られているのは納得がいかない。
         @冗談はよしてください
         秋山と組む前に彼が非常に元気があった頃
         一世を風靡した最高傑作ギャグ。
         必笑パターンであり、使い方によってはペーソスすらある。
         しかしなぜか40年代に入ってからは、
         封印でもしたかのように使わなくなった。
         Aイヤ!イヤ!そんなこと絶対にイヤ!
          これもその時期の流行語。
         ルーキー新一がこれをパクッて全国展開で
         「イヤ!イヤ!イヤ!」をはやらせ、一世風靡した。
        それに嫌気をさしたか、その後使わなくなった。 
 
P125 上 なんで園みち子が久美子なのか? 
 
P152   時代順のはずが、なぜか突然の旧体制の写真。
       『やめよッカナ!』には岡八郎、花紀京、桜国子は関係していない。 
 
P164 平山のぶ子 「貧欲」は貪欲の誤りか。
           それとも本当に意欲的でない
           スカみたいな女だったのだろうか。
           「肉感的な体を利用したお色気演技に幕内の連中も
           相当刺激された者が多かった。」というが、
           ポケットミュージカルズでは主役を張っていたようなので、
           そこで肉感的な演技をやったのであろうと想像する。
           新喜劇では「その他」の役が多く
           晩年の2,3作のみのヒロイン、
            それもおとなしい役だった。
 
P169 峰きよし 同一人物か?別人か?コント110番の三田キヨシにそっくり。
           東北風のナマリの演技を終始続けた。
          『ドーモ、フンマヘンデシタ』のギャグあり。 
 
P172 山田スミ子 入団年月日とその次の文面が明らかにいい加減。
           S43.4はヒロイン級昇進の時だろう。 
 
P173 山口真代 「現在も活躍中」とあるが…。吉本にはいない。 
 
P175 淀川吾郎 「台詞はうまいのに」とあるが棒読みだった。 
 
P176 和田元江 「上品な芸で二枚目的主役に近づきつつある。」とあるが、
          やめよッカナのメンバーから外れている。
          歌手としてレコードを出したり素人名人会のアシスタントもする。
 
P177 浜裕二 「何たることをサンタルチーア」は大江将夫が昔使っていた。