生徒指導・進路指導論G   (2002年11月29日)

   前回のリアクションペーパーへの回答から・・・



 

<質問> →文部科学省のいってることは誰にでも言えること?
     →連携は大切だが、いままで一つの所でもできなかったのに現実性はあるのか?
<答え>・・・そのとおり。しかし「セクショナリズム」は省庁間だけではない。現場の反応?

 <指導指針>
 心と行動のネットワーク
    

滝充のPEACEメソッド ★滝充『学校を変える、子どもが変わる』時事通信社、1999年    ↓(具体案)

「突然型・いきなり型」「キレル少年」の問題行動→「心のサイン」を見逃さない
「子どもが変わってわからなくなった」→「地域・家庭と連携」「学校も変わろう」
「これからの生徒指導には予防の観点が必要」

毅然とした規制(指導)
心の悩み・相談(受容)
自立・協力による解決(教育)

 

1、5段階のステップ





 

Preparation
 準備
例:何が問題か?プランの意義。
 





 

Education
 教育
例:HR、授業、集会、講演、グループ活動。 





 

Action
行動
例:全体集会等で問題の共有、行事などを利用。





 

Coping
対処
例:連携や意識を深める。
 





 

Evaluation
評価
例:次の課題設定へいかす。
 





 

 

・子どもの課題について教職員の共通認識をつくりだし、共通の目標設定をし、計画的・継続的に子どもに働きかけていく、子どもや保護者の協力も得ていく。

 →「子どもの自主性」「学校ぐるみ」というと、これも現場からは「やっている」とか「難しい」という反応があるが、そうではなくて「実際の取り組みとして計画的・継続的、かつ全校レベル」でやっていくことで「新しい伝統(雰囲気)」をつくるのがこの方法の本質的な部分である。単純にいえば「英国」でのピアカウンセリングの試みと同様でもあり、英語圏の国々では導入して効果もみられる。

 

2、背景要因としてのストレス状況

 ◆ストレッサー(ストレスの原因)・・・学校、家庭、教師、友人、親との関わりやできごと

 ◆ストレス・・・心に負担がかかって心理的にひずんだ状態。身体的・抑鬱・不安感・不機嫌・怒り・無気力等の様々な症状がある。

 ◆コーピング・・・価値観、社会観、対人能力等で、ストレス要因(ストレッサー)からストレス症状に、またはストレス症状の状態から問題行動(不登校やいじめ、非行等)にうつる時に、その結びつきを促進したり抑制したりする働きのこと。

 ◆問題行動・・・不登校、いじめ、非行等の結果として表れた行動

 

 

3、いじめ、不登校、非行対策としての「学校ぐるみ」対応

<例えば>

●「いじめ」をなくすには? 学校ぐるみで対応していく意識づくり、コンセンサス。年間計画。

●学期初めより生徒への告知。保護者への告知。毎週の対策会議、全体会議。研究、講演など。クラスごと活動。

●生徒会活動と連動、全体集会、学年集会、クラス対応策の検討。行事実行(キャンペーン)など。

●公約実行期間。問題意識をつねに明確にしていく。ゼロ週間など。

●活動の成果、反省、評価。次の課題設定。

 

 

 

 

4、実験? 「私語」撲滅キャンペーン!?

 <目的>問題を共有する→実感してもらって自分たちの「問題」ととらえなおす→納得する方法を探す

質問:「授業中の私語」シリーズ  <みなさんの意見>

 実はここまでこの講義では何度か受講者に「意見」を「質問」という形できいてきたし、それを何度かこたえ、また代表的な意見を紹介して全員の共通の知識とするようにはかってきた。いまだからいえるが、これは「仮想」でこの「学校ぐるみの話し合い」というものをやるために共通の意見をきいてきたのである。いままできいてきたものの「応え」を紹介する(1〜3)。

 

(1)「授業中の私語」について、どう思うか?

●よくない。●私だったらやめさせる。●やめさせるべき。●教員が悪いというのもある。●私もついついしてしまうことがある。●周囲の邪魔をするのはよくない。●気にならなければいいのではないか。●やめさせるいい方法が知りたい。・・・等々

 

(2)生徒の立場になって考えてみると、どうか?

