伊勢 2004年5月
2004年、伊勢神宮125社のうち「宮川巡り」と「小俣巡り」後半の報告です。
「宮川巡り」の対象となる地域は伊勢市から渡会町にかけての地域、「小俣巡り」後半は小俣町となります。
「宮川巡り」のコースは伊勢市大倉町をスタートし渡会町までの約11Kmのコースで3社を巡り、
「小俣巡り」後半は小俣町小俣神社をスタートして湯田神社までの約3.5Kmのコースで2社を巡ります。
近鉄宇治山田駅から路線バス「五ヶ所」行きに乗り込みます。バスは宇治山田駅より西に向って走り、
宮川にぶつかると左折し南に向って走ります。ちょうど宮川を遡る形で走ります。宮川に沿って走り出すと
あたりは緑でいっぱいになり始め、ちょっとした山間部を走っているのでは、と思わせます。
20分弱ほどで、最寄の停留所である大倉に着きます。そこから道路に沿って10分ほど歩きます。
目印はパチンコ店です。パチンコ店の後ろに最初の目的地である川原神社に到着です。
目の前の水田はちょうど田植えが終わってまもなく、水面には周りの景色を映しています。
あいにく昨夜からの雨の影響で、煙った感じがしました。
川原神社は倭姫命が定められた社の一つで、宮川の上流から来られた命が、ここで迎えられた
大若子命の船に乗り、宮川を下っていったといわれます。宮川の守護神ということです。
社は遷座が終わった直後らしく、真新しい檜の社となっていました。
神社名 | 格式 | 祭神 | 備考 |
川原神社 | 内宮 摂社 | 月読尊御魂 |
県道22号線(伊勢南島線)を南へ500mほど歩くと、神宮苗圃にたどり着きます。
ここは、伊勢神宮で使われる榊や、宮域に植える杉などを育てる圃場となっています。
写真左は植えられている杉の苗木、写真右は作業で使う井戸です。
このあたりは宮川に隣接する場所で、豊富な宮川の水を利用して水田があちこちに広がっています。
写真左奥の橋のように見えるものは伊勢自動車道です。伊勢自動車道と交差する直前で神社が現れました。
宮本神社と言います。伊勢神宮所管の神社ではありません。神饌の寿司として「アユのなれずし」が
使われているということです。このことは旅の後で知ったので、参拝すればよかったと思いました。
しかし、御神饌ですから、頂くわけには行かないでしょうね。
伊勢自動車道を超えたあたり、神宮苗圃から1.2Km歩くと、2番目の社、園生神社に至ります。
曇り空が開けて陽光が差し込んできました。この地の園作神が、天照大神のために御園の地を奉ったこと
により、この地に定められたとのことです。摂社ですが、門扉が板状なので格が高いお社であるようです。
神社名 | 格式 | 祭神 | 備考 |
園生神社 | 内宮 摂社 | 曽奈比比古命、御前神 |
写真右は園生神社より2.3Kmほど南に歩いた伊勢市円座町に広がる米山新田です。この地は、高台の
ため水利が悪く、江戸時代始めごろはほとんどが荒地でした。この地に灌漑施設を造り、水田を開いたのが、
紀州和歌山藩田丸代官所支配の、円座組大庄屋であった米山家でした。ここは、市指定史跡となっており、
その石碑が建っています。この写真はその石碑の場所から米山新田を撮影したものです。
円座町は毎年旧盆に正覚寺で行われる「かんこ踊り」でも有名で、県無形文化財に指定されています。
踊り手の扮装が非常に異国的で面白いものとなっています。その格好はというと、頭に白いシャグマという
馬の毛でできたかぶりものをかぶり、それ顔まで垂らしコシミノをつける。上着は白黒の縞模様に手甲、
脚半、足袋にぞうりをはく。子供はシャグマのかわりに花笠をつける、というものです。
夕闇がせまる頃、境内に高張提灯を先頭に行列が練りこみ、迎え火を中心に太鼓、ほら貝、鉦と音頭に
合わせて15〜30人で踊ります。 「念仏踊り」と「豊年踊り」があります。一度見に行きたいと思っています。
さて歩みを進めましょう。園生神社から次の久具都比賣神社までは約7Kmの道筋です。
晴天になって来ました。五月とはいえ日差しは厳しいです。しっかりとUVケアをしての行軍です。
岩が積まれた上で何かが動きました。よく見ると猿でした。こちらを警戒しています。
野生の猿を見るのも久しぶりです。
宮川に架かる赤い橋が見えてきました。内城田大橋です。伊勢市から渡会町に入りました。
宮川はゆったりと流れています。
渡会町は伊勢茶の主要な産地にもなっています。あちこちに茶畑が見えていましたが、久具都比賣神社
の周囲にも茶畑が広がっていました。三重県は日本第三位のお茶の産地ということです。
さて久具都比賣神社の境内に入ると、地元の方でしょうか境内の掃除をされていました。
地元の神様としても篤く敬われている証拠ですね。この社も倭姫命が定められた社で、祭神は大水上神
の御子となっています。社殿の後ろはすぐ宮川の流れとなっています。
神社名 | 格式 | 祭神 | 備考 |
久具都比賣神社 | 内宮 摂社 | 久具都比女命、久具都比古命、 御前神 |
翌日は、小俣巡りの後半部分です。小俣巡りのうち宮川を挟んで東側は2003年8月に参拝を
済ませていますので、今回は宮川の西側、小俣町にある2社をめぐりました。
小俣巡り(後半)マップ
JR松阪駅から宮川駅を目指し出発です。松阪駅から二駅目の多気駅でしばし停車です。
多気駅は紀勢本線と参宮線の分岐点となっており、紀勢本線の熊野、新宮行きの列車の通過を待ちます。
待っている車窓からみた田園風景です。今日もあまり天気は良くなく、曇って風が少し強い日でした。
多気駅から三駅目、宮川駅に到着しました。宮川駅から東へ歩くこと約800mで小俣神社に到着です。
小俣神社のすぐ東隣には八柱神社があります。この小俣神社の社域は、もともと八柱神社の社域だったが、
小俣神社再興のため、八柱神社の社域を削ったと、八柱神社の説明にはあります。しかし、本当は元・八王子
と称していた八柱神社が小俣神社の後身ということらしいです。
小俣神社の祭神は田野の五穀豊穣の神様とされています。
神社名 | 格式 | 祭神 | 備考 |
小俣神社 | 外宮 摂社 | 宇賀御魂神 |
小俣神社より再び、宮川駅に戻ります。写真左は宮川駅の構内です。左側に森が見えますが、
この森は離宮院公園です。この場所は斎王が伊勢神宮に向うときに宿舎とした所で、延暦16年(796)
に造営されました。現在は公園に整備され、隣接する官舎神社の土塁が往時を偲ばせています。
写真右はユニチカの宮川工場です。広い敷地ですが、空き地が目立ちます。工場縮小の影響なのでしょうか。
宮川駅から西は約2.8Km、途中県道37号線を渡り、水田地帯の一角に目的の湯田神社の森が現れます。
この神社も摂社ですが、門扉が板状ですので、摂社の中でも格が高い神社と思われます。祭神はこの土地
の農耕守護の神とされています。
神社名 | 格式 | 祭神 | 備考 |
湯田神社 | 外宮 摂社 | 大歳御祖命、御前神 |