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20071112月帝国劇場での「モーツァルト!」再々演。
地方公演がなかったため、東京へ3度遠征しての観劇でした。
ブログにアップしていた毎回の観劇レポを、まとめてみました。

11/2425 @帝国劇場


  2年ぶりの「モーツァルト!」怒涛の3連続観劇遠征に行ってまいりました。12日での移動も合わせると、もうオシリが真っ平らになっちゃったんじゃないか、というくらい、帰りの新幹線ではオシリが痛くなりましたよ・・・(^_^;)

ヴォルフは、24日マチネ井上
24日ソワレ中川25日マチネ井上
井上ヴォルフのチケットは、3列めと4列めで、2回とも超良席!
中川ヴォルフのチケットは2階、しかも往きの新幹線が寒くて、風邪で頭痛発症しての観劇だったので、ちょっと眠気に襲われ気味。なので、中川ヴォルフバージョンのことは、あまり書けませんので、あしからず・・・。(しかーし、一晩寝たら元気になって、25日マチネは元気に観劇。あぁ、あっきーとは縁がないのか・・・それとも私の気合が違うのか・・・)

いや、もう、MOZART!の幕が上がると同時の、ドクトル・メスマー(大谷美智浩)の「ヴォルフガング・アマデウス・モーーツァルト!」の声を聴いただけで、気分が盛り上がっちまいましたよ。うあー、変わってない〜、みんないる〜、って感じで。(正確には、多少役者さんは変わってるんだけどね。)M!は、主要なプリンシパル、ヴォルフ(井上芳雄・中川晃教)、パパ(市村正親)、ナンネール(高橋由美子)、コロレド(山口祐一郎)、セシリア(阿知波悟美)、シカネーダー(吉野圭吾)が初演から続投。アンサンブルさんも、例えば、「モナミー」のコンスタンツェパパ(松澤重雄)、「サツを呼べ!」のトーアヴァルト(砂川直人)、パパの物真似のKENTAROさん、「支配者よ死ね!」の小原和彦さん、「インドカレ〜」の碓氷マキさん、他にも武内耕さん、中山昇さん、河合篤子さん、ゾフィの徳垣友子さん、ベルヒトルトの森田浩平さんあたりが続投で、もう出てこられるたび、うれしくなってしまう。もうオタクですよ、オタク。M!オタク。

さて、愛しのヴォルフくん。今年の井上ヴォルフガングは、肩の力が抜けて、スコンと天然くんが、そこにいる感じ。無茶にはしゃいだりしないぶん、アホっぽさは控えめだけど、ほんとに自然に存在している。台詞はほんとに上手くなって、ミュージカルの台詞ぽさは全くなし。言おうとしてる感がなく、自然に心から出る言葉。母の死の後の『残酷な人生』は、前回再演時は、なかなか納得できなかったんだけど、今回は最初から納得。歌詞の解釈とかが深くなったのかなぁ。1幕最初の無邪気さから、1幕後半に向けて少しずつ大人になるヴォルフを自然に表現。上手くなったなぁ・・・。シカネーダーとの『チョッピリ・オツムに〜』は、ダンス変わった?楽しい〜。吉野シカネーダーと井上ヴォルフのダンスは、華やかー。『影を逃れて』は、手の動きなど一切排除しての歌での表現。初回は、む、物足らないかなという思いが、ちょっと頭をかすめたが、2日目には歌だけでここまで表現できるんだーと驚き。慣れたのか、はたまた、その日の感情の入り方か。
2
幕『何故愛せないの?』は、歌詞に合わせての強弱や声を震わせたりと、芝居歌の真骨頂。すごくいい。「これからは自分の道、歩むんだ、ひとりで」と強く言いながら、「でも教えてほしい、なぜ愛せないの?このままの僕を」と涙声で言う。大人と子供の間で揺れ動く心、捨てきれない愛への渇望。後半からの、壊れかけヴォルフは相変わらずいい。ウェーバー家が無心に来るあたりから、不安と孤独に襲われる感じ。コンスタンツェを取られないように後ろから抱き締めながら、彼女の後ろに隠れてる。ナンネールに父の死でなじられての『父への悔悟』、すごくいい。混乱では、今期のキーワードは「悪魔」ですか?てなくらい、「お前は悪魔だ!悪魔!悪魔!」と繰り返してましたな。ぶち切れっぷりもいいです。特に今回のヴォルフで気に入ったのは、最後の場面。「僕は死んで・・・おまえも死ぬ」ってところが、なんだろ?すごくいいの。はじめてアマデと対等に真正面から会話した感じが。で、アマデも納得して、白い羽根ペン差し出すんだね。ずっとこの演出だったのに、その関係性が今回クリアに見えた。で、最後の『僕こそ音楽』を、優しく優しく綺麗に大事に歌うんだよね。そりゃあもう、天上の音楽みたいに。これはもう半分この世の人じゃないよ、って思えた。人が死ぬ前って、こんなに安らかなのか、って思える歌声でした。

とりあえず、今期井上ヴォルフについて、とりとめなく書きました。また、もうちょっと丁寧に思い出して書きます。他のひとのことも、いろいろあるんだけど、長くなるので。

あ、ひとつだけ、中川ヴォルフ。『モーツァルト!モーツァルト!』の最初、ピアノに突っ伏して、ピアノを大事そうになでてるのが、印象的でした。

 

「モーツァルト!」一家


  長くなるから後日といいながら、1週間もたってしまったー。次の遠征が目の前なので、ちょっと慌てております(^_^;) また、とりとめもなく、感想など・・・。

 

市村正親パパは、年取りましたねー。いや、ご本人が老け込んだかどうかはわからないけど、2幕からのレオポルト・パパは、ずいぶん老け込んだ。2幕で、コロレドに会いに行く場面から、ヴォルフと決裂する場面。もうすっかり老人ですね。この人、それなりにアホな息子がかわいかったんだろうけど、息子が天才だったばっかりに、自分の作品のように思っちゃったんだろうなぁ。どんなアホ息子であろうと、音楽の才能ではなく、ヴォルフ自身を抱き締めてあげてほしかったよぉー・・・。

 

高橋ナンネールは、老けませんな。こりゃあもう、ビックリなくらい。未だ少女の場面に違和感がないなんて、恐るべし高橋由美子。最初がアマデと一緒にもてはやされて幸せそうなだけに、天才な弟の犠牲になって、どんどん沈んでいくナンネールが悲しい。父の死をヴォルフに知らせに来る場面で、きっついな〜って思うんだけど、当たってしまうナンネールの気持ちもわかる。

 

井上芳雄ヴォルフの家族への愛は、相変わらず強いです。ずっとパパ大好き。今公演では、『星から降る金』の後の場面がいい。男爵夫人の後を追ってウィーンへ行こうと引っ張るアマデを、押しとどめて、パパとナンネールの願いを聞き入れる演技。ここは前回より、ヴォルフの感情が細かく出てる。ウィーンへ行きたい、でも・・・って気持ちの迷い、そして、アマデの手をほどいて、アマデを両手でなだめるようにする。う〜ん、細かい。

2幕、パパが亡くなった後の『父への悔悟』もいい。再演のときより深くなった。歌の後半、後ずさって、ベッドに足を上げて嘆く仕草もいい。親を亡くしたときって、ほんとにずいぶん過去にぶつかったことまで思い出して、あのとき言う通りにしてれば違ったかもとか、思うもんなのよ。うん、ちょっと自分のことまで思い出したよ。

 

今回の再々演では、井上ヴォルフは、自立して大人になろうとしているヴォルフの心情も、はっきり表現している。混乱〜『星から降る金(リプライズ)』後に、「おとなになった男は、自分の足で歩かなければならない。」のヴォルフのつぶやきに、強い決心を感じさせる。1幕から2幕まで、ヴォルフの変化がよりクリアになってきた。

