生徒指導・進路指導論 2002年度・前期 A 4月19日
*前回のガイダンスを振り返り、今回から具体的な内容について考察していくこととして、その「学ぶべき事項」「身につけるべき技術(指導法)」を確認しておくのが本時の目的である。各受講者のアンケート回答をいかし、また前回の復習から「何が克服されるべきで、どのようなことを学んで修得するべきか」ということを各人に考えてもらった。
今回の内容 |
*復習として前回のガイダンスで話した内容をもう一度、板書でまとめてみた。
<復習>@生徒指導とは何か? |
*話した内容は省略する。次に「求められる指導法」を考えていくために、前回に簡単に話した「新しい指導」(新しく必要とされて導入となった指導)がどのような「期待」や「目標」を付され、それが実際に効果をあげているのかについて考えた。実際に「いじめ、不登校など」のグラフをみて、数値的に効果が出ていないのではないか−−つまり「問題」は解決されていないのではないかと注意を促した。その結果として、本来めざすべきものは「ガイダンス」や「カウンセリング」的なものと期待されていたのに、実際には問題行動を規制することが中心の「取り締まり型」になってしまって、それで実態が見えにくくなってしまったのではないかと指摘した。
◆本来の指導とはどのようなものであったか?
→外国向けに発信するとき、どのように表現されているのか?
生徒指導・・・Education Guidance 、School
Guidance and Counseling |
◆実際の現場の指導はどのようなものであったか?(アンケートから)
管理主義(指導と管理の混同) |
*考察の結果、受講者と共有して次のような「とらえ方」をもつに至った。
生徒指導→本来、学校教育において児童、生徒の心を育てるための理念・理論・機能・方法を統合したもの(学習指導と並ぶ学校教育の二本柱の一つ) |
*「学校で身につけるもの」という構図を図示して「教科指導」と「生徒指導」(生活指導)というものが「教育」の大きな支柱であることを説明し、教員のするべき仕事の一つであると指摘した。そして従来の「指導」では何故「児童、生徒の心を育てることができなかったのか?」、そもそも「心を育てるなどということができるのか?」ということを疑問としてとらえ、その上で「どういうことをしていくことが本当に必要なのか」と考えていこうということになった。また「従来」の「積極的」に変えられた生徒指導も「事後処理的」であり、また事前に取り締まりをして外見を一般化してしまうために「事前」にできることが少なくなってしまっているということと、それ自体が「問題の内面化」をつくってしまっているのではないかと考えていただいた。新しい教育答申でもこのような「予防的」な観点が強調されているので、そのようなこと学んでいくことも必要と指摘しておいた。
●問題解決型(事後処理的)な生徒指導ではおいつかない |
*なお、類似する性格の教科として特別活動が必修となっているが、その本質や目的もそもそも「生活」指導であり、あるいは「自主性」指導であった(活動を通して修得させるようにする)ことを確認しておいた。
特別活動・・・集団活動をとおして自主性を育てる |
*「B、生徒会活動」等によって生徒(児童)の自主性を育むことが重要であるが、その「生徒会」というものも現状としてどのようなものか意見の集約を行なった(前回のアンケートをもとに)。「内申書稼ぎ集団ではないか」、や「教員の監視下で自主性とよべるのか」などの厳しい経験談や指摘もあったが、それを共有して考え、「どのようにしていくべきか」という実現可能性を考えていくのが大学の講義の役目の一つと考えている。
「生徒会」については以下のような展開があったことを伝えて、実現というのが大きな課題であることを考えてもらった。
文部省・初期→→「生徒の自治とは学校活動への生徒の参加」(戦後『新しい中学校の手引き』1949年) |
●確認: これから授業で扱っていくべき生徒指導・進路指導は、従来の「問題行動への対応」だけでなく、「カウンセリングやガイダンスという相談体制・技術・心構え」を整えておくことと、「生徒の自主性を育むことで、『指導』の領域を少なくしていくこと」である。
(リアクションペーパーを配布→回収)