† デザインズ7〜xに関する考察 †
from DESIGNS #7-x
 
「DESIGNS #7」は2024年3月8日に発売。
以下続刊。
 

 

■ DESIGNS #7


■全体を通して

最初に・・・ちょこちょこ感想を書いていたらアホみたいに長い文章になっちゃいました。読むのが大変でごめんなさい。めんどくせーと思ったらホントに読まなくてOKです。デザインズ7といちいち書くのが面倒なので「DE7」と表記してます。

DE7の全体を読み通すと、設定ミス、解説ミス(あるいは誤植)がチョコチョコある点に気付く。矛盾もある。が、テキスト量がとにかく半端ないことを考えると、原稿を書いてある間に切り替わった設定もあるのだろうなーという想像もできる。なので、下記の感想メモは多少のミスを無視して、気付いた点や物語に大きく絡みそうな点だけを取り上げてます。
設定ミス:火之姫と賽星がレオパルト・フレームなのかパンター・フレームなのか判らない、天照王朝の元老院議長がダグエランなのかハインドなのか判らない、親王と内親王の区別がいまひとつ判らない など。
解説ミス:衆議院-参議院と下院-上院の対比が間違っている、バッカスはギリシャ神話ではなくてローマ神話の神 など。
(2024.05.19)


■ 天照とラキシスおよび天照家・天照王朝のパートで目立つ新規設定 (p14〜p17)

これまでに公開されている設定から大きな変更はないが、女系王家についてかなり細かい解説が盛り込まれている。ただし、天照王朝の成立については、NT2022年3月号の解説の方が丁寧で細かい。当時の単語と設定は辞書ページで拾っているので参考にされたし。

大きな変更点として、天照家が女系王家として整理されたことで、83代天照の命(ミコト)の兄ムムカーラが興したシナーテ家という流れが無くなり、シナーテ家はコーダンテ家の傍系に位置づけられた模様(明確に説明されていないがp15の家系図ではそのように見える)。コーダンテ家の始祖もサイサ・コーダンテからネイト・コーダンテに変更。アトワイト家は連載時の扉絵で明かされていたとおり、81代当主の時代に分かれた衛星王家ではなく、初代皇帝の妹から発した直系王家となっている。

今回の設定公開で、斑鳩はじゃーじゃーとカップリングされることが読み取れるので、彼の子孫は天照家では無くなることになる。よって、天照の血を継いでいくのはワスチャ、パナール、メナー、イーシら女性陣になるということ。んで、継承順位で永久2位となるはずのアラートが、反抗天照軍に加わることがたぶん重要になってくる。彼女は天照が星団から離れる際に居残るという設定も匂わされているので・・・天照家が引き継いできた人間としての血筋は、4100年代以降で2つに分かれるという想像ができる。つまり、コーダンテの血筋は宇宙の彼方へ、アトワイトの血筋は太陽紀(モンドやバナロッテの時代)へ、というルートである。まあ、天照は血の継承について何も拘りがないと思うので、当代当主の意思を尊重しているものと考えられる。

ちゃあの息子がヴェイデリ・コーダンテになるとして、旦那は誰になるかは明かされていない。・・・順当に考えればツァ・ベールかヨーンになるだろう、という予想がつく。ヴェイデリとヨーンの騎士服がほとんど色違いのデザインとなるが、これは血縁と云うより師弟の関係に思える。ヴェイデリがヨーンに師事して彼の剣技を引き継ぐ流れであれば面白い。
(2024.05.19)


■ ミラージュGTMのパートで目立つ新規設定 (p18〜p56)

GTMに関してはZ.A.P.の開発系譜に関して試作騎が追加となり、F型関連について設定が見直されている。エンジン周りの設定は完全新規。ターボチャージャーとかターボジェットエンジンの知識があると頭に入りやすい。デトネーター・ブリンガーの設定はほぼ完全新規。スペック表の部分もアチコチ置き換わっており、装甲色が変わる設定以外はかなり見直されている。

掲載されているZ.A.P.は、その装備と騎体番号から搭乗者が判るようになっている。p26に掲載してあるのはコーラス・ハグーダ戦に参加したウラッツェンの搭乗騎、p24に掲載してあるのはおそらく3159年に参加するヨーンの搭乗騎となる。ヨーンが誰をパートナーとするかは不明。一応、3159年はログナーがエストのマスターになるという設定があったので、順当にいけばバシクになるか、新しくパートナーを娶るか、といったところ。

ES、EL、ENの設定変更により、コールドアイ・ブリンガーが抹消。ESが2巻でディッパが乗った騎体⇒後のキャメラート・ブリンガーの1号騎、ELが5巻でアイシャが乗った騎体⇒後のグリット・ブリンガーの1号騎となる。よって、永野センセーの解説には無いが、ENがコミック8巻でアイシャが乗った騎体⇒後のハイファ・ブリンガーの1号騎ということになるだろう。つまり、現在のブラフォードの搭乗騎である。
F1型のファンダウン・ブリンガーは後にC型に区分となっているため、開発途中で頓挫してC型の騎体に改修されたことが窺える。シングル・エンジン搭載型なので、DFの1号騎とは異なるので注意。設定が右往左往していたフルトリム・ブリンガーという名称はF2型に固定された模様。ファルトリムという名称はボツ設定に変更。

閃シリーズのエンジン名とミラージュGTMの系譜が最新設定に合わせて変更。A003に当たるアゲハについては詳細が明かされていないが、今後登場するのかも知れない。B2型ミラージュの名称が「紫雲」であることが判明。まあ、どうせイカヅチマルになる訳だが。と云うか・・・このままだとログナーの出る出番が無いような気がする。バッハトマ解放戦で乱入して欲しい。

コードレターとZ.A.P.の搭乗騎士に追加情報があるので一覧表を修正。

旧設定を引き継いでいるのであれば、ツァラトラの出撃記録は以下の通りになるはず。
2989年 コーラス・ハグーダ戦 3騎
3007年 天照家壮宋祭 騎数不明(15騎?)
3159年 アドラー侵攻戦争 15騎
3199年 ボォス星侵攻作戦 騎数不明
3225年 スタント遊星攻防戦 18騎
3238年 カラミティ星侵攻作戦 騎数不明
3960年 ジュノー侵攻作戦 15騎
7777年 フォーチュン攻防戦 騎数不明
 
