† 第2巻 2005エディションに関する考察 †
The Five Star Stories II 2005 EDITION
 
2005年2月下旬に発売した第2巻の改訂版「2005 EDITION」について、改定部分の整理と巻末ファティマ図鑑からの考察をまとめています。

内容に関しては・・・
1巻の改訂版「1998 EDITION」と同じく、キャラシートのページは全て改定。
また巻末のスリーブノーツに約80ページのフルカラー解説が追加。
前半はファティマの歴史、ファッションの変貌についてまとめてあるが、基本的には「PS」などからの加筆・修正。
後半のラインナップはこれまでのキャラシートの修正・再掲載と、説明文は新作になっている。
細かい単語の変更点はかなり多く、全て洗い出すと膨大な量になるため、ここではトピックとなる部分だけ挙げておきます。変更された単語はいずれ豆単帖に整理するつもりですが、いつになるのやら・・・。
 

 

■ キャラシートの変更点 (p4〜)


とりあえず気づいた変更点を列挙。

ジュノーン初期型のキャラシートはセイレイ・ジュノーンからの流用だが、ベイルと脚部マーキングのカラーが変更。また肩のマーキングは消されている。

モラードのキャラシートは旧2巻に掲載されているものとほぼ同じモノだが、右肩にあったミラージュのエンブレムが消されている。しかし、襟にある少将の階級章はそのまま残してあるので、A.K.D.入りの設定が変更になった訳ではないと思われる。

サイレンは「KF」に掲載されているF型・皇帝色よりも機体色が薄くなり、角飾りがなくなって、さらにベイルの端など一部のカラーリングが赤に変更されている。おそらくラルゴの搭乗騎と思われるが、詳細は不明。

あと、コーラス・サードのキャラシートが、19世の流用になっているのだが、こちらは逆に変更点がないので裾のローマ数字(おそらくXVIIII)が浮いてしまっている。ちょっと残念。
(2005.02.28)

 

■ マグロウの説明 (p9)


MHマグロウの説明で、コーラス・ハグーダ戦の後もライセンス生産が行われた、となっている。
魔導大戦にマグロウらしきMHが参戦していたことも、これで説明が通るのだが・・・クバルカンの秘密裏の援助を受けて開発されたという裏設定はボツになったと考えるべきか。うーん。他国でライセンス生産されているということは、開発・製造元はあくまでもハグーダが所有しているということになる。つまり、コーラス・ハグーダ戦後の共和制国家の時代は、このMHで得た収益が国の再興に当てられた、と考えることもできる。・・・んで、ハグーダ共和国は3180年にコーラスに吸収されるので、それ以降はコーラスが開発・製造元になると。まあ、コーラスがマグロウを所有することはないだろうから、あくまでも売り上げはハグーダ領の市民に還元する形になるだろうか。この辺の国の事情って難しそうですね。
(2005.03.26)

 

■ サイレンの説明 (p9)


フィルモア帝国の歴代主力MHは幽霊や精霊の名前を付けられている、と解説されている。魔導大戦に参加しているファントムも然り。
この設定はおそらくロールス・ロイスの車名の付け方に因んだルールと思われる。ロールス・ロイスは1925年に初の量産モデルとしてシルバー・ゴーストを生産。続いて1925年から生産を開始したのがファントム、その後もシルバー・シャドウ、シルバー・ドーン、シルバー・レイス、シルバー・スピリットなど、やはり幽霊や精霊に因んだ名前の車が生み出されている。
(2005.02.28)

 

■ ラルゴ・ケンタウリの説明 (p9)


