4月に入ると、頻繁に慶人の笑顔を見ることが出来た。
看護婦さんから、夜中に暗い中でニコニコしていると聞いた。
そんな笑顔の写真をいただいた。
呼吸器は取れないけれど、容態は安定している。
このままグレン手術をして少しでも
心臓の負担を軽くしてあげよう。
パパとママはもちろん、先生方も意気込んでいた。
そんな時、重度感染症(敗血症)にかかってしまった。
グレン手術のためのカテーテル検査の直前の出来事だった。
悔しくて悔しくてたまらなかった。
「ここ、2〜3日がヤマです。」とまで言われた。
毎日、血液検査の炎症反応の数値との戦いだった。
慶人が寝ている部屋の扉を開けるのが恐かった。
まず最初に看護婦さんの表情を見て慶人の容態を推測した。
抗生剤の治療を始めて半月程たった頃、
やっと炎症反応が下降線を示してきた。
主治医の先生もとても嬉しそうだった。
長い回り道をしたがやっと振り出しに戻ったと思っていたら、
またも問題発生。
発作のように脈が落ちることが続いた。
心臓や肺にかなりの負担がかかっているからだろう。
これ以上は待てない。
感染症も完治していないのに急きょカテーテル検査の予約が入った。
この検査をして、できるだけ早くグレン手術をする。
それが残された道だった。
検査の結果、
「今やるしかない。先送りにすると、
手術できなくなるかもしれない。」
敗血症を完治させる為にも、菌が着いているかもしれない
人工血管を取り除くしか手がなかった。
こうして、あっという間にグレン手術の日程が決まった。
先生方も家族も覚悟の上の手術だった。
「チャレンジして欲しい」主治医の先生の言葉だった。
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