※当SSはRagnarokOnline(Gravity)とKanon(Key)をモチーフとした二次創作フィクションです。
 Ragnarok中にいるKanonキャラ名を使用している人とは無関係です。
 ROプレイヤーで耳打ちなどしないようにしてください。
 また、日本サーバーの設置などの情報はありません。悪しからず。

 

 RO×Kanon      Case 1  〜Let's Ragnarok!〜

 

 とある日、秋子さんが一枚の広告のような紙を見せながら言った。
「祐一さん、ラグナロクオンラインってゲームをご存知ですか?」
「えっと、ネットゲーム、でしたっけ?」
「ええ、そうです。現在オープンベータ版で、テスターを募集してます」
「無料でできるとかなんとか……、北川がやってるとか言ってたっけ?」
「あら、北川さんはもうテスター(※1)なのかしら?」
「テスターっていうのがよくわかりませんが、多分そうです」
「あらあら」
 といったやり取りがあったのが昨日。

 

 で、昼休み。
 知り合い総揃いでランチを取っている時、俺は秋子さんから受け取った広告紙(のように見える)を出して話を切り出した。
「秋子さんがさ、ラグナロクってゲームのテストプレイヤーを募集してるんだって」
「へぇ、秋子さんが?」
 真っ先に反応を返したのが北川。ラグナロクを知っているからだろう。他の面々は紙に書いてあるゲームの説明を読んでいる。
「ああ。何か、秋子さんが勤めてる会社にゲームサーバーが置かれるらしくて、そのテスト要員とか」
 そう言うと、いきなり北川は大声で、
「何! ついに日本サーバー設置かぁ!!」
 と、感極まったように叫んだ。
「北川君、うるさいわよ」
 ひょい、と顔を上げて香里が一言。言われて縮こまって「すまん」と北川。
 俺は北川の言った内容はいまいち理解できない。昨日、秋子さんから、
「今までゲームサーバーは韓国に在ったんですよ。3月に日本〜韓国間回線が増強したといってもやはり理想は国内にサーバーがあることですから。それでうちの会社の方にサーバーが置かれることになったんです」(※2
 と聞かされていたが、結構重大問題らしい。
「……面白そう」
「面白そうですね〜」
 と、舞と佐祐理さんが読み終え、顔を上げた。
「キャラが可愛いね」
「そうだね〜」
 と、あゆ、名雪。
「お姉ちゃん、やってみよう?」
「あたしはどっちでも……」
 美坂姉妹。
「美汐〜、やってみたいー」
「はい」
 真琴、天野。
「俺は既にテスターだしな」
 最後に北川。
「全員了解ってわけだな」

 その日、放課後そのまま全員で水瀬家に突入すると、
「既に準備はできてますよ」
 と秋子さんが、手を頬に当てるいつものポーズで待っていた。
 ……いや、だからって人数分のパソコンと各家に高速回線を準備するってのは不可能だと思います、秋子さん。

 

※1 テスター=テストプレイヤーとも言う。ベータ版なのでプレイヤーをこう言う。

※2 2月末まで日本〜韓国間の直接回線は無く、別の国(米国か英国らしい)を経由してゲームサーバーに接続されていた。3月始めに直通回線が開通し、さらに回線速度が10倍に増やされ、ラグが激減した。

 

 翌日、全員で時刻を合わせてプレイ開始するということで、俺は自室でパソコンの前に座った。
 用意されたパソコンの電源を入れる。
 秋子さんが用意してくれたものは、パソコン、回線(プロバイダ含)、ラグナロクのアカウントで、それと併せてパンフレットのような説明書がついてきた。
 説明書にあるPCのパスワードを入れて、起動。
「えーっと、まずは……」
 オンラインにして、メッセンジャー(※3)の起動。
 メッセンジャーはいざという時の連絡用で、こういうのがあると便利だ。
 一般にはMSNメッセが有名だな。IRCチャットを利用している人もいる。
 オンラインになると、既に秋子さんを含む他の12人の名前(NayukiとかMaiとか)がリストインされていた。同じように同時刻に繋げ始めた人がちらほらとオンライン表示に変わっていく。
 全員がオンライン表示になると、チャットの誘いメッセージが出てきた。
 素直に入室する。メンバー全員が誘われていて、次々と入ってくる。
 全員が入ったところで、秋子さん(といっても表示はAkiko)が発言しはじめた。
「全員オンラインになりましたね。それでは今からプレイ開始していただきますが、その前に説明書にかかれている注意点をちゃんと守ってください」
「簡単に言うと、ノンマナー行為は控えてください、ということです」
「それぞれのPCにはお気に入りにRO関係のHPが入っています。情報系も多数入っているので、気になる人はチェックして下さい。かなり詳しい所もありますから」(※4
「chaos(ケイオス)、loki(ロキ)、iris(アイリス)のサーバーの選択は自由です」(※5
「何かありましたら、このメッセンジャー機能を使って教えてください」
「以上です。それではみなさん頑張って下さいね」
 それっきり、反応がなくなる。
 うし、始めるか。

