御船代祭

6月には御樋代木奉曳式が行われ、間近で祭りの様子を見学させていただきました。
今回は式年遷宮に関するお祭り「御船代祭」が9月17日に内宮で、9月19日に外宮で行われました。
御船代祭は、御神体を納める御樋代をさらに納める御船代のご用材を伐採するため、
伊勢の内宮と外宮の祭場で行われます。同時に木曽山で伐採の行事がなされます。

ただ、今回はデジカメの操作を誤り、内宮での御船代祭の全部と外宮の御船代祭の7割近くを
フォーマットにより消去してしまいました。ですので画像がほとんどありません。(涙)
画像が元に戻るわけはないので残っている画像のみの紹介となります。

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御船代祭は内宮、外宮とも3回づつ行われます。1回目は正宮のお祭り、2回目は第一位の別宮のお祭り
(内宮では荒祭宮、外宮では多賀宮となります)、3回目は第一位以外の別宮のお祭りとなります。
各お祭りは1時間ほどかかります。午前10時に一回目の祭りが始まり、途切れることなく午前11時には
2回目のお祭り、正午には3回目のお祭りと続きます。合計3時間に渡って行われます。各お祭りに参加する
神職以下の人たちは各回ごとに違う方が担当されるということで、祭りに参加する人数は凄い人数に
なります。 普段のお祭りと異なるのは物忌みの童男、童女が奉仕するということです。内宮では童男、
外宮では童女が奉仕し、忌鍬、忌鎌を捧げ持って作業の無事を神に祈ることになります。

写真左は内宮忌火屋殿前でお供え物と祭りに奉仕する人々に対して塩と榊にて御祓いをしているところです。
写真右は、内宮風日祈宮近くに作られた斎場で行われている儀式内容です。おそらく3回目の荒祭宮以外
の別宮9宮のお祭りです。お供え物を載せる台が9つ並べられ、奉仕する神職も9名いて、息を合わせて
の動作は迫力がありました。青い衣装を着た人たちは小匠の方々です。写真中央には物忌みの童男がいます。




    

シデと五色の布がついた棒が建てられていました。聖なる場所を仕切る意味が有るのでしょうか。
お供え物を載せる台には海の幸山の幸やお酒が載せられています。神様はグルメですね。




    

こちらは外宮で行われた御船代祭です。物忌みは童女が勤めています。忌鍬を持っています。




    

外宮での三回目のお祭りが始まる前の斎場の様子です。場所は土宮横となります。
お気づきと思いますが、垂れ幕は黒白の鯨幕を使っています。神社だから紅白幕を使うのでは
と思う方もいらっしゃるかと思いますが、この鯨幕がお祭りに使う神聖な幕だということです。
慶事が紅白幕で凶事は鯨幕(黒白幕)と思いますが、本来凶事には黒ではなく薄墨色を使う
そうで、黒という色は高位の色で、神事を含めいろんな行事に使用できる幕と言うことです。

お供え物を載せる台ですが、自然の木を切ったままで作ったものとなっています。
これも古代からの形をそのまま伝承しているが故の形なのだと思います。




    

奉仕する神職、物忌み、小匠が斎場に勢ぞろいしました、いよいよ三回目の多賀宮以外の別宮3宮
に対する御船代祭の始まりです。内宮の斎場は小さな砕石の上に筵をしいて座っていたのですが、
ここ外宮では大き目の玉石の上に筵をしいて座るので、かなり痛いのではないでしょうか。
神職の方々は慣れているかも知れませんが、今回のみの物忌みの童女にとっては結構辛かった
のではないかと思います。今回の物忌みの童男、童女は年齢が9歳ということを聞いています。




    

外宮の別宮である土宮、月夜見宮、風宮の3宮に対するお祭りなので、祭壇も3つ、神職も3名となます。
神職の前には、御祓い用の塩を入れた素焼きの器を載せた小さな台と榊が置かれています。
各祭壇の隣にシデのついた籠が見えますが、ここにはツガイの白い鶏(神鶏)が入っています。
たまに、コケコッコーと鳴いていました。ちなみにこの神鶏は祭典終了後、神域に放されるということです。
一切餌を与えたり、他の動物から守ったりということはしないということです。そのため、ほとんどが
他の動物にやられてしまいいなくなってしまうということですが、野生の血を思い出し、木の上に飛び
上がったりして、生き残る鶏も出てくるそうです。そういえば23日に内宮を訪れたときに
たくさんの放された神鶏の姿を神域内で見ることができました。少しでも長く生きて欲しいですね。




    

神職の方が各祭壇の前に座り、祝詞の紙を開くと縦にまず畳みました。興味深い所作でした。
その後、紙を普通に開き祝詞を上げていました。但し、声は出していないか、出していても微かな
声しか出していないのだと思います。3人の神職が祝詞を上げており、しかも静寂のなかで
20mしか離れていないのに全く声が聞こえないのですから。

祝詞の後は、榊と塩によるお清めが行われました。




    

後ろの幕のところに控えていた神職が箱を奉じて祭壇の前にやってきて、祭壇の前にいた神職に渡します。
その箱の中には祭壇にお供えする海の幸、山の幸が入っています。祭壇の上に置かれた赤い物は伊勢海老です。
分かりづらいと思いますが伊勢海老の手前に有るのが鯛ではないかと思います。グルメですね。




    

祭壇にお供え物がすべて整い、しばらくするとまた祝詞が始まりました。所作は同じく祝詞の紙を
縦に畳んだ形で頭を垂れます。その後、3人の神職も後ろの席に戻り全員での拝礼です。
このときの拍手は特徴的です。ふつう参拝するときは拍手を2回ですが、祭事で神職がたたく
拍手は「パン、パンパン、パンパンパン、パンパン、パン」というように聞こえます。
何でも「八開手」という拝礼作法ということです。(聞いた音の記憶は若干不正確ですが)
この拝礼作法のほかに「八度拝」という起拝(座った姿勢かた立って拝する)を4度繰り返す
作法があります。神嘗祭や新嘗祭などの大きなお祭りのときに見ることができます。




    

祭壇の上に並べられていたお供え物が再び箱に入れられ後ろに下げられました。
箱のまま祭壇に供えられていたものは、祭壇下の筵の上に置かれました。数はそれぞれ3個です。
神職は横に置かれた忌鍬を持ち上げ一礼します。一回目及び2回目の正宮および荒祭宮の祭典では、
この忌鍬を持ち上げる役目は物忌の童女が行います。




    

忌鎌を奉じるときは、神職の後ろ青い装束の小匠が並び、いっしょに拝礼を行います。




    

これで一切の御船代祭の行事が終了しました。先導の神職の後ろに物忌の童女が続き、
その後ろに神職、小匠が続きます。





かえすがえすも、デジカメ画像を100枚近く失ってしまったことは残念で悔しいですね。
まあ、20年後を請うご期待です。(笑)



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