■ ツァラトラ テールコード一覧
テールコード 搭乗者 備 考
A 左翼No.4斑鳩 / 魔邪
 3159年 アドラー侵攻
右翼No.Aマドラ・モイライ / クラカライン、ベルクト
 未使用
右翼No.Aジャコー・クォン・ハッシュ / ヴィン・ティン
 未使用
天照 / 不明(ラキシス、バクスチュアル、ヴィッターシャッセ、シシステルケスレムほか候補多数)
 7777年に使用?
天照家使用
I 左翼No.2バーグル・デ・ライツァー / パルテノ
 未使用
右翼No.11レオパルト・クリサリス / ティータ
 2989年 コーラス・ハグーダ戦参加
 3007年 天照家壮宋祭参加
統合No.36タワー / 単独
 不明
 
II 左翼No.9ベスター・オービット / テック
 未使用
両翼No.6クロークル・ハーマン / タレイア
 3007年 天照家壮宋祭参加
左翼No.22ベルベット・ワイズメル / パルテノ
 不明
 
III 右翼No.2アイシャ・コーダンテ / アレクトー
 3007年 天照家壮宋祭参加
左翼No.2エフィー・ドライ / レイルゥー
 不明
統合No.30ルート・コーダンテ / アレクトー
 不明
 
IIII-j 右翼No.9ディッパ・ドロップス / アキレス
 3007年 天照家壮宋祭参加
Z.A.P. AAR R指揮騎
V 右翼No.8スペクター / ポーター
 3007年 天照家壮宋祭参加(転んで大破⇒修復)
 3159年 アドラー侵攻参加(見てただけ)
 
VI 右翼No.16ステートバルロ・カイダ / カレ
 3007年 天照家壮宋祭参加
左翼No.7アーリィ・ブラスト / マルター
 不明
統合No.28サトバイ・シュレスコルハール / 不明
 不明
 
VII-j 左翼No.5ヒューズレス・カーリー / トランス
 不明
Z.A.P. AAR L指揮騎
VIIIr 右翼No.4F.U.ログナー / イエッタ
 3007年 天照家壮宋祭参加
 3159年 アドラー侵攻参加
隊長騎・雷丸その四(ダークブルー仕様)
VIIII 左翼No.10ピッキング・ハリス / クラカラインorベルクト
 未使用
右翼No.8スペクター / ポーター
 おそらくV(5番騎)が破損していた間の予備騎
 未使用
左翼No.14オリビー・タイトネイヴ / サロメ
 3159年 アドラー侵攻参加
 
X 左翼No.7エイドリアン・ターク / メイラン
 未使用
右翼No.12ウラッツェン・ジィ / ピレット
 2989年 コーラス・ハグーダ戦参加
 3007年 天照家壮宋祭参加
統合No.27ヨッヘンマ・ピストーチ / スラート
 3960年 ジュノー侵攻参加
 
XI 右翼No.7リィ・エックス / イカロス
 3007年 天照家壮宋祭参加
左翼No.15パナール・エックス / イカロス
 3159年 アドラー侵攻参加
統合No.33アラート・エックス / イカロス
 不明
 
XII 右翼No.13ポエシェ・ノーミン / シェラスタ
 未使用
左翼No.17エイブ・ロウ / プーウラー
 3159年 アドラー侵攻参加
 
XIII 右翼No.14シャーリー・ランダース / エフロシューネ
 2989年 コーラス・ハグーダ戦参加
左翼No.16シトロン・メナー / オーバーハイム
 3159年 アドラー侵攻参加
 
XIIII 右翼No.18イマラ・ロウト・ジャジャス / ソルティア
 3007年 天照家壮宋祭参加
 
XV 右翼No.15ビヨトン・コーララ / スパルタ
 未使用
左翼No.12ヴィンズ・ヴィズ / スパルタ
 3159年 アドラー侵攻参加
 
XVI 右翼No.19ミシャル・ハ・ルン / クラッパ
 3007年 天照家壮宋祭参加
統合No.29ヘルトバード・ゴドラ / シエラス
 3960年 ジュノー侵攻参加
 
XVII 右翼No.20ヨーン・バインツェル / 不明
 3159年 アドラー侵攻参加
左翼No.ボー・ゼクス / クエスーラ
 不明
統合No.20パゴナ・ヘルバート / 不明
 不明
 
XVIII 左翼No.3ティン・バイア / ベルダ
 未使用
左翼No.21ワスペン・ナンダ・クラック / ベルダ
 不明
 
XVIIII 右翼No.22マキシマム・ハルトフォラス / S.S.L.
 3075年 ハスハント解放戦参加
 3159年 アドラー侵攻参加
 3225年 スタント遊星攻防戦
特別騎デストニアス
T 右翼No.17ヌーソード・グラファイト / パシテア
 3007年 天照家壮宋祭参加
左翼No.8ミューリー・キンキー / イルペオ
 不明
 
TI 右翼No.21アーレン・ブラフォード / 京
 3007年 天照家壮宋祭参加
 3159年 アドラー侵攻参加
 
TII 左翼No.13バーナー・恋・ダウド / パシテア
 3159年 アドラー侵攻参加
 3225年 スタント遊星攻防戦
 
TIII 右翼No.3ランドアンド・スパコーン / ティスホーン
 3007年 天照家壮宋祭参加
左翼No.18エルディアイ・ツバンツヒ / オーハイネ
 3159年 アドラー侵攻参加
 
TIIII 左翼No.11メイザー・ブローズ / 不明
 未使用
統合No.24ターストワイト・フォレット / 不明
 3159年 アドラー侵攻参加
 
TV マドラ・モイライ / クラカラインorベルクト
 3159年 アドラー侵攻参加
 
TVI 右翼No.23キュキィ・ザンダ・理津子 / アグライア
 3007年 天照家壮宋祭参加
 
TVII 左翼No.18エルディアイ・ツバンツヒ / オーハイネ
 4100年 浮遊城脱出
ウーラソニック
TVIII 左翼No.19キッド・オーシャン / 不明
 3159年 アドラー侵攻参加
 
