の研究

難経医学の選穴法研究(3)

 

(1)素難医学に於ける陰陽五行論について
1.素問 2.霊枢 3.難経
@五行穴の確立 A兪穴病証について B治療法則の完成 C難経医学の目的
(2)難経が論ずる選経、選穴論について
@45難について A49・69難について B50難について C33・64難について D63・65・68難について E62、66難について F69・79難についてG67難について H73難について I70・74難について J75難について K77難について
(3)難経68・69難の選穴論に対する問題点
@68難について A69難について
(4)選穴論の研究※以下次号に掲載
1.選穴論の基本は穴性論にあり
@難経に於ける穴性論の諸難 A五行穴の臨床的性格 B五味論と穴性論について C五味と五行穴について
2.要穴選穴の基本表
3.選穴論の基本要点
@五気と蔵気について A病症と病証について B脉状、脉証と選穴について C陰陽剛柔論に於ける選穴について D治療側と経穴反応の重要性 
(5)症例
@陽虚証の症例(火穴選穴) A陰虚証の症例(水穴選穴)B陰陽剛柔選穴の症例
(5)今後の選穴論研究について

 

6、要穴選穴の基本表について
  基本表の作成は、私の選穴論研究の基礎になると共に出発点であった。この基本表は、約四年前に作成したものである。参考にした文献は、「素問」「霊枢」「難経」等がその中心である。(資料1参照)

 基本表作成の目標は、臨床の場にて応用できる要穴は240数穴あり、この要穴運用の基本原則論につき研究する事にあった。
経絡治療を行なっている一般的な臨床の場に活用している要穴は三○数穴位って事足りており、その要穴運用にて一応の臨床効果は上げているとの事だが、それを詳細に考察してみると標治法のせめるウエイトがかなり大きなものである事が分かった。240数穴ある要穴を充分に活用していないのである。その為に本治法より標治法にその基本的な比重が大きくなってしまったのであると思う。これでは古典的鍼灸治療の真の実践にはならない。古典的鍼灸治療に於いては、240数穴の要穴を自在に応用し活用していたはずである。その応用法には原則的な法則が必ずあるはずだ。

 私の選穴法に対する研究は、この様に素朴な疑問よりはじまったのである。
難経医学を研究すると、様々なる選穴法が提示されている事に気づくのである。これ等を研究し臨床の場に応用活用すべき事が可能である。素問や霊枢等を研究すれば、選穴論に対する応用法はかなりなものが構築される事と思う。そして、選経選穴に対する基本原則がみつかるはずである。

 この難経や内経の選穴法には法則性が必ずあるはずで、それを研究していくと「五味論」に行きついたのである。選穴法の法則性の一つが五味論にあるようだ。ここより選穴論が基本的に構築されている事を確認したのである。
私の選穴論の研究も、この五味論を基本として三部構成によりはじまったのである。
その基本となる三部構成の中味は、五気と蔵気の考え方・病理と病症の考え方・脉状と証の考え方がそれである。この三部門よりの考察により種々なる文献に当り作成したのが「要穴選穴の基本表」である。しかし、先に述べたように、参考文献の基本は「難経」「素問」「霊枢」にある事は論をまたないのである。

 この基本表の作成は四年前であった為に、まだまだ臨床の場に病理の研究や応用が不充分であった。しかし、その後の研修により、臨床研究の中に病理考察を取り入れる様になり、選穴法の研究には病理の理解が最っとも重要であることを確信したのである。
そして、選穴論の研究は必ず選経法、治療実践における経絡の選経が大変に重要となり、臨床の場にあっては選穴といつでもセットで研究されていなければならないものである。つまり、選経選穴論として研究を行なわなければならない事が基本原則となる。
又、臨床の場における選穴法の基本は、経穴が持つ「気」について、いかにそれを活性化させるかにその真の目的がある。
前号にも書いた様に、病気とは五蔵精気の虚よりはじまり、この精気の虚が生じる為に病理の虚実が生じ、臨床の場における治療対象となる病気を発生させる事になるのである。
以下この気の作用について簡単に考察する。

気には基本的には次のような六大作用がある。

(1)栄養作用−人体を栄養する。
(2)推動作用−活動を推進する。
(3)温煦作用−蔵器組織を温める。
(4)防御作用−病邪より人体を防御する。又病邪と闘争する。
(5)固摂作用−異常発汗や出血・遺精を抑制する。
(6)気化作用−代謝機能(精気、津液)作用。

