2年半ぶりに、「モーツァルト!」が帰ってきた。キャストもほとんど変わらず、舞台美術、演出、衣装、曲に、ほとんど変更はなし。ほんとに”帰ってきた”という言葉がピッタリくる。書きたいことがいっぱいあるのに、言葉が浮かんでこない。なので、まとまらないけど、思うがままに・・・。
なんといっても、井上芳雄くんの成長に感激した。歌が、きっちりと譜面どおりを追いかけるというより、時には感情のままに、より芝居に近づいていく、その感じがすごく良かった。『僕はウィーンに残る』の最後、「僕は、いまこそ自由だ」の部分や、『何故、愛せないの?』の最後の「なぜ愛せないの?」の部分などは、感情の入り方が目立っていた。初演は、曲を歌うことにいっぱいいっぱいだったのかもしれない。今回は、感情が溢れて歌につながる感じがよかった。パパが亡くなった後のシーンなど、感情の激しい場面の多い二幕中盤あたりからの芝居が、特にすばらしかった。かといって、歌がおろそかになっているわけではなく、初演より、声の出かたも伸びもよいし、声も少し変わったように思う。「ハムレット」や「ミス・サイゴン」での演技や歌の経験が、この再演できっちりと出てきたようで、井上くんの出演作品を観続けてきた私も、すごくうれしい。
そういえば、「ミス・サイゴン」では、男性キャストはメイクしていなかったので(演出家の指示)、ヴォルフガングが最初に舞台上に現れた時は、「化粧が濃い!」と感じてしまった・・・。すぐに見慣れたけど。「ファンタスティックス」でも、井上くん、メイクしていたはずなんだけどなぁ。今回は、席が、すごく舞台に近かったからかも。
他のキャストのみなさんも、初演とほぼ変わらず。
市村正親(パパ)・・・カーテンコールで、かわいいポーズをきめて、お茶目さんだった。
山口祐一郎(コロレド大司教)・・・素敵な歌声と、おトイレシーンで笑わせるのも相変わらず。
西田ひかる(コンスタンチェ)・・・声量がないから、ソロ曲が弱い。激しい『ダンスはやめられない』が聴きたいなぁ。
ヴォルフガングとのデュエットは、いい感じ。
久世星佳(男爵夫人)・・・優雅なんだけど、高音部で声が・・・。緊張でもされてたのかな・・・?
初演千秋楽のころのほうが、歌、よかった気がするので、これからに期待!
高橋由美子(姉・ナンネール)・・・初演と同じ。ちっちゃくて、かわいい。
ちょっと声がしんどそうな場面もあったけど、安心して見られる。
吉野圭吾(シカネーダ)・・・華やか!初演時より、目立つ気がする。
阿知波悟美(セシリア)・・・最後のシーンまで、すごい悪人なのに、なぜか嫌いになれない、不思議な役。
この人の持つキャラのせいかな。
アマデ役は、高橋愛子ちゃん。小柄で、すごくかわいかった。ヴォルフガングに対する厳しい表情は、初演ほどじゃないけど、子供なので、これからかな?(話はそれるが、舞台に登場した瞬間から、隣に座っていたエリザベート先輩が、「Eにそっくり!」と囁いてきた。そう、友だちに似ているのよ。Eさん、あなたよ、あなた!)
さて、この日、初日なので、カーテンコールで挨拶があった。総立ちの観客席を、市村パパのアドバイスで、井上くんが「長くなるので、みなさん、腰掛けてください。」と座らせる。井上くんの挨拶の後、演出の小池先生が呼ばれ、舞台端で挨拶。「成長した井上芳雄」という小池先生の言葉に、大きくうなずく。初日なので2、3の不手際があったことのお詫び。その後、作曲家のシルベスター・リーヴァイさんの挨拶。英語で少しと、メモを見ながら日本語で挨拶。「世界で最も素晴らしい『モーツァルト!』の公演は、日本の『モーツァルト!』です。」などと、うれしいことを言ってくれる。井上くんの締めの挨拶のあと、幕が下り、再度、幕が上がったときは、奥のセットにキャスト全員が座ってのお手振り。鳴り止まない拍手に、井上ヴォルフガングと、高橋アマデが手をつないで、舞台袖から走って現れ、下手、上手、中央と挨拶して、最後は高橋アマデを抱えて、井上くんが「ありがと〜!」。井上くん、いいキャラだな〜。公演初日というのは、キャスト・スタッフも感慨ひとしおなんだろうが、再演を待ち続けた私も、とても感激だった。今日観ることができて、ほんとによかった。
とりあえず、チケットは、あと手元に3枚あるけど、増やしてしまうかも・・・!
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