皮内鍼と知熱灸・湿熱灸

  ◆皮内鍼

(方法)バンソウ膏にて皮膚の表面に添付します。
丁度蒲団をしいて赤ん坊を寝かせ、その端から出た足が穴所に刺さり上からすっぽり蒲団を掛けたようにするのである。この際、刺針部のしわと皮内鍼とが平行になるように注意する。もししわと直角になると動くたびに刺激し不要な痛みを与える。また浅すぎると抜け,深すぎると痛かったりするのでこの点に熟練を要する。

〔応用〕これは主として鎮痛法に応用するが、押して痛い所を目標とし、その頂点に命中した場合には劇的な効果がある。このほか、咳止め、下痢止め、健康法、体質改善、 その他と応用範囲は中々に広い。その材質も金、銀、ステンレス等種々あるが病症によって適宜選択し応用する。

 

  ◆知熱灸

〔方法〕押して痛みを訴える部位に小指頭大の知熱もぐさで施灸し、患者が熱さを感じたら取り去るのである。

〔応用〕これは眼精疲労、肩こり、腹痛、神経痛の疼痛部位、打撲、捻挫、皮膚病等に数ヶ所の施灸点を求めて施すと効果が顕著である。主として虚熱を取る爲に行うが、温かみを感じた程度で早めに取る時は補法ともなる。なお、頸、肩等の斜面に施灸する場合は注意が必要である。これは艾柱の作り方にコツがある。即ち、小指頭大の艾を三角形に調整しその頂点に点火して底辺が平に残るのが最も理想的な施灸である。しかし、片端に点火しまだ僅かに燃えただけで熱さを与えるようなすえ方は良くない。


  ◆湿熱灸

〔方法〕特性の円形の筒の中に水分を含ませた綿花をしき、その上に知熱灸を点火し患者が熱さを感じたら複数の経穴に移動し施灸するのである。

〔応用〕主として、慢性の胃腸症状や体力低下・冷え性による慢性的な全身疲労や体力の回復に対して行う。数ヶ所の施灸点を求めて施すと効果が顕著である。