打膿灸について

 大きい艾柱、切艾などを用いて皮膚表層を焦灼・破壊し、施灸部に膏薬や発疱薬を貼って皮膚の不完全開放創を持続的につくる灸法。江戸期〜戦後の一時期までは、家伝灸としても行われていたが、昨今では一部の灸点所(弘法灸:東京都墨田区の遍照院灸点所、無量寺の灸:大阪市南区の無量寺など)を除いてほとんど行われなくなった。

 施灸局所は、通常、透明または淡白色の薄い膜が張ったような状態を呈する。化膿を起こすブドウ球菌やレンサ球菌などの細菌感染が発生すると、黄色の膿が排出する。打膿灸では、漿液性滲出物の排出を促進するが、黄色の膿汁は期待していないので、化膿時はその部を清潔に保つ。

 本灸法では、施灸時の強い灼熱痛、施灸後の化膿や発熱、瘢痕形成などをみるので事前に十分な説明を行い、必ず本人の理解・承諾を得てから実施する。