◆講演  古典文献の気と臨床における気について
  1. はじめに
  2. 気の思想と漢方鍼医会創設の意義
  3. 気の分類
  4. 気の治療上での応用
  5. 生理の気について  
  6. <参考>血脈、経脈について

2006年8月29日

○はじめに
 『黄帝内経』は、「精気神論」をその根本的な理論として古典医学の学と術を展開している。そして、この精気神を基本としその分布する部位と作用の違いによって「気」に80余種の名称を与えたのである。
古代中国人は、この重要なる「気」をどのように考えていたのであろうか。「気」とはもともと一つの哲学的概念であった。気の概念は「内経」が世に現れる前からすでに生まれていたのであり、天地万物を構成する根源的なものを「気」と捉えていたのである。例えば、老子の『道徳経』では「万物は陰と陽の性質をもち、中気がこれを調和する」とある。『荘子』には「気が変化して形が生じ、形が変化して生命が生じる」と説かれ、また『管子』には「精とは気の精髄である」としている。
人体に於ける気の概念として、重要なる「原気」についての考察は「難経」より始まったとされる。「難経」は「内経」の気の理論を継承し、かつ補充・発展させ正しく体系づけたのである。「内経」「難経」以後、歴代の医家は「気」を更に重視し、人間の生命活動や生命現象を研究したのである。例えば、李東垣は「胃気」を論じ、汪機は「営衛の気」を唱えたのである。
この様な重要なる「気」について、その本質論につき現代中国をはじめ内外の学者により研究が盛んに行なわれた。一般的に「気」の本質に関する認識は、物質論・エネルギー論・情報論の三種に分けられるようである。
しかし、「気」に対する私の理解は簡単である。「気」とは作用である。「気」とは生命現象の働きそのものでありそれ以外のものでは無い。そして、東洋的概念は東洋の言葉で説明すべきであり、物質とか情報とかエネルギー等々で語らずとも臨床の場では何も不自由しないのである。「気」についての物質・情報・エネルギー説も間違いではないとは思うが、私にはどうしても違和感が拭えないのである。

1.気の思想と漢方鍼医会創設の意義
漢方医学は古代中国の地にて発生し体系された経験的臨床医学である。
中国人の思考方法の基本は、実際に働きをなすものは眼にみえないが感覚的に感知されるものにこそ意味があるものと認識し、それの実証を体系し構築してきた。
漢方医学体系の根幹に「気の思想」を位置ずけたのも、この様な思考感覚によるものであろう。
私は、東洋はり医学会時代より難経71・76難に注目してきた。正統な鍼灸医学の手法における補瀉の原則もここにあると当時より感ずいていた。

<資料1>難経71難
七十一難に曰く、経に言う、営を刺すに衛を傷ること無く、衛を刺すに営を傷ること無かれとは、何の謂ぞや。
然り、陽に鍼するには、鍼を臥せて之を刺し、陰に刺すには、先ず左手を以て鍼する所の営兪の処を摂按し、気が散じて乃ち鍼を内るるなり。是れを営を刺すに衛を傷ることなく、衛を刺すに営を傷ること無かれと謂うなり。
《要点》
営衞の基本的刺法について論ずる。
陽と陰の深浅における基本刺法について論ずる。

<資料2>難経76難
七十六難に曰く、何をか補瀉と謂うや、之を補うときに当って、何れの所より気を取り、之を瀉するときに当って、何れの所に気を置くや。
然り、之を補う時に当っては、衛より気を取り、之を瀉する時に当っては、営より気を置くなり。其の陽気が不足し陰気が有余なるときは、当に先ず其の陽を補って後に其の陰を瀉すべきなり。陰気が不足し陽気が有余なるときは、当に先ず其の陰を補って後に其の陽を瀉すべし。営衛は通行す。此れ其の要なり。
《要点》
営衛の補瀉原則論について論ずる。
先補後瀉の原則論について論ずる。
陽気不足・陰気有餘と陰気不足・陽気有餘の補瀉法について論ずる。

 漢方鍼医会を創設し、毎月の研修会で難経を参考資料として臨床研修を継続してきた。その様な研修活動の中にあって、会員の森本・二木両氏の臨床研究は「営衛の手法」を臨床的に構築するために貢献され、手法として結実してきた事は大きな収穫であった。現在、漢方鍼医会において臨床研修を継続している。まだまだ臨床構築はされてはいないが今後とも研修を続けていく重要課題となっている。
漢方鍼医会創設の意義は、病理の臨床学としての研修・選穴論と手法の臨床的な研修がその主体である。これ等の研修を通して患者に説明が出来、治療家自身も納得できる学術構築を目標としている。また、正統医学の漢方鍼医養成も大きな目的となっているのである。

