† 映画「GTM」感想 †
GTM Review
 
2012年11月1日に公開された映画「ゴティックメード」がのレビューです。
上映している映画館が限られているため、見たくても見れない方も多数いらっしゃるかと思い、ネタばらしをドカドカ載せてしまうのもアレかなと思っていたのですが・・・熟考の末にレビューをアップすることにしました。理由は以下のとおりです。

・うちのサイトを訪問してくれる方はおそらく何らかの情報を求めているだろうということ。
・ネタばらしも集客につながる可能性があるということ。
・どのような情報が公開されようとも映画そのものを見た時の興奮は変わらないということ(そういう力をもった作品だと思います)。
・個人的な見解や考察はしっかり述べておきたいということ。

ソフト化するまで沈黙を通そうとも思ったのですが、「鉄は熱いうちに打て」と思った次第です。
この後で盛大にネタばらしの文章が続くので、未見の方でネタばらしは勘弁!という方は、下の方を閲覧しないようにしてください。
では、少し改行をはさみます。
 

 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

■ この映画の構成について


■ 映画の主題について

映画GTMのストーリーを一言にまとめようとすると、凡そ以下のような感じになると思われる。
「価値観の異なる男女が出会い、旅を通して互いを理解し合い、障害を越えた後にそれぞれの場所に帰還するロードムービー」
もしくは
「歴史の大きな転換の背景には、ふたりの男女の出会いと別れがあった・・・というボーイ・ミーツ・ガールなお話」
あるいは
「ファイブスター物語のエピソードのひとつで、星団暦初頭におけるフィルモア帝国統合の背景を描いた物語」
とかなんとか。

おそらくこれらの回答では100点満点中20点程度になるだろう。
正解は「兵器を憎悪する少女が実際の兵器を見て『美しい』と言ってしまう物語」である。
このことは映画のパンフレットの中で永野センセーがいろいろと語っていることからも想像がつく。

なぜ、永野センセーは「映画の脚本は完璧」と言っていたのか・・・おそらく、カイゼリンを目にしたベリンが思わず「美しい」と言ってしまう状況までを丹念に描いているからだろう。ここで「美しい」と口に出してしまうことにどれほどの意味があるか、それを描くためにGTMの世界が構築されたと云っても過言ではない。
映画のパンフレットで、なぜカーマイン星の住民の服装について解説があるのか、なぜ、ベリンとトリハロンの食事について解説があるのか・・・こういったミニマムな部分を隙間無く描くことで、トリハロンとベリンの生まれ育った環境の差を明確にし、彼女が軍と兵器を憎悪することになるその背景に厚みを与えている訳である。

一方、この映画を成立させるためには、ベリンが「美しい」と思ってしまう部分についても完璧な説得力を持たせなければならなかったはず。永野センセーがカイゼリンのデザインを生み出すまでにどれほどの苦労を重ねたか、ニュータイプ誌上で多くのデザインが発表されている点から考えても、試行錯誤を繰り返していたことは想像に難くない。
カイゼリンの起動シーンや戦闘シーンが極力公開されなかったことも、観客とベリンの「初めて目にする」感覚を一致させるため、と考えれば説明がつく。
映画館でカイゼリンを見たほとんど全てのヒトは、その姿を「カッコイイ」もしくは「美しい」と感じるはず(活躍するシーンは短いが)。それこそが、この映画の目的・主題と云えるのではないだろうか。

これは個人的な予想だが、おそらく永野センセーは「物語が単純」とか「ヒネリが無い」とか「FSSの焼き直し」とか「動きがイマイチ」とか云われても屁でもないはず。
逆に「FSSとリンクしていて嬉しい」とか「動くエストちゃんが見れて嬉しい」とか「さすが永野デザインだ」みたいな評価も全く嬉しくないはず。
カイゼリンを見た観客がベリンと一緒になって「美しい」と思えることが、センセーにとって最も嬉しいことになるのではないだろうか。

実際、桜牧師は2回鑑賞しましたが、カイゼリンの出てくるシーンは鳥肌が立ちます。各パーツのギミック、音、色の変化・・・これほど丁寧に描かれているロボットはなかなか無いでしょう。
戦闘シーンが短いという批判もあるかも知れませんが・・・GTMの戦闘を丁寧にまじめに描こうとすると、どうやってもあんな感じになってしまうんだから仕方がない。
(2012.11.05)