 

また長くなるので、このへんで・・・

 

ふたりのヴォルフガング


次の遠征前の追い込みで、続きレポ。

せっかく同日にマチソワしたので、井上芳雄ヴォルフと中川晃教ヴォルフの違いで気づいた部分を書こうかなと。とはいえ、席の良し悪しが全然違ったし、私は完璧に井上ヴォルフヲタ。どーしても井上ヴォルフヲタ発言をしてしまうかも。

M!ヲタでもあるので、中川ヴォルフも観たいけれど、今回は毎回新幹線を使っての遠征なので、あっきーを複数回観るまでには手が回らないのさ。(でもでも、あっきー出演の「OUR HOUSE」も「TOMMY」も「エレンディラ」も観てるんだよねー。あれ?意外と私、あっきーを好きなのかも・・・(o)

 

最初に登場する『赤いコート』の最初、ヴォルフガングの「♪ウォ〜、ナンネ〜ル」に驚くナンネール(高橋由美子)の反応が、井上ヴォルフと中川ヴォルフで違う。中川ヴォルフには、ほんとに驚いたふうなナンネール、井上ヴォルフには、“(もうっ、わかってるんだからっ♪)だぁれ?”って、微笑みながら言う。井上ヴォルフのほうが子供っぽいからかな?私が観た井上ヴォルフ版2回とも、ナンネールはこの反応だったんだけど、さて、定番なのか?それとも、その日によるのか?なんとなく、他の場面でもナンネールの反応から見て、井上ヴォルフのほうが甘えっ子らしく、ふにゃふにゃして手がかかるっぽいんだよね。中川ヴォルフのほうが、やんちゃでもシッカリしてる。

 

居酒屋の場面。自分のことをバカにした物真似をされ、「こンのやろぉぉ〜!」と、つかみかかるヴォルフガング。井上ヴォルフは背がデカイので、ふたりに抱えられても、脇のところでなんだけど、中川ヴォルフはちっこいので、頭の上に持ち上げられてた。中川ヴォルフがかわいく見えてしまったー。

その騒ぎを遮って現れたシカネーダー(吉野圭吾)。井上ヴォルフは、みんなにからかわれてクサクサした気分のままいるところへ、シカネーダーの「芝居の好きな人はいるかな?」と言う声を聞いて、ハッとして、「はい!」って手を上げる。これが私の中で定番だったんだけど、中川ヴォルフは、喧嘩から解放された後、プンプンと上手へ入っていく。そこへ「芝居の好きな人いるかな?」で、「はいっ!」って手を上げながら、また出てくる。一瞬“あっきー、どこ行くねーん”て思った。再演でも、こうだったかなー??

 

2幕。ウェーバー一家がヴォルフに借金の手紙を書かせようとする場面。「♪嘘をつくのは嫌だ。利用されるのも。もうしない、やりたくないことは。」とヴォルフが強く断ったあと、コンスタンツェを連れ帰ろうとするセシリアから、「だめだ!」とコンスタンツェを取り返す。その後が違う。中川ヴォルフはコンスタンツェの前に立ちはだかって守ろうとするんだけど、井上ヴォルフは後ろからコンスタンツェを抱き締め、顔を背け、お母さんの後ろに隠れる子供のよう。ウェーバー家に、「♪こいつはおかしい、頭が」「♪アル中」と言われるのも納得な変な様子の井上ヴォルフが、たまりません。

 

魔笛作曲小屋の場面。温泉帰りのコンスタンツェに、キス現場を見つかり、コンスタンツェ爆発。「帰ってくれ!」と言った後のヴォルフが違う。コンスタンツェが泣きながら、「♪いつまでも才能より愛される妻にはなれない。」「♪あのままのあんたを愛していたかった」と歌っている間も、中川ヴォルフは、コンスタンツェの言葉も耳に入らない感じで、楽譜に向かってペンを走らせていて、コンスタンツェが出て行った後に、ハッと顔を上げる。中川ヴォルフは、もう圧倒的に音楽がコンスタンツェに圧勝してる感じ。井上ヴォルフは、コンスタンツェが泣き歌いしてる間、ずっと背を向け、その言葉を聞いているんだよね。コンスタンツェの気持ちに応えられず、傷つけているのも分かっているって感じで。心のどこかで、コンスタンツェとの人間的な幸せも求めていた井上ヴォルフが、やっぱり私は好きなんだなぁ。

余談ですが、今期の井上ヴォルフは「帰ってくれ!」がめちゃ激しい。コンスタンツェがウザイほどキンキン言うからでしょーか?あ、今期は、ちょっと大人ヴォルフだからかな?

 

今すぐに思いつく違いだけを並べてみた。もっとありそうだし、思い出せそうなんだけど。

井上ヴォルフと中川ヴォルフは、ビジュアルも素のキャラも全く違うし、作り上げてきたヴォルフガングも全く違う。それも「モーツァルト!」の面白いところなんだな。

 

「モーツァルト!」追加でもろもろ


 今日、本屋さんをウロウロしていたら、『Look at Star』と『Top Stage』が置いてあり、パラパラ見ていたら、Wヴォルフガングのインタビューが載っていたので、両誌とも買ってしまった。いつもは、あまり雑誌を買わないようにしてるんだけど(つまり立ち読み!)、『モーツァルト!』関連の記事があると、つい買っちゃう。で、井上芳雄くんのインタビューを読んでいたら、「以前よりもずっと愛が欲しいとヴォルフガングとして思う」とか、「今回はコンスタンツェやお父さんにいっぱい甘えて頼って、けど最終的には天才としてひとりで」というようなことを話していた。うんうん!今公演のヴォルフは、ほんとに甘えっ子だし、後半は自立しようとする意思も感じられながら愛も欲しがってるので、井上くんが話してるとおりのヴォルフガングが表現されてるなぁと感心。

 

明日、遠征なので、前回思ったことなど、追い込みで。

 

昨日書いていた、Wヴォルフガングの違い、追加。

今公演からの演出で、『フィガロの結婚』成功をコンスタンツェとお祝いする場面。燭台の3本のロウソクをヴォルフガングが消すところ。井上ヴォルフは一息でフゥ〜ッと優しく消すんだけど、中川ヴォルフは1本、2本と消して、最後に残った火をコンスタンツェに消させる。どっちもいいな〜と思ったよ。

 

『チョッピリ・オツムに〜』の途中、ヴォルフガングが女の子とふたりで上手へ走り去る場面では、中川ヴォルフは今までどおり、ふたりで肩組んで走り去るけど、井上ヴォルフは、女の子を肩の上に乗せ、連れさる感じ。勝手なご陽気ヴォルフっぽくて、面白い。

 

井上ヴォルフのお遊びは、ちょこちょこ他にもあって、『赤いコート』の中で、ナンネールの膝の上に座ってみたり、『このままのあなた』で、胴切りマジックの箱の穴に手を突っ込んで抜けない真似をしてみたり、もろもろ。重い話なぶん、楽しい場面では、しっかり幸せな頃のおバカヴォルフを見せてほしいので、こういうお遊びは大好き。だから、『チョッピリ・オツムに〜』はもちろん、『赤いコート』『並みの男じゃない』や『友だち甲斐』なんかも、すごく好き。

 

そういや今公演のシカネーダー(吉野圭吾)は、「私が誰だかご存知か?」と言いながら、腰を振ったりもする。そんな楽しいシカネーダーが、『モーツァルト!モーツァルト!』で、ものすごい恐い表情で、ヴォルフを見下ろして歌ってる。25日マチネが上手前方席だったので、シカネーダーが丁度、ヴォルフの後方上部に見えて、ふたりから目が離せなかった。曲の最後の瞬間のシカネーダーの表情なんて、もう・・・涙ものに恐かったよぉ・・・。友達ではあっても、ヴォルフの才能を利用する気持ちもあったのかなぁ。「もっと書けぇ!」って気持ちだったのかなぁ。