 しかし、気血の作用については、基本的原則論として気が動けば血も動くという「気血一体論」がある。であるから気が中心となるのであり、気についての充分なる理解が重要となる。

 気について「素問」「霊枢」等の文献を調べると、「漢方鍼医」第1号に書いたのであるが80種類以上の気についての名称や働き等が記載されている。しかし、この多種類に亘る気も先程述べた六大作用に集約できるのである。
経穴は気の出入する場所でありポイントとなるのである。経絡は気血が流行する道である。その様な経絡や経穴に対して、それを選経選穴し、取穴して、補瀉手法の治療をするのが「漢方はり治療」の大要となるのである。
さて、その選穴法の基本的な手順はどの様に実行されるかである。以下それについて論を進める。

(1)五気と蔵気について
  五気は五蔵の気を含めた五行の気の事であり、蔵気は、肝心脾肺腎の五蔵の気である。この中には胆・小腸、胃・大腸、膀胱・三焦の六府の気も含めるのが基本となっている。

<基本的文献>
「素問」四気調神大論第二・陰陽応象大論第五・蔵気法時論第二十二
「内経」では五気の事を、五蔵の気・五行の気(木火土金水)それに五香・五悪・五味・五色の気等を特に記載し主張している。この事は「五行色体表」に書かれた五種類の事象がすべて五気として応用されると理解して良いと思う。
そして蔵気も、簡単に言えば肝心脾肺腎の五蔵の気・蔵としての働きの気を総括したものであると理解して良い。
「素問」の四気調神大論に、人間は自然環境に順応して生活すれば健康であるが、この自然に逆らった生活をすれば病気になると記載されている。
この思想は「天人合一説」と言われるものである。これが東洋医学の基本原則となっているのであり、大変に重要となる考え方である。
われわれの臨床の場に於いても、この「天人合一説」を基本原則として、まず第一に四時と五蔵との関係につき研究し、臨床の場にて考察すべきである。

 五蔵と五気の関係も、四時との相関性より出てくる基本論である。四時は四季の事である。春夏秋冬の四季を言うのである。春は発生・夏は成長・秋は収斂・冬は貯蔵の時季となる。

 春は発生とは、生命あるものが生き生きとする時期である。この春の発生の気は冬の気より良く発生する関係となる。これが水生木の相生関係である。
この時期に「肝気」が旺気する。そして、人体にあっては肝蔵の気となり、血により発生するのである。肝気は収斂の気となり血によく収斂するのであり、肝蔵を旺気させるのである。

 夏は成長の時期である。生命あるものはこの時期に良く成長するのである。
この夏の成長の気は、春の気により良く成長する関係となる。これが木生火の相生関係である。
この時期に「心気」が旺気する。心気は人体の気を堅くしたり発散を押さえたりするのである。そして、人体にあっては心蔵となり陽気により成長するのである。心気は渋固の気であり、陽気の力や働きを強めて心蔵を強固にするのである。

 秋は収斂の時期である。自然界では収穫の時期となり物を取り入れる収斂の気が働く時期である。
この秋の収斂の気は長夏の気により良く収斂す関係となる。これが土生金の相生関係である。
この時期は「肺気」が旺気し、陽気を発散させるのである。そして、人体にあっては肺蔵となりこの陽気の発散より肺蔵を活性化させるのである。

 冬は貯蔵の時期である。自然界では秋に収穫した物を春にそなえて貯蔵するのである。生命保持の気が働く時期である。
この冬の貯蔵の気は、秋の気により良く働く関係となる。それが金生水の相生関係である。
この時期に「腎気」は旺気し、柔濡の気となり腎蔵を適度な柔らかさに保つのである。そして、人体にあっては腎蔵となり、水(津液)の気により良く堅くするのである。

 以上が五気と蔵気の基本的な関係と働きである。これを「素問」の蔵気法時論第二十二によりマトメると次の様に整理する事ができる。

 春は発生→肝蔵は発生の働き・肝気は収斂の気   夏は成長→心蔵は成長の働き・心気は渋固の気   秋は収斂→肺蔵は収斂の働き・肺気は発散の気
冬は貯蔵→腎蔵は貯蔵の働き・腎気は柔濡の気
 *脾蔵は栄養(気血栄衛)の働き 脾気は緩の気

 次に五蔵の気について論を進める。
五蔵の気は、肝気・心気・脾気・肺気・腎気の五気の事である。
「素問」調経論に、病気は精気の虚よりはじまるとあり、精気の虚が第一条件となりこの虚に乗じて病理的虚実や病症的虚実が、外感・内傷として発生し病気となるのである。

