日本教育史F(11月15日)
〜近代以降の教育の変遷から、「教育」制度・改革・論争を読みとる〜(その1)
今回から三回連続で「近代」以降の歴史をみていく。前回、明治維新期までの大きな流れを概説したが、私たちの現在の教育は「近代以降」に確立されたものと考えられる。したがって直接関係する前史として、この近代初期からの発展・変容をみていく必要がある。もう一つは「教育改革」についてである。現在は「第三の教育改革」と称される。その第一・第二の改革を学ぶことで、現在の教育をみる目を養っていこうとするのがこの授業の目的でもある。今日は「第一」の時期を対象とする。
★近代教育内容の変遷 ・・・「国際性」→「独自性」という周期的動き。「自由」と「管理」という反動。
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江戸時代(封建制国家・幕藩体制下の教育)
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1872年
(明治5)学制
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1879年
(明治12)教育令
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1880年
(明治13)教育令
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1890年
(明治23)小学校令
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1941年
(昭和16)国民学校令
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大正自由教育
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(武家・藩校)
儒教
武術
(庶民・寺子屋)
読
書
算
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綴字
習字
単語
会話
読本
修身
書牘
文法
算術
養生法
地学大意
理学大意
△体術
△唱歌
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読書
習字
算術
地理
歴史
修身
○罫画
○唱歌
○体操
○物理
○生理
○博物
○裁縫
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修身
読書
習字
算術
○地理
○歴史
○罫画
○唱歌
○体操
○物理
○生理
○博物
○裁縫
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修身
読書
作文
習字
算術
○体操
○日本
地理
○日本
歴史
○図画
○唱歌
○手工
○裁縫
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国民科
修身
国語
国史
地理
理数科
算術
理科
体錬科
体操
武道
芸能科
音楽
習字
図画
工作
裁縫
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1947年
(昭和22)学習指導要領
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1992年
(平成4)学習指導要領
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2002年
(平成14)学習指導要領
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国語
社会
算数
理科
音楽
図画工作
家庭
体育
自由研究
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国語
社会
算数
理科
生活
音楽
図画工作
家庭
体育
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国語
社会
算数
理科
総合的学習
生活
音楽
図画工作
家庭
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独自性
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国際性
(直訳)
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やや独自性(日本語)
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独自性(道徳重視)
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国家主義(天皇制)
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国際性
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国家主義(軍国)
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管理
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自由