ラルゴについて、事実上のフィルモア帝国総騎士団長であったことが解説されている。2900年代末期のノイエ・シルチスの三銃士は、アビエン・ヒートサイ、ラルゴ・ケンタウリ、バーバリュース・ビィの3名であったが、ちょうどハグーダ戦の頃はヒートサイが老齢のため一線を退き(ただし腕は最強だったはず)、バーバリュースはデコースに敗れたために降格、カステポーに修行(と云うか、アイシャと同じく公務停止処分と思われる)に出ていた時期と重なっている。
レーダーがラルゴに帰ってくるよう諭していたシーンも、こういった背景があることを考えれば、それなりに重みのある言葉であったことが見えてくる。3巻において、コーラスの死に対してしばらくは手を休めようと云っていたレーダーだが、意外と三銃士が不在の状態だったために休むしかなかったのかも知れない(いや、フィルモアならそんなことお構いなしに動けるんだけどね)。
(2005.02.28)

 

■ ログナーの最強設定 (p10)


改めて、劇中に登場する全ての「もの」の中で最強に位置していることが解説されたログナー。NT2003年8月号やクロニクル2005に掲載されたパワーバランス表を見れば判るとおり、ログナーは天照、ゲートキーパー(アトロポスとクローソー)、カレンとユーリヒ、スペクター、ドラゴンたちに次ぐ存在であり、悪魔の王オーバーロードと同等の強さをもっている。逆に云えば、天照からドラゴンまでは「者」でも「物」でもない別の「何か」ということか。・・・「何」なんでしょうね?

ログナーが「いつ、どこから、何を目的にやってきたか」は、現時点では不明。ただし、ログナー自身が魔王タンツミンレと戦ったことを示唆していたり、「五つの星の物語」におけるアイエッタ姫と「超常の不死王カラミティ・ゴーダース王」の設定などから想像すると、彼の使命は「悪魔を駆逐すること」と「命の水を悪魔の手から守ること」ということになるだろうか。・・・そう考えると、命の水を巡る戦いであった2992年のシーブル国とA.K.D.の衝突で、なぜログナーが現れなかったのか気になってくるのだが・・・ボスやんだろうが、ディ・バローだろうが、「ヒト」が手にする分には何ら気にかけないという一貫したポリシーをもっているってことなのだろうか。うーん、それはそれで納得できるか。

ボスやんをタンツミンレとする説も最近あるようですが、もしそうなら、2992年の戦いでログナーが出てこなかったというのが納得できないんですよね。O.P.Q.L.がそうであったように、魔王レベルの存在は「命の水」を狙っている訳で、不死王カラミティ・ゴーダース王は彼らから「命の水」を守るのが使命のはずなので。

ログナーについての考察は、NTの連載時の考察でチョコチョコと書いているので、参考までに。
コミック12巻刊行時に別途、整理します。
(2005.03.27)

 

■ 本編より


2巻の初版との比較です。
p24、ブーレイの登場シーンで「セブンナイト」が「セブンナイツ」に修正。
p34、「見えるの・・・」から始まるクローソーの独白ページがカット。
p37、欄外のコーラスのくさびについての説明だが、手書きのエンブレムが消えて意味不明の文章に。ダメじゃん。
p136、クローソーのセリフが「マインドコントロール」から「ダムゲート・コントロール」に修正。これの考察は後でまとめます。

意外と少なかったですね。
しっかし、「セブンナイト」を修正するくらいなら、「A.K.D.」のルビの「アマテラス・キング・ダムズ」を修正した方がいいと思うのだが・・・。

その他にも修正箇所を見つけた方はご一報ください。
(2005.02.28)

 

■ 戦闘兵器の巨大化と縮小化 (p148)


戦争に使うためのロボットを開発していたというファロスディー・カナーン超帝國。巨大化と縮小化を繰り返したということから、9巻に登場した人型ロボット・ジェルデミアもそういった過程の中から生まれた兵器であることが想像できる。もっとも、この時代(AD世紀末期)は既にマシンメサイアが完成していた後の時代なので、超帝國が去った後に遺された人々が流出した技術力の残渣からレベルの低いロボットを生産していたというのが現状だろう。
現在のジョーカーでは、ジェルデミアのような警備・武装ロボットの類が存在していないが、これは騎士団や騎士警察が存在しているため。騎士の血が薄まって星団中に広まった星団史の時代では、AD世紀の末期よりも騎士の数が圧倒的に増えているのである。ロボットの役割は主に下級の騎士が担っている訳ですね。この辺の舞台設定も実によくできてます。

