古代奇人列伝 02 "ギリシア好き者列伝"
「英雄色を好む」とは飽きるほど使い古された言葉ですが、世の中には「好き」どころか「取り憑かれてんじゃない?」としか思えない人もいるわけでして...
1.
好き者の筆頭といえば、何はなくともまずこの人(神)。 アポロドロスによれば、ゼウスは以下の者達の父ということになっています。 曰く、 ・ヘラと交わって、ヘーベー、エイレイテュイア、アレースの父となる
・テミスと交わって、エイレーネー、エウノミア、ディケー、クロートー(クローソー)、ラキシス、アトロポスの父となる
・ディオーネーと交わってアフロディテの父となる
・エウリュノメーと交わって、アグライエ、エウプロシュネ、タレイアの父となる
・ステュクスと交わってペルセポネーの父となる
・ムネモシュネーと交わってカリオペー、クレイオー、メルポメネー、エウテルペー、エラトー、テルプシコレー、ウラニアー、タレイア、ポリュヒュムニアーの父となる
・メーティスと交わってアテナの父なる
・レトと交わってアルテミス、アポロンの父となる
・ヒュブリスと交わってパーンの父となる
・オルコメノスと交わってエラレーの父となる
・プロトゲネイアと交わってアエトリオスの父となる
・・・・・・・・・・・・・・・・・。
・・・・・・・もういいですか?
まだありますけど、とりあえずこんなところで。 さすが「神々の父」と呼ばれるだけはありますな。 てゆーか大御所がこんな有様だから、後世のギリシア人は女性の身柄一つのために大戦争を(以下略)
2、作りも作ったり テミストクレス
テミストクレスはペルシア戦争の英雄です。 数奇な運命により、最後はペルシア領内で骨を埋めることになりますが、二人の妻と作った子供の数は、記録に残っているだけでもネオクレス,ディオクレス,アルケプトリス,イタリア,シュバリス,ニコマケ,ポリュエウクトス,ムネシプトレマ,クレオファントス,アシアら10人にもなります。
ちなみにテミストクレスの享年は65歳。この時、末っ子はまだ「小娘」だったそうですから− まあ・・・・・たいしたものですな(^^;
3、はた迷惑
ある時、テーベ(テーバイ)市西方の町で、「姦通した」とのかどで男が逮捕されました。 容疑者がさらし物同然に広場の真ん中を引っ立てられていくのを見て、驚いたのは容疑者の友人達。力尽くで容疑者を奪い返します。 もちろん奪われた側だって大人しくしてません。家門の名誉がかかってますからね。 一族郎党を集めて再度容疑者を狙います。
で、この奪い合いの結果どうなったかと言いますと....
今となっては姦通の真偽もわかりませんが、下ネタが原因で内戦というのは珍しいんじゃないでしょうか。 .....巻き込まれた他人はいい迷惑ですが。
4、天罰てき面 ディオニュシオス二世
シケリア(シチリア)の独裁者ディオニュシオス二世は、酒豪かつ色豪で知られます。 この人は三ヶ月ぶっ続けに酒を飲み続け・・・・中に質の悪い酒でも混じっていたのか・・・・失明寸前に陥ったという逸話があります。 要は自制心に欠けていたようで、隷下の町で娘子を狩り集めて色欲に耽ったとか。 もちろん愛娘を辱められた臣民は黙っちゃいません。 独裁者が失脚した時、彼の娘たちが同様の仕返し受ける羽目になりました。
故郷を追われ、住む家もないホームレスになったディオニュシオス二世。 彼の哀れな末路は、教訓とともに後世に語り伝えられています.....
おしまい |