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自由
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管理
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管理
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自由
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管理
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封建主義
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文明開化
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経済的問題
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自由民権運動
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教育勅語
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新教育
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世界大戦
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国際性(民主主義)
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ゆとり路線
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ゆとり強化
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自由
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占領下教育
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臨教審改革
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グローバル
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<図表の法則>左から右へと時系列的に並べてある。上から下に、時間割中に多く配分されたもの(教科)の順に配列している。△マークは当分は難しいがいずれ入れる予定のもの、〇マークは地域の実状等で入れられるなら入れるべきもの。
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上の図表にしるしたように、数回大きく改変されている。「変えられた」というのは必要とされたということでもある。少なくともそういう意見が大きいものとしてあった。あるいは強い立場からいわれたということであろう。(詳細は略する) 下の年表からはその狭間がみれるのではないか。
★明治期の近代学校制度の重要項目・略年表
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1868(慶応4) 年 維新政府、旧幕府の学問所を昌平学校と改称、開成学校の設置
(明治元)年 皇学所、漢学所の設置
1869 (明治2)年 小学校設立の奨励
1870 (明治3)年 「大学規則」「中小学規則」公布
1871 (明治4)年 文部省の設立(学校制度の監督、教科書類の編纂、教則の編成
1872 (明治5)年 「学制」の制定。事前に、師範学校設立、教員養成を開始
1877 (明治10)年 東京大学(官立大学)
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洋学導入
洋式学校設置
洋式学校制度を計画
外国の制度を模倣
〃 外国の内容を直訳
〃 大学の設置
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1879 (明治12)年 「教育令」公布(「学制」の廃止・自由教育令)
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経済的・条件の困窮、内容の簡易化
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1880 (明治13)年 「教育令」改正(改正教育令・第2次教育令・統制の強化)
1885 (明治18)年 「教育令」再改正(再改正教育令・第3次教育令・経済対策)
森有礼、初代文部大臣に就任
1886 (明治19)年 「帝国大学令」「小学校令」「中学校令」「師範学校令」公布
「教科用図書検定条例」(教科書検定制度)
1890 (明治23)年 「教育ニ関スル勅語」(教育勅語)発布
1893 (明治26)年 祝日・大祭日儀式規定(天皇写真、国歌等の問題)
1894 (明治27)年 「高等学校令」公布
1899 (明治32)年 「私立学校令」公布
1903 (明治36)年 国定教科書制度の成立
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洋風批判、統制を強化(修身を筆頭)
↓
内閣制度(帝国議会開設に備える)