TVIIII 統合No.26メロウ・クリサリス / ティータ
 3239年 ラキシス救出作戦参加
 
D 統合No.31ウピゾナ・バーデンバーグ / メガエラ
 3960年 ジュノー侵攻参加
 
DI 統合No.36ユーパンドラ・ライム / 不明
 不明
 
DII 統合No.32カーレル・クリサリス / ティータ
 3960年 ジュノー侵攻参加
 
DIII 左翼No.21ワスペン・ナンダ・クラック / ベルダ
 3960年 ジュノー侵攻参加
統合No.33アラート・エックス / イカロス
 不明
スカイアギフト
DIIII 右翼No.4F.U.ログナー / イエッタ
 3960年 ジュノー侵攻参加
破烈の人形
隊長騎・雷丸その六
DV 右翼No.35レディ・スペクター / バクスチュアル
 不明
 
 
Z.A.P.のコードレターの解説でツバイの頭文字が「T」になっているのは流石に大チョンボ。ドイツ語のツバイなら「Z」が正解。
Fネーム・ファティマのコードレターが★型でカワイイ。ミラージュ・ナンバーが50番台になるため、十の位が「5」=ドイツ語のフュンフの頭文字をとって「F」=「Fネーム」の頭文字とダブる形もありかなーとも思うけど・・・星型に並んでいる文字をバラすと「V.V.V.V.V.」になり、これをローマ数字として見ると「5.5.5.5.5.」という数字になる。これは劇中で何度か描かれている数字の羅列である。
あと、Fネーム・ファティマの母体になるファティマとして、静、ジゼル、ビルド、テンドロス、パラーシャ、オーロラとミラージュ勢ではないファティマが並ぶ。p152の解説で「未来にはいない過去のファティマからも生まれる」という解説と、「Fネームが誕生しているということは星団暦7777年にフォーチュンにいたファティマということ」という解説が矛盾しているので、結局のところ母体となったファティマがフォーチュンに至ったのか否かがよく判らない。

デトネーター・ブリンガーについては、前述のとおりほぼ全て新設定なので辞書ページの内容も最新設定に合わせて整理しなおした。JG1・JG2といった表記や古い星団登録型式はボツ設定として整理。どう見てもガット・ブロウを振り回す手ではないので、2992年の対シーブル戦では素手で殴り倒していったのではないだろうか。

モルフォの両肩のバックライド・リジット・フライヤーは排熱装備とのこと。以前の設定では、ミラージュGTMの両脚の排熱システムはモルフォの時点で採用されており(旧設定のランダムスレート)、このレイアウトに沿ってモルフォ型GTMが作られ、さらにはシングル・エンジン騎の両脚の形状もそのレイアウトを引き継いだ結果とされていた。DE7の解説では、両脚から排熱するレイアウトはティティン・フレームGTMの開発に伴って考案された形になっているので、そこから派生してシングル・エンジン騎の両脚もあの形になったと考えればいいだろうか。

バスター砲の解説で砲身が回転する点が説明されている。コミック1巻で描かれたK.O.G.のバスター砲発射シーンで「ライフリングが回転」する描写がよく判らなかったのだけれど、回転しているのは砲身だったと考えると一応辻褄が合う。ちょっとスッキリ。

艦種の解説で最大サイズを「ケープセイラー」と呼んでいるのは、現在の地球でも輸送船の最大サイズをケープサイズ(Capesize)と呼んでいるため。ケープ(cape)とは「岬」を指し、大き過ぎてスエズ運河ヤパナマ運河を通過できない輸送船が喜望峰やホーン岬を迂回することからこの名称が付けられている。

モナーク関連は後でまるっとまとめます。たぶん、DE7ってモナークという存在を如何にキレイにまとめて説明するかをテーマにして生み出された本のような気がする。なぜってスタント遊星攻防戦に話をつなげる上で絶対に必要になってくる土台だから。もう永野センセーの中ではそっちの話がどんどん組みあがっているんだよね。
(2024.05.25)


■ ミラージュ騎士+ミラージュ・ファティマのパートで目立つ新規設定 (p57〜p111)

NT2021年1月号で公開されていた設定からチョコチョコ変更・追加されている。
アーリィ・ブラストの洗脳に関する設定が無くなったり、謎であった右翼No.6がツァ・ベール(=クラーケンベール)であることが明かされたり、AT・ライムが(おそらく暫定であるが)No.5を預かっていたり・・・ツァ・ベールはたぶんワスチャに絡む動きになるだろう。p58に示されているパーソナル・カラーの色合いが微妙に間違っているように見えるが気にしない。ミラージュ魔導団にもパーソナル・カラーが設定されているようだが・・・たぶんサッチャーとかホワイト・リンクスにも設定されているのだろう。解説を読むと半分くらいのメンバーについて色名が見直されている模様。

イエッタの解説はかなり重要な部分。ラキシスがエルメラ王妃に啖呵を切った「生みます」発言は、彼女自身が子を生むことを指していたのではなく、ファティマがいずれ第2世代ファティマを生むことを指していたらしい。で、その最初の母親がイエッタになると。まあ、ホントに最初期の設定でイエッタのことはログナーの「妻」とか「奥さん」とか書かれていたので、ある意味で原点に立ち返った設定なのかも知れない。
あと、コミック巻末の年表にある「星団記録の停止」は4100年以降であるが、今回の解説によって7777年に停止することが確定された。Fネーム・ファティマにモナーク紀から続く人類の歴史の全てが引き継がれたことで、モナークの役割は「果たされた」という扱いになるのだろう。・・・ただこうなると、ログナーの存在意義も無くなってしまうのではと心配になってくる。

クラーケンベールの血筋とマーカス家の関係、桜子の血筋とリキッド・オーシャンの血縁関係などは、今回明かされた新規設定となる。DE7で複雑な血筋についてアチコチ言及されているのは・・・たぶんFネーム・ファティマにつなげるための前振りではないだろうか。つまり、星団各地の著名な騎士家の血筋と、その騎士をマスターとしたファティマがやがて惑星フォーチュンに至ることで、次世代のFネーム・ファティマに全ての記憶や技量が集約されていくようなイメージである。
今回の設定公開でFネーム・ファティマの母体となるファティマの名が明かされており、ミラージュ・ファティマ以外のメンバーが多数加わることが判明したため、母体となるファティマとそのマスターたる騎士が今後のエピソードでクローズアップされていくのだろう。