 

hiroコンスタンツェは、・・・ちょっとしんどかったかなぁ。喉の調子が悪いのか、ああいう発声なのか、台詞も歌も声を出すのが搾り出す感じ。もうちょっとスコンと声が出てくれるといいのになぁ。お芝居は、まぁ初舞台らしく慣れてない感じがありありだし、両ヴォルフも上手くなっちゃったし、ちょっと周りと差があって、つらいだろうなぁ、と。

 

コロ様は、相変わらず髪を振り乱してもだえながら、おトイレを我慢してらっしゃいます。「もうダメだ・・・」などと、つぶやいたり。山口祐一郎さんは、他に『レミゼ』と『マリーアントワネット』でも観たけど、コロレド役がいちばん好き。いちばん合ってると思うんだな。

アルコ伯爵(武岡淳一)は、歌はアレでも花王おさむさんのお間抜けアルコが好きだったので、ちょっとさみしいかな。武岡アルコは、ちょい若くて、意地悪役人風アルコなんだよね。

 

余談ですが、今公演パンフに載っているウィーンコンサート版の写真、ヴォルフガングをやっているのが、Rasmus Borkowski。ウィーン版『ロミオとジュリエット』で、マキューシオ役だった人。懐かしく写真を見ました。

しかし、その下のミュンヘンコンサート版の写真!右下の写真が、ヴォルフとアマデ?!このヴォルフ、ちょっとメタボってませんか(泣)?コンサート版とはいえ、二重アゴヴォルフなんて、ビジュアル的にありえなーい(泣)・・・

 

124日マチネ @帝国劇場


  昨年の同じ日、ウィーンにいた。夜中のシュテファン寺院での『レクイエム』コンサートを聴くためだった。ヴォルフガング・モーツァルトが亡くなったのは、1791125日午前055分。今はデパートが建っている場所にあったアパートの一室でだった。124日は、ヴォルフガングが最後に生きていた日。その同じ日を、『モーツァルト!』の舞台で、思いっきり人生を駆け抜けるヴォルフガングとともに過ごしたかったので、この日のチケットを取った。

ラッキーなことに、今期いちばんの良席。ヴォルフガングは井上芳雄。アマデは、野本ほたるちゃん。

 

『人は忘れる』  男爵夫人(香寿たつき)の歌声にのって、ピアノを弾きながら現れるヴォルフガング(井上芳雄)の姿が好き。ヴォルフが愛すべき青年であることを感じる、すっごく好きな場面。

『赤いコート』  ヴォルフの「うぉ〜、ナンネ〜ル」で、ナンネール(高橋由美子)が普通に「だれっ?」と驚いていた。今期の井上ヴォルフに対するナンネールは、ヴォルフとわかってて聞いてあげるって感じだったので、ちょっと意外。日によって感じるままなのかな?

鏡を間にしたヴォルフとナンネールがポーズをとるのも、かわゆし。

「♪このコート着て」で、座ってるナンネールの顔に向けて、コートの裾をビラッと翻す。この動作が入ったぶん、ナンネールの膝に座るのはなしでした。この曲では、ヴォルフもお姉ちゃんを大好きだし、ナンネールも天真爛漫な弟をそのまんま愛してるのが、びしびし伝わる。

「♪コートを渡せ!」と叱られたヴォルフが、しぶしぶコートを脱いで、でも渡したくなくてコートを抱き締める仕草、好きだなぁ。(これは、あっきーもやってた。)無理矢理、奪ったパパはコートをナンネールの前に投げ捨て、「処分しなさい。」。今期から、「返してきなさい」じゃなく「処分しなさい」になったということは、パパ、捨てろって言ってるんだよねー?後々、借金が日増しに増えていく一家なのに、もったいなーい・・・と、せこい私は思ってしまうのでした。

『何処だ、モーツァルト!』  召使たちが「やってらんないわよ〜」って感じで仕事をサボってるのに、コロレド(山口祐一郎)登場の途端、みんな焦ってジタバタしてる動作が面白くて好き。この曲のヴォルフも好きなんだけど、召使もコミカルで気になるんだよねー。

『私ほどお前を愛するものはいない』  この曲の最後、奥に引っ込むところが、毎回いろんなことするんだけど、今回はパパ(市村正親)が、長身井上ヴォルフの腰を持って抱え上げていた。井上ヴォルフ、「うぁぁ〜っ」てデカイ声だしてたので、不意打ちだったんだろうなぁ。そういや、11/24に観たときは、パパが手で井上ヴォルフと背比べしてた。ここは、パパの数少ないお遊び自由演技タイムなのね。

『マトモな家庭』  帰宅したアロイジアが、階段に座りこんでるコンスタンツェ(hiro)の靴を蹴り飛ばすのが、決して仲よし姉妹ではないって感じでよい。セシリア(阿知波悟美)が娘をひとりずつ、ヴォルフに紹介するところで、ゾフィが「おりこうさん」と言われている最中に、ヴォルフの腰にしかと抱きついてるのが面白い。今期から?最後の「お人好しの好青年をつかまえられる」の部分、以前はコンスタンツェも一緒に踊ってたはずなんだけど、ここも変わったね。

『残酷な人生』  今期、すごくいいです。再演時は、小芝居のような仕草を入れて歌ってたんだけど、今公演では一切なし。歌と表情だけで、ガンと伝えてくる。

『チョッピリ・オツムに、チョッピリ・ハートに』  だ〜い好き。今公演では、シカネーダ(吉野圭吾)の「拍手が好き」は毎回客席に向けて拍手を要求するし、観客もそれに応える。自然、曲でも手拍子が起こる。ヴォルフとのダンスが、ほんとに楽しい!シカネーダの周りを、興味津々でウロチョロし、「花形スター総出演」の後に、「オレも?」と言ってるヴォルフ、バカっぽくて、かわいいぞ。「悲劇の王子」で、悩めるハムレット・ポーズしてるし。今回は、シカネーダーに「どうだい」って話しかけられてもまだ、女性とイチャイチャ。「オペラ」の言葉に反応して、シカネーダーのほうに向き直るけど、シカネーダーに押されて女性のとこに戻ると、ガッと抱えあげ、連れ去る。さっきまで怒って喧嘩してたヴォルフ、超ゴキゲンで去っていく。まさに直情型。

『星から降る金』  ナンネールにかなり長い間、汗をふいてもらってた。男爵夫人のために椅子を取りにいったナンネール、椅子を見つけ、「これこれ」って人差し指を立てるのが、かわゆし。男爵夫人には申し訳ないけど、段上で歌っているのを無視して、モーツァルト一家の芝居を見ちゃう。ナンネールが最初はヴォルフの手を取って励ましている、とか、パパがヴォルフと絶対目を合わさない、とか、無言の心の動きを見る。井上ヴォルフは、再演では天に手を伸ばす仕草もしていたけど、今回は憧れる表情のみ。曲が終わって、一瞬、パパがヴォルフの手を取るかと思ったら、振り払う。出て行こうとするヴォルフを必死に引くアマデ。ナンネールは寝返り(笑)、パパと一緒に引き止める側に。「神様の次に大切なのはパパだって。」と言われたのが、いちばん響いたヴォルフ。もうアマデを押さえるしかない。上半身乗り出して、旅立ちを迫るアマデ。このへんの芝居、好きだ〜。

『神が私に委ねたもの』  コロレド様、何度も言うが、何故そんなギリギリまでオッコを我慢するのか・・・(笑)。「きたきたっ」って・・・。衝立の向こうに行く前から、髪乱れてるし。