ついでに、AD世紀で使用されていたという過酷労働などを担当する人型ロボットだが、ツアイハイ地方の惨状などからも判るように、こちらも現在のジョーカーからは姿を消しているようである。この理由については不明だが、例えば、安価で安定性のあるロボットを使用するよりも、人間を労働させている方が金持ちのステータスとなる・・・といった道徳観が貴族社会に広がったとか、ジョーカーに生活する人々の生活習慣や、貧富の差の拡大が絡んでいるのではないだろうか。

あ、ツアイハイの場合はメトロ・テカ・クロムの粉を含む風のおかげで大抵の機器は使用不可能になるというという条件があるのか・・・でもまあ、劇中で労働用の自立型ロボットは登場していないし、これまで解説されているカーマントーの状況から考えても、そういったロボットは使われていないと考えていいのではないだろうか。
(2005.04.10)

 

■ マシンメサイアの操縦系について (p149)


ファロスディー・カナーン超帝國が使用していた戦闘兵器が「マシンメサイア」であり、肉体と頭脳を(機体と)相互リンクして稼動していたこと、またその技術が炎の女皇帝によって封印されたことが説明されている。えーっと、マシンメースの名称はボツ設定になったと考えるべきか。またジョーカーにおける第1世代ロボットであったグランドヘッドの設定もほとんど忘れ去られているようである。

それはともかくとして、問題はマシンメサイアの操縦系を色濃く遺しているAUGEである。
ネイパーが乗り込む際は全身のアチコチにコードを付けていた姿が確認されている訳だが・・・この姿とアッサラム・スキーンがマシンメサイア「焔星」に乗り込んでいる姿(9巻p183)はほぼ同様であることから、AUGEの相互リンク・システムは凍結されずに遺されていると考えていいだろう。なので、もしAUGEがファンタスマゴリアに持ち込まれることなく、天照の手によって分解されていたならば、超帝國の技術も早々に解析され、星団中に広がっていたのではないだろうか(実際には天照自身が手をつける気がなかったためにネイパーに預けられたという感じもする)。
ただし、AUGEは部分的にMHに改装されている(これがチューンナップなのかデチューンなのかは微妙)ため、ファティマ・ダイオードがもつ特殊なインターフェイスによってサポートを受け、稼動している状態らしい。うーん・・・操縦システムの一部がブラックボックス化している可能性も否めないか。

ところで、ジョーカーにおけるヒトと機械の神経接続は、サイボーグ体をもつスパコーンなどを見れば判るように完成している状態である。MHほど複雑な機構をもつと、単純な神経接続だけでは稼動できないのかも知れないが、「MHだけができない」というのは少し無理がある設定に感じるなーと。
(2005.02.28)

 

■ ちょっとツッコミ (p151)


ファティマに関する星団法委員会が2310年にすぐさま発動された、という説明の部分で「ハスハ連合共和国など列強15ヶ国」となっているが、ハスハ連合共和国の発足は2810年である。おそらく「ハスハント王国」と書くのが正解。なので、次のページでエープ騎士団が国家大使としてフェイツ公国に駐屯していた、というのもちょっと無理がある。まあ、細かいツッコミなので無視してください。
ちなみに「PS」にはトラン連邦のS.P.I.も記載されていたのだが、トラン連邦の成立も近年になってからなので、この点は修正されている。
(2005.04.10)

 

■ ダムゲート・コントロール (p152)