2.気の分類
「内経」で説かれている気は、天文・地理・人事におよび80余種の気の概念がある。これ等を簡単にまとめると次のようになる。
@自然界の気→外的環境と運動法則
A人体生理の気→生理活動・働き
B病邪の気→病因
C薬物の気→薬物の効能
「気」の具体的分類法は、「以名命気」と「以気命処」の二方法である。つまり、変化により気の名称を正す、蔵気にもとづいて名称を付けるのである。
「以名命気」は、固有名詞にて正すのである。天地の気・六淫の気などがそれである。機能、作用と意味により類似したものを選び出して名称をつける方法である。宗気・営気・衛気などがそれである。
「以気命処」は、気が存在する具体的部位により名称を付ける方法である。心気・肺気・血脈の気などがそれである。
「内経」に於ける気の命名法には、相対的であるという特徴がある。例えば、陰陽の気・清濁の気・正邪の気・天地の気・営衛の気等々である。

3.気の治療上での応用〈治療の重要点〉
正気を助けて邪気を除く→調気の法
衛気の調和→外感病の表証は消える
営気の充実→血が盛んになる
脾気充実→湿邪が除かれる
肺気充実→咳・痰が消える
腎気充実→四肢厥冷が取れる
肝気充実→血虚が改善される
心気充実→血流が盛んとなる

4.生理の気について
伝統的な鍼灸医学の「気」の概念として、臨床上最も重要となるものは生理の気についての正しい理解にあるものと考える。
「気」の生理的特徴は、和と通にある。気が滞りなく運行しているのが「通」であり、気が調和し、津液が形成されて神気が生ずるのが「和」である。
和→気の平衡状態(調和)
通→気の運動・運行(昇降・出入・転化・循環)
人体に於ける気の作用の和と通が正常になっておれば健康な状態とするのである。
気の基本的な生理的作用としては以下のものがある。
栄養作用→人体の栄養
推動作用→血液・津液の運行
温煦作用→体温・蔵府の気
防御作用→外邪の防御
固攝作用→血液・津液の流出防止
気化作用→精・血・津液の代謝

 生理の気(人気)は人体の生理活動に関係した気である。これを分類すると以下の諸種の気がある。
気の陰陽
陰→陰気→濁気
陽→陽気→清気
真気→基本的な気・気の根本
精気→気は精を生ずる→変化して気となる
神気→神
大気→自然界の気
穀気→水穀の気
宗気→大気と穀気がまじり合い胸(上焦)に集まる気
営気→宗気が脈内をめぐる気
衛気→宗気が脈外をめぐる気
中気→中焦に分布する気
五蔵の気→肝気・心気・脾気・肺気・腎気
経絡の気→経気・絡気・兪気
血気→血脈の内をめぐる気
頭身耳目の気→諸気あり

@精気(精)
素問(上古天真論・五蔵別論・金匱真言論・調経論・通評虚実論・厥論・九鍼論・奇病論・六節蔵象論)
霊枢(本神篇・決気篇・衛気篇・小鍼解篇・営衛生会篇・五味篇・大惑論等)
内経医学の基本的な気の概念である。
生命の基礎→万物を構成する根源で人体の生長、発育、生殖、老衰と密接に関係する気。精気は正気であり、穀気の変化した本質である。(李中梓)
穀気より化成された精微な気。営気・衛気・後天の精のこと。

A神気(神)
素問(天元紀大論・四気調神大論・六節蔵象論・調経論・生気通天論等)
霊枢(本神篇・小鍼解篇・営衛生会篇・天年篇。経水篇・九鍼十二原篇等)
神は気の本性にして変化しつつある気也→心に蔵す(真気)。
『陰陽不測、コレ神也』→易伝。
神気は正気であり、生命活動の集約された表現也(臨床診断の要点)。
神気の作用としては、
外邪の防御
病気への抵抗力
栄養の摂取
経絡の疎通
舌や筋肉の働き
発音・視力…の効能
鍼・薬等の効能作用

B真気(人気・正気)
素問(離合真邪論・上古天真論・評熱病論・調経論)
霊枢(刺節真邪論・邪客篇・官能篇)
真気は原気也→生命活動基本の気。
生気(宗気)と水穀の精気により補充される。
先天、後天の原気・陽気陰気・衛気営気・胃気充気(脾気)、宗気、中気、元陽元陰の気(下焦)等の気の別称也。