『並みの男じゃない』  大好きなのよ、この場面。手拍子するのも好きだよ。なのに、近くに座ってた人、手拍子が大きすぎるってば。限度ってものがあるでしょーが。音楽を聴きたい客もいるんだよーーっ。

『このままのあなた』  今期は、とにかくコンスタンツェにチューを迫り続けるヴォルフ。くっついて座ったり、好き好き光線出してます。

『終わりのない音楽』  この日は、この曲がすごく響いた。ナンネールは、ヴォルフが離れていく(自立していく)のを感じてるんだなぁ、と。幸せな過去に戻りたくとも、時間を止められないのもわかってる。パパよりは現実を見ながらも、願ってるんだよね。わかってて願うのは、悲しい。

『僕はウィーンに残る』  初演から好きな場面。初演のとき、この場面でワクワクしたなぁ〜。初演では井上ヴォルフ、白い鬘をかぶらなかったなぁ〜。その白い鬘、この日の井上ヴォルフはコロレドに投げつけるとき、「あんたとの関わりなんて・・・ごめん被るっ!」・・・。おい、台詞ちがうぞ〜。意味はあってるけど。一瞬にして作詞したなら、お見事です。

『影を逃れて』  小箱を返せと無言で迫るアマデに、初めて自分の言うとおりにならない影への恐怖を覚えて、歌いだすヴォルフ。いい表情。05再演時は、「響きの襞にふれて」で、自分の身体に手を滑らせたり、アマデの首を絞めようとしたりしたけど、そういう動きは一切排し、ただ、2番では上手に移動するだけ。でも恐れおののいている表情などで、充分伝わる。無言で作曲し続けるアマデ、押しつぶすように見下ろす人々、その中で苦しむヴォルフ。んー、やっぱりすごく好きな場面です。

 

長くなるので、2幕は別にしまーす。

 

124日マチネA @帝国劇場


 ついつい、『モーツァルト!』のことを書いていると、長くなってしまうのは、M!オタであり、井上芳雄ヴォルフガングオタの所以?さて、2幕。

『ここはウィーン』  1幕冒頭の『奇跡の子』と、この曲は、貴族の場面なので、華やか〜。香寿さんの男爵夫人は、艶やかです。最後にサリエリ(KENTARO)に対して、手の甲へのキスを強要するあたりの微笑みが、ザ・貴族。「背中にナイフ突き刺し、手にはキスをする」ですな。
『愛の巣』  恐〜い恐〜いトーアヴァルト(砂川直人)とセシリア(阿知波悟美)夫婦の登場。ヴォルフに誓約書にサインをさせたトーアヴァルト、去り際に、ピアノの上の赤い羽根ペンで、ヴォルフの首をスーッとなでる。ずっとそうだったと思うんだけど、11月の中川ヴォルフのときは、トーアヴァルトが腹を一発殴って、中川ヴォルフは倒れてた記憶がある。今期から中川ヴォルフだけ変えたかな?
『友達甲斐』  酔っ払い悪友たちのお見え。お金を取られたヴォルフ、今期はちょい本気怒って、「おらっ!」て手を出して、返させてる。井上ヴォルフは、強くなったねぇ〜。「翼広げて飛ぶ先を夜の巷に見に行こう。HEY!」のとこが、陽気なバカヴォルフで好き。この日、引っ込むときが、ちょっと違ってイッテる感じと思った記憶があるけど、具体的に何やってたか忘れた・・・
『ダンスはやめられない』  前から、この歌には決められた動きが多いとは思っていたけど、この日、コンスタンツェ(hiro)はピアノに乗るのに気をとられ、「構わない、私は」の私はを飛ばしてしまった。残念。
『神よ、何故許される』  この間奏で登場するパパ(市村正親)、ナンネールの息子を新たな神の子として、コロレド(山口祐一郎)に勧める。なんか、ここのパパ、イヤなんだよねー。「私の血をひいています」って、やっぱりパパはヴォルフの才能をわかってないんだなぁ、って思う。血なんか関係ないし。しかも、今期は特に老人ぽいから、頑固だし。その点、コロレドのほうが、音楽の魔術って言ってるだけあって、人間の血なんかに左右されないものだとわかってる。
『ウィーンのレオポルト』  初演から、ここの場面が悲しくて・・・。今期は、「パパ!パパ!」って呼びかける風なのが、よけい悲しくて。だって呼びかけてるのに、「息子は消えてしまった」なんだもん・・・クスン・・・
『何故愛せないの?』  今期は、さらに深くなってます。ていうか、他の場面にも言えることなんだけど、今期の井上ヴォルフは、自立しようとする気持ちをキッチリ出してきている。この曲でもそう。「これからは自分の道、歩むんだ、ひとりで」に、ヴォルフの決心が込められている。それでも、愛を求める心を消すことはできないヴォルフが、悲しい。
『誰が誰?〜謎解きゲーム』  なんとなく、このシーンの意味も、今期は明解に感じる。ヴォルフの中で、いろんな思いが複雑に絡み合っている様子が、よくわかる。パパが与えてくれたのに壊してしまい、二度とは手に入らないもの=幸せ、とヴォルフが思ってるのが、めちゃくちゃ悲しいではないかー。
『借金の手紙〜父への悔悟』  散々利用されてきたけど、「もうしない、やりたくないことは」と、ここでも必死に大人になろうとするヴォルフ。でもコンスタンツェの後ろに隠れちゃう、精神的にひ弱なヴォルフ。こんな弱っちい繊細ヴォルフが、自立しようとするんだもん。キツイわな。この日、『父への悔悟』の後半、ベッドに足を上げようとした井上ヴォルフ、ベッドの縁に踵が引っ掛かり、一瞬、「自分の道」の部分が出遅れる。しかし、見事な早口で、メロディに追いつき合わせてしまう。コンスタンツェのこともあったので、ヒヤッとしたが、さすがに落ち着いてました。が、動きのタイミングがズレたせいか、アマデが迫ってきても、ベッドの上にいた。(普通は、ベッドの端まで戻ってる。)しかし、それくらいの違いはものともせず、ヴォルフもアマデもいつもどおり首を絞め、いつもどおりつかみかかって倒れこんでた。
『モーツァルトの混乱』  「大人になると奇跡は消えたよ、どこかに、ウハハハハ」って笑ったり、混乱ぶりは健在(って変な言い方だな)。「芸術家は自分に厳しいんだ」で、コンスタンツェが心配そうに側に近寄ってしまったので、一瞬、どうやって繋げるかと思ったら、コンスタンツェさえ目に入らないヴォルフは、全くのコンスタンツェ無視で、アマデだけを見つめて叫ぶという、それはそれで、リアルな場面になった。「大人になった男は〜」の台詞は、今期、本当にいい。ヴォルフの決心がハッキリ見える。
『フランス革命』  この曲も、再演のときから、すごく好き。すごく拍手したくなる。シカネーダやヴォルフやアマデのイキイキした表情も好きなんだけど、アンサンブルさん達を見るのが好き。歌の内容と相まって、がんばれ〜って思う。
『魔笛小屋』  怒ったコンスタンツェが赤い羽根ペンを投げ捨てる場面、11月に観たときは、羽根ペンを見失って、あたりをさりげに見回す井上ヴォルフを見れたが、この日はすぐ発見。その後、必要な小道具だから、あせるよね。この日も、井上ヴォルフは、「帰ってくれ!!」と怒鳴ったあと、コンスタンツェの歌には背を向け、うつむいている。ここの演技、好き。
『モーツァルト!モーツァルト!』  この日は、ほぼ真正面。恐い恐いシカネーダの表情が見づらいぶん、ヴォルフに集中。1枚目の楽譜を仕上げたとき、井上ヴォルフ、微笑んでた。ところが、上から見下ろしヴォルフを押しつぶすように歌う人々が増えてくると、どんどん迷いが出てきて、自分の中から何も出てこず、筆が止まり始める。息遣いが荒くなり、ついには「うぁぁっ!」と悲鳴まで・・・。
『モーツァルトの死』  ボロボロヴォルフ、それを見つめるアマデ。最後の対話。そして、最後の「メジャーとマイナー、コードにメロディも」綺麗です。この曲だけ、井上ヴォルフ、ちょっと発声変えてる?ものすごく、優しく胸に響く。ほんとに心から音楽を愛してたんだな、って思う。

