2004年初めての地元でのギターコンサートである。今回村治佳織嬢と一緒にツアーをまわったホセ・ガジャルドという演奏家については、初めて名を聞いた。村治さんが自身のソロ曲を弾かれる前に、少ししゃべりがあったのだが、それによると来日は3度目で演奏活動等を行ったのは今回が初めてだそうである。
大好きな曲であるソルの幻想曲から始まったが、ガジャルドさんの音(メロディ)はかなり響く。音がでかいというよりは、音がギターそのものから聴こえてくるのではなく、音が広がってホール全体から聴こえてくる感じ。村治さんのはギターから直線的に聴こえてくる感じ。この違いはタッチなど弾き方の差もあるだろうがギターそのものの質もだいぶ違う様に感じた。ガジャルドさんのギターは本当にスペイン物に良く合う。またメロディの微妙な「泣き」がうまい。コルドバでは逆に村治さんがメロディパートだったが、比較してしまうと、メロディの歌わせ方が単調に聴こえてしまった。そうは言っても村治さんの演奏もすばらしく、ソロのベニスの謝肉祭ではすばらしいビルトゥオーゾな演奏を聴かせてくれた。今度の新譜は武満作品が多い様だが、その中でこのタレガは光った演奏をしてくれると思う。
後半のガジャルドさん自身の作曲によるロルカ組曲はスペインの民謡に基づいている曲で、非常にわかりやすい曲調で良い曲と感じた。当然自身の作であるから演奏はすばらしい。この演奏に限らないがガジャルドさんはメロディの歌いまわしだけでなく、音色の変化もかなりはっきりと使い分けていた。一部ブリームを彷彿とさせる様な硬いトーンも使用していた。
後半の二重奏も、武満の心地良い映画音楽と有名なスペイン物で楽しませてくれた。スペイン舞曲第1番は自分の大学時代の定演でやった曲で、かなり思い入れがある曲であり、懐かしく聴けた。
アンコールの「さくら」は武満氏が歌曲?として書いた物を福田進一さんがギターデュオ用に編曲した版だということを、弾かれる前に言ってました。
今回一番印象に残ったのは、佳織嬢の演奏後の笑顔かな。良い表情でした。
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