本能としてもつ「メンタル・コントロール」と、感情制御プログラムとして後天的に加えられる「ダムゲート・コントロール」。2重の思考と行動規制によってファティマは不安定な精神をもつに至る。内容的にみて、以前までの「マインド・コントロール」がそのまま「ダムゲート・コントロール」に置き換わっているようである。
ダムゲートについては・・・「dam」で感情を抑える、遮る、抑制するの意。「damn」で罵る、呪うの意。「dumb」で物を云えない、口をきけないの意。なので、おそらく「dam gate」と訳すのが正解であろう。マインド(mind)だと精神や心まで含まれるので、再度意味を見直して修正したということだろうか。
しっかし、わざわざ物語の根幹に関わる単語まで変えなくても・・・という感じがしなくもない。今後の発行される新刊はともかくとして、各巻の改定や副読本についても同様の処置ができるとは思えないし。
(2005.04.10)

 

■ 4ファティマについての設定変更 (p153)


微妙な設定変更。ファティマ・フォーカスライトの解説の部分で、リチウム・バランスが最初に作った4人のファティマについて、2番目がニーヴで、4番目がインタシティとなっていたはずだが、今回は両者が入れ替わって2番目がインタシティ、4番目がニーヴとなっている。うーん、意外と何かの伏線かも。
ついでに、フォーカスライトのキャラシートも「PS」に掲載されていたものとは色違い。
(2005.04.10)

 

■ ファティマのコスト (p157)


バランシェ・ファティマのコストが1000億円以上と云われているらしいのだが、この金額から察してみても、レディオス・ソープがラキシスを連れ去った事件がいかに非常識な出来事であったかが判る。ユーバーでなくとも捕まえようとするのは道理であろう。コーラスが道を開けるように指示したとは云え、みんなで拍手までして見送るとは・・・星団のお偉方はよほどロマンスに飢えてると見た。
ちなみに地球の世界長者番付のトップであるビル・ゲイツの2005年における資産額が465億ドルとのことなので、彼であれば個人でファティマを購入し、さらにメンテナンスを継続することもギリギリ可能というレベルである。
いくら国家の資産で運用できるとは云え、ジョーカーの金の動きというものは地球人には理解不能なレベルであると云える。
(2005.04.10)

 

■ 星団初の4ファテイマ (p160)


S.S.L.がSolid State Logicの略であることが解説されているので、一応。4ファティマの名前はいずれも音楽のコンソール・メーカーの名前からとられている。

フォーカスライト(Focusrite)はRupert Neve(ルーパート・ニーヴ)が1985年にイギリスで創設したメーカーで、現在は「Platinum Range」、「ISA Range」、「Red Range」、「Blue Range」の4部門に分かれてコンソールの生産やスタジオの運営を行っている。

インタシティ(Intercity)は東京のメーカーらしいが、現在、サイトがサーバーメンテナンス中で詳細不明。そのうち調べ直します。

S.S.L.(Solid State Logic)は1969年にイギリスのオックスフォード州に本拠を構えた老舗。1977年に発表されたSL4000Bというコンソールが既存のコンソールを統合した名機として一世を風靡し、その後に生産されたコンソールについても「コンソールの基礎」として高い評価を得ているらしい。

ニーヴ(Neve)もRupert Neve(ルーパート・ニーヴ)が1961年にイギリスで創設したメーカーだが、経営破綻によりAdvanced Music Systems社と合併したため、現在はAMS Neve社となっている。つまり前述のフォーカスライトの方が、ルーパートが自らの会社を手放した後に、新たに創設したメーカーということ。ルーパートの死後は、一応AMS Neveがニーヴの名を継ぐ会社ということになっている。今では世界基準と成っている5.1chオーディオもこのメーカーが打ち出した仕様らしい。
(2005.04.17)

 

■ ファンタスマゴリアと時間の停止 (p163)


