葛城古道散策2003年11月

先月10月は大雨と雷のために断念した葛城古道でしたが、今回はようやく散策が実現しました。
コースは奈良県御所市、近鉄御所駅からタクシーで風の森 高鴨神社に向かい、そこから高天ヶ原、
極楽寺、一言主神社、と葛城古道を北に向かい近鉄御所駅に戻るというコースでした。


    

最初に訪れたのは高鴨神社です。御所市内には「かも」と名前の付く地名が多いところです。
この高鴨神社は京都の上加茂神社、下鴨神社の本家にあたる由緒正しい神社です。
祭神は天孫降臨神話の国譲りに登場する神で、大己貴命(大国主命)の子で迦毛大御神と
称され、「葛木の鴨の神奈備」に座し、皇孫の守護をした神ということです。

境内には写真右のような、結構大きな池がありました。池の背後の山は葛城山から金剛山
に続く山並みで、奈良県と大阪府の県境となります。



    

高鴨神社の本殿は三間社流造りで、国の重要文化財に指定されています。
本殿前のもみじが紅葉しておりました。また本殿向かって左には柑橘類の木(柚子か橘)
がありました。きれいな黄色でしたので思わず写してしまいました。

高鴨神社の入り口(上の鳥居)の右には鐘楼がありました。なんで鐘楼があるのか、と
不思議に思いましたが、なぜあるのかは確かめることができませんでした。



    

金剛山に向かっていくかのような坂を息を切らせ、汗を拭きながら登っていくと目の前に集落が
見えてきます。ここは、日本の神話の舞台になった高天ヶ原の実在の場所とされています。
この伝承後にある高天彦神社は、参道の両側には写真左のように杉の大木がそびえます。
この神社は葛城王朝を築いた葛城一族の祖神を祭っています。本殿の瓦の色が赤っぽい
のは私としては初めて見たような気がします。(たくさん例があるかも知れませんが)
屋根は新しそうでしたが、本殿の扉などは歴史を感じさせるものがありました。



        

高天彦神社から橋本院に向かう道です。田畑が十分な広さで取れるほどこのあたりは
平坦な台地となっていることを印象付けられました。このような場所であれば、古代の豪族
が拠点をここに持ったというのもうなづけます。里山となったところに珍しい花が咲いて
いましたので思わずシャッターを切りました。名前がわからなかったのですが、「ツルニンジン」
という植物だそうです。右の写真は金剛山方向を見たものです。




    

こちらの写真は反対方向(東方向)を見たものです。正に高天原と言ったところでしょうか。
写真右の中央付近に見える建物は橋本院です。正式には宝宥山高天寺橋本院です。
寺縁起では、高天寺は南北朝時代に焼き討ちにあい、以前あった場所から
本尊の十一面観世音菩薩立像などを移したとされています。
そのときに、すぐ傍らの池に橋があったことから、橋本院という名前になりました。



    

同じく橋本院です。ちょっとした庭園になっています。少人数のグループであれば
食事や休憩ができる東屋のような場所もありました。



    

庭園の一角には花が咲いている桜がありました。11月になったとはいえ暖かい日が
続いていることが原因なのでしょうか。それともこの時期に咲く種類なのでしょうか。

平坦な台地はここまででした。ここから極楽寺までは急な山道を一気に駆け下りる
ことになります。雨の後であればかなりすべるのではないかと思われる道でした。
途中に沢に架かるコンクリート製の一本橋がありました。高さは10mほど、ひと一人
がようやく通れる幅で、ちょっと足元がすくむ感じがしました。



    

一本橋を渡ってすぐに視界が開けました。突然発掘現場が現れました。
確か奈文研の立て札であったと思います。不思議だったのは、この重機をどのように
してここまで運んだのかなということです。こんな大きな車両が通れるような道はないんです。

さてようやく山道から開放されようやく県道のところまで下ってきました。
写真右は極楽寺です。この近辺の地名も極楽寺となっています。951年(天暦5年)
奈良「興福寺」の名僧一和僧都が開き、地中から掘った仏塔を祀ったと云われてい
るお寺で、枯山水の庭園が美しく、その昔、極楽浄土を願う念仏信仰が盛んな頃、
この地方の中心となったお寺です。



    

極楽寺の山門は鐘楼になっていました。こういった造りというのは珍しいですね。
普通、山門と鐘楼は別々になっているのがほとんどではないのかと思います。


写真右は、極楽寺から県道を横切って住吉神社へ至る途中での風景です。
周りは柿の木だらけでした。写真ではわかりづらいでしょうが、画面真ん中あたりに
畝傍山が見えています。ちょっと小さいのとかすんでいるのでわかりづらいですね。



  

    

先を急いで次は一言主神社へ向かいます。参道の入り口にあった石の鳥居です。
まだ、神社までは4〜500mほどあります。写真では小さすぎてわかりづらいですが
鳥居にかかる桜の木には花が数輪咲いていました。やはり暖かいのでしょうね。
写真右は一言主神社の本殿です。神主さんが祝詞をあげておられました。
一言だけ願いをかなえてくれる神様ということですから、早速ひとつだけお願いしました。
内容は秘密です。



    

一言主神社本殿左側にあったイチョウの木です。注連縄が張られておりご神木となっています。
幹から下に伸びる気根の数に圧倒されます。

さてここ一言主神社から九品寺に向かう道で迷ってしまいました。
案内板があったのですが、田んぼのあぜ道のような道とコンクリートで固められた
道があり、どちらかと迷ってしまいました。普通に考えるとコンクリートのほうが
道らしいわけですから、迷わずコンクリート道を行ったのですが、こっちのほうが
最終的には獣道のようなところに入り、結局コスモス畑も見ることができず
車が激しく行きかう県道を通って九品寺に至ることになってしまいました。



    

さて葛城古道の散策も最終地点に近づきました。今回の葛城古道の最北端となった
六地蔵です。ちょうど葛城山に至る道の途中にあります。大きな岩に彫られたお地蔵様ですが、
室町時代に土石流が発生し、現在の場所に流れ着いたといわれ、その大災害に対し、村人は
仏教の六道をもって衆生を救うという仏法の精神に照らし極楽浄土を願い、その頃に彫られた
と思われます。写真右は六地蔵から東に下ったところにある鴨山口神社です。
祭神は大山祗命・大日霎貴命・御霊大神・国常立命を祀り、祈雨祭・祈年祭の神で
風雨を祈るため奉幣されていると言われています。

まあ、今回も道に迷いながら4時間強の旅も無事終えることができました。

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