この日、ほんとにすごくいい席で、視界を遮るものもなく、オペラグラスも使ったらおかしいやろ、というほどのお席だったのに、近くにいた女性が曲に合わせて手を動かしたり(指揮者ちゃうやろ!)、爆裂手拍子したり(歌聴こえへん!)、あげくのはてに、カーテンコール(しかも1回目の音楽入りの!)で、演者に向かって叫び出した・・・。カーテンコールの曲も好きなのに・・・。余韻を見事に粉砕してくれましたわ、ははは・・・。周りが見えなくなるって恐いです・・・。

 

アマデとヴォルフガング


同じ作品を何度も観ているのに、不思議と、新たに生まれる感情や気持ちがあったりする。心のどこかでは感じていたのかもしれないが、そういうものが、ふと、自分の中の表面に現れてくるのかもしれない。

 

先日、『モーツァルト!』で思いっきり生きている井上芳雄くんのヴォルフガングを観ていたら、ふと、「人生って素敵だな。」と思った。みんなに利用されたり、散々苦しむヴォルフガングを知っていても、それでも、ヴォルフガングの生き様を見て、「人生って素敵」と思った。生きているって素敵なことだなって。

 

アマデの存在も、いろんな見方ができる。

12/4に観たときは、また少し違う見方で、ヴォルフ、アマデ、そして神の存在を感じた。

『奇跡の子』で、小箱を開けたときのアマデ(=ヴォルフガング。ここではまだ完全な一体)の表情に響いた。その小箱に入っていた、きらめくような神の音楽に、アマデ(=ヴォルフガング)は憧れた。感電したように、瞬間に、その音楽の虜になったんだな、と感じた。

二度の『僕こそ音楽』を歌う場面で、誰よりも、“モーツァルト”の音楽を愛したのは、ヴォルフガング自身だったんだと思う。最初に『僕こそ音楽』を歌うときには、本当に素直に無邪気に音楽を愛するヴォルフ。そして何があっても、その音楽を愛して愛していたから、だから、最後の最後まで離れられなかった。

アマデは、ある意味、ヴォルフガングを利用していたとも言える。神からの音楽を、人々の前に現出させるには、ヴォルフガングという人間が必要だった。事実、アマデの姿は、ヴォルフガング以外には見えないし、アマデが書いている楽譜も見えていない。ヴォルフガングが手にして初めて、その楽譜と音楽は、この世界に現れる。ヴォルフガングという人間の熱い血だけが、その音楽を息づかせることができた。

なぜ、アマデという才能は、ヴォルフガングを選んだのか。それは、彼が人一倍、純粋で、邪心がなかったからじゃないかな。権力や金銭にもまみれない、子供のような心を持った人間。神から与えられアマデが作曲する音楽に、ヴォルフガングは素直に感動し、素直に表現した。『魔笛』の成功で、その名声を自分のものだと思ったとき、ヴォルフガングの心には邪心が芽生えた。もはや神の音楽を託すことはできない。だからアマデは離れた。ヴォルフガングもアマデを追わなかった。そして曲が書けなかったとき、ヴォルフガングは知る。自分こそが、誰よりもアマデの音楽を愛していたことを。そしてアマデが差し出す白い羽根ペンに、自分もまた神に愛されていたことを知る。だからこその、あの美しい優しい『僕こそ音楽』なのかな。

 

ヴォルフガングは、結局、周りの人々だけでなく、アマデにも神にも利用されていたのかと思うと、少し恐くもなるのだけれど、でも、人間てみんな何かしら、与えられたものを背負って生きてるんじゃないのかなぁ。別に運命論者じゃないし、ほぼ無宗教なんだけどね。なんとなく、そうやって、何かを背負いながら一生懸命生きてる人生って、やっぱり素敵だと思うのですよ。

 

井上ヴォルフは、甘えっ子で、家族関係にも重きを置いているので、つい、そちらに目がいきがちなんだけど、そんなに大切にしたかった家族や手に入れたかった幸せを犠牲にするほど愛したのが、彼自身の音楽だったんだと、12/4の公演で、すごく感じたのね。井上ヴォルフに、音楽への愛を強く感じたのが、新鮮だった。

 

私の今年の観劇治めは、この『モーツァルト!』の千秋楽。そのとき、どんなふうに感じられるのか、それも楽しみ。

 

千秋楽は終わりましたが…


 12/25の「モーツァルト!」千秋楽、行ってまいりましたっ!

帝劇でのM!千秋楽は、5年ぶり。ちょっと懐かしく、初演のものすごい勢いでの遠征を思い出した。そして今回、再々演とはいえ、朝から少し緊張。出演者でもないのに、なんでやねーん・・・とも思うんだけど、でもね、やはり大好きな演目の千秋楽というのは、特別な気持ちなんですよ。

 

てなわけで、無事、千秋楽も終わりましたが、レポはまだ書けていません。ただ、帰りの新幹線で、メモをちょこちょこ書いていたので、今回は久々に詳細にレポれるかも。

今期の公演は、結局5公演のみ観劇。(「のみ」って言葉、間違ってないか・・・?>自分)

自分の体調が万全ではなかったのに、遠征、遠征だったので、かなりしんどかった。

高橋ナンネールのカーテンコール挨拶を聞いて、5年前と比べれば、自分も体力落ちてるよなぁと、しみじみ思いました。あぁ・・・体力つけよ・・・。

 

席は、井上ヴォルフ2公演が3列目、1公演4列目、楽は1階中程、中川ヴォルフ2階席。

楽の席が、上手サイドだったものの通路横だったので、視界を遮るものがなくストレスフリー(背の低い私には大事)、しかもわりと表情も見える(ここぞという細かい表情はオペラグラス使ったけど)、なかなか良いお席で、かなりの満足度。

 

詳細には後日アップしますが、今回も絶妙の表情など、印象的な部分あり。『モーツァルト!モーツァルト!』での井上ヴォルフの表情は、かなりきました。自分が観た中では最高かな。

あー、長くなるので、ちゃんとまた書こう。

 

ともかく、まぁ、ほんとに、井上芳雄くんは成長したなぁと、しみじみ思いましたよ。自分の5年間はどうだったかなぁと、自省したりなんかして・・・。

 

さ、次回の再々々演があることを祈りつつ、がんばってレポあげるぞ!