■ FSSとの関連について

とは云え、映画を見たヒトであれば判るが、GTMのストーリーはファイブスター物語とあちこちリンクしている。エピソードのひとつと云ってしまってもいいだろう。
FSSのファンであれば喜んで当然。本当にFSSがアニメーションになっているのだから。本サイトでもその点についてクローズアップせざるを得ないので・・・というか、クローズアップしたいので、以下の文章では常にFSSのフィルターが掛かることになります。ご承知おきください。

一点だけ。GTMのデザインやスペックをそのままFSSの世界観に当て嵌めるのは無理があるため、GTMはFSS本編ではなく、あくまでも「プロムナード」のような並列外伝として受け取った方が無難である。例えば、カイゼリンの立ち位置はFSSにおけるジ・エンプレスに相当するだろうし、マーク3は破烈の人形、メロウラはネプチューンの1号騎に相当するはず。だからと云って、カイゼリンがそのままFSSの劇中に出ることは無いはず。流石に世界観が丸つぶれになってしまうし。その辺は適宜に流しましょうというのが桜牧師のスタンスです。
(2012.11.05)

 

■ アバンタイトルについて


■ 一番最初に「FSSです!」と宣言される

アバンタイトルでいきなり五つの惑星、L.E.D.ドラゴン(のシルエット)、最新デザインのK.O.G.、星団暦2988年のラキシスとソープ、カレンが登場する。
K.O.G.のデザインがこれまでとかなり異なるため、ウィル星団暦7777年の再会シーンという感じがしなくも無いが、ラキシスのスーツは完成直後の白金スーツである。
K.O.G.の頭部に「ZKKM」という謎の文字列あり。カーテンコールに出てくるツバンツヒのマントにも同様も文字列が確認できることから、ミラージュ騎士団を指す単語であることが判る。まあ、デザインズ4で詳細が明かされるのではないだろうか。
(2012.11.05)

 

■ 映画本編について


映画のストーリーそのものはかなり単純なので、考察するポイントはほとんどない。
見ていて気になった点を列挙する。

■ 詩女のセイラーに謎の文字列

ベリンら一行が使用するセイラーの集光マスト基部に「5555555」という謎の文字列が刻まれている。
数字「5」の羅列はFSSのそこかしこで確認できるため、この文字列にも何らかの意味があるのかも知れない。
(2012.11.05)


■ ベリンの都行ルートについて

ベリンの都行ルートは、デザインズ3に掲載されている地図を見ると詳細が判るようになっている。彼女は旧帝国北都マグダルを出発して、ロード・ヘリオシスを通って都ハ・リに向かったようだ。
また、ベリン・アジェリという名前は本名ではなく、アジェリという名称は地名からとったものであることが明かされている。カーテンコールで明かされるベリンの名前(都入りした後の名前)はアジェリマグダルであることから、この辺もFSSの地名とちゃんとリンクしていることが判る。
ついでながら、FSSに登場するマグダルの名前は、かつてのアトール皇帝の名前から戴いたらしい。時系列を整理すると・・・超帝國北都マグダル→この地方出身のベリンがアジェリマグダルを名乗る→巫女の名前として後世に伝わる→ヤーボの娘にマグダルという名前が付けられる、という感じだろうか。
(2012.11.05)


■ サンダー・ドラゴンの出現

トリハロンとテロリストが戦う舞台となった砂漠地帯は強烈な磁気嵐で包まれていた。天空に浮かんだ雷の形を見れば判るとおり、この磁気嵐はサンダー・ドラゴンが引き起こしている。
まず一点。この時代のサンダー・ドラゴンは「ブリッツ」と呼ばれており、ベリンはブリッツが来ていることを見抜いていたようだ。「ブリッツの光が・・・」と口にしたところで敵が来てしまったため、彼女のセリフは途中で途切れることとなった。トリハロンはボットバルトはドラゴンの接近に気付いておらず、彼らはドラゴンについて何ら注意を払っていないことが判る。
次に、なぜサンダー・ドラゴンが近づいてきたか。おそらくカステポー地方に軍事力を持ち込んだためだろう。
では、なぜサンダー・ドラゴンは彼らを排除しなかったのか。おそらく、盟主たるL.E.D.がその場にいたためである。カーテンコールで明かされるラブの正体はL.E.D.ドラゴン。もしサンダーが攻撃を仕掛けていたならば、テロリストもシワルベもラブも一瞬にして消滅していたはず。あるいは、巫女の存在に気付いて手出ししなかった可能性もあるか。
(2012.11.05)


