瞳「改めて、神楽 瞳です。これからよろしくお願いします。」

挨拶をしてくる。しかも極上の笑顔で・・・・。

それが神楽 瞳との出会いだった。

第2章       日常

彼女の笑顔に思わず俺も挨拶を返す。

祐貴「ああ、相沢 祐貴だ。これからよろしく・・・。」

・・・心なしか、周囲の男子の視線を感じる。

彼女は、それに気付かないのか嬉しそうに笑いながら

瞳「相沢祐貴くんね・・・。じゃあこれから、貴方のことユウって呼んでも良いかしら?」

聞いてくる。 さらに男子の視線(殺気とも言う)が強くなる。

祐貴「別に構わないが・・・。」

・・・どんな風に人から呼ばれても気にならないし・・・

瞳「それと、私のことは瞳で構わないわ♪。」

祐貴「あ、ああ・・・わかった・・・」

そうとしか言いようがなかった。

ポンポンと肩をたたく奴がいる。

淳一「祐貴、俺を無視するな・・・」

淳一がジト目で見ている。

祐貴「ああ、分かった。瞳、こいつは北川淳一だ。」

仕方がなく瞳に淳一を紹介する。

淳一「神楽さん、よろしく!!」

爽やかに挨拶する淳一。

瞳「こちらこそ、よろしくね。北川君。」

にこやかに挨拶をする瞳。

キーン コーン カーン コーン

祐貴「おっ、チャイムだ。淳一、次の授業なんだっけ?」

淳一「たしか、生物じゃなかったか?」

そんな俺たちのやり取りを聞いていた瞳が口を開いた。

瞳「息合ってるわね〜。」

そんなことを言ってくる。

淳一「そうかな〜」

祐貴「ガキの頃からこんなんだったけど?」

淳一と俺はガキの頃からの親友・・・だと思う。

淳一「・・・その・・・は何だ?」

どうやらまたしても口に出ていたようだ。

瞳「ふーん、ユウって考えてること口に出ちゃうんだ〜。」

淳一「そーなんだ。こいつはすぐに口に出すから分かりやすいんだ。」

痛いところを突いてくる。 

・・・やばいな、何か話題を変えなければ・・・

祐貴「さて、そろそろ先生来るんじゃないか・・・」

とりあえず、授業に目を逸らさせる。

淳一「逃げたな・・・」

苦笑交じりの淳一、

瞳「なんか、退屈しなくて済みそうね。」

何やら楽しそうな瞳。

そして、周囲からの殺気だった視線・・・。

・・・・俺、どうなるんだろう・・・・

そんな事を考えていると、先生が入ってきた。

先生「じゃあ、授業始めるぞー。」

これで、二人のいじめ(?)から逃げられる。

しかしそう思った俺はまだまだ甘かったようだ。

瞳「先生、私はどうすれば?」

瞳の台詞になぜか悪寒が走る。

先生「君は、今日転校して来た神楽だな。・・・じゃあ、隣の相沢に見せてもらえ。」 

・・・・マジすか・・・・・・

瞳「だって、お願いねユウ♪」

・・・・嬉しそうだ・・・

机を寄せながら

瞳「ユウ、机こっちに寄せてくれない?見えないから。」

祐貴「ああ、わかった。」

机を寄せて、教科書を真ん中に置く。

ノートを机から取り出す。

黒板の文字をノートに写そうとしている俺を見ながら、

瞳「ふーん、意外とまじめなんだ。」

祐貴「他にやることがないからな・・・」

ポツリとぼやく。

瞳「じゃあ、質問攻めしていいかな?」

待ってましたといわんばかりに聞いてくる。

祐貴「却下」

瞳「趣味は?」

俺の言葉は無視かい!?

祐貴「ノーコメント」

瞳「じゃあ、誕生日は?」

祐貴「秘密だ。」

・・・・・・・・

・・・・・・・・・・・

その後も瞳による質問攻めは昼休みまで続いた・・・・。

淳一「昼だぞー」

祐貴「・・・・・・・」

淳一の台詞にすら答えられない位疲れた。

瞳「だいぶ疲れてるわね。」

・・・・誰のせいですか・・・・

淳一「祐貴、ダウンしている所悪いが、これ以上教室にいると春名ちゃんが来ちゃうぞ。」

祐貴「・・・しまった!!忘れてた!!」

俺は急いで弁当を取り出すと、廊下に出ようとしたが・・・

春名「おにいちゃ〜ん。ご飯食べよ〜。」

教室中に春名の声が響いたのはそのときだった。