2001.02.21 エリオット・フィスクリサイタル
私はフィスクのCDももちろん生演奏も聴いたことがありませんでした。
これまでのフィスクのイメージって、「理知的」とか「繊細」と言う様な物
でした。ところが聴いてみてびっくり彼こそ「情熱」の人だったのです。

トローバ「ソナチネ」辺りは、まあスペイン物だしこんな演奏かな位に思ってましたが、前半の残りを占めるバロック物に対しても同様のアプローチだった為、これはかなり聴き手によって意見のわかれる所だと思います。
私の好みの話を言えば、バロック物の演奏に対してのああいう演奏はあまり好きではありません。まだスカルラッティ「3つのソナタは手の内に入った演奏
だとは思いますが、フレスコバルディ「アリアと変奏」、バッハ「プレリュード、フーガ、アレグロ」の演奏はどうにもなじめない演奏でした。

一方後半の全てを占めるビラ=ロボスの「エチュード」全曲は彼の「情熱」が
見事に昇華したすばらしい演奏だったと思います。初めに序奏的に「カデンツァ」を配してほぼ切れ目なく前の曲の余韻を保ったまま次の曲に入ってく流れは、「練習曲」というものを超えてロボスのちりばめられた音楽をひとつに凝縮した様な、そんな感じに包まれました。
おそらく「エチュード」全曲を通しでコンサートで聴く機会はこれからもほとんど無いと思われます。が、ひとつひとつの演奏だけでは味わうことのできない貴重な体験だったと思います。

アンコールはパコデルシア「グァヒーラ」、ポンセ「3つのメキシコ民謡からアンダンテ」、バッハ「リュート組曲第4番のプレリュード」、タルレガ「アルハンブラ宮殿の思い出」です。
アンコールで最初にパコの曲を始めた時、実は誰の曲だか知りませんで、自作の曲かと思ってしまいました。

今回は休憩時間もうろうろしなかったので、もっと知り合いがいないか探して
みればよかった。残念。なお有名人としては福田進一氏、鈴木大介氏を見かけました。


                                        20001.02.24