天照王朝の神主であるグリーン・ネイパーが普段生活しているファンタスマゴリア。解説によるとクラウン銀河のほぼ中心に位置する空間(?)らしい。なぜ銀河の中心にそういった空間があるのか・・・通常、時間の停止する空間と云えば「光速で移動している空間」ということになるから、宇宙の開闢と同時に光速で膨張している場所、つまりその宇宙の最も端にある場所と考えるのが普通である。
一方、ダイアモンド・ニュートラルはクラウン銀河のほぼ中心にある中性子星に吸い込まれ、「時間の停止する空間」でタイフォンと出会った(10巻p172)ことになっている。中性子星は恒星の超新星爆発の後に残る中心核のようなもので、そこでは超重力により砂粒くらいの大きさの物質が百万トン以上になるらしい。重力が大きければ大きいほどその周囲の空間では時間の流れが遅くなるので、ファンタスマゴリアもそういった空間に存在する世界であると考えればいいか。
もっとも、宇宙船や人体がその重力下で耐えられるとは思えないし、またそういった空間に入ってから再び脱出することが可能とは思えないのだが、その辺はまあ「マンガだから」とか「SFだから」という理由で納得するしかない。
あるいは、ワームホールを通過して別の宇宙に移動しているのかも知れないが、何となくそういったベタな(そして古い学説の)設定がFSSに適用するとも思えないし。
(2005.04.30)

 

■ ジ・アトラスという名のファティマ (p165)


以前から名前のみ明かされていたファティマ・ジ・アトラス。今回、その正体が星団初の4ファティマの三女S.S.L.であることが明かされた。S.S.L.には、スバースの死後、レーダー6世をマスターとし、また魔導大戦勃発後に剣聖マキシのパートナーになるという設定があったことから、A.K.D.で目覚めたアトラスはハスハに向かうか、あるいはマキシが生まれた後に天照家に引き取られてA.K.D.に入ってから出会うことが予想される。
んで、彼女のプラスティック・スタイルと搭乗するらしきMHは2001年12月号のNT連載時の扉絵に登場しているのだが、MHのシルエットはマキシが搭乗するはずの暁姫のデザインとはかなり異なっている(当時、既に暁姫のデザインは公開されていた)。なので、もしアトラスが魔導大戦に参戦するのであれば、全く別のMHに搭乗する可能性もある(つーか、単なる設定変更と考えればいいか)。

アトラスはギリシャ神話に登場するティターン神族のひとりであり、ゼウスによるティターン神族の討伐後、罰として天球を支えることになった神である。「天を支える神」として考えれば、天照の許にいたというのも納得か。ちなみにS.S.L.がコンソール・メーカーの名前から持ち込まれたように、アトラスについても「Atlas Sound」という元ネタと思われる音響機器メーカーが存在する。アメリカはカリフォルニア州に本拠地を構える1934年創業のマイク、スピーカーのメーカーである。
(2005.05.01)

 

■ ザ・ブライドという名のファティマ (p166)


んで、ザ・ブライドの正体はバクスチュアルだったと。戦闘には不向きという設定は忘却の彼方に・・・。
ヒュートランと同等の性能って・・・11巻の表紙が彼女とヒュートランだったのは、このための布石だったのね。
(2005.05.01)

 

■ 3159ガーメント・スタイル (p168)


ミラージュ騎士団に所属するファティマが、L.E.D.ミラージュに搭乗する際に身につけるガーメント・スタイルのスーツ。宇宙空間における使用も視野に入れているという装備は、やはりスタント遊星戦や、天照がジョーカー太陽星団から出て行くことも想定して作られたと考えればいいだろうか。ガーメント(garment)を辞書で引くと「衣服」の意であることが判るが、古期フランス語で「装備」を意味するらしい。ファティマの個体識別が可能であることが前提となっているファティマ・スーツの中にあって、識別を一切させないガーメント・スタイルは異彩を放っているが、これもL.E.D.ミラージュの機体ナンバーと同じく搭乗者を外部に判らせないようにするための措置なのかも知れない。