 この基本となる精気は、生命力の基本であり五蔵の中にある気である。いわゆる五気の事になる。
鍼治療による補瀉の内、特に補法の手技はこの精気の虚に対する手法となるのである。故に、この五気の作用を理解する事が大変に重要となる。

 肝気は精神的な気として「魂気」となる。
肝気は持続性が強い気である。
肝気は脉状にては弦脉を表わす。
肝気は怒気であり、五味では酸味が基本となる。
肝気は五邪では風邪の気に感受性が強い。

 肝気に対しての鍼治療は、肝血を補い収斂の気を強める事にその目的がある。収斂の気は集める・縮める・ゆるめる作用の気である。この肝気に作用させる経は木経であり、経穴は井木穴となる。これが臨床の場における選経選穴の基本となる。

 心気は精神的な気として「神気」となる。
心気は脉状にては渋脉を表わす。
心気を内より養うものは、精神的には喜笑の気であり、五味では苦味が基本になる。
心気は五邪では暑邪に感受性が強い。
心気に対しての鍼治療は、陽気に対する渋固の気を強める事にその目的がある。渋固の気とは、気を固める・発熱をおさえる・寒冷の気を温める・発散をおさえる等の作用の気である。この心気に作用させる経は火経であり、経穴は栄火穴となる。これが臨床の場における選経選穴の基本となる。

 脾気は精神的な気として「意智」となる。
脾気は営気・胃の気ともいわれ、生命力の基本となる気であり重要である。
脾気は脉状にては緩脉を表わす。
脾気を内より養うものは、精神的には思の気であり、五味では甘味が基本となる。
脾気は五邪では湿邪に感受性が強い。
脾気に対しての鍼治療は、営気に対する緩の気を強める事にその目的がある。緩の気とは営衛の気を循環させ潤し緩める気・栄養の気である。営気に対する緩作用を強化することは胃の気の活性化であり、後天の原気を賦活させることになる。この脾気に作用させる経は土経であり、経穴は兪土原穴となる。これが臨床の場における選経選穴の基本となる。

 肺気は精神的な気としては「魄気」となる。
肺気は比較的に持続性が弱い気でありよく変動する。肝気と反対の性格をもっている。
肺気は脉状として浮脉を表わす。
肺気を内より養うものは、精神的には憂悲の気であり、五味では辛味が基本となる。
肺気は五邪では燥邪や寒邪に感受性が強い。
肺気に対しての鍼治療は、陽気に対する発散の気を強める事にその目的がある。発散の気とは、?理の開闔を良くし、気の交流をスムーズにする作用の気である。この事は体温調節作用になる。この肺気に作用させる経は金経であり、経穴は経金穴となる。これが臨床の場における選経選穴の基本となる。

 腎気は精神的な気としては「精気」となる。
この精気は先天の原気とも表現される生命力の根元でもあり重要なる気である。
腎気は虚し易い気であり、手法も「補法」が基本となる。
腎気は脉状として石脉を表わす。
腎気を内より養うものは、精神的には驚の気であり、五味では鹹味が基本となる。
腎気は五邪では寒邪・水(湿)邪に感受性が強い。
腎気に対しての鍼治療は、腎水(津液)に対する柔濡の気を強める事にその目的がある。柔濡の気とは、津液に対して潤おし柔らかにする作用の気である。この腎気に作用させる経は水経であり、経穴は合水穴となる。これが臨床の場における選経選穴の基本となる。
漢方はり治療の臨床実践にあっては、この様な五気の作用や働きを知り、その五気の気を活性化させる為に選経選穴論を活用するのである。

(2)病理と病症について
  漢方はり治療の臨床実践にあっては、表わす病症の病理を把握することが正しい証を決定する事であり、臨床実践の基本となっている。
そして、病理を臨床の場にて研究する事が選経選穴論研究の主要部門となるのである。この様に、臨床実践の基本である「病理と病症」について「素問」の調経論第六十二に大変に重要なる論が展開されている。
『陽虚スレバ則チ外寒シ、陰虚スレバ則チ内熱シ、陽盛ンナレバ則チ外熱シ、陰盛ンナレバ則チ内寒ス』(調経論)
この条文は、私の理解では古典鍼灸医学の『証』の基本になる理論であると思っている。

