「教育の方法・技術論」第12回 (2002年1月18日)
●前回の復習 |
◆教材・教育方法の可能性・・・プロジェクター、コンバーターをつかう
・教育教材の開発 例・htmlの可能性
・・・パソコンは借りられなかったが、書画機をもちこんでカラーの画像やテキスト、教材を投影してみせた。この200人の教室ではやりにくいが、しかし「教材」を提示しやすいし、それによってわかりやすさを加えることは可能である。(『教材提示装置』という名称であった)
くりかえしになるが簡単につくれる・・・
ホームページソフト、ワープロソフトから作成可能 |
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上の内容は講義では「板書」したものだが、それを作成して提示して、重ねたり、戻したりといった様々なみかたができる。数学の図形を学ぶときに様々な見方をしたり線をひいたりして「わかった」という意見(体験)があったが、この方式なら共通にその「加工」(変化)をみせることができるのである。そこからはじめて、さらにわかりやすく内容に入っていくという方法もありえる。
※「わかりやすさ」は、こうすれば「わかってくれるだろう」、この順序ならばという想いから?
今日、さいごにやる内容・・・「授業を評価する」、「教材づくり(つたえかた)」について・・・「わかってもらう」にはどうすればいいか→「どうすればわかるのか」を考えてみる。そういう構成・配分を構想する。
「教材づくり(つたえかた)」・・・どうやって、つくっていくか
@モデルをつくる(構成=コンテ)→「どうすればわかるか」という視点
A具体的な例:htmlでつくる
B展開・・・例:プロジェクターを使った授業
(例)社会科・・・「円高・円安」を教える
・・・下の図や順序で教えるとわかりやすいのではないか。
円高の変容グラフは掲載内容を一部略する。何がいいたいかといえば、右の普通のグラフのように0から遠くなるほど円が100円、70円となり、近いほど140円となっていくが「低いほど高い」という特長があることである。そこに「円安・円高」の特質が表れている。 |
普通のグラフ? |
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次の図示ならわかりやすさが増すか?
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それって、つまり100円を83セントってこと
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上の方法は次のような「文章」なりをつくって、それをさらにポイントごとに具現化していくという作業である。教科書やテキスト・参考書などでわかりにくいものを、まずわかりやすい言葉や文章におきかえていく。どうすれば「わかる」かを考えて構成していく。下の文章は「わかりやすさ」を少し意識してつくった文章である。
教える内容・・・現代社会・生活・経済と国際社会との関連について。
「円高・円安」ということばがつかわれるが、それはどのようなことなのか?
「円」というのは日本のお金の単位だということはわかりますね。その「円」の価値が「高い」か、「安い」のかということです。でもなぜ「高い」とか「安い」とかの違いがあるのでしょう。僕たちの意識としては「100円」は「100円」のままです。100円硬貨が明日から50円硬貨になったりはしない。でも、「物」の値段は変わりますね。値上がりや値下がりがある。100円で買えたものが120円の値段になったとき、「100円硬貨一枚では買えなくなる」。値上がりです。それは「物」の価値が値段的にもあがった(高くなった)ということです。・・・でも、100円硬貨は100円のままですね。まだ、よくわからないのではないでしょうか。 |
これでも「かなり」わかりやすくなったと思うが、これは初回の授業でいった三角形云々を口でいう、あるいは教科書を読むぐらいのレベルかもしれない。そこでもう一つ構成していって上のような置き換えなり実演なりがあれば、わかりやすさが増すと考えられる。
→→「構成」をしていくのは「変換」をしていくということである。それをさらに組み立てさせていって、相手の内部への再現なり定着なりがありえるし、その構造によって応用理解も可能となると考える。今回の内容は少し具体的であるが、実際に「教材研究」して授業を組み立てていくというのはこういう程度のところからはじめていって、丁寧さなり詳細さなり、あるいは機器使用なりを高めていけばいいのである。そして結局は「どうすればわかるのか」ということをあたりまえに考えていって、そこから組み立てていくということである。
最後に・・・試験の説明。考え(思考)を説明する記述で答えること。「わかりやすさ」を説くのだから採点者によく伝わるよう「どうすれば伝わるか」を意識して答案を書くこと。たんなる羅列の箇条書きは評価が低い。キーワードを覚えただけではなく、出た問題に対応して答えていくものを評価の対象とする。ただし補助として図示を加えてもいい。ノートのカタチを覚えた板書そのままのものではなく、自分なりの言葉・文面で論述をすること。
「授業評価」について記入(15分間)。人気投票になる嫌いがあるが、先週書いてもらった「いい授業をする教員」の個人名の公表は完璧にはしない。なぜなら1・2年生で学科もわかれているのだからかなり限定されるし、一つをいいというと他を駄目と枠づけするに等しいからである。しかし共通する「勉強になった」「わかりやすい」「熱意を感じる」教員もいるわけである。「悪さ」は書いてもらわなかった。いい面から共通点なりを探していこうということと、今回までのこの授業については厳しく無記名で評価していただけばいい。(略)