 

※3 ICQやAIM、MSNメッセンジャーと同じもの。友達のオンライン状況を知ったり、対話できたりする。

※4 初心者用に始め方の紹介や、パッチ・モンスター情報など、活用すると非常に便利。

※5 chaosは最初からあるサーバー。もっとも人が多い。lokiは二番目、irisは三番目。それぞれ人の平均Lvやレアアイテムの物価が違う。
(例:柔らかい毛→chaos1000z、loki、iris300〜500zなど)

 

 デスクトップにあるRagnarokのアイコンをダブルクリックすると、最初にパッチクライアントというものが作動し、すぐにNOTICE(お知らせ)が開かれた。
「OKっと」
 そして、RO本体(クライアントというらしい)のウィンドウが開かれ「ラグナロク公開βテスト」という表示がでた。BGMも鳴り始めた。
 「同意しますか?」というメッセージにOK。
 タイトルが表示され、IDとパスワードの入力画面になる。
「IDとパスは、っと……」
 渡された説明書にあるIDとパスワードを入力。
 chaos、loki、iris、と出てきた。これがサーバー選択というやつなのだろう。
「んー……」
 面倒なので、一番上のchaosを選択。
 キャラクター選択画面へ。と言っても、初プレイなのでどのキャラも居ないが。
(スロットが三つあるってことは、三キャラまで作れるのか)
 サーバーごとにキャラが分かれているから、3かける3で9キャラまでだな。
 早速キャラ作り。名前と髪型とステータス割り振りか。
「んー……」
 STR、力ステータスをちょっと上げてそのまま。
 適当だが、まあいいか。
「さて、スタートー」

 

※当SSは3月10〜20日あたりの状況で書いていますが、時折現在(5月末)と混ざったりします。
 初心者修練場に入らなかったことだけは理解してください。

 

「……ここはどこだ?」
「あ、祐一ー」
「お、名雪か?」
「うん、そうだよ」
「とりあえず、人が少ない所に行こう」
「うん、わかったよ〜」
 チャットや露店らしきウィンドウが乱立している中、俺と名雪は東側に逃げるように移動した。

 祐一と名雪は首都、プロンテラに誕生。

 

「なんだか、東洋的なBGMですね」
「そうね」
「お姉ちゃんと一緒かぁ、よかった〜。一人じゃなくて」
「私も居ますよ」
「あ、天野さん」
「こんなに人がいる場所じゃ邪魔みたいだから、移動しましょう。行くわよ、栞」
「待ってくださいー」
「南に橋があります。そちらに向かいましょう」

 美坂姉妹、天野美汐は、フェイヨンに誕生。

 

「街の形が八角形だね、舞」
 ……。
「舞ー、PCの前で頷いてもわからないー」
「そうだった」
「あははーっ」
「皆、塔に入っていく……」
「ダンジョンらしいね。佐祐理たちじゃ、まだ無理だね」
「こくり」
「じゃ、転職までレベルをあげよっか」
「はちみつクマさん」

 舞&佐祐理は、魔法都市、ゲッフェンに誕生。

 

「うぐぅ、ここどこ〜?」
 ビバビバ♪
「お、あゆちゃんかい?」
「北川君?」
「ああ。皆に合わせて、完全に新キャラスタートしたんだ」
「へぇ〜。そっか、北川君経験者だもんね」
「おう、いろいろ知ってるぜ」
「心強いよっ、北川君」
 ビバビバ♪

 北川、あゆ、港町、アルベルタに誕生。

 

「あぅーっ、なんで真琴一人なのよぉ〜!」
「あぅー、人ごみが凄いしー」
「あぅ、音楽が寂れてるー」
「……」
「あぅーっ(涙)」

 真琴は、砂漠の街、モロコに誕生。

 


 あとがきチックにいろいろと

 氷水さんがKanonとROのクロスオーバーを書いてて面白そうだったので、なんとなく書き始めてみました。
 ただし、こちらはほぼ完全にフィクションですが。

 ROを知らない人は読むのが辛いところが多いでしょうが、ある程度、やってない人にもわかるように書きたいです。
(その辺を考えて、Kanonキャラは初プレイという形をとってます)

 あと、最後の方で、キャラ同士が合流していますが(一人例外)、キャラ名をわかりやすい名前にしているためです。
(漢字とか2バイト文字は使えません)
 名前知らなかったらほんとは合流できないくらい人多いんですけどね。

 ちなみに、髪型ですが。

 祐一赤髪 北川金髪 名雪青髪ロング あゆピンク髪 真琴金髪ショート
 舞青髪ロング 栞緑髪 香里黒髪 佐祐理金髪ロング 美汐青髪セミロング

 と、なっています。全員初期職業の「Novice(ノービス=初心者)」。
 転職後のSSも貼り付けたいと思います。お楽しみにー(何)。