ついでに、このページに書いてある「プラスティック・スタイル」の次に来る「ビスケット・スタイル」だが、名前の感じからして粉々に成る、つまり状況に応じて体の各部のパーツをバラして交換したり、ファティマが息抜きしやすいようにしたりするスーツではないだろうか。魔導大戦における不具合と云えば、ダイ・グが11巻p179口にしていた「悪影響」・・・ピッチリした服装のため、新鮮な空気に触れられない、気分転換ができないという部分を指しているはずなので(プラスティック・スタイルも内側にエアコンがついているのだが、たぶん脱いだ方が楽なはず)。
(2005.05.05)

 

■ 靴の行列 (p169)


ファティマのラインナップの表紙に並んでいる靴。「TW」からの掲載だが、一番上の赤い靴だけ未だに誰の靴か不明(弁天の靴かも知れんけど)。2番目は白ラキの靴でシャルル・ジョルダン(Charles Jourdan)のもの。3番目がパルテノの靴、4番目がタイフォンの初期稿の靴(「KF」より)、5番目が金ラキの靴で、このアングルではわからないが、6巻p91の最後のコマをよーく見ると、フェラガモ(Salvatore Ferragamo)であることが判る。
センセーはかなりの靴マニアで、ファティマの靴ひとつ取り上げてもこういった裏設定がゴロゴロしている。靴のブランドに詳しい方であれば、わずかに見えているロゴからパルテノの靴のブランドも判るのかも知れませんが。
(2005.05.05)

 

■ アナンダの所属先 (p175)


アナンダの所属が騎士団ではなく、メヨーヨ朝廷の「情報開発局」になっている。イラーの所属もおそらくこの部署なるのだろう。ちなみにイラーの肩書きは「戦闘司教」、指示を与えていたサングラスのオヤジが「開発司令」・・・なんか、少しずつ他国とはズレている組織・役職名ではあるが、おそらく本来は他国の情報をいろいろと持ち帰り、解析する部署ではないだろうか。もともと「国家」の輪郭があやふやになっているメヨーヨが、国家の事業としてMHを開発したもんだから、そういった部署に実戦テストのお鉢が回ってきたのかも知れん。
(2005.05.05)

 

■ イエッタの経歴 (p176)


イエッタの説明で、ログナー(2代目)と出会ったのが2800年代、生まれは2700年代と書かれている。うーん・・・「ログナー専用のコンプリート・ファティマ」という設定は、ログナーと出会ってから再調整されて専用のファティマになった・・・と受け取ればいいのだろうか。完成してから約100年もの間、誰もマスターを選ばなかったのか否かという部分も気になるところである。もしくは、1代目のログナーのDNAとマッチングさせることで生み出されたファティマで、完成前に1代目が死亡したとか?
「五つの星の物語」においては、アイエッタ姫から取り出された真珠がカラミティ・ゴーダース王を産み出したことになっていたので、イエッタと2代目ログナーの関係も何か符合するところがあるのかも知れない。うーん。
(2005.05.08)

 

■ 派手なスーツ (p188)


クーンの説明のところで、「この派手さに匹敵するのはザ・ブライドくらい」と書いてあるのだが・・・もしかして11巻p10右下のファティマがザ・ブライドってこと?
ザ・ブライド=バクスチュアルは特定のマスターでなくともパートナーになることができるので、彼女とヨーンが組んでデコースと対決→マスターを失ったエストが立ち去る・・・というシーンになるのか?うーん、謎です。11巻の表紙に出ているバクスチュアルのプラスティック・スタイルは、そのまま劇中でも登場するんですかね?
(2005.05.08)

 

■ クローソーの役割 (p192)


