若い女性の喫煙6人に1 しわや肌荒れ、不快症状

 若い女性の喫煙者が依然として多い。二十代、三十代では六人に一人が喫煙している。だが、禁煙指導に実績がある東京農工大保健管理センターの阿部眞弓医師は「喫煙は健康だけでなく、美容や精神面にも悪影響がある」と指摘。「今はかつてと違って手軽に禁煙できる。市販薬やインターネットの支援サイトを上手に使って禁煙を」と勧める。(岩岡 千景)

 三十代で働き盛りのA子さん。職場でヘビースモーカーとして知られ、同僚から「A子さんがたばこをやめるなんて、あり得ない」と言われるほど。自らも「やめる気なんてないわ」と宣言し、堂々と吸ってきた。 ところが今春、職場が全面禁煙化され、喫煙できない体制に。A子さんは東京女子医大病院(東京都新宿区)を訪れ「禁煙外来」で相談。カウンセリングと、禁断症状を抑えるニコチン製剤「ニコチンパッチ」の処方を受けつつ、禁煙を始めた。

 口さびしくなり、太るのを心配したA子さんは、ダイエットも同時に開始。意識が減量に集中してたばこは二の次になり、禁煙に成功。「体重も減って肌の調子も良くなった」と喜んでいる。 同病院の禁煙外来を隔週月曜日に担当、A子さんを指導した阿部眞弓医師は「禁煙の際、一番大事なのは動機。本人の主体的な意思をどう具体的な行動に変えるか、カウンセリングで計画をまとめさせる」と説明する。

 厚生労働省の国民栄養調査によると、国民全体では喫煙者は減る傾向にあり、2002年の喫煙率は24・4%。減少が顕著なのは男性で、かつて50%を超えた男性の喫煙率は43・3%に。女性は全体では10・2%だが、二十代は17・3%、三十代は17・2%。十年前は10%前後だった両年代の喫煙率の増加が目立つ。

 阿部医師は「コマーシャルやドラマなどの影響で、多くの女性がたばこに『カッコイイ』『おしゃれ』というイメージを潜在的に持っている。だが現実はむしろ逆。しわや肌荒れ、早くからの骨粗しょう症を招き、老化を早める」と話す。 ほかにも、喫煙はがんや心臓病、脳卒中、肺気腫、ぜんそくなどの発症率や死亡率を高める。

 妊婦では流・早産や低体重児発生率を高め、家族など周囲の人々が受動喫煙した場合でも、同様の健康被害の危険を増やすと指摘されている。 女性の場合、喫煙による血液循環の悪化が肩こりや冷え性、頭痛、イライラなどさまざまな不快症状を起こすことも。「喫煙は薬物依存症で、恐ろしいのは『吸いたいから早く会話を終わらせよう』などと思考も支配されること」と阿部医師。

 依存の原因は、たばこの煙の成分のニコチン。喫煙者の場合、ニコチンは喫煙後四十分程度で血液中から半減。そうなると吸いたい気持ちが募り、イライラして再びたばこに手を出す。それがニコチンの離脱症状、いわゆる禁断症状だ。

 だが、現在は禁断症状を抑える製剤「ニコチンガム」が市販され、インターネットの禁煙支援サイトも充実している。

 ■ネット活用、上手に禁煙を その一つ「卒煙ネット」(http://www.sotsuen.net/ サービス料月額二百七十三円)は、携帯電話から接続でき、登録者は毎日、禁煙に成功したかどうかやニコチン製剤の使用の有無、たばこを吸いたい衝動の度合いなどを日誌に付ける。「どうしても吸いたいときはコンビニ探検で気分転換を」「飲み会では吸わない人の隣をキープ。禁煙中とさりげなく伝えて」など、状況に応じた医師のアドバイスメールも受け取れる。

 禁煙の通算日数が増えるとキャラクター「スワンちゃん」が美しく生まれ変わり、ゲーム感覚で利用者の約六割が禁煙を達成。阿部医師は「こうしたサイトを使って気楽に禁煙を」と助言している。 (東京新聞より)