C正気(真気)
素問(刺法論・四時刺逆従論・離合真邪論等)
霊枢(小鍼解篇・刺節真邪篇)
邪気に対する気。
正気の強弱→体質・精神状態・生活環境・栄養・鍛錬等により関係する。
正気不足→虚証 邪気盛→実証
◆邪気がある時は必ず正気は虚している。

D大気
素問(五運行大論・気穴論・調経論・離合真邪論)
霊枢(五味篇・五色篇・刺節真邪論・九鍼論)
大気は空気と体内の宗気也→胸陽の気。
三焦の気と相通じる気である。臨床的には、心・肺・三焦と密接な関係がある。

E宗気(大気)→定処の気
素問(平人気象論)
霊枢(邪気病府病形篇・邪客篇・刺節真邪篇)
上焦からでて胸中に集まる気、呼吸の気と飲食物(水穀)の精気が結合した気の事。
人体の諸気の中心となる。衛気営気をめぐらす気。
上昇→呼吸作用
下降→血流作用
呼吸・言語・音声の強弱や身体の寒温、運動能力に関係する気である。
だん中は宗気の集まる部位也→気海。
宗気と心肺、三焦→脉・血・気・水と関係する。
宗気と胃・腎→気血の生成(胃)・納気(腎)と関係する。
宗気の虚実診→左乳下部・呼吸、言語の気にて診る(虚里の動)。

F血気→経脈を流れる営気と衛気の一部
素問(調経論・八正神明論・陰陽応象大論・調経論等)
霊枢(本蔵篇・決気篇・癰疽篇・営衛生会篇・天年篇・血絡論・経脈篇・邪気病府病形篇・五音五味篇・陰陽二十五人篇・逆順篇・口問     篇・五味論・癰疽篇眼・風篇・九鍼十二原篇・官能篇)
血は気を源として脈中を流動する気であり、肉体を構成する重要なものである。
血は気を蔵している。
気と血は不可分→気が主也。
血気は営気であり、人体の生命活動の基礎となる。→衛気も含まれる。
血虚→健忘症・不眠症・失明・シビレ・半身不随症・倦怠感・寒症・四肢厥冷。

G中気→定処の気
素問(瘧論・脉要精微論・痺論・至真要大論)
霊枢(口問篇・九鍼十二原篇・通天篇)
中焦の気→脾胃の気。
内蔵の気→皮膚、体表の気に対して。

H衛気・営気→循環する気
素問(痺論・五蔵生成篇・八正神明論・逆調論・風論・調経論・瘧論・生気通天論・気穴論等)
霊枢(営衛生会篇・衛気篇・邪客篇・本蔵篇・営気篇・決気篇・脹論・衛気行篇・刺節真邪篇・経脈篇・歳露論・癰疽篇・五乱篇・寿夭剛    柔篇・大惑論・禁服篇・衛気失常篇等)
営衛の気は、中焦にて脾胃の働きにより水穀より生ずる。
合陰→営衛の気が一昼夜に50周して夜中に陰(五蔵)に集まる事。
営気→陰・脈内・血生成し全身の機能を働かせる。血をめぐらす気。
衛気→陽・脈外・蔵府、?理の温煦・汗腺の開閉等の作用により外邪の侵入を防御する。循環している陽気。衛気は慓疾滑利の気。
命門の火(腎の陽気)→腎経から侵入する衛気である。

 ◆<参考> 血脈・経脈について
ここで、臨床上重要となる「血脈・経脈について」考察する。
血脈→血(営血)がめぐる。
経脈→血気が流れる。
血気→衛気(陽) 営気(陰) 蔵気(肝気・心気・脾気・肺気・腎気)がめぐる。
経脈外→衛気がめぐる。
※衛気と営気は転化する。転化とは、営気より衛気に衛気より営気に変化する事。

 1.明・汪機の説→営衛の気について
衛気は陽、営気は陰である。→衛気営気は不可分と考える。
汪機は営気を重視する説をとる。
補瀉→営気の陰陽に対する手法。
陽の補は営気の陽を補す事→衛気の手法か?
陰の補は営気の陰を補す事→営気の手法。
2.衛気主体説→喩昌(16世紀、大気を主説)
「営の中に衛があり、衛の中には営があり・・・」
喩昌は衛気を最も重視し、衛気を臨床の場で自覚することを強調する。
3.営衛理論と気血理論の結合→清・葉天士説(温熱論)
温病の病理に応用する。→衛気営血論

