風邪のおはなし
 

1、はじめに
「かぜは万病のもと」と昔から諺にあるように、かぜを侮ると肺炎や気管支炎などの重大な病気につながります。
日本人は、一年間に五〜六回はかぜをひくと言われていますが、あまり身近な病気であるため、その予防や治療を甘くみて多くの人は長びかせてしまい、仕事を休んだりする結果となります。
そこで、かぜの原因と予防法、自分で出来るかゼ治療、そして脉診(みゃくしん)流はり灸治療の治効を簡単にまとめてみました。

2,かぜに罹る原因
かぜが万病のもとと言われる由縁は、かぜによく似た重大な病気が多いということ。例えば結核・肺ガン・気管支喘息・気管支拡張症など呼吸器の病気の多くがかぜと紛らわしい症状を伴います。
また、かぜをひくときは肩や首がよくこっています。肩や首筋がこるということは過労による体力の低下、そして、何か内臓の病気が潜んでいるのではないか?というようなことが考えられます。

かぜの原因は、ごく些細なことから起りますので箇条書きにしてみます。
疲労…多忙だと言いながら無理な毎日を過ごしていると、体力が低下し、回復力がなくなり肩が凝ります。
食事の不摂生…規則正しい朝・昼・夕の食事を摂らなかったり、偏った食事を摂っていると、やはり抵抗力が落ちてかぜ君が侵入してきます。
睡眠不足…何と言っても、疲労回復をする最大のものは充分な睡眠です。私たちは眠っている間に昼間使った筋肉や神経、内臓や頭をきれいに掃除し、翌日の目覚めと同時に動けるように準備をしています。ところが充分な睡眠を摂らないでいると、それらの掃除が残ってしまい筋肉や頭も硬くなり、かぜ君が訪問してくるのです。「友(かぜ)遠方より来たる。また楽しからず?」
急な温度の変化(寒さ)…皮膚の表面の毛穴に力がなくなり、そこへ寒さや冷たい風が当たると、この弱った毛穴からかぜ君が「お邪まします!」と言ってずうずうしく入ってきます。

この四つの条件がそろうと、インフルエンザ・ウイルスが、ドカンと大暴れになります。

3、かぜをひかない方法
かぜに罹る原因を作らないことです。一口で言ってしまえば簡単なようですが、なかなか難しいことです。

■疲れをためないこと
現在の社会環境の中で、疲れやストレスをためないようにすることは大変だ、というのが現状でしょう。
そこで、疲れたなあと思ったとき、自分で作れる健康ドリンクをお試し下さい。
大根おろし汁、ニンニク湯、梅干しの黒焼湯などゴクンと一杯やって下さい。
でも、もっと即効性のあるのは脉診流はり灸治療です。疲労回復にはどのような妙薬よりもまさります。

■正しい食事
朝・昼・夕の食事はきちんと摂り、偏った食事ばかりしないように栄養のバランスを考え、腹八分目を心が
けましょう。

■睡眠を充分に
かぜに罹る原因のところでも触れたように、疲労回復の第一条件は睡眠です。自分なりの睡眠時間を必ず
とるようにしましょう。

■やせ我慢せず暖かく
衣服は肩のこらない薄手の暖かいものを選びましょう。また部屋の温度は十八度くらいを保つように心がけ
て下さい。そしてもう一つ、適当な湿度を保つことを忘れないようにしましょう。

4、かぜに罹ったら
気をつけていたのにかぜをひいてしまったら次の方法を試してみて下さい。

◆健康ドリンクや湿布の作り方は簡単ですから試して下さい。 

@かぜのひきはじめ
〇大椎穴を、温灸またはドライヤーで温める。
(大椎穴)首を前傾させたとき突き出る骨(第七頸椎)の下。
〇大根湯、レンコン汁、ネギ味噌湯。
※子供の場合、おろしリンゴ。

Aのどが痛い のどがイガイガする
○大椎穴への温灸。
○梅干し湿布、長ネギ湿布。

B扁桃腺炎
○大椎穴へお灸。
○熱い大根湯、梅生番茶、食酢、里いもパスター。
※食酢…食酢を十倍の水で薄め、これでうがいをする。

Cせき(咳)
○大椎穴へ温灸またはお灸。
○キンカン湯、大根のはちみつ漬け、梅干し湿布、レンコン汁。

D鼻水が出る
○大椎穴を、温灸またはドライヤーで温め、手の三里穴にお灸する。
(手の三里穴)肘を曲げたときできるしわの親指側端から、指三本分手首寄り。
○鼻全体を温める。
○足を温める。

E鼻がつまる(鼻閉)
○百会穴、上星穴または 会穴にお灸十〜二十壮。
○印堂穴、迎香穴をつま楊枝の頭で10〜20回刺激する。
(印堂穴)左右の眉の真ん中。
(迎香穴)小鼻のすぐ外側。

F熱が出たら
○大椎穴とその付近へお灸する。
○高熱の時は指間穴をつま楊枝の先で十回ほど刺激する。
○梅干しの黒焼き、大根湯。
○暖かくして当院へおいで下さい。脉診流はり灸治療がよく効きます。

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