そのほかメモ程度に。
p68のカイエンの襟章が大佐になっている(前にTwitterでつぶやいたときに准将って書いてました。すみません)。コミック6巻で登場した際は少将になっているので、地味に昇進していることが判る。コミック14巻に登場したスーツであるが、劇中に登場したシーンで首元に描かれていたのはナイトマスターの紋章であった。
ヨーンとエストが並んでいるけど・・・パルスェットを失ったヨーンが彼女をパートナーに迎えることはたぶん「ない」と思いたい。コミック10巻の「あの一瞬だけマスターだった」というのが肝なので、このふたりは組まない方がより「それっぽい」だろう。
エストに関して云うと、ミラージュ所属時、フィルモア所属時のデザインに共通して首元の宝石はおそらくエメラルド(=デコースからもらったモノ)になっている。以前のエストちゃんカレンダーではコロコロ変わっていたのだが・・・デコースを失った後もその思い出を身に着けているのだと思いたい。
今回、レフト・メンバーのファティマの大半は新規デザインである。わーい。

アスタローテ、バフォメート、Fネーム・ファティマについては後でまとめる。
(2024.06.04)


■ ラキシス7444のパートで目立つ新規設定 (p112〜p131)

とくになし。このパートはNTに掲載された記事から大きく変わっていないので省略する。
(2024.06.04)


■ キャラクターズ1のパートで目立つ新規設定 (p132〜p154)

アルテン・サヤステの衣装の袖にみられるストライプが、黒・萌葱・柿色の3色で、これは歌舞伎の定式幕(じょうしきまく)に使われる色使いである。この3色が使われる理由は諸説あるが、通常は五行に倣った縁起の良い色とされている。左肩の飾り布も歌舞伎などのノボリに使われる色使い。意外に和風なクバルカン。

大きな変更ではないが、デモールの開発系譜がまたもや変更になったため、辞書ページの方でいろいろ整理。
本編に登場している騎体と、騎体解説で若干の矛盾はあるが、物語のギミックに係わる部分でもないのでここではスルー。
デモールを制式に採用する国家として統一カステポー連合とハツーダン連合があるが、公式サイトでもカステポー・ハツーダン連合と書かれていたり、p159のクラーケンベールの解説でガマッシャーンのナオと組むとの記述もあるので、たぶん同じ連合体のような気もする。

カーバーゲンの解説にあるエンジンネームについては、詳細を辞書ページにまとめたので参照にされたし。基本的に航空機や車輌のエンジンメーカーが元ネタになっているようだ。

カイエンからデプレとジャコーに受け継がれたシルバー・シュバリエ(シルバー・シバレース)の称号・紋章について。p68の解説で詩女ジキジディがカイエンに与えた称号とされているが、一応、ヤーン・ダッカスのキャラシートでも帽子にS十字のマークが描かれていたりする。なので、ジキジディはカイエンの母親が身に付けていた紋章を引き継がせる意味で、この称号を贈った可能性もある。黒騎士とシルバー・シュバリエ(=銀騎士)の共通の祖が詩女ダッカスという部分が面白い。一般的なファンタジー作品において、黒騎士は「邪」、銀騎士は「聖」に位置付けられる称号である。

リズ・コールが身に付けているガット・ブロウは黒騎士の剣。これはエストのマスターとなる人物に受け継がれるモノ。永野センセーの解説にあるとおり、彼女はレーダー9世からエストを預けられるようだ。よって、デコースを失った後のエストの足取りは、A.K.D.(天照+ログナー)⇒フィルモア帝国(レーダー9世)⇒聖宮ラーン⇒ホーダウン(リズ・コール)⇒聖宮ラーン(4代目黒騎士バントライン)⇒おそらくはコーラス王朝に移動、という流れになる。パルスェットのために作られていたクリスマスカラーの礼装スーツを着るタイミングは・・・天照の預かり期間になるだろうか。

ファティマの一覧で、ミランとメイランが同一の存在となったため、メイランのマスターであったエイドリアン・タークはパートナーがいなかったことになってしまう。ちなみに、ミランのマスターのジムナ・ロウターはおそらくコーラス王朝の騎士。コミック3巻で「ロウター伯」として名前だけ登場していた騎士である。
アローガ・サルファとヘアリオ・ノーベリウムについては初出。製作したファティマも、それを娶ったマスターも舌を噛みそうな名前で全然頭に入ってこない。ヌハ、ノコミン、ドルドルラーはボ・ヨーグンのシーンに登場したファティマだろうか。あとローガ・ポロニウム(ナラリタ)とアニー・ポロニウムの関係性がよく判らん。同一人物ではないのか。

マウザーのGTM講座のコマの中で描かれている戦闘機はおそらくMe262とF-35。第二次世界大戦中のジェット戦闘機と最新型のステルス戦闘機である。Me262はドイツのメッサーシュミット社が開発したジェット戦闘機。実戦配備した初のジェット戦闘機とされる。ペットネームはシュヴァルベ(Schwalbe)。ドイツ語で「ツバメ」の意。F-35はアメリカのロッキード・マーティンが開発した第5世代ジェット戦闘機。ペットネームはライトニングII。2000年代以前より開発が進められており、量産機は06年に初飛行。11年より実践配備されている。
下段に描かれている戦車はおそらくドイツの5号戦車。1938年に開発がスタートした中戦車で、ダイムラー・ベンツ社、クルップ社、MAN社がそれぞれ試作車の開発を担当。42年に制式採用されたMAN社の車輌に5号戦車パンサーの名称が与えられた。戦車に詳しいヒトであれば何型かも判るのかも知れない。うーんと・・・砲塔番号から第3中隊第2小隊2号車ということになるのかな。大隊がどこか判らず。
(2024.06.05)


■ キャラクターズ2のパートで目立つ新規設定 (p155〜p191)

ラミアス(ドージョージ型)がホルダ型に数えられることになる経緯、王騎ディー・シャドウ、カイゼリンがハスノホルテの乗騎になること、ノイエ・シルチスの改組など、新規設定がてんこ盛り。円卓の騎士はほぼ全員が新デザインで眼福。アイオ・レーンのガット・ブロウが好み。
ただ、わざわざ取り上げて考察するポイントもなし。メラリア・ムックルが駆るGTMがゴウドロウビになるのかなってことぐらい。

