<コラム>「サンボと他の格闘技(その7)」 2005年3月27日

 「レスリング」との接点を書き続ける。

 私が「サンボ」の技にめざめたのはロシアに行く前、高校生の時に「スーパーチャンピォン大会」というのが日本で開催されたのを観戦してのことだった。セルゲイ・ベログラゾフさんと富山先輩。両者とも世界選手権者にして五輪王者にもなった。そういう高レベルの組み合わせの試合が魅力のこの大会、何人かの王者同士の争いがあったが、私は2人の試合が強く印象に残った。

 富山さんは現在日本レスリングチーム監督だが、高校の大先輩でもあり、日大に出稽古に行った時には私達は面倒をよくみていただいた。「タックル」の速さ・うまさと、組み手がうまい素晴らしいレスラー。ところが、私は対戦相手のベログラゾフに魅せられた。試合は、ギリギリで富山さんが勝った。すばらしい動きとさばきで1ポイント差で勝った。人間ばなれしたスピードをもっていることはいつも見て知っていた。だが、相手のベログラゾフがすごい技術をみせてくれたのだ。「強さ」が感じられたといったほうが良いだろうか。フリースタイルで超スピードで動く富山さんをバッととらえたかと思うと、ガッと胸をあわせていきなり距離をつめながら、ダッとそのまま「カワズ掛けからの投げ」をきめたのだった。「スープレックス」のような大技で、同体になりながら一緒に跳んでいってビッグポイントを奪取。その後、なんとか逃れた先輩が勝利を得たが、私はこの「技」にひきつけられてしまった。

 「どこがサンボの話しなのか?」と感じられるかたもいるだろう。これが「サンボ」でも使われる技なのだ。もっというと、これはロシア製の、とくにサンボ独特の技術ともいわれるものなのである。「本当か? 相撲にもあるだろう?」・・・同じ足のかけかたはある。それは世界に「相撲」(バリバーについて既に書いた)があるのだから共通性はある。しかし同体になって、向き合いながら、跳んでいくようにきめるのはロシア製。米国ではラシアン・レッグ・スイープ等ともいわれている。

 正式には、ロシアでの名称は、“обвив”。これは「雪崩こみながら抜く」とイメージの言葉だ。まさにそのイメージ通りの技である。ちなみに обвитьは「編む、縄をなう」という意味なので、脚の巻き付けかたをしめしている。

 ロシアの独特の技術であるという証拠の1。プロレスラーのクリス・アダムスという選手がこれを使い、伝えているが、その名が「ロシアン・レッグ・スイープ」。別に彼はロシアキャラでもなんでもない。彼の兄は英国の有名な柔道家で1981年の世界選手権覇者。このアダムス選手は「回転腕十字固め」という寝技のテクニックが得意で、同年軽中量級王者の柏崎克彦さんらもそれを模範にしたという。この「回転十字」は実はソ連のサンビスト(ヤツケビッチ選手)がやっていることから学んだもので、柏崎氏らもこの技を「ヤツケビッチ」と呼んでいる。つまり、この兄アダムスは「サンボ」を研究したヨーロッパ柔道家であり、そこから弟へ技術や知識が伝わったと私は推測しているのだ。

 

 いよいよ本題に移りたい。この「かわず掛け」。ここから「日本」と「サンボ」が始まったといっても過言ではない。

1955(昭和30)年1月から2月までの間に、日本レスリングチームが「鉄のカーテン」の向こう側、(旧)ソ連に遠征に出かけたが、それが「サンボ」との出会いとなる。 

 (続)

 


 

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