クローソーについて、「始まり」を司るファティマであることが改めて解説されている。
彼女は「天照とラキシスを倒す」つまり「ファテイマの希望の糸を断ち切る=終焉をもたらす」役割をバランシェによって背負わされていのだが・・・最終的にはアトロポスと衝突し、天照を星団外に追いやることで新時代を築く役割を果たすことになる。つまりクローソー自身が自覚している劇中の役割ではなく、読者から見た場合の役割をもってギリシャ神話における役割との符号を成立させている訳である(劇中の設定とメタな設定をわざと逆転させている)。
連載当初からなぜファウストと同じくアトロポスとクローソーの役割を逆転させているのか、各所で話題になったり、TOYSPRESSの質問コーナーに挙がったりしていたのだが、何のことはない、最初からセンセーはそういったギミックを組み込んでFSSを組み立てていたのである。
プラスして、FSSという物語を真の意味で始動させたのはクローソーの休眠であることを、センセーも以前解説していたはず。
劇中の謎解きも面白いが、こういったギミックについても底深い設定が組まれているのがFSSの醍醐味なのかなと。
(2005.05.08)

 

■ サロメのスーツ (p196)


サロメのスーツがマンティック・モードとして紹介されている。もともとセンセーがベビードール型のファティマ・スーツを作りたかったがために、作られたスーツだったはずなのだが・・・今回のファッション解説でマンティック・モードの意味合いが以前(「KF」の解説)と少し変わり、ゆったりと着られる「宇宙での生活に適したスーツ」という位置づけになっているため、サロメのスーツもついでにマンティック・モードとして位置づけられた感じである。
実際、サロメはタイトネイブをマスターとしてからしばらくは宇宙都市で生活を続けていたことになっているので、設定上ではむしろちゃんとスジが通っている説明になっている。ダイアモンド・ニュートラルらと登場した際にこのスーツを着ていたことも納得(でもクーンはプラスティック・スタイルになってたんだよね)。
(2005.05.05)

 

■ ファティマの所属について (p198)


アナンダについての考察で既に触れているが、今回明かされているファティマの「所属」の部分が面白い。ざっと見た感じでは、騎士団の所属であっても、マスターが一国の当主である場合・・・例としてログナーのバビロン王国や、アイシャのルーマー王国など・・・は、その王国が所属になっており、また星団内でも名門として認められている家・・・例えばA.K.D.のクリサリス家やアトワイト家など・・・は、その家の所属になっているようである。

これはおそらくマスターが死亡した場合に、初期対応としてファティマが帰属する場所、という位置づけになるのだろう。当然、ファティマは自分の意志でマスターを選べるため、それぞれの所属先に戻された後、マイトの許へ返されるなどの対応が採られると。ただし騎士3人以上の見届けの下であれば、簡易のおひろめとして認知されるので、前マスターの子供などが引き継ぐ場合は、マイトを経由せずにそのまま子供が継承することが一般的に行われているということだろう。クリスが町を娶ったのもこのパターンである。

また、マスターが名門の出ではなく、単身で騎士団に入団した場合などは、その騎士団が所属先になっている。ウラッツェンのピレットや、ディッパのアキレスなどはそのいい例である。そして、さらに面白いのが、そのマスターが騎士団において重要なポストにいた場合には、所属先がさらに限定されたものになっている点である。例としてカイエンのパートナーであるアウクソーはアトール宮、静はミューズが枢機卿という立場にも関わらず、彼自身が地方出身の豪族の出なのでレイバック家ではなく、法王宮が所属先になっている。

ってな感じで見ていった場合に面白い点を以下に羅列しときます。

アトロポスの所属はライム家。これは、籍をもっているので所属というよりは「騎士としての家名」である。

アンドロメーダはメヨーヨ大帝付き。クラーケンベールは王家出身だが、メヨーヨは帝位の継承でも血が流れるくらいなので、皇帝家付きではなく、あくまでも皇帝個人に帰属する体制がとられているのだろう。彼女の場合は、クラーケンベールが死亡したらそのままマイトに戻されるか、家臣がわれ先にと手を出すことが予想される。

