筆記具考 ペン軸
ペン軸は太い方が疲れづらいと言われているが、必ずしもそうとは思わない。筆圧の問題であると考える。
筆圧が強いというのは、ペンを紙に押し付ける力が強いという事である。ペンを紙に押し付けるためには、ペンを軽く握っていては無理である。ペンを強く握らなければならい。筆圧が強いということは、自然とペンを強く握っていることでもある。
細軸のペンと、太軸のペンを両方握って、ペン先を自分に向けて指先をよく見てみると、指先とペン軸の接触している面積が当然のことながら細軸は狭く、太軸は広い。このことから簡単に指先にかかる圧力が違うということがわかる。太軸の方が指先にかかる圧力が軽く済む。ごくごく些細な差ではあるが、長時間になるとこの差は大きい。長時間筆記作業をしたり、短時間に大量に筆記しなければならなかったりすると、自然と筆圧が強くなっていく──ペン軸を強く握っていく──ものである。筆圧が強くなってくると、指先にかかる負担も大きくなり疲れ、最後には手が痛くなる。筆圧を弱く保ったまま筆記し続けることが出来れば細軸であろうが、太軸であろうが疲労には関係ない。
筆圧が弱くても筆記できるようにペン軸を重く作ってあるペンがある。ロットリングやカランダッシュなどがそうだ。これらは自重で文字が書けるように設計されている。だから、軽く握って筆記しても擦れなどなく書る。軽い筆圧で書けるので細軸でもそれ程疲れない。だが折角筆圧を強くせずとも筆記出来るように設計されたペンでも強く握っては意味がない。意味がないどころかペン軸が重い分余計に疲れる。
筆圧が強くても疲労を軽減するように設計されたペンもある。パイロットのドクター・グリップなどがその代表であろう。柔らかいラバーグリップに軽量で適度な太さのペン軸。しかし、ペン軸が軽いのである程度の筆圧が必要となるために、長時間の筆記作業では結局疲れてしまう。逆に細軸でも筆圧を掛けずに軽く握って書けばそれほどまでに疲れない。
細軸も、太軸も一概にどちらが疲れづらいとは言えない。自分の筆記癖を見抜き、それに見合ったペンを選ぶことが大事だ。
2003.8.29