生徒指導・進路指導論C (5月10日)

 

 *これまでの三回の授業をふりかえり、授業全体の構成の再確認を行ない、また今後の具体的事項を示しておいた。

<復習>第一回、@生徒指導・進路指導とは? Aなぜ生徒指導が必要なのか?
    第二回、@管理主義と自己決定主義? Aどのような指導があるのか?
    第三回、@「カウンセラー」は特効薬ではない?A情報の読み方(不登校)
        B人間理解のエクササイズ(1)

 

<今後の予定>●カウンセリングの方法(二回程度)、●自主性の生徒指導(二回)
      ●進路指導と現在の志向、●具体的な方法論(サイコドラマ等)、
      ●生徒指導・進路指導の歴史的総括、●いじめ、暴力、不登校など

 

★生徒指導の方法論

◆生徒指導のねらい *もう一度配布済み資料の記述から確認する

 すべての児童生徒それぞれの人格のよりよい発達を目指すとともに,学校生活が一人ひとりにとって有意義なものとなるよう,生徒指導の充実に努めています。(中略・・・ 児童生徒の問題行動・学校不適応については,いじめを苦に中学生が自殺するという痛ましい事件が発生するなど、校内暴力及び登校拒否も増加傾向にあることなどをあげる)
 これらの原因・背景は,学校・家庭・社会それぞれの要因が複雑に絡み合っていると考えられ,この問題の解決を図るためには,学校・家庭・地域社会の一体となった取り組みが必要となっています。
 文部省は,生徒指導について,(1)児童生徒の個別の問題行動に対する緊急の対応,(2)児童生徒の生活体験,人間関係を豊かなものとする積極的な視点に立った指導の充実の両面から・・・(中略)種々の施策を講じています。

 

◆指導の種類

 基本的には集団に対する指導と個別の指導とがある。

◆集団指導と個別指導
1)生徒一人一人の日常をつぶさに観察すること
(2)生徒個々の情報を多く得るように努めること

 

◆生徒に関する情報について留意する点

※「守秘義務」(地方公務員法 第34条)
「職員は、職務上知り得た秘密を漏らしてはならない。その職を退いた後も、また同様とする。」

 

◆指導上の留意点

 一方通行では「説教」になる。具体的活動を通して、集団活動によって指導していくという方法が「学校」という場で「教員」にはとりやすいか。清掃や給食などもそのような活動としての意味をもつ。

 また、学校のみならず、家庭、地域との連繋を図ることが重要であろう。ただしお題目としてではなく、現実的なものとして考えていくべきである。親も地域も多様である。家庭訪問時に家族と世間話すらできない教員も増えてきているとも言われる。家庭からも信頼を得られることで「理解」の深まることはある。現実に数値上では中学2年生の母親が学校と連繋をとっているともいえるが(図示・略する)、これは内申書や進学・進路を考慮した活動とも思える。もしそうならば、それで子どもが受ける重圧は増すことがありえないか。たんなるお題目や数字上のコミュニケーションではなく、「わかる」ことを前提とした関係が必要となってくる。

 

★カウンセリングの方法

◆カウンセリングの基本

・・・クライエント中心。座位置も対面しないなどの工夫。

 ※★受容、★繰り返し、★反射、★明確化、★直面化、★解釈、等

 

 技術的には普通、「受容」がまずあって、無理にききださない。相手を待つし、受け止めてあげるスタンスでいること。頭ごなしに否定もしないし、「誰もきいてくれない」と悩んでいる話を「きいてあげる」ことが大切。

 きいてあげる中で、「整理してあげる」ことが必要となる。混乱をとる交通整理であり、考えをまとめる手助け。そのために「繰り返し」で確認してあげることが効果ある。聞き手も相手の発言を繰り返してあげることで、「きいてくれてる」という安心感を深められ、「自己」の考えをまとめて「さとり感覚」とでもいうものをつけさせることができる。

 次に「反射」といわれるものがある。これは何度かやっている「共感的理解」というものである。相手が「わかってくれる」ことで他者と自己という関係、そして孤独から少しは楽になれるし、心を少しずつひらいていけるようになってくるようにする。もちろん相手の思いを真剣に共感的に理解(かつ客観的に整理)していく。

 次に「明確化」。相手の話がつまるときや、ただの繰り返しではないのを示すためにも、表現や言葉を助けてあげることが必要。

 そして「直面化」という段階。これは「論駁」にもあたる。対決してあげる。もちろんそれをして大丈夫な関係ができてからということが前提にある。初めにこれをやってしまうと「頭ごなしの説教」にしかならない。そうではなく、「違う」考えもあるということと、思い込みの論破とを行なうのが目的である。「刺激」を与えてあげるということもできる。

 「解釈」は、「明確化」にも通じるが、むしろ洞察力でもって先読みをするもの。人間との対話においてそういう「あらかじめわかる」部分はある。これをうまくすれば「本当の私をわかってくれる」というようになる。もちろん完璧な理解はありえないのだが、なるべく本当にわかるようにするからこそ、先読みが可能にもなるわけである。他に、リードしてあげたり、助言を与えたり、支持する等もある。基本的にはこういうテクニック論はある。もちろんこれは「対話能力」である。そういう能力がカウンセリングの技術であるし、相手が「話せる」状態づくりがまずは必要になってくる。

 

◆学校内カウンセリング

・・・カウンセリングマインドは困難である。区別すべきものが区別できないで得られる信頼とは何であろうか。「なんでも受け止めてあげる」というものの限度をわきまえないと、「誰かをすくう」ことで「誰かをおとしめる」ことになりかねない。それが人間関係の難しさである。「教員としてのカウンセリング」というのは困難な、そして大きな課題である。

 「学校内カウンセリング」として、カウンセリング担当教師、養護教師、スクールカウンセラー等が担当する相談体制が整えられている場合もある。

 

 

 

◆教師にあうカウンセリングの方法の紹介

●『論理療法』・・・心因性・神経症型、ストレス型、不登校にフィット

    →→「論駁」(説得・指示)するカウンセリング





 


Activating
event
(出来事)
 





 


Belief
(受け取り方)
 





 


Consequence

(結果)
 





 


Disputing

(論駁)
 





 


Effects

(効果)
 





 

 

  <普通> 人間の「悩み」(結果)はある「状況・出来事」に原因がある。

      そして、そう「受け取る」私がいる。

    (例:「友だちができないから、私は学校に行けない。そう考える。)

  <論理療法では> 人間の「悩み」は「状況・出来事」に由来するのではなく、

その「受け取り方」に左右されると考える。

 

*以上を次回に考えていきます。(リアクションペーパー配布→回収)