■ シオの門番あるいはシステム・カリギュラについて

FSSで既に設定が公開されているユーゴ・マウザー教授とエルディアイ・ツバンツヒが登場。テロリストの後ろ盾がシステム・カリギュラであったことが明かされる(ついでに、彼らの母星がスタント遊星であることも明かされる)。
また、リブート7巻で明かされていたエルディアイ設計のマーク2が登場。さらに新型騎のマーク3(劇中ではリッタージェットもしくは破烈の人形とも呼ばれる)も登場する。
リブートの刊行に伴って破烈の人形に関する設定が変更されてきたことはご存知のとおり。クバルカン法国の「破烈の人形」は、かつてエルディアイがカリギュラ騎士時代に開発・搭乗していたワンオフ騎である。ここで登場するマーク3が、そのままミューズと静の搭乗騎になるということだろう。
こうなってくると、星団侵攻の最中に鹵獲された破烈の人形が天照によって改装されてO型ミラージュになるという、古い設定も何となくイキてくることになるかも知れない。最新の設定では、エルディアイはスピード・ミラージュの設計に携わることになっている。そのついでにマーク3をレストアしたとしても不思議ではないだろう。要は、変形MHの設計・開発は彼女の専売特許ということ。
(2012.11.05)


■ 歴代の詩女について

トリハロンが神託を受けるシーンで歴代の詩女(FSSで云うところの巫女)が登場する。これまでにポスターなどで明かされている詩女は、初代皇帝(ヘリオス・ナイン・ユニオIII)、2代目皇帝(ヤーン・カステポー・ユニオIV)、歴代の巫女5名、そしてベリンであるが、劇中ではさらに2名の詩女が追加されている。これ全部デザインズ4に収録してくれないだろうか。詩女のデザインはどれも逸品すぎる。
デザインズに掲載された情報によると、ラーン、シドラ、ナオス、ダルタンといった国名・都市名はかつてのアトールの巫女の名前に由来しているらしい。ラーンはおそらくベリンを指しているため(後述)、ラーン以外の名前が歴代の詩女に当て嵌まる可能性が高い。ジキジディー、タイダル、ナカカラ、エダクダ、ボルサ、フンフト、ムグミカ、マグダル・・・この辺は星団暦の2000年代以降の巫女になるため、劇中の詩女には当て嵌まらないだろう。
ついでながら、リブート3巻ではスジタス・ボォスとナイミン・ハスハ・アトールという名前が公開されている。スジタス・ボォスの代で惑星の名前がカーマインからボォスに変更、ナイミン・ハスハ・アトールの代でカステポー西部がハスハと呼ばれるようになったか、あるいは詩女(もしくは巫女)にアトールという呼び名を冠するようになったのかも知れない。
(2012.11.05)


■ 17年後の世界

巫女の神託の内容とエンディングに流れるテロップから、物語の17年後にトリハロンの母国が東の大国と再び統合して超巨大二重帝国が形成されることが明かされる。そんでもって・・・ここから先はカーテンコールの項でまとめる。
(2012.11.15)

 

■ カーテンコールについて


■ 正体ばらしちゃいます的な流れ

エンディング後のカーテンコールで各キャラクターの本名や後の名前が明かされる。この辺、うちのサイト的に超盛り上がります。
とりあえず列挙。1回目の鑑賞の時はデザインに見とれちゃったので、2回目の鑑賞で一気に記憶してきました。間違っている可能性もあります。

ユーゴ・マウザーとエルディアイ・ツバンツヒはそのまんま
神官アデム→アデム・ライト・ミカレス
神官ナナド→ナナド・フ・リエ
神官ムンセン→ムンセン・ル・ゾラ
ボットバルト→ボットバルト・デュー・バルバロッサ (デューでは無くてビューかも)
ラブ→ザ・ライブ・オブ・セントリー→ザ・ゴッド・オブ・ファイブスター・ストーリーズ
初代詩女→ヘリオス・ナイン・ユニオIII
ベリン→ベリン・ラーン→アジェリマグダル・ユニオV
戴冠後のトリハロン→サイレン・ザ・グレート"フィルモアI"

