◆朝日新聞より転載 [患者を生きる・バックナンバー] |
|
シリーズ 患者を生きる |
|
<患者を生きる-6> 情報編
女性のうつ 見分けにくい更年期障害
|
|
◆うつ病は女性に多い。 厚生労働省研究班が02年度に実施した疫学調査によると、調査時点でのうつ病経験者は男性が4.6%に対し、女性は9.7%だった。調査に携わった慶応大の大野裕教授(臨床精神医学)は、背景に「身体的な要因と社会的な要因がある」と説明する。 社会的要因は女性の置かれている立場を指す。男女機会均等が進みつつあるものの、会社などで女性の立場が弱いことは多い。家庭でも、家事や育児は「やって当然、できて当然」と思われがちで、大きなストレスになるという。 「患者を生きる 妻の重荷」で紹介した2人も、当初行った婦人科や内科では「更年期障害」と言われている。 大野教授は「診察の際、体の不調は訴えても、憂うつ、いらいらなどの『気分』は訴えない患者さんが多い。できるだけ医師に伝えることが、判断を助ける」と話す。 うつ病治療の基本は、休養と薬物療法だ。しかし、家事や育児を担うことの多い女性は、自宅でしっかり休むのが難しい。昨日までできていたことが今日できなくても「怠け」ととらえないこと。家族が病気を理解し、協力することが、快復には欠かせない。 ●記者のひとこと (文・松尾由紀)
|