 この条文を簡単に整理すると次の様に解釈できる。
『陽気が不足すれば、又は虚すれば外表が冷えて、悪寒・痛症・麻痺等の病症を現わす。反対に陽気が多くなれば、又は実すれば外表は熱病症を生じ、発熱・腫物等の病症を現わす。
陰気が不足すれば、又は虚すれば内側に熱症状が現れ、便秘・口渇・四肢倦怠感等の病症を現わす。反対に陰気が多くなれば、又は実すれば内側が冷えて、下痢・原気不足・手足厥冷・冷症等の病症を現わす。』となる。
そして、この陽気・陰気の基本病症について、「霊枢」の陰陽応象大論第五に『陽勝テバ則チ熱シ、陰勝テバ則チ寒ス』の条文がある。
これは、陽気が多くなれば、又は実すれば熱を主とした病症を現し、陰気が多くなれば、又は実すれば寒を主とした病症を現わすとしている。この論の展開は、古典医学としての病理の基本原則である。そのポイントは、陰陽虚実を基本とした、陰気・陽気の過不足論にある。
実地臨床の場にあっては、陽気・陰気の正しい理解が『証』を決定する要となる。

 陽気・陰気の作用や働きは次の様に整理できる。

<陽気>
@活動的・熱性の気
A?理の開闔作用により体温調節や温煦の働きをする気
B陽道(経)に多くあり、実し易い気
C陽気は盛んになると少気となる性質がある。変動の激しい気である。

<陰気>
@消極的・寒性の気
A陰気は生命の基本である精を蔵する気
B陰道(経)に多くあり、虚し易い気
C陰気はあらゆる機能の原動力となる気

 この様な作用や働きを有する陽気・陰気を臨床的に考察すると、陽気の不足が陽虚証となり、陰気の不足が陰虚証となる。又、陽気の過乗が陽実証であり、陰気の過乗が陰実証となる。これが証の基本である。
古典医学の臨床は、内経の「気血水論」を基本として構築されている。即ち、気は陽気の代表であり、水は陰気の代表である。問題は血の理解である。「難経」の気血論においては、血は陰に位置づけられている。しかし、内経においては、血はその生理的作用により基本的には陽に位置付けられているのである。この様な基本的考え方が臨床実践の場にあっては重要となる。

 ここで、この陽気・陰気を基本とした「調経論」の基本証につき、病理としての陰陽虚実よりそのポイントを纏めると次の様になる。
<陽実証>
陽気が陽の部位(陽経・府・陽蔵)に多くなり停滞・充満した状態である。病症は、熱症・実症を現わす。?理は表が充満し硬くなり圧すると痛みを感ずる。

<陽虚証>
陽気が陽の部位に不足した状態である。病症は寒症状を現わす。?理は表が麻痺し、肌肉は堅くなり冷える。そして、温を好む様になる。
陽虚証には、病理的に陽気(肺気・衛気・営気)不足と、血そのものの不足による二種類がある。

<陰虚証>
精気虚の陰虚証が証の基本となる。臨床の場にて治療対象となる陰虚証は、陰気(水・津液)が不足した状態である。病証は、陰の部(陰経・蔵)の陰気が不足して虚熱(内熱)の病症を現わす。

<陰実証>
陰の部位(陰経・蔵)に熱や血が停滞・充満した状態である。病証としては、?血病証を生ずる。(熱血室に入る)

<陰盛証>
陰の部に寒の性質をもったもの(陰気・津液・水)が旺盛になった状態である。病証として内寒の病症を現わす。(資料2参照)

 「調経論」にては更に詳しく四大基本証につき記載している。それを簡単に意釈する。
@陽虚外寒証
陽気は上焦(肺・心)にあって全身を循り身体を温めている。陽気が寒湿等の邪気により虚した時には陽気が身体の外部に通じなくなる。そして、そこに寒気だけが留まる事になりこの証を現わす。
基本脉状は、沈虚遅?となる。

A陰虚内熱証
過労により内部の気が虚し飲食物が摂れなくなり、上中下の三焦が通じなくなる。常体では体内の熱は上焦から陽気が外ヘ、下焦より大小便として外に出ていくが、病体ではこれ等が通じなくなる。故に中焦に熱気がウッ滞し、胸中に熱を持つ為にこの証を現わす。
基本脉状は、浮虚数しょくとなる。

B陽盛外熱証
外邪(風湿)が侵入した時、上焦にある陽気が充分に活動しないと?理の働きが悪くなって?理が閉じて汗腺が塞がってしまう。その為に陽気である衛気体表部に充満し、それにより外熱を発生しこの証を現わす。
基本脉状は、浮実数滑となる。

