第43回東京国際ギターコンクールの2次予選と本選を聴いてきましたので
結果報告と少し感想を。

まずは結果速報です。なお本選の課題曲は武満作「すべては薄明の中で」
でした。

 1位 Dietmar Garn (ドイツ)
     自由曲:アンダンテとポロネーズ(コスト)
         自由なソナチネ(ディアンス)
 2位は空位
 3位(3人)
    金谷 幸三
     自由曲:悲歌風幻想曲(ソル)
    Christelle Sery (フランス)
     自由曲:ソナチネ(バークリー)
         カディス(アルベニス)
    Tomasz Zawierucha (ポーランド)
     自由曲:大序曲(ジュリアーニ)
         リュート組曲第4番よりプレリュード、ルール(バッハ)
 5位 黄 凡 真 (台湾)
     自由曲:5つのバガテルより第1,3,5曲(ウォルトン)
         アンダンテとロンド(アグアド)
 6位 Boris Tautorat (ドイツ)
     自由曲:アンダンテとロンド(アグアド)
         ソナタ(トゥリーナ)

以上の結果でした。本選結果の集計結果は出てなかったのですが、1位と
以下にちょっと差があったのかもしれません。審査経過では全然触れられ
ていませんでした。

感想です。
まず1位のGarn氏。自由曲には華やかなテクニック重視の曲を持ってきました。
コストやディアンスで素晴らしいテクニックを披露したと思います。ディアンスは
聴き手にパフォーマンスし易い曲かもしれませんね。ただ私見では、速いパッ
セージではちょっと荒くなった様な気もしました。

一方、金谷氏。こちらは曲としては地味な悲歌風幻想曲でしたがテクニックより
曲想、解釈といった面を重視した素晴らしい演奏だったと思います。金谷氏が
3人の3位の一人になっていたのはちょっと意外でした。この二人で1位を争う
かと思ったのですが。

また、私が一番感動したのは2次予選時の金谷氏のチェロ組曲6番からのアル
マンドです。6弦のギターであそこまで夢見る様な演奏を聴いたのは初めてです。
バッハではセルシェル以来の感動を味わいました。2次予選の順位が通過者の
中で一番下だったのには不服です。

あとはSery嬢。彼女はソナチネまでいい演奏をしていたと思いますが、カディス
で流れを止めるミスをしてしまいました。結果的にはあれが響いたのではないで
しょうか。個人的には武満曲では彼女の演奏が一番好きでした。トワイライトな
感じが一番出ていたと思うのですが。

以上の3人が私の今回のベスト3です。
なお、今回の本選の模様はNHK/FMで12/23の16:30〜18:40まで放送
されることになっています。興味のある方はエア・チェックなさってみてはいかが
でしょうか。

                                            2000.12.10