灸療法の伝来

 

灸の記載は、我が国の神祗時代の記憶にはみられないが中国の『黄帝内経』や『千金万』などにみられる。

 このことから、灸療法は大陸医学の伝来とともに国内にもたらされたと考えられている。大陸医学書の伝来は、呉人・知聡が鍼科典籍(明堂図、薬書など)を携えて来朝した欽明天皇23年(562年)8月が嚆矢といわれている。

 その後の大宝令(701年)の医疾令(我が国の最古の医事制度。医学教育の内容、試験、入学資格、修業年限などが記されている)には、「医鍼の生は、各習はむ所に従ひて、古方を鈔して誦せよ。其れ上手の医、病を療さむ処有らば、其の随従をして、鍼灸すべき法を習い知らしめよ」とあり、鍼と灸の学習を定めている。