生徒指導・進路指導論E(2002年11月15日)
<復習> (2)人間理解の方法−−「わかる」とはどういうことか? |
(3)教育的カウンセリングの方法−−『論理療法』
・心因性・神経症型、ストレス型、不登校にフィット→→「論駁」(説得・指示)するカウンセリング
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(出来事) (受け取り方) (結果) (論駁) (効果)
<普通> 人間の「悩み」(結果)はある「状況・出来事」に原因がある。
そして、そう「受け取る」私がいる。
(例:「友だちができないから、私は学校に行けない。」そう考える。)
<論理療法では> 人間の「悩み」は「状況・出来事」に由来するのではなく、
その「受け取り方」に左右されると考える。
(例:「友だちがいないことは最悪だ。→ゆえに私は最悪の人間である。→したがって学校にも受け入れられない。→だから学校へは行けない=行かない」)
※「受け取り方」=「考え方」(固定観念・人生哲学)。変えることで「楽」になる。→「最悪ではない」という受け取り方にかえていく。これが完全な共感では「友だちをつくろう」や「僕が友だちになるよ」となってしまうが、これでは解決にならないのではないか。「最悪ではない」けど、「まぁ、友だちは大切なものではある」から、だから「じっくり考えていこう」と考え方を整理していてあげる方向性が必要。
次に「状況」も変えていく。(情緒的な面、現実的な面)→そういうコンサルテーションができるのが教員
◆ 人間には思い込みがある。
心理的ひきこもりに陥る気質・・・おとなしい、まじめ、完全主義、神経質、感受性が |
→強迫的な考え方(不合理な思い込み)・・・融通のきかない人(正義、節操ある人)
★カウンセリング・スタンス・・・
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★<ポイント>「Belief(受けとり方)」が問題(となることが多い)
程度の問題→→「情緒・行動」 病的レベル――
健康レベル――
※ 同じ問題でも「病的」に受け止めるか「健康的」に解消できるかの「差」が存在する。「健康的」な受け止め方になるようにする。
◆考えてみよう〜具体的事例を紹介して考えてもらった
● ひきこもりの少年Aくんの場合・・・小学校で水泳の強化選手だったが、中学校入学後、不登校になりひきこもる。本人の証言→「いじめられた」、「自分の匂いが気になる」、「強くなくては生きていけない」、「親を不幸にしている」、「他人は信用できない」、「そういう僕は社会に出られない」。
● 少女Bさんの場合・・・家庭で父親が厳格なため、ノイローゼから他人にも強度の不安をもつようになる。本人の証言→「父が異性との交際に反対する」、「異常に私に執着していると感じる」、「友だちも家によべない」、「男の人は皆そういう面を隠しているのではないか」、「恥ずかしい」「怖い」。
● 不登校児(中学2年生)をかかえるお母さんCさんの場合・・・専業主婦で子育てをしてきたが中2で不登校になった長男にショックを受けている。本人の証言→「私が手をかけてきたつもりだが育児に失敗した」、「中2なのに、もうこの子の人生を駄目にしてしまった」、「私はダメな母親、親失格である」、「夫にもうしわけない」。
◆やってみよう〜具体的方法を試してもらった
● 「強迫観念」「被害妄想」「思い込み」の部分をみつけだしていくが、まず相手の考えを整理させてあげる。「そのとき、どう思ったの?」。次に「どうしてそう思ったの?」。相手に考えを整理させていくが、この家庭で「自分がなぜそう考えたのか」を客観視していければそれでセルフ・カウンセリングが可能になるかもしれない。強い思い込みで自らを縛っているように感じられたら次に具体的な「論駁」にとうつる。
具体的に意識するのは、相手に「〜でなければならない」、「耐えられない」、「駄目である」、「もう絶望だ」と思い込んでいる部分をもう一度整理してあげて、それを「○○だけれども、それにもかかわらずいいではないか(と考えられないか)」、「たしかに○○だが、だからといって〜ということではない」といいかえさせるよう指導する。
◆シートをつかってのエクササイズ 「固定観念」をみつける方法・相互理解の方法
@質疑応答方式・・・ 3分ぐらいで話す。(いつ、どこで、だれが、どうした) |
「話す」役、「きいて論駁する」役、「聴衆」役に分かれて、その「役割」の気持ちもまた考えてあとで確認させる。
Aチェック・シート方式(エンカウンター方式) |
次はアドバイスを交換しあう方法。
Bメンタル・ヘルス・チェック方式 |
以上を二人組でエクササイズとして行なう
最後に、次のケースを話し、それについて考えて、リアクションペーパーとともに記入してもらった
次の<ケース1>について、学んだことを参考にして、問題や思い込みをみつけ、論駁してみよう。(実施)
「あなたは(〇〇さん)、高校生。(その時のことを想像して、気持ちを思い出してください。)ごく普通の高校ですが・・・、3年生になりました。
最近、自分に友だちはいないのではないかと迷っています。3年生でクラスがかわった時、仲のよかったグループとは一人だけ別クラスになってしまったからです。もともと積極的に自分から他人のワに入っていくタイプではなかったし、周りの皆も進路を考えはじめてか・・・、バラバラで近寄りがたいと思っていました。
おとなしめの、少し話す・・・、お互いにおとなしいからよくしゃべるのではないのですが、そういう人はクラスにいます。たぶん似たタイプでクラスで積極的になれないタイプだと思う。この子たちが学校を休むとつまらない。・・・お昼のお弁当をいっしょに食べる相手がいなくなります。そういう時はつらい。食欲もなくなります。
クラスには私たちとは正反対のにぎやかなグループもいて、先生を茶化したり、なんだかんだリーダーシップをとりたがります。
私は彼女たちが苦手です。一人でごはん食べてる時、「ひとりぃ?」と声をかけてきます。話すことが得意でない私はそのグループへも入れないと思い・・・、「今日は〇〇ちゃん休みだから」とかいったりします。「ふ〜〜ん」といって彼女は去っていきます。目をつけられるんじゃないかと私たちは心配していました。
〇〇ちゃんが不登校ぎみになりました。理由はわかりません。でも、私はさみしくなりました。
私はよく腹痛や偏頭痛があって、朝、布団から出れないことがあります。そういう時は一日憂鬱です。
体育の時間も見学が多いので一人になることが多いです。そういう時は周りの目が気になります。つらいです。
ある日、遅れて2時間目の途中から登校しました。「音楽」の時間でした。音楽室は移動教室です。廊下を歩いていても他のクラスも授業中、また孤独を感じました。
音楽室に着いて静かに後ろのドアをあけると、皆は笛を吹いていました。その時、あの目立つグループの子たちが、彼女たちの目線・視線が私に集中しました。
また遅れてきた私は、その目が「白い目」でにらまれているようにみえました。そういう目でみられている。先生は何もいってくれない。皆の視線が私を責めているような気がする。「なに遅れて来てるんだよぉ!」と語っているように感じました。
「もうここにはいたくない」。
そう考えて私は学校を出ました。(それから彼女は不登校になりました。)」
→→さて、「もうここにはいたくない」と彼女がアタマの中で思った時、なぜそう考えたのか。「〇〇となった(理由・事柄)」ゆえに「××と考えた」と書いて下さい。次にどのように彼女に接して、そしてどのように論駁していくか書いてください。(次回、講評します)