<コラム>「サンボ戦士(サンビスト)の活躍!」

 連勝街道を走る柔術家ノゲイラを破りPRIDE王者となったエメリャーエンコ・ヒョードル(正式には「エメリヤネンコ・フョードル」と記すべきか)。彼の勝利インタビューで、「サンボ65周年を飾ることができた」や「サンボの技術は柔術に負けていない」というような言葉がありました。これは彼を支えるロシアチームの主要メンバーがサンビストであるということもありますし、またこれまで柔術の選手に(サンボ選手が)負けていたということもあって、この勝利への特別の想いというものもあったのでしょう。しかしマスコミは「むしろ柔道の技術ではないか」「サンボの技を出していない」と書くところもあります。これは認識が間違っています。
 「サンボ」では実は距離や位置−つまり「間合い」−なども重視します。相手の攻撃の効かない位置、あるいは自分が優位な位置というのをとるのが極意の一つだと思います。その意味では柔術もそもそも同じなのですが、ある「独特と思われる技術」しか使ってはいけないというのは「限定されたルール内で戦う」という「競技」においてでだけの話しです。そんなものは戦ったノゲイラ選手だって理解しているはずなのですが、周囲のマスコミはあまり実感できないのでしょうか。「最善の位置」から「最善の方法」で身を守る、そして勝つというのが、そもそも格闘技の理想でもあり、目的でもあるはずです。そして徒手格闘術としてつくられたサンボの本質もまさにそこにあります。もちろん「アキレス腱固め」「膝十字固め」などがオリジナルかのように表象として認められていることの裏返しでもあるのですが、それはあくまでも「一つ」の技(技の一部)にしかすぎないのです。もっといえば競技サンボの中の相手との攻勢の中で際立つテクニック(で、似通ったものと認識される柔道にはないもの)であって、「それが(サンボの)すべて」ではないのです。しかも力量の接近したもの同士の試合は柔道でもレスリングでも膠着するのは当たり前なのですが、どうもマスコミまでもが「わかりやすさ」の「シーン」によって価値観が固定されてしまっていると思います。質の高いアマチュアをたくさん取材する必要があるのではないでしょうか。もちろんノゲイラが関節技を中心に「ひきこみ」を重視して戦う選手だからというのもあるでしょうし、実際にすばらしい技術と感服します。しかしそれはノゲイラの「やりかた」であって、あれは彼にとって「安全」なのです。相手の打撃をころせる位置どりができるのです。その「位置どり」をふせいだという意味でヒョードルには技術も戦法もあった。・・・そう考えます。

正直にいってPRIDEで派手に決まるのは力量に差があるか、戦法が研究されていないかか、あるいはラッキーパンチなどではないでしょうか。自分の格闘技を生かすという意味で戦法を研究しているのは質の高いアマレス戦士たちや柔術家たちでした。サップも自分の力量を生かす戦法をしている。・・・あるいはK-1で興奮する名勝負もルールによってあのパワーで「なぐりあわねばならない」からというのが本質でしょう。おそらく、そういう本質をいつの間にか忘れて、「積極的な見えやすさがないとその独自性がない」と思いこんでしまうのか・・・。あるいは私の思い込み(思い違い)であることを祈りたいのですが「柔道」やむしろ「柔術」という新しいムーブメントを志向してしまっているのか(無自覚にでも)・・・。あらゆるバーリトゥードは結局は柔術のテクニックを知らないと勝てないともいわれます。しかし、あれは柔術だけのテクニックではなく、サンボも柔道もレスリングも共通するものです。もちろん柔術の世界が提唱者として広まったバーリトゥード・ムーブメントですが、サンボも柔道も、レスリングも、その中での自分の生かし方を認識するようになったから勝つようになったというだけです。その意味では柔術の技術を知るようになった。でも柔術の選手に柔術の技で追いかけて勝っているのではないのです(時間、質、量的に難しいでしょう)。もちろん切り方だけを研究したという意味ではない。むしろそんなのは「あたりまえ」の話しで、そういうあらゆる多角的状況の中での自分の技量の生かし方というのを「認識した」から勝つようになったのだと思います。
 つまり、これはおそらくヒョードルもパコージンもズーエフも、もちろんノゲイラも意識していることと思いますが、ある「競技」だけが唯一すごいのではない。そうではなく、その「競技(格闘技・武術)のよさをいかしていくことこそが本当に大切なことなのだ」ということです。彼らはそのように相手の技術も尊重して研究し、そのうえで自分の主要技術を信頼しているし誇りをもっているということなのです。
 私は思います。「サンボ」もすばらしい。しかし他のものよりすべてに関して優れていて、つまり他の競技が劣っているということはない。そうではなくて、「サンボ」をうまくつかっていくことこそが本質なのだと・・・。

 


 

 NPO法人 .P.サンボ振興会

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