 汪機は営気を重視する説をとり、喩昌は衛気を大変重視した説を採ったようです。そして、汪機は、営気に陰陽の気を考えて臨床に応用した。
汪機は営気に陽と陰を分けて臨床に応用した。しかし、手法は「鍼」ではなく「湯液」として応用したようです。汪機は、鍼は「瀉法」としての効果しか認めてはいないようですね。
汪機に限らず、当時の中国医学の鍼灸術においては、鍼はほとんど瀉法としての効果しか考えられなかったものと理解している。当時のはり製作は、現在では考えられないほどの大鍼しか製作が可能ではなかったという現実があると思う。この様な事実は大変に重要となる。
つまり微鍼に対する理論や技術は持っていても、実際には大鍼が主流であると言うことです。それと、肝の疏泄作用を中心にした治療体系が今から千年ぐらい前から中国では行われ、今日もそれが続いていると思う。衛気よりは営気、つまりは血に作用する鍼を中心とした治療体系が主流であり、瀉法と考えてもかまわない。
また、現代中国でも素問・霊枢は簡単に手に入るが『難経』については全くと言ってよいほど見かけない。『難経』に関しては、ほとんどが文化大革命で身分を失った知識人たちが台湾に持ち出したとも言われている。

 血脈・経脈・脈外について、いろいろと文献を見たがどこにも書いてない。
古典には、経脈の中を「血気」が流れるとしている。「気血」ではない。血気の中身は衛気営気である営気が経脈の中を流れていると言っているのです。
しかし、大部分は「営気」でしょう。衛気の一部は流れているとは思う。衛気は脈外を覆っている。本会は、この説をとり研修会で研修している。
血は営血としたほうが臨床には応用できる。営血は「血脈」の中を流れているとしたほうが自然である。現在の「脈管」と同義としても良いと思う。
血が「血脈」の中を流れ、衛気営気は「経脈」の中を巡っているのだ。そして、衛気の大部分は「脈外」これは「経脈外」である。このような考えが自然である。  
そして、衛気営気・営血はすべて「転化」する。人体の病理の元は「津液」が主であると思う。津液から、血・営気・衛気が生成される。
勿論「宗気」も重要である。難経が説く「命火」や「原気」の理論も大切であり、これらのものが、人体の中でクロスし生体を維持しているものと理解している。

I清気・濁気
素問(陰陽応象大論・五蔵別論)
霊枢(陰陽清濁篇・動兪篇・邪気蔵府病形篇・五乱篇・九鍼十二原篇・小鍼解篇)
相対的な二種類の性質の気也。
清→陽・上昇性・浮・軽い・流利・天気
濁→陰・下降性・沈・重い・滞る・食気
霊枢「営衛生会編」
「清なるものは営気となり濁なるものは衛気となる。営気は脈中をめぐり、衛気は
脈外をめぐる」
清→陰・営気
濁→陽・衛気

J陽気・陰気
素問(生気通天論・陰陽応象大論・天元紀大論・調経論・厥論・上古天真論・生気通天論・痺論・病能論・脈解篇・逆調論・痿論・脉要      精徴論)
霊枢(終始篇・刺節真邪篇・五邪篇・口問篇・玉版篇・脈度篇)
陰陽二気の働きは生命活動の源泉也。
人の生命は陰陽の気にある。陰気は骨肉となり、陽気は精神となる。
陰陽二気の医学思想は古典医学理論体系の基本である。
陽気、陰気を分類すれば
陽気→天気・春夏・清気・大気・衛気・神気・心肺の気・風、暑、火、燥邪気
陰気→地気・秋冬・濁気・血気・営気・精気・肝腎脾の気・寒、水、冷、湿邪気
陰陽二気は不可分也→陰中陽・陽中陰。
発病の原因・病症・生理・病理等は全て陰陽二気の失調により説明できる。

K人気
素問(気交変大論・診要経終論・生気通天論)
霊枢(陰陽繁日月論・順気一日分為四時篇・衛気行篇・刺節真邪篇)
人体を構成する基本的な気である。
陰陽の両側面をふくみ相互に依存し制約している。
陰陽の二気は永久に止むことのない運動変化であり、人体の生命活動の原動力と源泉を構成している。

L五蔵の気→定処の気
素問(五蔵別論・五蔵生成論・生気通天論・蔵気法時論・王機真蔵論)
霊枢(九鍼論・五閲五使篇・九鍼十二原篇)
肝・心・脾・肺・腎気の総称也。(六腑の気も含む)。

 1.心気(小腸気)
素問(四気調神論・生気通天論・玉機真蔵論・評熱病論・痿論・奇病論・大奇論)
霊枢(本神篇・脈度篇・天年篇)
心気(心の蔵気)→火・夏・赤・苦味・喜・顔・舌・小腸
心は神を蔵し血脈を主る→精神活動・思惟・心(血脈)