 

「モーツァルト!」12/25千秋楽一幕 @帝国劇場


 帝劇に着いたのは、開演45分くらい前。前回来た時も同じくらいの時間だったけど、そのときと比べて、ロビーにいる人が多い。私と同じように遠征組が多いのか、それともやはり千秋楽は観客も気合が違うのか。開演10分前に席に着く。思っていたよりもずっと、舞台が近い。
意味などいろいろ考え出すと止まらなくなる、この作品。でも今回は、5年前の千秋楽を思い出して、頭ではなく、歌詞をちゃんと聞いて、心で感じようと思う。

『奇跡の子』 涼風真世さんの男爵夫人は、初めて。意外と、今まででいちばん地味な大人しい男爵夫人像。役作りなのか、それとも、ドレスの色や童顔の顔立ちのせいか。

『人は忘れる』 曲の中程で、舞台奥から身体を揺らしながら、ピアノを弾くヴォルフガング(井上芳雄)が現れる。初演の頃から、とっても好きな場面。もうここだけで、ヴォルフガングの純粋な性格が感じられる。

『赤いコート』 今回のナンネール(高橋由美子)は普通の驚き方。その日に感じるままなのね。「どうだ、よく似合うだろ」と、調子乗りのヴォルフガングは、バレエを踊っていた。なんで、バレエやねーん(笑)。ヴォルフガングが新しいセレナーデを「譜面に書いてないだけ」と聞いたパパ(市村正親)がクラッとよろけるのは、今期はデフォですな。「コートを渡せ!」とパパに叱られた後のヴォルフガング、この日はなかなかコートを脱がなかった。ほんとに悔しそう。まだまだ子供っぽいヴォルフガング。

『僕こそ音楽』 大好き・・・!ほんとにこの曲好き。アマデとの絡みかたも好き。この頃は、ふたりが同じ方を向いているから、アマデも柔らかい顔をしている。井上君の柔らかい声で歌われると、こちらも優しい気持ちになる。最後の音もよく伸びる。

『何処だ、モーツァルト』 アルコ伯爵(武岡淳一)、歌(リズム?)が上手くなった気がする。この日のヴォルフガングはパパに頭を押さえつけられて、無理矢理、コロレド(山口祐一郎)に頭を下げさせられている。召使の手を除け、最後テーブルに飛び乗ったヴォルフガング、引っ込むときに大きい声を出していた。これも日によるね。

『私ほどお前を愛する者はいない』 引っ込むときのパパ、お遊びいっさいなし。実は私は、パパ役は遊びなしのほうが好き。パパの厳格さとか強調される。パパがお茶目なことすると、ヴォルフガングの悪ふざけを、そんなに怒らなくていいやん、て気になる。こういとこは真逆な親子であってほしい。

『まぁ、モーツァルトの娘さん』『心を鉄に閉じ込め』 ナンネールはこの頃はまだ、本気でヴォルフガングと一緒の魔法の国の物語を信じていたのかなぁ、と思うと、せつない。パパのほうは、親なら普通に言うことばかりなんだよね。でも子供としちゃ、言うこと聞けないのもわかる。むむむ。

『マトモな家庭』 セシリア(阿知波悟美)、アドリブ飛ばしてた〜。アロイズィアが歌いだす時に鍋をコンと叩いて邪魔したコンスタンツェ(hiro)に、セシリア「コン、コン、コンスタンツェ、なんちゃって」(笑)。アロイズィアの歌を聞いたヴォルフガングの「美しい〜!」に、すかさず「私が生みました!」(笑)。阿知波さん、最高。コンスタンツェがヴォルフガングを気に入ってる感じは、前回よりグッと出てきた。

『残酷な人生』 前期と比べて、すっごく変わったのは、この歌かも。母を亡くしたヴォルフガングの絶望や怒りが、前期のような小芝居全くなしでも、伝わる。一曲の中での感情の起伏の表現がクリアになったというか。一曲全部を同じ一律の感情で歌っていない。すごくいい。

『居酒屋』『チョッピリ・オツムに、チョッピリ・ハートに』  最高に楽しい一曲。5年前の千秋楽にもアドリブがあったから、期待してました、はい。シカネーダー(吉野圭吾)の腰フリ付きの「私が誰だかご存知か」で、「知らない」「知らない」「気持ち悪い」。「今、気持ち悪いって言った奴、誰だ。お前か?お前か?」と、この日のシカネーダーは犯人探しを決行。後ろにいたKENTAROさんの腕をつかんで「お前か。」と引っ張り出し、真横で再び腰フリ付きで「私が誰だかご存知か」。KENTAROさん「すいませんでした!」。その後、「で、知らない?知らない?」と、周りに訊ねるシカネーダー。最後にヴォルフガングが「気持ち悪くはないけど・・・知らない。」。シカネーダー「君も引っ張るね〜。」。井上ヴォルフはアドリブ拾うね〜。
私の芸術は、観客の拍手が好き〜」で、いつものように拍手を煽るシカネーダー。いつもより、腕グルグルして煽る。観客も大拍手。煽りすぎてクラクラしてるシカネーダー。
今期のシカネーダーとヴォルフガングのダンスが大好き。この日、ヴォルフガングは女性を抱え上げて上手にはける時、「よっしゃぁぁ〜!」と大声出していた。

『星から降る金』 涼風男爵夫人の星金は、ソフトな語りかけ系。でも、すいません、オペラグラスで、モーツァルト一家の表情ばかり見てました。ここの3人の芝居、好きなんだもん。パパを見つめるヴォルフガング、その視線から目を逸らすパパ、励ますようにヴォルフガングの手を握るナンネール。曲の最後のあたりで、心を決めたようなヴォルフガングの表情。途中、男爵夫人を見たら、手を3人のほうへ差し伸べて歌っていた。うん、これいいね。おとぎ話を聞かせてるって設定だもんね。
今回も、ナンネールの「あんた言ってたじゃない、神様の次に大切なのはパパだって!」は強力でした。ヴォルフガング、アマデの手を振り払い、押しとどめる。

『神が私に委ねたもの』 この日のコロレドは、とうとう「ほんとに出ちゃったら、どうしよう。」と。爆笑でした。舞台上で、ほんとにオッコ漏らしたら恐いっちゅうねん。

『全てがイカサマ』『並の男じゃない』 コンスタンツェ「うちに来る?」ヴォルフガング「あぁ!アハアハアハ!」と二人が盛り上がるのを遮るアルコ伯爵。「なぁにが、あぁ、アハアハアハ、だ。」とヴォルフガングのアホ笑いも口真似。この日は、アルコのアドリブも絶好調。胴切りマジックの箱に入れられたアルコ、「よぉし、じゃ、縦に切ってもらおう!」爆笑〜!アルコ「横に切られるのぉ?」セシリア「当たり前でしょ。」アルコ「たすけてぇ〜」の後、ヴォルフガング、「ザルツブルクのみんなに、横に切られるところを見せてやりたいよ。」と台詞をアレンジ。客席大拍手!井上ヴォルフ、上手いっ!アドリブ拾うね〜。
『並みの男じゃない』も、初演と比べると、歌い方がすごく変わった。初演の頃は、井上君の当時の歌い方ではノリがイマイチに思ったんだけど、今じゃもうノリノリ。発声が変わったのかな。なんだろ?綺麗な声で歌おうとしなくなったっていうか、気分に合わせるようになったんだろうか。

『このままのあなた』 「僕はピエロだ、幕が降りる寸前のね。役立たずだけど、作曲家でピアニストで、ほんのちょっと天才かも。」の台詞も、今期はなんだかよかったっす。ヴォルフガングは、意外と自分のことわかってたんじゃないかなぁ、と思った。全部わかってた上で、はしゃいでたんじゃないかなぁ。
胴きりマジックの箱に手を突っ込んで抜けなくなったフリのヴォルフガング、コンスタンツェに引っ張り抜いてもらってた。

『終わりのない音楽』 久々にどっぷりヴォルフガング目線で観ていたので、「彼を通し生きよう」と歌うパパを、重く感じる。

『僕はウィーンに残る』 初演のとき、ドキドキするくらい大好きだった場面。今も大好き。「自由だ〜」のところで、自分も目がキラキラする感じ。

『影を逃れて』 アマデの存在に対する恐怖を感じて歌いだす表情がよい。「不安でいっぱい」のあたりからの表情も。脅えるヴォルフガングの表情に対して、見下ろす人々は無表情。ひー・・・。この曲は、表情を観るのも、私の中でポイント。この日の井上ヴォルフガングは、声、よく出てました。

や、やっぱり長くなる・・・。2回に分けて、アップしよ。

 

