風しんは、発熱とともに全身に発しんが出現し、耳の後ろや首のリンパ節の腫れを伴うことが多いウイルス性感染症です。麻しん(はしか)とよく似た発しんが現れますが、比較的淡く、3日程度でおさまるため「三日はしか」ともいわれます。
春先から初夏にかけて流行することが多く、一般的には1歳から小学校低学年の子どもに多い病気です。ただし、子どもの頃に感染しなかった人や、ワクチン接種を受けていない人は、成人でも感染することがあります。
風しんで特に気をつけなければならないのは妊婦が感染した場合です。妊娠初期(20週以内)に妊婦が風しんウイルスに感染すると、胎盤を通じて胎児にも感染し、流産を引き起こしたり、出生児が先天性の心疾患、難聴、白内障になっていることが多いといわれます。
そのほか血小板減少性紫斑病、緑内障、小頭症、精神発達遅滞などさまざまな異常がみられることがあります。これらを先天性風しん症候群(CRS)といいます。
妊娠可能な方は、風しんに対する免疫力(抗体価)を医療機関で調べてもらい、免疫がなければワクチン接種を行うようにしましょう。ただし、接種後2ヵ月以内の妊娠や、接種後に妊娠していたことに気づいた場合、胎児に感染して先天異常を起こす可能性も考えられますので、ご注意ください。
◆風疹の予防接種、39〜56歳男性にも原則無料で 2019年から3年間
抗体検査と予防接種を無料にするかどうかは、各自治体の判断となります。
厚生労働省は12月11日、流行している風疹の感染拡大を防ぐため、2019年から3年間39歳〜56歳の男性を対象に風疹の予防接種を原則的に無料とすることを決定しました。
厚生労働省の健康局によると、まずは現在体に免疫があるかどうか調べる抗体検査を受けてもらい、免疫がなかった場合にワクチンを接種する方針。抗体検査とワクチンの接種を無料とするかどうかは、各自治体の判断となります。
風疹の流行を受けて国民全体として免疫をあげて流行拡大を防ぐために、これまで公的に無料で予防接種を受けられる機会が無かった30代〜50代男性に実施するもの。明確にいつから実施するかは未定です。
風疹は、風疹ウイルスによって引き起こされる急性の発疹性感染症。感染すると約2〜3週間後に発熱や発疹、リンパ節の腫れなどの症状が現れ、大人がかかると高熱や発疹が長く続いたり関節痛を認めるなど、小児より重症化することがあります。また免疫が不十分な妊娠20週ごろまでの女性が感染すると、眼や心臓、耳等に障害をもつ(先天性風疹症候群)子供が出生することがあり、決して軽視できない感染症です。