 2.肺気(大腸気)
素問(四気調神大論・玉機真蔵論)
霊枢(本神篇・脈度篇・経脈篇・天年篇)
肺気(肺の蔵気)→金・秋・白・辛味・悲・体毛・鼻・大腸
肺は気を蔵し呼吸を主る→百脈を集める。人体の気はすべて肺気に支配される。
水道を調違する→体液の調整。

 3.脾気(胃気)
素問(経脈別論・太陰陽明論・玉機真蔵論・痿論・生気通天論・逆調論・平人気象論)
霊枢(脈度篇・天年篇・動輪篇・口問篇・大惑論・四時気篇)
脾気(脾の蔵気)→土・長夏・黄・甘味・思慮・唇・肌肉・口
胃脾は営気を蔵し運化(飲食物)を主る→後天の原気、統血作用
脾気は水邪を抑える→湿気を抑える働き。肺→水分調達 腎→水分支配
脾気の虚→湿気・水分停滞→水腫 
脾胃論→金・李東垣の説→「体内で脾胃をそこなうと百病がおこる」
胃陽(胃気)の重要性を強調する(葉天士)
◇胃気(五蔵六府の海・五蔵の本・飲食物の海)
後天の原気
診察→脉状→胃気あり(緩脉)
舌苔→徴白苔
そう理→ツヤ有

 4.肝気(胆気)
素問(水熱穴論・四気調神大論・玉機真蔵論・痿論)
霊枢(本神篇・脈度篇・天年篇)
肝気(肝の蔵気)→木・春・酸味・怒り・爪・眼・胆
肝は血を蔵し疏泄を主る→血海也。
疏泄→疎通と排泄。
@全身における気の疏泄の機序を主る
A消化吸収の促進
B感情や意志の活動を主る
C生殖に関係する
精液の調節→肝腎二蔵が関係する
月経不調・不妊症→肝に原因あり
肝気→病理(病証)
肝気鬱結
肝気犯脾
肝気上逆

 5.腎気(膀胱気)
素問(上古天真論・四気調神大論・生気通天論・玉機真蔵論・逆調論・痿論・大奇論・通評虚実論)
霊枢(本神篇・脈度篇・天年篇)
腎気→腎の蔵気(腎陰・腎陽)
腎陰→元陰・真陰→陰液の根本(滋陰・滋養作用)
腎陽→元陽・真陽→陽気の根本(温煦・養成作用)
水・冬・黒・鹹味・恐れ・髪・二陰・耳・骨・膀胱→体内では相火に関係有。
腎は精を蔵し体液を主る→腎陽の気化作用(水液)
納気を主る→気の根本
気逆・喘息と関係有・腎間の動気→呼吸の門

M経気・絡気・兪気
素問(陰陽別論・生気通天論・四時刺逆従論・皮部論・大奇論・通評虚実論・宝命全形論)
霊枢(歳露論・五閲五使篇・終始篇)
経絡の中を運行する気也。
経、絡、兪気の変化を通じて、気血の虚実診断ができる。

N穀気(酒気)
素問(経脈別論・陰陽応象大論・熱論・調経論)
霊枢(玉版篇・営衛生会篇・五味篇・経水篇・終始篇・官鍼篇)
五穀・水穀中の精徴なる気→食気とも言う。
穀気→胃にて消化・吸収されて、脾・胆・小腸・大腸・三焦に運化される。
穀気と呼吸の気が結合→後天の気となる。穀気が変化して経絡の気となる。
酒気→五穀の液。神気が旺盛・血気を緩和・邪気を散ずる作用がある。

O五気
素問(六節蔵象論・五蔵別論・奇病論・陰陽応象大論)
霊枢(五閲五使篇)
◇内経に於ける五気の意味と内容
1.五香→燥・焦・香・腥・腐の五気。鼻から入り肺に貯蔵され五臓に分配。
2.五悪→風・暑・湿・燥・寒
3.五味→酸・苦・甘・辛・鹹
4.五蔵の気→肝気・心気・脾気・肺気・腎気
5.五色→青・赤・黄・白・黒
6.五行の気→木・火・土・金・水の五気


<参考文献>
1. 中国医学の気 (東洋学術出版社)
2. 中国鍼灸各家学説 (東洋学術出版社)
3. 素問・霊枢・難経 (日本内経医学会)
4. 選経選穴論と脉状診 (漢方鍼医会)
5. その他