「モーツァルト!」12/25千秋楽二幕 @帝国劇場


 
久々に細かく書こうとすると、「だめだ・・・書けない・・・」byヴォルフガング。
表情とか目に浮かぶんだけど、う〜、なかなか言葉が見つからない。
でも覚書なので、「自分の力で書くのです。」by謎の男

一幕は楽しい場面が多いぶん、千秋楽ならではのアドリブが飛び出し、リピーターの多い客席も盛り上がる。さて、つらい場面の多いニ幕はどうなることかと、また少し緊張でニ幕を迎えた。

『ここはウィーン』 こういう多勢で動きのある場面は、前方すぎる席で観るより、少し下がった席で舞台全体を観るほうがやっぱり綺麗。ヴォルフガングって、貴族の間での流行物の芸能だったんだろうなぁ。擁護派だって、「死んだら持て囃す」とは言っても、250年以上たっても彼の音楽が残っているとは、本気では思ってなかったんじゃないのかなぁと、この華やかな場面で思う。

『愛していれば、わかりあえる』『愛の巣』 hiroコンスの声は、11月と比べると、ずいぶん聴きやすくなった。トーアバルトの「サツを呼べ!!」も、この日は一段と声が大きく、気合入っていた。恐いよ〜・・・。いつも思うんだけど、あんな短い時間で、ヴォルフガングはフルネームをサインできているんだろうか?書いている途中で、取り上げられているように見えて、フルネームじゃなくても有効なのか、脅しだからいいのか、など思ったり。余計なお世話だな。

『友達甲斐』  新しいコンチェルトをシカネーダーに見せるところで、ヴォルフガング(井上芳雄)は「おわぁぁぁぁぁ〜」と奇声を。シカネーダー(吉野圭吾)と一緒だとテンション上がるのかね。

『ダンスはやめられない』 hirohiro自身でなく、やっとコンスタンツェに見えた。歌をただ歌うのではなく、コンスタンツェの激しい感情が見えた。いや〜、1ヶ月余りで成長するもんですね。どピンクの衣装が、最初あまり好きじゃなかったんだけど、あの色が、遊び歩いてるオネーチャンぽくて、hiroにはいいのかも。

『ウィーンのレオポルト』『私ほどお前を愛する者はいない(リプライズ)』 パパ(市村正親)の怒りが、めっちゃ激しかった・・・(泣)。パパの激しさに引っ張られてか、ヴォルフガングも喧嘩状態。「わかったよっっ!」と激しく吐き捨てる。いつもは呆然と悲しそうに「・・・わかったよ。」だったけど、大喧嘩で別れるほうが、めっちゃ悲しい。

『何故、愛せないの?』 大喧嘩してしまった後なので悲しさ倍増。もう元には戻れない悲しさ。ヴォルフガングの激しい感情が渦巻く。このあたりから、時々、オペラグラスを覗くと、井上ヴォルフガングが、すごい胸に迫る表情をしていて、オペラグラスを使うたびに、涙がボロッボロッとこぼれ、慌ててオペラグラスからタオルハンカチに交換。忙しかった。

『誰が誰?』『謎ときゲーム』 ヴォルフガングの悪夢の中の世界だから、ヴォルフガングの心理なんだよね。コロレド(山口祐一郎)の言葉も、男爵夫人(涼風真世)の言葉も、パパの言葉も、ヴォルフガングの深層心理。アマデにはブンブン振り回されて、フラフラ。マスクをかぶって本当の顔がわからないと、ヴォルフガングが思っている多勢の人々の中に、ナンネールとコンスタンツェはいない。このふたりのことは、心底、信頼していたんだね。だから余計に、この後の展開が悲しい。

『借金の手紙』『パパが亡くなったわ』 「嘘をつくのは嫌だ、利用されるのも」を、ウェーバー家ひとりひとりの顔を見ながら言うヴォルフガング。本当にもう絶対やだって感じで。今まで散々搾り取られたんだろうなぁ。そんなふうに反発しながらも、コンスタンツェの後ろに隠れちゃう病的ヴォルフガング。「アル中」「頭がおかしい」と言われると、もう息ができなくなってる。そこへナンネール(高橋由美子)登場で、救いの神が来たって感じで、すがりたくて駆け寄るのに、その知らせはパパの死。そりゃ打ちのめされるわ。この日は、ナンネールの「パパを裏切り、私を裏切った」も、一部声が引っくり返るほど激しかった。またひとり、大好きな人がヴォルフガングのもとを去っていく。つ、つらすぎる。

『父への悔悟』『モーツァルトの混乱』『星から降る金(リプライズ)』 「悔悟」では、井上ヴォルフガング、目に涙ためてたね。もはやボロボロのヴォルフガング。「混乱」は、なかなか凄かった。途中でコンスタンツェに手を伸ばしたかと思うと縋りもせず、「奇跡は消えたよ、どこかに、イヒヒっ」と引きつった笑いをしたかと思うと、「芸術家は自分に厳しいんだぁぁ」と泣き崩れる。アマデに散々悪態をついた後、ベッドの上に臥せったまま、「うぁぁぁぁぁ・・・」と二度ほど声を上げて泣く。「星金」で、顔を上げて上方を見つめるヴォルフガングを、コンスタンツェが抱き締め、ヴォルフガングの背中をさすり続ける。コンスタンツェの愛が見える。「大人になった男は自分の足で歩かなければならない」、この場面から後のヴォルフガングは、ぐっと大人に近づく。

『フランス革命』 一幕の『まァ、モーツァルトの娘さん』が女性アンサンブルの見どころとしたら、男性アンサンブルの見どころは、この場面かな、と。ご贔屓がいるわけじゃないけど、この曲、とっても好き。ある部分、この作品のテーマを表してると思う。シカネーダーとヴォルフガング、この日はハグ。ふたりが肩組んで走ってく後ろを、最速の早足で追っかけるアマデが、かわいー。

『ダンスはやめられない(リプライズ)』『あのままのあなた』 hiroコンスタンツェ、ほんとによくなったね。私はこんなに好きなのにぃ!な感じがよかった。『あのままのあなた』をコンスタンツェが歌ってるときの、ヴォルフガングの背中にも泣ける。ナンネールに続いて、コンスタンツェも彼の元を去った。心から信頼し、彼を本気で愛してくれた人たちはいなくなってしまった。
コンスタンツェが去ったあと、ピアノに腰掛けていたヴォルフガングが、アマデが書いた「魔笛」の譜面を見つけた時の表情が、うっすら笑っていて、すごくいい。もう彼に残されたのは、音楽しかない。そういえば、再演時のヴォルフガングは、「魔笛」の場面で突然指揮を始めるんだけど、今思えば、ないほうがいいね。憑かれたように譜面を次々見ている今回のほうが、ずっといい。前々日、前日とモーツァルトの幕の演出が上手くいかなかったらしいけど、千秋楽はきれいに成功。

『モーツァルト!モーツァルト!』 曲が始まっても、しばらく呆然と立ち尽くし、宙を見つめるヴォルフガング。何か普通では見えないものを、見つめているかのよう。譜面に目を落とし、決心したように、やおら腰掛けると譜面を書き出す。最初はスラスラ動いたペンが、徐々に遅くなり、もはや何も出てこなくなると、顔を上げ、「あぁぁぁぁぁー・・・」と搾り出すような悲鳴。苦しい苦しい表情。その間も、周りの人々の歌声が、ヴォルフガングを押し潰し、搾り取るように、彼に襲い掛かる。