アデムの名前についている「ミカレス」は、後の「ミカレス大神官」につながる名前。おそらく、彼女の名前が後の筆頭神官に受け継がれることになったのだろう。星団暦3000年代におけるミカレス大神官はヘアード・グローバーである。
ナナドとムンセンにつく「フ・リエ」と「ル・ゾラ」はそれぞれ星団暦3000年代においても最強の魔導師の名前として残っている。彼女らの子孫になるだろうか。
ボットバルトはバルバロッサ王国の国王(これはパンフレットにも記載されている)。フィルモア帝国バルバロッサ王家の先祖ということ。
ラブはL.E.D.ドラゴン。セントリーとはL.E.D.ドラゴンを指す。詳細は辞書ページに詳しい。それにしても、ザ・ゴッド・オブ・ファイブスター・ストーリーズとは大きく出たなという感じ。「五つの星の物語」における神ということだろう。

ベリンの本名はベリン・ラーン。劇中では、都ハ・リが後に「ベリン」と呼ばれることになっている。FSSの方では「ラーン」の名前が残ったということだろう。つまり、ラーン・アトールである。
先日刊行されたトレーサーEx.1の情報で伏せられていたユニオVの正体はベリンということになるが・・・おそらくベリン個人を指すのでは無く、ユニオIVの次の代以降の歴代の詩女の記憶を指してユニオVと呼んでいるのではないだろうか。ベリンだけが存命である可能性は低いし、彼女だけがヤーンの実子というのもちょっと強引過ぎる。記憶そのものをユニオVと呼ぶのであれば、マグダルの最も近くにいる存在という設定とも辻褄が合うはず。

トリハロンは後のフィルモア1世。統合フィルモア帝国の初代皇帝になるということ。
ご存知のとおり、フィルモア帝国は次期皇帝に実子を指名する体制を採っていない。トリハロンが血縁に頼る体制を廃止したのかと思うと、なかなか感慨深いものがある。ベリンとの旅で教えられたことが彼の生涯に影響を及ぼしたと云えるだろう。
(2012.11.05)


■ で、おそらく3000年後の世界

カーテンコールの後でさらにレーダー9世、ファティマ・エスト、クリスティンの娘(?)、ファティマ・町が登場する。
まず、フィルモア帝国の国家元首でエストをパートナーとして迎える皇帝はレーダー9世である。レーダー9世の治世の時代は星団暦3200年頃となるため、凡そ3000年後の世界に飛んだことが窺える。この時期のクリスは既に老女になっている(もしくは初老に差し掛かっている)はずで、劇中に登場している女性騎士はかなり若い。よって、クリスの縁者である可能性が高い。
次に、彼らがボォスを訪れた理由であるが、カラミティ・ゴーダースの爆発後の可能性がある。というのも、シワルベのような戦艦が出現した後にかなり多くの宇宙船が降下していることが描かれているのだ。数的に見てかなり異常であるし、この時期にフィルモアがボォスに攻め入ることもないだろう。おそらく、彼らは母星を失ってこの惑星に移ってきたのである。また、3000年後はエルディアイが帰還を匂わせていたはず。つまりスタント遊星の接近時期である。この点からもカラミティ消失後であることが裏付けされる。

ネット上でレーダー9世がジークボゥという説があるみたいですが・・・違うんじゃないかなーと。
3200年代にジークボゥがいたとすれば、このヒトもかなりオジサマになっているはずだし、ノルガンはノルガン財閥の一族のひとりという設定が明かされている。レーダー9世の目の色は青色で、ノルガンは黒色。たぶん、アドラー侵攻の時点で何らかの政治的な行動をとって壊滅を防ぐ役割をもつ人物ではないかと思われる(あるいはアイシャと結婚することで天照と事を構えないようにしたとかね)。
(2012.11.06)


■ 残る疑問点

とりあえず残った疑問点として、システム・カリギュラがナインの記憶を宿す詩女(巫女)について、何ら関心を持っていないということ(ベリンを亡き者にしようとするテロ行為に平然と協力していたことから)。シオの門番は変体性ファロスディー・カナーン・シュバリエとも呼ばれており、炎の女皇帝と起源は近いはず。うーん・・・超帝國の時代において既にシステム・カリギュラと炎の女皇帝は袂を分かっていたということだろうか。
そう考えると・・・炎の女皇帝の超(バスター)討伐の目的もナンだか判らなくなってくる。魔王討伐では無かったのか。それとも、この時だけはシステム・カリギュラと手を組んでいたのか。
(2012.11.06)

ソフト化されれば追加でカキコすることもあるかと思いますが、とりあえず、こんなところで。
 
 
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