コンコードはアトール聖導王朝所属。これは彼女のマスターが聖導皇帝騎士になるから、当然といえば当然か。

コロナもギラが平民出身なので、所属はAP騎士団になっている。これは、彼の立場を考えるとやや低い処遇である。

ジゼルはフィルモア帝国の元老院所属。もえぎ騎士団は元老院直下の騎士団であることが判る。

タレイアはミラージュ騎士団所属。ハインドは家老だが、素顔を隠すために家名を捨てているので、騎士団付けになっていることが判る。

チャンダナはフィルモア帝国皇帝付き。これだけよく判らんです。なぜフィルモア王家ではないのか。ダイ・グがバキン・ラカンにいた遠縁の王家だからか。

パルテノは天照家。彼女は既に廃棄処分扱いなので、騎士団の所属にはならない。

ビルドが聖導王朝所属になっている。ハレーは脱走の自責の意味もあってAP騎士団を退団したため、マグダルとデプレのために戻ってきた時も騎士団所属という位置づけにはできなかったのだろう。

パルスェットはバインツェル(親権)預かり。つまり正式に騎士団に入団した訳ではないので、アイシャの采配でヨーンの親、バインツェル家の方を所属としているのだろう。ヨーンは既に家を出ているので、あくまでも親権をもっているヒトとして、家名を挙げているだけと思われるが。

ヒュートランはリアル女子高校生騎士団所属。そんなものは「ない」ので、おそらくコーダンテ家もしくは天照家がホントの所属先。

ポーターはフロートテンプル見回り・・・これも既に死亡扱いだから仕方ないか。どっちにしろ彼女のマスターは不滅の存在なので所属などいらないってことで。

町はフィルモア帝国の帝国議会付き。クリスの処遇が議会付きなのでこのようになっている。

マグダルに雇われたアルルのパートナー、ユリケンヌはアトール宮所属。彼女は剣聖カイエンと同レベルの処遇になっていることが判る。やっぱ、ギラが可哀想だね。

ざっとこんな感じですね。
(2005.05.16)

 

■ その他の初出の設定 (p201〜)


その他、今回はじめて明かされた設定を以下にまとめておきます。

バイズビズのパートナーがスパルタ。前マスター(コーララ)の性格と違いすぎて、ホントにそれで良かったのか少々心配。
ファティマ・マイトのスパンコール公のフルネームがカルス・スパンコール。
パシテアの新マスターがエミーテ家のバーナー・ダウド。・・・うーん、ミラージュ騎士団なのか?
ラ・ベルダのマスター、ワスペン・ナンダ・クラックが現在、ザームラント傭兵騎士団に所属していること。ザームラントは魔導大戦に参加している。
リンザがL-M型ファティマ。ふーん。
(2005.05.05)

 

■ 今回の肝 (p225)


カラミティ爆発後の放浪のラキシスが描かれる第3部だが、新たにルシファ・センタイマも彼女を追っているという設定が加わった。
となると、兼ねてより同一視されていたバーキュレ人とヴィーキュルはやはり同じ存在であると考えていいだろうか。つまり、星団暦6787年の惑星オリンポスにおける戦闘は、バーキュレ人の侵略に対してラキシスが助勢するのではなく、ラキシスを追って来たヴィーキュルとの戦闘というのが真相なのではないかと。

ここ最近のセンセーのネタばらしは、主に魔王関連、懐園剣、ログナーに絡むものばかりなので、連載再開後もしくは第6話アクト3「ミスト・ブレイカー」では、魔王とログナーが絡むエピソードが展開するものと思われる。ジョーカー宇宙に干渉しようとする魔王の目的や、ログナーの正体などが描かれるのであれば、当然、ルシファの再登場もありうる。2巻改訂版でわざわざ新設定を付け足した背後には、オリンポスのエピソードを匂わせる意図があるのではないだろうか・・・というのが桜牧師の邪推です。

ちょうど、2005年6月号のNTにクフィル・インペリュンのキャラシートが掲載されたみたいですしね。
(2005.05.17)
 
 
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