最後のティータの名称は、エルガイムの裏設定に絡むセルフ・パロディ。「ザテレビジョン別冊 重戦機エルガイム[2]」の表紙に描かれているとおり、エルガイムMk.IIの頭部に収められた有機コンピューターはもともとブラッド・テンプルの3号機に搭載されていたものであり、同書の解説において名称はティータとされていた。FSSの劇中でもいずれティータがマーク2に搭乗することになるようだ。ヴェイデリと並んでいることを考えると、彼のパートナーになるということだろうか。ティータも設定上はエストと並び立つファティマになるため、そろそれ活躍の場が用意されているのだろう。

最後に掲載されているパルスェットについて。
彼女は命を賭してヨーンを「正道」に導いたファティマである。その意味では、彼を「邪道」に誘った黒き死の女神とは対座する位置にある。故に、今回のマリエで純白のドレスを身に纏うのは彼女にこそ相応しい。たぶん、永野センセーは「お疲れ様」の意味を込めて描いたのではないだろうか。トラフィックスを走り抜けた彼女への手向けである。
(2024.06.06)


■このように考えたらスジが通るかも知れないモナーク論

DE7で詳細が明かされたAD世紀以前のジョーカー星団の歴史(=モナークの歴史)。読んでいくと大まかな部分で理解できるが、よくよく読んでいくと余計に混乱する部分もある。なので、これまでに公開されている設定をなるべく辻褄が合うように整理してみた。

○事前に知っておいた方がよいこと

ブラックホールについて ⇒モナーク関連
量子力学の原理では、量子状態が有する情報(量子情報)は確実に保存されるため、あらゆる物質を内部にため込むブラックホールは吸い込んだ情報を恒久的に保存する一種の大容量ストレージと成り得る可能性があるらしい。ただし、ブラックホールの蒸発後に内部の情報がどのようになるかは一切不明。これは現代物理学における未解決問題のひとつで「情報問題」と呼ばれる。なお、銀河質量クラスのブラックホールが蒸発し尽くされるには約10の100乗年掛かるので、FSSの歴史上でモナークが存在するブラックホールが蒸発する心配はない。

プランクエネルギーについて ⇒原初モナーク人関連
プランクエネルギーとはプランク単位系のエネルギーのこと。プランク単位とはドイツの物理学者Max Planck(マックス・プランク)によって提唱された自然単位系であるが、これに関してはよくわからない内容なので詳細は省略する。重要なのは、プランクエネルギーのスケールでは、自然界の4つの力(強い力、弱い力、電磁気力、重力)が統一され、ひとつの力として記述されること。理論物理学の分野で予想は立てられているものの、実証するためのエネルギーは人類が生み出せるレベルではなく、現在の地球においては実証不可能となっている。原初モナーク人は、この関係性を紐解きつつも実証できていない状態だった。

実体二元論について ⇒ヴィーキュル関連
実体二元論とは、肉体や物質といった物理的実体とは別に、霊魂、自我、精神などと呼ばれる能動性を持った心的実体があるという考え方。異世界の住人ヴィーキュルは三次元世界において肉体を損失したとしても、本体たる意識が別次元にあるため、何度でも蘇り、姿を変えることもできる。しかし、彼らが得ている肉体はただのデクであり、その肉体に魂が宿ることはない=これ以上の進化が望めない状態にある。要するに実体二元論に囚われた生物である。進化の道を目指す中で、モイキュードはヴィーキュルたちに「物理と精神の世界を超えよ」という言葉を遺したが、これはすなわち実体二元論のクビキを外すことを意味する。ごく簡単に云い表すならば「肉体に魂を宿すこと」がその回答となるだろうか。三次元世界において個として存在し、環境に適応して進化の方法を得ること・・・その判りやすい例が個体進化をする存在、すなわち天照、ラキシス、セントリー、ボーグ・ジェネレートといった面々ということになる。

○仮定が必要なこと

情報を整理するのに必要な仮定は以下のとおり。
まず、コミック17巻でゴリリダルリハが語った情報は、彼女の視点で見えている事象に限定されている。永野センセーの解説とはズレがあって然るべき。
次に、モナークの歴史は、あくまでも三次元で観測できる物理現象をベースとして語られる。つまり、ジョーカー星団においてもプランクエネルギーや4つの力は存在するし、物質は素粒子で成り立っているという認識が必要である。
最後に、全能神の関与は無視してよい。ジョーカー太陽星団を創造したのはJOKERであるが、そこに生活する人々の視点では原初モナーク人がジョーカー太陽星団を構築している。三次元世界における神々の権能は、おそらく自然界の法則として現れるという認識ができる。この意味で、「全能神が歴史上で何かをした」という考えは入れなくてよいし、邪神と呼ばれるモイキュードと、機械神と呼ばれるモナークは本当の意味で「神」ではない。彼らは造られた存在であり、ちゃんと目的に沿った行動をしている。

以上をベースとして、DE7のp55に記載された内容やこれまでの情報を時系列で整理するとたぶん下記の内容になる。

【時代不明】

○ベストラル星域/ベストラル星系
ジョーカー宇宙に存在する別の星域/星系であり、おそらくはジョーカー星団より古い星の集まりと考えられる。スタント遊星を構成する恒星・惑星・衛星はもともとベストラル星系にあった星々である。その星系のいずれかで超古代文明が発生したことがヴィーキュル側(あるいはモイキュード側)の発端となる。

○知的意識存在
ベストラル星系のいずれかの惑星で発生した超古代文明の住人が「知的意識存在」と呼ばれる何か。永野センセーの解説では、ジョーカー星団とは異なる別の「意識存在」「知的生命体または知的無機物」としているので、ジョーカー人類とは完全に異なる存在である。この存在が恒星スタントを制御するために制御中枢人工星となる「超(バスター)」を生み出し、他の星を集めてスタント遊星を形成したものと考えられる。おそらく、その制御の過程で生み出したものが「モイキュード」である。