『モーツァルトの死』 もう何も残っていないヴォルフガングの表情。人生の孤独な戦いに疲れきったように思える。最後に彼の前にいたアマデから、白い羽根ペンを差し出されたとき、少しホッとしたように見えた。舞台全体を観られる場所だったからか、広い舞台で、ピアノの前にポツンと脱力して座るヴォルフガングが、とにかくひどく孤独に見えたのだ。最期の『僕こそ音楽』も、11月に観た時は、もっと昇華され天に召される歌だったけれど、この日は、人間ヴォルフガングがやっとやっと、ひとりぼっちの戦いから解放されるのかなと思うと、泣けた。音楽の道を突き進むために、あらゆるものを捨てなければならなかったヴォルフガング。最初の『僕こそ音楽』で、あんなに幸せそうに笑ってたヴォルフガングが、最期は孤独のなかで、同じ歌を歌い、死を迎えるのが悲しかった。

『影を逃れて(リプライズ)』 みんな人生で何かを背負って戦って必死に生きてんだよね・・・。いい再々演だったなぁ・・・。ヴォルフガング、好きだったなぁ・・・。もういろんな気持ちがないまぜ。

カーテンコールは、これまた長くなりそうなので、別にアップします。

 

「モーツァルト!」12/25千秋楽カーテンコール


 
もう大好きなカンパニーなので、みんなに大拍手!手が痛くなるまで叩きましたよ。
2
度目のカーテンコールにプリンシパルが左右から登場するとき、上手から先頭ででてきた市村さんが腕で男泣きしながら歩いていると、その後ろから出てくるひとが次々と同じポーズ。おもしろ〜い。
井上くんの司会進行は、相変わらず上手です。「クリスマスのめでたい日にお越しいただき」とか言ってたな。クリスマスは、めでたいのかー?クリスチャン的には(井上君ちはクリスチャン)、めでたいのか。
挨拶は、覚えてる部分だけ要約で。本編は動きがあるからビジュアル込みで覚えられるんだけどねー。
涼風真世「お稽古にあまり参加できなかった。あまり緊張しないほうなんですけど、毎日心臓が飛び出しそうなほど緊張した。もし再演があれば、お稽古に参加して、みなさんの心に届くような歌を歌いたい。」途中、泣きそうになるのをこらえるために、「えいっ!」と自分の頭をポカッとグーで叩いていた。かわいー。
hiro「頭の中が真っ白です。わからないことだらけだったけれど、みなさんに支えられた。昨日の夜から言いたいことを考えてたけど、言葉が浮かばない。感謝しています。」
高橋由美子「(井上君の「こちらは古株です。」の紹介を受けて、トコトコトコと舞台ギリギリ前まで進み、オケさんに挨拶までしてから)古株です!いつもなら地方公演があって、長い期間やるので、今回はもっと簡単にできるのではないかと思っていたけど、体力も落ちて、大変でした。5年間この家族でやってきて、初めて、ちゃんとした姉になれたと思いました。」途中、緊張で腕をポリポリ掻いていたかと思うと、珍しく泣き出して、一緒にもらい泣き。挨拶が終わって引っ込むと、阿知波さんの背中に隠れてる。ナンネール、大好きだーーー。
山口祐一郎「みなさんは頭の中が真っ白になったとおっしゃいますが、私は頭の外側が真っ白になって(客席爆笑)、それでも舞台に立てて、おじさんは幸せ。」
市村正親「『心を鉄に閉じ込め』という歌があるが、この歌詞を自分の戒めとして、俳優の修行を続けていきたい。」
ここで井上君、アマデ役にも挨拶をふる。自分のマイクで話せと側に屈みこんだものの、
野本ほたる(アマデ)「野本ほたるです。・・・」
井上君、ほたるちゃんの耳元でボショボショとアドバイス。
ほたる「みなさんに、ありがとうと言いたいです。ありがとうございました。」
井上君「お前、ほんと何も考えてこなかったんだな。」ほたるちゃん、かわいー。
井上君は、ほんとにいいお兄ちゃんだなぁ。保父さんとか、できそう。
井上芳雄5年前からこの作品をやってきて、やっとこの作品の輪郭なのか芯なのか手がかりをつかめた気がします。ほんとに今まで観た人、申し訳ない(会場爆笑)。いや、今までも一生懸命やってたんだけど。今回短かったけど得るものがいろいろありました。この作品は本当にみんなに愛されてるんだと思いました。またみなさんにお会いできるのではないかと(大拍手)。僕が勝手に言ってるだけですので、終わり次第、プロデューサーと相談したい(笑)。5年前の初演から今もいる人、今は出ていない人、再演にでて今はいない人、今回途中でいなくなった人、オーケストラ、スタッフ、みんなのおかげで、この日を迎えることができました。ありがとうございました。」
突然、オケが演奏を始め、緞帳が下りてくるが、あれ?あれ?あれ?という表情でキョロキョロする井上君。なんだ?と思っていると、しばらくして、また幕が上がる。
井上君「実は特別ゲストがいました。中川あきひろ!」えーーっ、あっきーは晃教(あきのり)だろー・・・井上君・・・。
ほたるアマデに案内され、あっきーとアマデふたり(真嶋優・田澤有里朱)登場。あっきー、デジカメで舞台の上の出演者を写しながら。柄物のセーター姿で、素人さんみたい。あっきーが、井上君の左耳にヒソヒソヒソ。近づきすぎのあっきーに、井上君「あっきー、近いよ(笑)。」
井上くん「もうひとり、ゲストがいます、小池修一郎先生」小池先生登場。「ひとこと。これで。」と、井上君、膝を曲げて、自分のマイクがついてる右頬を小池先生の側に。
小池先生「途中インフルエンザでアマデが交代したときはあったけど、なんとか最後まで終えることができた。ここにいるみなさんを僕も観ていきたいし、みなさんも観ましょう。僕のも観てください。」とかなんとか。だめだ。小池先生の挨拶がいちばん覚えてないや。ごめんなさい。
これで終わりかと思いきや、井上君、あっきーにふる。あっきーは井上君に「なんだよぉ〜」て感じで少し抵抗。無理矢理、自分の右側(マイク側)にあっきーを立たせ、肩を組む井上君。
中川晃教「今日、客席で観ていました。再々演を初めて客席で観て、感動していました。ありがとうございました。」
ほんとにWヴォルフガングは仲良しだなぁ。正反対でありながら、兄と弟のように仲良し。ずっと、このふたりでやってほしい。
最後には恒例の幕前でのヴォルフガングとアマデの挨拶。サンタの帽子をかぶって登場のふたり。かわい〜。「クリスマスプレゼントにアマデを欲しい人〜?」という井上ヴォルフガングに、客席からワーッと手が上がる。井上ヴォルフガング「あ〜げないっ。」かわいすぎる〜。
最後は、ヴォルフガングに抱っこされたアマデが投げキッス。

その後、井上君の握手会に参加。こういうの2年ぶり。板の上の井上ヴォルフガングが大好きなぶん、その中の人の井上君には会わないほうがいいと思って、いつもは真っ直ぐ帰るんだけど、千秋楽だし、2007年最後だし・・・と自分に言い訳しつつ。井上君、相変わらず、ものすごく普通の人でした(笑)。ほんとお疲れさまでした!

というわけで、再々演が終わってしまいました。とにかく、井上君自身はもちろん、作品も成長した気がする再々演でした。井上君じゃないけど、作品に一本、芯が見えたというか。人間の自立への過程が、すごくはっきり描かれたように思う。
井上君は、体つきも声も完全に大人になってきて、その歌や演技でも、初演のヴォルフガングを思い出すたびに、その変化にびっくりしたり、感慨深かった。今回は、高音にハラハラすることもなく、歌が安定。台詞も安心。すっかり舞台の真ん中に立つ人になった。
M!は、私が始めてはまったミュージカルだったので、特に思い出深い。ヴォルフガングの人生を描きながら、周りの人の人生も映し出されるという、広がりもあるし、深い作品。必ず、次の再演があると思ってるし、このカンパニーでやってほしいと思う。今度、この作品を観たら、自分がどう感じるのか、楽しみでもある。
ほんとに大好きでした!ありがとう!「モーツァルト!」。

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