教育内容の統制
天皇制国家体制の確立
国民統制の強化
学校制度の取り締まり強化
学校制度の取り締まり強化
教育内容の統制強化
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資料 意見には、特徴やねらい、あるいは反対する意図が明確にあらわされている。
★学制(明治五年八月三日文部省布達第十三号別冊) ★教学聖旨大旨(明治十二年)
第二百十四号
人々自ら其身を立て其産を治め其業を昌にして以て其生を遂るゆゑんのものは他なし身を脩め智を開き才芸を長ずるによるなり而て其身な脩め知を開き才芸を長ずるは学にあらざれば能はず是れ学校の設あるゆゑんにして日用常行言語書算を初め仕官農商百工技芸及び法律政治天文医療等に至る迄凡人の営むところの事学あらさるはなし人能く其才のあるところに応じ勉励して之に従事ししかして後初で生を治め産を興し業を昌にするを得ベしされば学問は身を立るの財本ともいふべきものにして人たるもの誰か学ばずして可ならんや夫の道路に迷ひ飢餓に陥り家を破り身を喪の徒の如きは畢竟不学よりしてかゝる過ちを生ずるなり従来学校の設ありてより年を歴ること久しといへども或は其道を得ざるよりして人其方向を誤り学問は士人以上の事とし農工商及婦女子に至っては之を度外におき学問の何者たるを辨ぜず又士人以上の稀に学ぶものも動もすれば国家の為にすと唱へ身を立るの基たるを知ずして或は詞章記誦の末に趨り空理虚談の途に陥り其論高尚に似たりといへども之を身に行ひ事に施すこと能ざるもの少からず是すなはち沿襲の習弊にして文明普ねからず才芸の長ぜずして貧乏破産喪家の徒多きゆゑんなり是故に人たるものは学ばずんばあるべからず之を学ぶに宜しく其旨を誤るべからず之に依て今般文部省に於て学制を定め追々教則をも改正し布告に及ぶべきにつき自今以後一般の人民華士族農工商及女子必ず邑に不学の戸なく家に不学の人なからしめん事を期す人の父兄たるもの宜しく此意を体認し其愛育の情を厚くし其子弟をして必ず学に従事せしめざるべからざるものなり高上の学に至ては其の人の材能に任すといえども幼童の子弟は男女の別なく小学に従事せしめざるものは其父兄の越度たるべき事
但従来沿襲の弊学問は士人以上の事とし国家の為にすと唱ふるを以て学費及其衣食の用に至る迄多く官に依頼し之を給するに非ざれば学ざる事と思ひ一生を自棄するもの少からず是皆惑へるの甚しきもの也自今以後此等の弊を改め一般の人民他事を抛ち自ら奮て必ず学に従事せしむべき様心得べき事
右之通被 仰出候条地方官ニ於テ辺隅小民ニ至ル迄不洩様便宜解釈ヲ加へ精細申諭文部省規則ニ随ヒ学問普及致候様方法ヲ設可施行事
明治五年壬申七月
太政官
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教学ノ要仁義忠孝ヲ明カニシテ智識才藝ヲ究メ以テ人道ヲ盡スハ我祖訓國典ノ大旨上下一般ノ教トスル所ナリ然ルニ輓近専ラ智識才藝ノミヲ尚トヒ文明開化ノ末ニ馳セ品行ヲ破り風俗ヲ傷フ者少ナカラス然ル所以ノ者ハ維新ノ始首トシテ陋習ヲ破り知識ヲ世界ニ廣ムルノ卓見ヲ以テ一時西洋ノ所長ヲ取り日新ノ效ヲ奏スト難トモ其流弊仁義忠孝ヲ後ニシ徒ニ洋風是競フニ於テハ將來ノ恐ルル所終ニ君臣父子ノ大義ヲ知ラサルニ至ランモ測ル可カラス是我邦教学ノ本意ニ非サル也故ニ自今以往祖宗ノ訓典ニ基ヅキ専ラ仁義忠孝ヲ明カニシ道徳ノ学ハ孔子ヲ主トシテ人々誠實品行ヲ尚トヒ然ル上各科ノ学ハ其才器ニ隨テ益々畏長シ道徳才藝本末全備シテ大中至正ノ赦学天下ニ布満セシメハ我邦獨立ノ精紳ニ於テ宇内ニ恥ルコト無カル可シ
小学條目二件
一 仁義忠孝ノ心ハ人皆之有り然トモ其幼少ノ始ニ其脳髄ニ感覚セシメテ培養スルニ非レハ他ノ物事已ニ耳ニ入り先入主トナル時ハ後奈何トモ爲ス可カラス故ニ當世小学校ニ給圖ノ設ケアルニ準シ古今ノ忠臣義士孝子節婦ノ畫像・寫眞ヲ掲ケ幼年生人校ノ始ニ先ツ此畫像ヲ示シ其行事ノ概略ヲ説諭シ忠孝ノ大義ヲ第一ニ脳髄ニ感覚セシメンコトヲ要ス然ル後ニ諸物ノ名状ヲ知ラシムレハ後來思孝ノ性ニ養成シ博物ノ挙ニ於テ本末ヲ誤ルコト無カルヘシ
一 去秋各縣ノ季校ヲ巡覧シ親シク生徒ノ藝業ヲ験スルニ或ハ農商ノ子弟ニシテ其説ク所多クハ高尚ノ空論ノミ甚キニ至テハ善ク洋語ヲ言フト雖トモ之ヲ邦語ニ譯スルコト能ハス此輩他日業卒り家ニ帰ルトモ再タヒ本業ニ就キ難ク又高尚ノ空論ニテハ官ト爲ルモ無用ナル可シ加之其博聞ニ誇り長上ヲ侮リ縣官ノ妨害トナルモノ少ナカラサルヘシ是皆教学ノ其道ヲ得サルノ弊害ナリ故ニ農商ニハ農商ノ学科ヲ設ケ高尚ニ馳セス實地ニ基ツキ他日学成ル時ハ其本業ニ帰リテ益々其業ヲ盛大ニスルノ教則アランコトヲ欲ス
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★教育ニ關スル勅語(明治二十三年十月三十日)
朕惟フニ我力皇祖皇宗國ヲ肇ムルコト宏遠ニ徳ヲ樹ツルコト深厚ナリ我力臣民克ク忠ニ克ク孝ニ億兆心ヲ一ニシテ世々厥ノ美ヲ済セルハ此レ我力國體ノ精華ニシテ教育ノ淵源亦實ニ此ニ存ス爾臣民父母ニ孝ニ兄弟ニ友ニ夫婦相和シ朋友相信シ恭倹己レヲ持シ博愛衆ニ及ホシ学ヲ修メ業ヲ習ヒ以テ智能ヲ啓發シ徳器ヲ成就シ進テ公益ヲ廣メ世務ヲ開キ常ニ國憲ヲ重シ國法ニ遵ヒ一旦緩急アレハ義勇公ニ奉シ以テ天壌無窮ノ皇運ヲ扶翼スヘシ是ノ如キハ獨り朕力忠良ノ臣民タルノミナラス又以テ爾祖先遺風ヲ顯彰スルニ足ラン
斯ノ道ハ實ニ我力皇祖皇宗ノ遺訓ニシテ子孫臣民ノ倶ニ遵守スヘキ所之ヲ古今ニ通シテ謬ラス之ヲ中外ニ施シテ悖ラス朕爾臣民ト倶ニ拳々服膺シテ咸其徳ヲ一ニセンコトヲ庶幾フ
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