○モイキュード
永野センセーの解説では「超古代の別文明の名残」「目に見えない集積超高分子」とされているので、おそらくは知的意識存在が恒星スタントを拠点として生み出した人工神であろう。モイキュードがスタント遊星を制御し、自身が操る巨大宇宙船としてベストラル星系より出立。宇宙を彷徨う中でジョーカー星団に接近したものと考えられる。ヴィーキュルの実体化に協力した理由は不明であるが、彼らの真の目的は進化の袋小路からの脱却のため、その根底に悪意がある訳ではない(=邪神という設定はジョーカー人類の視点からみた定義である)。モイキュードを生み出した知的意識存在もまた、そのような進化の道程を探していたのかも知れない。原初モナーク人が「ザ・モナーク」を作り上げたように、同じような目的で知的意識存在が「モイキュード」を作り上げた・・・という想像もできる。

【モナーク紀】

○原初モナーク人
母星(=カラミティ・ゴーダース)を含む4つの恒星系を集め、ジョーカー太陽星団を構築した「真なる人類」。科学の真髄を極めることでプランクエネルギーと自然界に存在する4つの力の関係性を解き、万物の理論を構築したものと考えられる。しかし、4つの力を自在に制御・行使する状態に至れなかったため(=理論のみで実証ができなかったため)、それを可能とする「世界創世式」の完成を目指し、宇宙のあらゆる事象を記録し続ける「統制者ザ・モナーク」、監視者として星団を見て回る「モナークの管理者」、制御装置となる「素子姫」を生み出したようだ。彼ら自身がその後でどのように消え去ったのかは不明である。

○統制者ザ・モナーク
原初モナーク人が生み出した数式生命体との設定があるが、解説を読む限りFネーム・ファティマと同一の形態とは思えない。ジョーカー宇宙に起こり得る事象を記録し続ける記憶媒体であり、完成後にクラウン銀河の中心にあるブラックホールに移動している。ブラックホールを大容量ストレージとして利用し、ジョーカー宇宙の素粒子を吸い込みながら情報として溜め続けているものと思われる。本体とは別に「管理者」がおり、あらゆるモノを記録してその記録から生産もできるが、自ら考えて動く「頭脳役」ではないことが窺える。

○モナークの管理者
ザ・モナークと同じく原初モナーク人が生み出した数式生命体であるが、やはり形態は不明。こちらは本体と異なりジョーカー星団に残っているため、少なくともブラックホールの中心に鎮座するような巨大な何かではない。ログナーのオリジナルとなる存在であり、永野センセーの解説でも「モナークそのもの」と解説されているので、ザ・モナークと意識を共有する存在であると同時に星団の管理代行を務める「頭脳役」であることが想像できる。ただし、ザ・モナークを制御するためには制御装置たる「素子姫」が必要。

○素子姫アイエッタ
原初モナーク人が生み出したザ・モナークの制御装置であり、おそらくはオペレーターのような存在である。この制御装置が無ければ、「モナークの管理者」もザ・モナークにアクセスできないものと思われる。永野センセーの解説では、目に見える形で実存していた物体ではなく、素粒子エネルギーの形で存在している何か。・・・であるが、マドラが幻視した過去において懐園剣を振るっていたことが判明しているため、ヒトの形態をとることは可能なことが判る。

【伝承紀/カラミティ・ゴーダース紀】

○巨大統制兵器カラミティ・ゴーダース・フーバーク
ヴィーキュルの襲来に呼応して「モナークの管理者」がザ・モナークを操作して生み出した超巨大兵器。この時代にヴィーキュル軍を率いていたのが魔王オピクルである。伝承のとおりであれば「命の水」を求めていたことになるが、この時点で実体二元論のクビキを外す手段=個体進化という発想を得ていたかどうかは不明。ゴリリダルリハが口にしていた巨大兵器とは、おそらくザ・モナークの本体ではなく、カラミティ・ゴーダース・フーバークを指しているものと思われる。

○懐園剣
星団暦3037年に誕生した後に時空を超えて伝承紀に出現した究極の質量兵器。マドラが幻視したとおりであれば、素子姫アイエッタがヒトの形態をとってこの剣を振るったことになる。そしておそらく、ヴィーキュルの撃退に成功したことで「モナークの管理者」と「素子姫」が懐園剣の有用性を確認し、以降の時代において「懐園剣を振るえる実体」を生み出すことになったものと考えられる。その存在こそが「バビロン・ハイペロン」と呼ばれる「人間」であり、本体「ザ・モナーク」=人外「モナークの管理者」=人間「バビロン・ハイペロン」という同一の意識体でありながら三様の体をもつ存在に至った経緯と考えられる。
バビロン・ハイペロンがその後の歴史においてどこまで懐園剣を手にしていたかは不明であるが、「五つの星の物語」に登場するカラミティ・ゴーダース王(=魔王の襲来に度に出現した超常の不死王)は、「モナークの管理者」ではなく、ハイペロン・バビロンであったと考えるべきだろう。永野センセーの解説にある宇宙の各地に送り出されたログナーももちろんハイペロン・バビロンであり、それぞれが懐園剣を得てヴィーキュルと対峙したものと考えられる。

○セントリー
アーク・水霊が召喚した超エネルギー体であり、ヴィーキュルと同等の「異次元の世界」の住人。巨大統制兵器カラミティ・ゴーダース・フーバークに協力してヴィーキュルを撃退したものと思われるが・・・そもそもジョーカー星団に現れた経緯が不明である。ヴィーキュルがジョーカー星団に至る以前から敵対関係にあった可能性もあるし、転生の隙を狙われたためにジョーカー星団に逃げ込んだことで、逆にヴィーキュルをジョーカー星団に招いてしまった可能性もある(オピクルが当初から命の水を求めていたことがその証左となるだろうか)。出現後、「モナークの管理者」と「制御装置」の監視対象となったようだが、これはおそらく単純な協力関係ではないため。劇中では天照-JOKER-ポーターの関係でヒト寄りの存在に思えるが、AD世紀においてはヒトと対峙しており、決してヒトを守護するような存在ではない。カラミティ・ゴーダースからボォスに移動した時期と理由は不明。あるいは、モンソロン紀においてカラミティが荒廃・衰退したために、ボォスへと移動したのかも知れない。

