伊勢 2005年1月 磯部巡り
2005年1月、伊勢神宮125社のうち「磯部巡り」と伊勢神宮初詣の報告です。
「磯部巡り」の対象となる地域は磯部町(現 志摩市磯部)です。約2Kmのコースで6社を巡ります。
それと伊勢神宮への初詣と一月十一日御饌のお祭りの様子をを報告します。
近鉄宇治山田駅から鳥羽行きの急行に乗り、鳥羽で賢島行き普通電車に乗り換え約30分。
無人駅である上之郷駅に到着します。ここから伊雑宮までは300m弱、歩いて4分弱です。
伊勢神宮の外宮、内宮は多くの参拝者がバスを連ねて訪れているのに大して、ここ伊雑宮は
内宮の別宮であるにも関わらず、私が訪れたときは数名の方が参拝をされているだけでした。
お参りするときは、雑念の入らない静かな雰囲気が私は大好きです。
この伊雑宮は、別宮の中でも滝原宮と並んで格の高い宮の一つとなっています。
志摩一円の漁業関係者らの信仰がことのほか篤く、特に漁師や海女さんは「磯守(海幸木守)」を受け、
身につけて海に入るのが風習となっているそうです。
倭姫命は「嶋國」(志摩地方)を巡幸中、「伊雑方上」の葦原「千田」において、よく茂った稲穂を「真名鶴」が
銜えながら鳴いている様子を御覧になり、「伊佐波登美神」をしてその穂を抜かしめ、皇大神の御前に奉られた。
その「伊雑方上」に伊佐波登美神が宮を造営した。それが皇大神の「摂宮」たる「伊雑宮」だ、といわれます。
神社名 | 格式 | 祭神 | 備考 |
伊雑宮 | 内宮 別宮 | 天照大御神御魂 |
斎館前には写真左のような楠の古木があります。この楠木の古木は、根元が大きくふくらみ、「きんちゃくくす」といわれ、
お金持ちになれると賽銭をおいていくという民間信仰があります。確かに硬貨が巾着部分に供えられていました。
伊雑宮のすぐ隣には、鳥居のある田んぼがあります。この田んぼは伊雑宮のご料田で、毎年6月24日に
「お御田」と呼ばれる御田植祭が行われます。この「お御田」は、香取神宮、住吉大社のお田植とともに、
日本三大御田植祭として有名で、三重県の無形民俗文化財にも指定されす。旧礒部九村が毎年輪番の奉仕で、
古式ゆかしいく典雅なお田植が行われます。
祭は、午前11時、えぶり指(さ)し、田道人(たちど)、早乙女、ささら摺、太鼓打、楽人など30名の奉仕者と
近郷の青年達が加わって、賑々しく始められます。平安朝の古式ゆかしい衣装をまとった奉仕者たちは、
御前でお祓い、拝礼ののち、代表が早苗を捧げて御田に向かいます。田道人、早乙女らが、苗取りを終わると、
地元の青年達によって勇壮な「竹取行事」が始められます。その後、のどかな田楽に合わせて田植が始まり、
それが終わると「おどり込み行事」が繰り広げられ、御田植祭は最高潮を迎えます。
こうして、一連の行事が終わるのは午後5時ごろになります。
伊雑宮から、南西に約900mのところに、次の目的地である佐美長神社があります。
旧磯部町役場(現 志摩市磯部支所)も近く、市街地の中にある神社です。
祭神は五穀豊穣の神。古くから穂落社(ほおとしのやしろ)ともいわれています。祭神が真名鶴となり、
稲穂を運び落としたのが千田(ちだ・稲を生ずる地)であると伝えられています。。
社地には小社殿ながら、伊雑宮所管社の佐美長御前神社四社がご鎮座されています
神社名 | 格式 | 祭神 | 備考 |
佐美長神社 | 伊雑宮 所管社 | 大歳神 | |
佐美長御前神社 | 伊雑宮 所管社 | 佐美長御前神 | 佐美長神社ご同座 他四社 |
磯部巡りも無事終わりましたので、伊勢に戻ることとしましょう。近鉄志摩磯部駅前です。
写真左は志摩磯部駅の駅舎、写真右は地元の銀行の建物です。特徴的な建物です。
ここ志摩磯部は志摩スペイン村パルケエスパーニャの入り口になっていますので、
建物もスペイン風のオレンジ色の屋根に白い壁となっています。
今日は1月11日です。一月十一日御饌のお祭りが行われる日です。まずは外宮に参拝です。
第一鳥居口橋前の広場にあったお木曳車です。御遷宮の際のご用材を引く台車です。
伊勢では毎年10月に「おおまつり」が行われますが、このお祭りではお木曳車を初穂曳として
練り歩くのを見ることができます。私自身はまだ見ていないのですが、一度見てみたいと思っています。
第62回の式年遷宮を8年後に控え、伊勢神宮では次回の遷宮御用地を間近に見ることが
できるように昨年より可能になっています。写真は外宮古殿地の様子です。
8年後にはここに新しい正宮が建立されます。
今度は内宮です。御手洗場となっている五十鈴川のほとりです。鯉の姿はちょっと見えませんでした。
写真左は、内宮の古殿地です。実はこの角度から古殿地を写せるのは、正月だけなんです。
初詣の方々の流れをスムーズにするために、参拝した人を正宮の裏を廻るように帰り道が設定されます。
普段は通れない道であるので、この道を歩きたくて1月に参拝しに行っているといってもいいかも知れません。
さて、いよいよ一月十一日御饌の祭典の模様です。実際のお祭りは、後正宮の外玉垣内にある四丈殿
にて行われるため、一般の人がその詳細を見ることはできません。そのため今回は、祭典に
先立って、神饌と奉仕する神職を清め、お祓いする場面を報告することにいたします。
お清め、お祓いは忌火屋殿前で行われます。これはどのお祭りでも同じです。
写真左は神饌の入った唐櫃とお清めにつかう榊と塩をのせた台です。
写真右は唐櫃を運ぶ御奉仕をされる方々です。神職の方々の到着を待っています。
祭典を行う神職の参進を知らせる、太鼓の音が聞こえてきました。(写真左)
玉砂利を踏みしめながら神職の列が近づいてきます。
神職全員が忌火屋殿前にそろいました。まずは、神饌のお清め・お祓いです。塩によるお清めと
榊によるお払いが行われます。
続いて、神職に対するお清めとお祓いです。この後、唐櫃と神職は正宮の四丈殿に向って参進していきました。
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