C陰盛内寒証
精神的過労の為に五蔵の気が逆上し、足のほうから胸中まで冷えてくる。この時に陽気が充分に循らないと血まで冷えて滞ってしまう。血実は経脈の流れを悪くする。その為に身体の内部まで冷えこむ様な病症を発生し、この証を現わす。
基本脉状は、沈実遅しょくとなる。

 次に陽虚証と陰虚証の病理による選穴の基本につき論を進める。

<陽虚証>
この証の臨床の場における基本病理と病症は、陽気や陽分不足の証・津液代謝(気化作用)衰退の証・陽虚外寒の証・気虚血虚証等を現わす。この証は、陰分も虚であるがそれ以上に陽分が虚している病症である。
一般的病症として、四肢厥冷・全身倦怠感、表寒・自汗・悪寒・皮膚乾燥(冷)・原気不足・微熱(陽虚発熱)・身熱病症(虚熱)等を現わす。
この陽虚証の基本的選穴は、栄火穴と経金穴になる。勿論、兪土原穴も選穴できる。

<陰虚証>
この証の臨床の場における基本病理と病症とは、陰気や陰分不足の証・津液虧損の証・陰虚内熱の証・三陰(肝腎脾)の虚証・腎陰虚弱の証・腎虚・虚労・労倦・血虚証等の病症を現わす。一般的病症として、皮膚枯燥(温感)、手足煩熱・消痩・口燥咽乾・不眠・肺燥・(血痰・咽痛・声ガレ)・逆気・足冷・虚労・労倦・上部病症(頭痛・肩頚コリ・眼赤・耳鳴・鼻塞)・陰虚内熱・血虚・筋攣・筋痛・盗汗等を現わす。
こ の陰虚証の基本的選穴は、合水穴と兪土原穴になる。

 今回はここまでとする。次号にては、病理と病症の続きである。難刑六十八難の五兪穴病症の選穴と下合穴・絡穴・w穴の病症と選穴について論を進める。  

  <資料2>基本証の病症(小里氏作成)

1.陽虚証の病症

悪寒・悪風・手足厥冷・真寒仮熱・発熱・無汗・自汗・夏に無汗・下痢・食後すぐ排便・腹痛のない下痢・生理中の下痢・房事過度になると下痢・常習下痢・小便自利又不利・夜間頻尿・食欲不振・腸鳴・ゲップ・嘔気・口内炎・食欲あるも食べられない・食欲不振でも無理すれば食べられる・不眠・夜間覚醒・生理痛・不妊症・月経過多か少・不感症・頭痛・腹痛・下腹痛・偏頭痛・腰痛(寒)・目痛・倦怠感・喘息・呼吸困難(温まると改善)息切れ・動悸・関節の腫痛、変形・肩こり・精力減退・原気不足・めまい・恐れ易い・鼻乾・気うつ・筋肉のひきつれ、こり

2.陰虚証の病症

発熱・胸熱・潮熱・寒熱往来(更年期)・暑がりで寒がり・手足煩熱・(特に足・春夏熱・秋・冬冷)・多汗・無汗・汗少・首から上に多汗・賁豚気病・便秘・下痢・無痛下痢・大便硬又軟・小便自利又不利・食欲旺盛・食欲不振・疲れると食欲無し・不眠・口渇・生理不順・不妊症・足腰の冷え・胸痛・頭痛・偏頭痛・頭重・浮腫・動悸・息切れ・肩こり・湿疹・めまい・咳・喘息・喉喉のイガイガ・温まると咳が出る・呼吸困難・易疲労・全身の倦怠感・筋肉の引きつれ・硬直・麻痺

3.陽実証の病症

高熱・悪寒・発熱・発赤・潮熱・熱苦・無汗・多汗・手足の多汗・頭汗・便秘・下痢・小便多利・小便不利・不眠・口渇・月経閉止・頭痛・関節痛・腫諸症・目痛・喉喉痛・腰痛・頚背のこり・ジン麻疹・湿疹・肩こり・足冷え・黄疸・胸満・嘔吐・心煩・蓄膿症・鼻茸・鼻炎・へルペス

4.陰実証の病症

継続的微熱・下半身冷えやすい・潮熱・盗汗・上半身に汗が出やすい・食欲減退・下痢・便秘・不眠・口渇・生理痛、不順・更年期症状・月経時の発熱・胃痛・胸やけ・頭痛・耳鳴・上気・冷えのぼせ・関節痛・動悸・神経症・うつ病症・慢性肝炎・水の多い肥満症