【モンソロン紀】

○紀元主ネーバ・モンソロン・ベストラル
永野センセーによる解説が少ないため、統制者ザ・モナークがモンソロン紀に生み出した現身なのか、当時の「モナークの管理者」を指しているのか詳細は判らない。スタント遊星を媒介に異次元の世界からヴィーキュルを招いていた存在=モイキュードを見出し、熾烈な戦闘を展開したらしい。この戦いの結果、ザ・モナークがスタント遊星の制御を奪うことで沈静化⇒ジョーカー太陽星団の5番目の恒星系に組み込んだようだ。この後、超(バスター)はスタント遊星系とベストラル星系の間で出現と消失を繰り返すようになる。
おそらく、スタント遊星の沈静化に伴いモイキュードも活動停止に追い込まれ、その間際にヴィーキュルに対し「物理と精神の世界を超えよ」という言葉を遺したものと考えられる。あるいは、モイキュードもまたセントリーを観察することで個体進化の糸口を見つけていたのかも知れない。

【アズデビュート紀】

○宗星主アズデビュート・モンソロン大帝
アズデビュート紀における「モナークの管理者」。モンソロン紀に衰えたカラミティ・ゴーダースの調整を実施し、最後に自身と「制御装置」の式崩壊を決行して「世界創世式」の「解」を得たらしい。「解」を得たことで4つの力を制御・行使する方法が得られたが、自身の再構築は不可能となり、「制御装置」もまた存在しないためにザ・モナークへのアクセスが不可能になったと考えられる。つまり、ブラックホールの中で存在し続けるザ・モナークと、意識を共有するヒトであるところのバビロン・ハイペロンだけが残る形となり、原初モナーク人の目的であった「世界創世式」の完成を目の前にしながら、それを組み上げるオペレーションが不可能な状態になったことが想像できる。よって、永野センセーの解説にある「自身の痕跡を消すこと」が第一義であった訳では無く、当初の目的に準じるために式崩壊を決行したと考えるべき。
また、モンソロン帝が消滅する以前のイベントとして、魔王ダリスドゥバースの討伐と、未来から来たラキシスとの遭遇がある。この2件が重なる事象なのか、個別の事象なのかは不明。

【AD世紀/統合紀】

○炎の女皇帝
来歴については省略。女皇帝として在位している期間にスタント遊星の痕跡を辿ってベストラル星系に到達したものと考えられ、そこで遭遇したアスタローテを衛兵にした模様。その後で星団に一度帰還し、スパチュラー国をバスター砲で吹き飛ばした後に再び超(バスター)に向かったとされる。その後の足取りは不明であるが、ウィル星団暦7777年以降の時代においてザ・モナークの本体と接触し、先に到達していたタイ・フォンと会話(コミック13巻)。再び星団に戻ることになるが、このタイミングがおそらくスタント遊星攻防戦と重なることになる。
超帝國剣聖騎士団の剣客としてログナー(=バビロン・ハイペロン)を迎えていた時期は不明であるが、おそらく星団から離れた時期にログナーとも分かれているはず。また、星団から離れる際にドウター・チップを初代天照の命に渡した訳だが・・・明かされたモナーク紀以降の歴史を考えると、ログナーから多少の情報提供を受けていた可能性があり、ドウター・チップを使用する相手を初代天照の命に匂わせていた可能性もある。
そのほか、この時代においては魔王カリストチェルの襲来があったり、後世の時代にモナークにつながるヒントを残す「仕込み」を行っていた模様。

○アスタローテ
ヴィーキュルの進化の道程を探す中で、三次元世界において肉体を構築し、当初から実体として顕現していた存在。AD世紀においては炎の女皇帝の衛兵であったが、彼女がザ・モナークの探索を続けている途中で別れ、(おそらくはウィル星団暦7777年より以前に)未来から現れた先先(マーター・マーター)と出会い、天照に引き合わされるものと考えられる。コミック16巻で登場した彼女は、天照によってミラージュ騎士に抜擢され、7777年のフォーチュン到達まで付き合い、その後でさらに未来から3039年に干渉してきた状態のはず。つまり、ヴィーキュルの進化の道程を既に見つけているにも関わらず、それを過去の時代で開示することをヨシとしていない姿勢が窺える。

【星団暦/星団紀】

○宇宙の摂理から外れる事象
AD世紀の時代に出現したログナーが待ちわびていた事象が星団暦2020年に発生(=おそらく天照の出現)。魔王タンツミンレの襲撃を受けてログナーが負傷・死亡。83代天照の命がログナー(カラミティ・ログナー・ラスト1=ハイペロン111)に対してドウター・チップを使用したことで、以後のログナーは不死の人間となる。ログナーを臣下に迎えた天照の命は、おそらくモナーク紀から続く全ての事象を伝えられたものと考えられる。ヴィーキュルとの戦いの歴史を知り得ているが故に、彼らの動向に対して過剰な反応を示すのではないだろうか。

○アルセニック・バランス
炎の女皇帝が残したヒントを元にモナークの探索を行う特殊仕様のファティマを製作。そのファティマ・タイ・フォンはクラウン銀河の中心にあるブラックホールに渡り、7777年(もしくはその先の未来)まで滞在し次なる来訪者となる炎の女皇帝を待つことになる。タイ・フォンの出立後にログナーの訪問を受け、モナーク紀以降の歴史について情報をもたらされたアルセニックは、世界創世式の「解」を組み込んだ新たな「制御装置」の製作を依頼される。この装置の製作は彼女の代で成し得ることができず、最終的に息子クローム・バランシェに引き継がれてファティマ・イエッタとして完成する。

○ファティマ・イエッタ
世界創世式の「解」を組み込んだ新たな「制御装置」であり、彼女が完成したことによりザ・モナークのオペレーションが可能な状態になった。さらに、天照がZ.A.P.の開発に伴いストライパー・システムを組み上げたことで、モナークがため込んだ素粒子運動記録を読み取るための準備が整った状態になるが、星団紀においてそれを実行することは無かった模様。この点がおそらく、今後のエピソードで注目すべきポイントとなる。

○女魔帝ゴリリダルリハ
モイキュードが遺した「物理と精神の世界を超えよ」という言葉の真意を理解できないまま、命の水を求めて星団暦3037年にジョーカー世界に干渉。その顛末はコミック16巻および17巻で描かれたとおり。彼女はラキシスに付き合う形で7777年に向かうことになる。