●悪気はないのでは。●先生がちゃんと指導してやめさせるべき。●注意してもらいたい。●おそらく授業に魅力がないというのもあるのではないか。●友達が話しかけてきたら無視できない。・・・等々

 

(3)あなたなら、先生にどう指導されたらいいと考えますか?

●「わからないことで話してるなら先生にききなさい」●私語をさせないような授業。●「うるさい!」ではなくて「周囲に迷惑をかけてることを考えなさい」と言う。●ついしてしまうが悪いとはわかっているので普通に「静かに」と。●きつく注意すべき。●すばやく話しに入ってきりあげさせる高等技術。●目の前に来て直接やめさせる。●なぜダメかをしっかり説明する。●喋り終わるまで黙っている。●少し待って、止まらなければ「勉強したい人もいるのだ」と注意。●かなりあるのなら授業にも責任、引きつける授業をするか叱る。●授業が大切かをわからせる。●たまに注意にのみ全力をつくし、あきらかにたる気の感じられない教員がいるのも事実。●近くによる。●その生徒をあてて、自身に気づかせる。●授業中に質問をして考えさせる。●2・3回注意してダメなら出す。●怒るのではなくて、私語に周囲が迷惑することや、授業中の私語という行為について考えさせる。●話すのは自由だけど一生懸命話してる先生や聞いてる生徒に迷惑でしょう?●強く注意すべき、しつけも大切。●やわらかい物腰で言われるとどなるより効く。●怒ると雰囲気が悪くなるのでさける。●好き嫌いがあるからすべてをひきつけるのは無理。●常識のある普段の教育が大切。●どなられるとその後その先生と距離が遠くなる。●名前をよんで軽く怒る。●名指しで厭味っぽいのはやめてほしい、傷つく。●どなると授業中断や全体責任っぽい。●「ここは重要だから静かにして〜」といわれると自分のために注意してくれてると思う。

  以上を「貼り紙」(一つ一つの意見を)にして黒板に貼って、全体にみえるようにしていった。「板書」でもいいが、「貼り紙」だと動かして変化させることができるということを紹介した。次に、(4)の質問をして、それを「黒板上」に書いていった。

 

(4)私語をなくすには? どんな方法があるか?

●授業後に課題を提出する授業。●こわい先生が授業をする。威圧感。●ハードな体育の後に授業。●ディスカッションぽい授業。●リスニングみたいに集中して聴かないとわからなくなる授業にする。●みんなが興味ある授業。●無駄話しは減点、単位をとれなくする。●私語をする生徒を外に出す。●少人数授業。●顔と名前をおぼえる。●席を指定する。●私語の時間をつくる。●私語の人に指名する。●授業の導入の部分を工夫する。●ひたすら板書をつづける。●ききとれるかどうかギリギリの声で話す。●罰を与える。●生徒をじっと見る。●板書は最低限にして大事なことを話す。●文字を小さく。●点数をマイナスにして出席のかわりにする。●私語チェック係を決め、あげてもらう。「みんなからそう思われている」といわれれば少なくなるか。●生徒に私語を考えさせる。授業中の私語をどう思うか問う。●「言ったことすべてがテスト範囲」●先生が歩きまわる。●一度徹底的におこるとなくなる。●皆の前で自己紹介させて、あらかじめ私語役の演技でその迷惑をわからせる。●スピード感のある展開のはやい授業。●前もって「私語をしたら退出」といいそれを実行する。●パソコン画面(モニター)を書き写させるスピードがはやく、私語など無理。●私語が悪いことだとわからせる。●席順を決めて座らせる。●生徒にランダムにあててスキを与えない。●クラスで「静かにしましょう」大会。景品を出す。●先生がよくしゃべる授業ほど私語も多いのでは。●静かになるまでだまる。●先生が退出。●本人の理性を問う。

 

 PEACEメソッド」について。現場の拒否反応というものから「できることとはなにか?」というようにして話しを進めていきました。貼り紙作戦はいかがでしたでしょうか。