生徒指導・進路指導論E(5月24日)
<論理療法>の続き・・・前回の講評
◆ 人間には思い込みがある→「固定観念」をみつける
「そのとき、彼女は・・・」→不登校になった
◆みなさんの意見・・・
<固定観念> 〇「普段からクラスメイトから見放されているという孤独感を抱いていた。・・・ジロッと見られたということでクラスメイトは私を嫌っている・・・と確信したのが思い込み」 〇「味方が誰もいないと、つまり、いるのは敵と他人だけと考えている」 〇「自分を受け入れてくれない、つまり自分という存在を否定されると考えている」 〇「自分の居場所はないし、自分は必要とされていないとの思い込み」 〇「彼女たちが苦手だと思い込んでいる。普段から目をつけらえると恐がる被害妄想」など |
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<どう説得する?> ●「遅れて入ったら視線は集まるよ」 ●「友だちはつくりにくいものだし、いるようなつもりでもそれが本当の友だちとよべるのかはわからないんだよ」 ●「ひとはそんなに他人に敵意や関心はもたないよ、きみだってそうだろ」 ●「無理に自分をアピールしたり曲げる必要はないよ、皆ちがうんだから」 ●「彼女たちは気にして声をかけてくれたのかもしれないよ」など |
◆前回の意図・・・(1)固定観念をみつける (2)相手の気持ちになって考える
(1)→共通して読み取れる。何が彼女を行動に(結果に)結びつけたのか、どう固定観念をもったのか。刺激に転じてタイミングによっては、具体的な論駁へとうつっていってもいい。
(2)→人の「言うこと」はある意味すべて思い込みである。だから「彼女」の気持ち(Being in You)になる。
◆実際には・・・当然、ストレートではなく「会話」がある
例えば・・・ 「普段からクラスメイトから見放されていたというけど、どう見放されていたの?」あるいは「『普段から自分を受け入れてくれないとか、存在を否定されていると思う』っていうけど、どんなことからそう思ったの?」というようにその「固定観念」の具体的構造を訊きます。・・・たしか具体的ないじめや無視はなかったはずですが、彼女がそう思い込んだなんらかの「雰囲気」が答えられるはずです。「あわない」「こわい」「うるさい」とか・・・。そうきたなら、その「抽象的な雰囲気」に対して・・・ |
→「『あわない』っていうけど、向こうにとってもこっちはあわないならお互いさまだよね。向こうが集団だからっていうけど、自分以外は全員がいっしょに行動してるかな。通学とかでもなんでも全員じゃないでしょう」。「でも、たしかにあわないってのはいるよね。でも全ての人と『あう』ってのもいないだろうし、そういう必要もないんじゃないかなぁ」。・・・「『あわない』人たちに具体的に嫌がらせでもされたの?」「『こわい』っていうけど、なにか脅されたりとかしたの?」・・・。 |
→もちろん「簡単にはいかない」
「それは実際にいないとわからないのだ」等の、まさに「固定観念(独創的な感情)」が語られるはず |
気休め? →深刻な問題だからこそ、「あなたの考え方、自分の責め方は論理的に正しくはないのだ」から「受け止め方」「発想」をかえてごらんなさいと進めていく。周囲の状況への実際的配慮もするが、まずはビリーフ。
→最後には、いいかえさせる。「〇〇だが、けっして〇〇ではない。大丈夫だ。」と
次のシートをつかってエクササイズをしてみよう。
「固定観念」をみつける方法・相互理解の方法 |
「話す」役、「きいて論駁する」役、「聴衆」役に分かれて、その「役割」の気持ちもまた考えてあとで確認させる。以下も同じ方法で試してみよう。
Aチェック・シート方式(エンカウンター方式) |
次はアドバイスを交換しあう方法。
Bメンタル・ヘルス・チェック方式 |
*もう一度、カウンセリング及び生徒指導について確認しておく。
★文部科学省・・・基本的路線→「経験で自立を」「生活習慣」「カウンセリング」
※ただし、カウンセリングが即「生徒指導」というのではない。(万能ではない)
「カウンセリング」重視によるイメージ→「指導」=「療法」ではない。
●問題解決型(事後処理的)な生徒指導ではおいつかない→「積極的予防的な生徒指導」
※しかし、「管理」型指導になってしまった
「自己決定」の場と「自己存在感」、「共感的関係」=「わかる」ということ が必要
○完全な理解はありえない。
○しかし、完全ではなくてもわかりあうことはできる。
○カウンセリングで「わかる」というのは一方的関係ではない。
○「心を開放」して他者と「自己存在感」、「共感的関係」を結ぶことが「社会性」。
誰だって完全に自分のすべてをある他者に話したりはしない。話された一面ですべてを理解するのは難しい。→人間理解は「難しい」という限界を知るところからはじめて、深めていくことが必要・重要→「わかってほしい」と思わせる関係づくりと安心(信頼)の関係を築いていくことが肝要。
そういう関係を築いていく方法、どういう段階や過程があるのか、サインがあるのか
ここで次の課題として「サイン」という問題がある。そういう「わからなかった」こともそのままにしておかないでいこうということについて、いまの日本の教育制度ではどのようなアプローチが準備されているのか。
配布した資料「生徒指導に関する日本の最新の方針『心と行動のネットワーク』」を読んでおいていただいて、次回その内容についてみていく。
基本的に以前見た資料などを参考にして、そのような「実態」をどのようにして把握していったらよいかと真剣に議論されてきている。
*「以前見た資料」というのは例えば次のものである。
「平成10年度不登校状態となった直接のきっかけと不登校状態が継続している理由との関係」(文部科学省初等中
等教育局児童生徒課『生徒指導上の諸問題の現状と文部科学省の施策について』平成13年)
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不登校の要因・起因 |
その中の詳細な理由(%は全体中) |
小学校 |
学校生活に起因(全体の20.2%) |
友人関係10.6% 教師との関係2.1% |
家庭生活に起因(全体の27.5%) |
親子関係15.8% |
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中学校 |
学校生活に起因(全体の38.4%) |
友人関係19.7% 教師との関係1.7% |
家庭生活に起因(全体の17.4%) |
親子関係 8.3% |
※他に、エクササイズ(3人での会話及び、役割演技)を試した。
(質問紙を回収して終了)