御伽草子とは
〜御伽草子に関する概説です〜

 

御伽草子と『御伽草子』

 御伽草子、我々は普段なにげにこう呼びますが、御伽草子と『御伽草子』では大きく違います。『御伽草子』と云えば、江戸時代に出版された渋川版『御伽草子』のことを指します。

 此所ではまず御伽草子について説明したいと思います。今日一般的に「御伽草子」と云われているものは、室町時代から江戸時代にかけて成立した、内容や表現が通俗化された短編の物語群のことです。其の数は市古貞次氏によれば、300〜500篇に達するようです(注)。平易な文章で、大衆向けに書かれています。中には奈良絵本のように豪華な色彩画が描いてあるものもあります。いずれの作品も作者や成立時期については、現在ほとんど判っていません。また、これらの作品群は「室町時代小説」や「室町時代物語」、「中世小説」、「近古小説」等とも云われています。

 一方、『御伽草子』とは江戸時代の中期に大阪の書肆、渋川清右衛門が数ある御伽草子の中から23篇を選び『御伽文庫』、『御伽草紙』として刊行しました。これが渋川版『御伽草子』と云うものです。渋川版『御伽草子』に収録されているものは、『文正草子』、『鉢かづき』、『小町草子』、『御曹司島渡』、『唐糸草子』、『木幡狐』、『七草草子』、『猿源氏草子』、『物くさ太郎』、『さざれ石』、『蛤の草子』、『小敦盛』、『二十四子孝』、『梵天国』、『のせ猿草子』、『猫の草子』、『浜出草子』、『和泉式部』、『一寸法師』、『さいき』、『浦島太郎』、『横笛草子』、『酒呑童子』の以上23篇です。

 

 

市古貞次校注 岩波文庫『御伽草子』(上) 1985年10月16日 岩波書店

 

参考文献

市古貞次校注 岩波文庫『御伽草子』(下) 1986年3月17日 岩波書店

半田公平・水原一・貴志正造・磯水絵著 『資料 日本文学史 中世篇』改訂版 1976年3月25日 おうふう

 


無断転載・複製等は禁じます。