教育制度論K2002年1月11日)

 

・・・最後の授業では、「仮」会議というか「公共性と制度」を実感してしかもテスト対策にまとめにもなるようにディベート形式を構想した。時事ネタから入る。「成人式」をなくすか、やるかという論議がよくあるけど、なぜこの2択なのだろうか。誰もが考えるよいやりかたに近いものににつめていけないのだろうか。昨日のテレビ「笑っていいトモ」の「青年の主張」で成人式が青年3on3大会へなることの憂慮の意見があったけど、よりによってなぜバスケで、しかも誰がこれを「これなら若者も納得するだろう」と決めた(考えた)のだろうか。右か左かや、これまで国際化と土着化のジグザグを言ってきたのだけれど、イスラム社会かアメリカ社会かではなく、本当はバランスのとれた多様なあり方がありえるべきなんでしょう。ところがなぜか「論争」はどちらかに寄る。「朝まで生テレ」と同じで、「論争」が運動的・政治的な「形式」になって、ただただ「勝つため」にのみあることが原因でしょうか。それは「論者」の立場や権威の問題であって、代表者としての役割ではない。「勝って、そして利益を還元するのだ」などというのはあまり地方の経済にも市民にとってはあまり直接に関係しないタイプの公共事業型になる構造でしょう。そんなものは代表ではなく、期待もできない。そういう「ささえ」基盤の上にあるから「システム」はだめになってしまうのだということをいちおう話してみました。大切なのは「そういう危険性」を知って意識してつくりなおしていく方法です。制度改革が改悪とならないための方法や、働きかける方法が必要だし、市民運動でもなんでも「実現可能性」のためにはここが重要だと思うのですね。

・・・授業でとりあげてきたこと・・・
●制度・システムとは何か?
●公教育・義務教育制度はどのようにして成立したのか?
日本の学校教育体系6−3制と世界の教育体系。
輸入された初期の学校教育制度がどう変わっていったのか?
教育課程・学習指導要領の改訂が意味するものとは?
制度としての大学入試・受験。内申書はなぜ受験社会をつくるのか?
教育問題に関する(不登校、いじめ、学級崩壊)制度改革論的アプローチは可能か?
●「教育改革」(教育制度の改革)とその成果を考えていく。

 

・・・とりあげられなかったこと・・・
◆社会教育制度の問題。学校と地域との連携、コミュニティ・スクールとは?
 ボランティア活動の義務化とは? 教育委員会の役割。
◆教育行政の問題。中等教育改革・中高一貫教育、総合制高等学校の設置。
◆大学の改革。

 

1、日本の学校教育体系「6−3制」(単線型)とイギリスの学校体系との比較。

 

 ディベートによる確認(略)

  ・どこが違うか? どちらのどこがすぐれているか? 何が問題か? 等

 

2、教育課程(学習指導要領)の改訂について説明してみよう。

(歴史的変遷、諸外国と比較した違い。2002年より実施される新しい指導要領。)

 「学習指導要領」の変遷

1947年、「学習指導要領・一般編」〔試案〕を発行(3月)。実施4月〜。
    高校「新制高等学校の教科課程に関する件」通達(4月)。
1951年、改訂。(7月)
1955年、高校学習指導要領改訂(実施は56年) 、「試案」の字が削除となる。(12月)
    小・中では「社会科編改訂」
1958年、改訂(小・中) 、道徳時間の特設、科学技術教育の重視。(教育内容の現代化)
    官報告示。(文部省は学校教育課程の拘束を主張、教科書内容の統制進む)
    実施、小(61.4〜) 中(62.4〜) 、道徳は58.10 〜。
1960年、高校学習指導要領改訂(実施は63年) 。
1968〜70年、改訂。教科内容の現代化、小学校から集合、関数など導入。神話教育復活。
    実施、小(71.4〜) 中(72.4〜) 、高校(73.4〜) 。
1977〜78年、改訂。教科内容の過密化を改善するとし、授業時間の削減、前回導入の集合を削除、
    「ゆとりの時間」設定。高校では「習熟度別学級編成」導入が提示。
    実施、小(80.4〜) 中(81.4〜) 、高校(82.4〜) 。
1987年12月、臨時教育審議会答申をうけ、教育課程審議会は、道徳教育の充実、
    (小) 低学年の社会科・理科の廃止と生活科の新設、(高) 社会科の「地歴科」「公民科」へ
     の分割等をもりこんだ答申を発表。〔他に「格技」を「武道」に〕
1988〜90年、上答申をうけ、学習指導要領は戦後6度目の改訂。
    実施、小(92.4〜) 中(93.4〜) 、高校(94.4〜) 。
2002年、学習指導要領は戦後7度目の改訂。「総合的学習の時間」。学習内容の「精選」。

 







 

 <日本>
教科カリキュラム
・教科、教材、教師が中心
・準備された教材に従って教える(マニュアル化)
・全員が同じく反応し、一様な学習結果を得ることが目的
・教育とは学校で教授を受ける

学習観


←  →


 

 <米国>
 経験カリキュラム
・経験や活動、学習者が中心
・実際の学習場面に応じて教材を選択
・反応も学習結果も多様、個別になることが予想される
・教育とは連続的な成長の過程







 

 

 ディベート(略)

 

3、大学入試制度と高等学校以下の教育との関係についてシステム的構造。





 

<テスト>
   ↓
<通知簿>
   ↓    →<内申書>→『入試』
<指導要録>

 

 ディベート(略)

  ・なぜ、「内申書」が重視されるようになったのか?

  ・「内申書」はなにをみるためのものなのか?

  ・「内申書」や「入試」はどのような影響を生徒や教師・学校・親に及ぼしているのか?

  ・AO入試などの新方式は大丈夫か?

 

4、不登校、いじめ、学級崩壊などの教育問題に対する制度改革論的アプローチ。

 ディベート(略・資料とも略)

  ・「不登校」とひとくくりにして語っていいのか?

  ・「学校」はいらないのか? 「学校」はなんのためにあるのか?

  ・フリースクールをどうする?

  ・もし自分がその立場になったなら?

  ・苅谷剛彦の提言にあてはめてみよう・・・。誰が「そうなるのか」という考え方。

 

 

5、「教育制度」、「システム」という言葉(意味)について、どのように理解したか。

 

 ディベート(略)

  ・教育の「制度化」って、どのようなことか? 悪いの、良いの?

  ・「公共性」を求めていく立場とは?