無尽蔵 骨 犠牲
「『無限食い』と呼ばれる魔物がいた。それは人であろうと犬であろうと動物なら何でも、そして無尽蔵に食い尽くしていくモノだった。ソレに襲われた村で残るのは骨だけだと、人々は恐れを込めて囁いた。やがて無限食いはとある神官の手によって封印された。結界に閉ざされたソレは食べ物を要求した。人々は結界があるのでソレを侮っていた。そして空腹が限界になったとき、それは結界を破ったのだ。無限食いの力は人の手には抑えられないものだった。再度封印を施された無限食いに、人々はソレの空腹を抑えるために人間を差し出した。無限食いが、そう要求したのだった。それはとある村で何十年にも渡り続いた。一年に一度、一人の犠牲。それで世界の平和が守られていた」

逃亡 正義 過去
「彼は逃げる、彼の正義のために。彼は追われる、正義のために。過去の因縁と現在の敵、全てがあやふやで、それでいて憎しみだけは確かで。彼は逃げることしか出来なかった」

橋 戦争 死神
「この橋を通せば戦争に負ける。兵士たちはその事実に確かな危機感を感じていた。巨大な橋の前と上で隊形をとる兵士たち。指示を飛ばす指揮官も、指示に従う兵士たちも真剣であった。彼らは故郷の家族を想い、未来を想っていた。―――しかし、そこに死神が訪れた。何千という兵が死に、何万もの兵が傷つき、橋の守りは破られた。故郷へ踏み込んでいく敵軍。焼ける街。落ちる橋。大勢の兵を一人で屠った死神は怪しくワラう」

仕返し 濡れ衣 チョコレート
「不幸の手紙を入れられた仕返しに彼女は偽物のラブレターとチョコレートを用意した。バレンタインの日の放課後、靴箱に入っていたそれに驚く彼。しかし不幸の手紙を送ったのは彼ではなかった。濡れ衣から始まる二人のラブコメディ!? 雷撃ゲーム大賞 鉄賞受賞作品『カフェイン&ミルク』」

蟹 一人二役 問答
「「ねえねえ、なんで蟹って横にしか歩けないのかな? 横にしか歩けなかったら大変だよね? そうでもない? ああ、波がきたよ波がー。落ち着きなさいって、蟹は海の生き物でしょ。そうだけどね、ほら、やっぱり危ないよー。蟹さん流されてるー。蟹なんてほうっておきなさいって。そろそろ帰らないとお母さん怒るよ? でももうちょっとー・・・って、あれ? つなみだー」夕暮れの浜辺で一人遊ぶ少女を津波が襲った。ところが少女が目が覚めた所は竜宮城で・・・? 雷撃ゲーム大賞 小説部門最終選考作品『ミラージュ・シー』」

救助 誕生 初心者
「一人の冒険初心者が、森の中で一人の赤ん坊を見つけた。彼はその赤ん坊を救助する。実はその赤ん坊は魔王が誕生したばかりの姿であった。冒険家はその赤子と一緒に旅をするのだが・・・? 赤ちゃん魔王の強力な魔力に振り回されまくる初心者(ノービス)冒険家の旅路はいかにっ!? 雷撃ゲーム大賞 佳作作品『ベビーサタン』」

殉死 狂信 死体
「一人の男が死んだ。その死体には血化粧、刺青、そして刃物で切り裂き模様を傷で描かれていた。誰が、何が犯人なのか―――そんなことは決まっている。最近になって凄絶な事件を連続して起こし有名になった狂信者の集団。男はそのメンバーだった。仲間割れか、儀式かと世間は騒ぐ。そのどちらも正解であった。彼は集団を離反しようとし殺された。ただ殺されただけに収まらず、彼は儀式に利用されたのだ。殉死した死体が再び動き出した時、悪魔が目覚めた―― 雷撃ゲーム大賞 小説部門『悪魔の空(デモンズスカイ)』」

太陽 首 悪
「太陽の国の首長は、良くも悪くも長く国を治めていた。人々は多少の貧富の差がありつつも日々精一杯に暮らしていた。だが、その国に盗賊が現れるようになった。首長はすぐさに盗賊討伐に乗り出したが、討伐隊は行方不明になった。第二弾を派遣した。次は死体となって帰って来た。首長は盗賊に恐れをなした。いくらかの財宝を与えることで被害を抑えるという苦肉の策を出し、しばらくは平和な日々が続いた。しかしそこに「悪党」を名乗る男が現れて……」

書物 頭 人違い
「読書ばっかりしている頭でっかちの少年アキラ。彼は見知らぬ美女に声をかけられた。「王子! 生きておられたのですね!!」唐突の展開に戸惑うアキラを抱きしめる美女。人違いからトンデモナイことに巻き込まれてしまったアキラ。そしてアキラそっくりの王子とは・・・? 雷撃ゲーム大賞 小説部門最終選考候補『だみーぷりんす』」

狂信 蛇 ロボット
「輪廻転生の象徴するものとして蛇を掲げる狂信者の集団が、現代科学のロボットを魂無きものとして排除するべく活動を始めた。その活動はロボットたちに思わぬ影響を与えた。人間対ロボット、人間対人間、三つ巴の戦いが終わるとき、そこになにがあるのか…… 雷撃ゲーム大賞 小説部門最終候補『スクラップ リング』」

花 片腕 死神
「戦場で死神のあだ名で恐れられた男は、戦争が終わったあと町に戻ってきた。戦いで片腕を無くし、もう片方の腕に花束を持って、彼は彼がまだ少年だった頃約束した少女に会いに来た。そして街に着き、一歩踏み入れる、そして―――響く銃声。戦場で死神だった男は、平和な街に嫌われた」