○スタント遊星攻防戦
スタント遊星の接近に伴って出現した魔王ラドナリスリビオン率いるヴィーキュル軍とミラージュ騎士団の戦い。7777年以降の未来から炎の女皇帝が帰還(おそらくタイ・フォンが同行)。超帝國剣聖騎士団と全てのセントリーも参戦。未来からFネーム・ファティマが乱入する。詳細は不明ながら、おそらくこの時点で存在するモナーク関連のキャラクターが全て勢ぞろいするイベントとなるため、単に「激しい戦闘の末に停戦した」というオチになるはずがない。ゴリリダルリハがラキシスの協力者となったこととは別に、ヴィーキュル軍にとっての転換期となるはず。前述のとおり、DE7で明かされた設定の多くはスタント遊星攻防戦に話をつなげるための種蒔きなので、この戦闘のエピソードがモナーク関連の帰結点になる。

【ウィル星団暦】

○魔王ノストスパスムス
星団紀よりも未来の時代において出現し、超帝國剣聖アッサラム・スキーンズが対峙することになる魔王。モナーク関連のエピソードに絡むか否かは不明。何を狙ってきたかが問題。

○バフォメート
ヴィーキュル世界の救済を求めてジョーカー世界へと転移した超存在。当初は意識体として出現しており、アスタローテとの邂逅を経て肉体を得るらしい。劇中のラキシスのセリフから、世界創世式の「解」を得ながら、ヴィーキュルがそれに触れること禁忌にしたことが窺える。おそらくその理由は、ヴィーキュル自身による模索を必要と考えていたためであろう。つまり、ラキシスが天照と出会うまでに56億7千万年にも及ぶ「成長」が必要だったように、ヴィーキュルにもそれを学ぶ機会を与えていたものと考えられる。だからこそ、ゴリリダルリハがラキシスに付くように見守っていたのではないだろうか。

【オーバー・ザ・7777】

○Fネーム・ファティマ
バランシェ・ファティマのほかフォーチュンに到達した全てのファティマの協力によりストライパー・システムを起動したことで、ザ・モナークが溜め込んでいた全ての素粒子運動記録の読み取りが完了。観測された全てのデータと、イエッタがもつ「4つの力」が揃うことで、原初モナーク人の悲願であった「世界創世式」が完成。これにより、素粒子運動記録から全ての事象の再現が可能となり、過去の騎士・ファティマ・ジョーカー人類の記録からFネーム・ファティマが誕生。ザ・モナークの役割をFネーム・ファティマが引き継ぐ形となる。その意味では、Fネーム・ファティマは「ザ・モナーク」や「モナークの管理者」とも異なる新たな数式生命体と云える。
おそらく、この新たな数式生命体が誕生したことで、無から魂を得て肉体を構築する理論が完成し、以てヴィーキュルが真なる肉体を得ることが可能になるものと考えられる。これをもってザ・モナークは全ての役割を果たし、ヴィーキュルの悲願も達成し、ヒト、ファティマ、神、悪魔が等しく生きる世界が生まれることになる。

○光のタイ・フォン
コミック13巻で登場したシーンは、おそらくFネーム・ファティマが誕生しなかった場合の結末。誕生していたのであればモナークも停止しているはずである。太陽紀を超えてなお存続していた人類は、やがてモナークの中で生きるただの情報体となる。この地獄を回避(リブート)するため、タイ・フォンはモナークに到達した炎の女皇帝と対話し、彼女のパートナーとなって星団に帰還する。この帰還先が星団暦3225年のスタント遊星攻防戦ということになる。また、56億7千万年後に出現するこの地獄を「悪夢」として見てムグミカは「ザ・タワー」の製作をモラードに依頼。作られたタワーはヒトの意思を継ぐ者として天照に同行することになる。という訳で、タワーもまた素粒子運動記録を読み取るストライパー・システムに参加するはず。

○先先(マーター・マーター)
ザ・ウィル・スペンサードを作り上げ、過去のジョーカー星団に干渉。@アスタローテとの遭遇(ウィル星団暦)、Aアスタローテとバフォメートの引き合わせ、B星団暦3037年のゴリリダルリハ-ラキシスの遭遇の監視、C星団暦3225年のスタント遊星攻防戦・・・少なくとも4回は戻っているはず。目的はおそらく歴史改変につながる可能性のある事象の監視。


問題は、星団紀において既に「世界創生式の解たる4つの力を制御する方法=素子姫イエッタ」、「素粒子運動記録を読み取るための高速演算方法=ストライパー・システム」、「モナークとの接続方法=光のタイ・フォンとバランス・バランシェ系列のファティマの同調機能」の3つが揃っていたにも関わらず、Fネーム・ファティマの誕生をウィル星団歴7777年まで待たなければならなかった理由である。

考えられる理由は以下の4つ。
@Fネーム・ファティマが生まれるには時代・環境が早過ぎた可能性
AFネーム・ファティマが生まれる前に解決すべき課題があった可能性
BFネーム・ファティマを生み出すための要件・要素が足りていなかった可能性
Cザ・モナークの観測事象が足りていなかった可能性

@Fネーム・ファティマが生まれるには時代・環境が早過ぎた可能性
星団リレーの際にビュラードが口にしていたとおり、現在の星団がそれを受け入れるには早過ぎた可能性がある。ファティマの同調機能だけでもオーバーテクノロジーの状態であるため、それを遥かに超えるスペックのファティマが受け入れられるか否か。Fネーム・ファティマは騎士をも凌駕する存在であり、そのようなファティマが瞬時に生み出されるとなれば混乱は必至である。当然、AFガーランドであっても手出しできない領分となることは明らかであり、個体進化の途中にある天照やラキシスでも手に余る可能性がある。少なくともラキシスは人前で神の力を行使していないため、モナークの視点から見ても強すぎる力や存在について制限が必要であった可能性がある。

AFネーム・ファティマが生まれる前に解決すべき課題があった可能性
それは例えば人外の存在からの干渉である。ゴリリダルリハがラキシスの協力者になったとして、ヴィーキュル軍の全てを統制している訳ではない。現にスタント遊星攻防戦ではラドナリスリビオンの襲来がある訳で、そのような面倒事を解決しておく必要があったのかも知れない。あるいは、ゾ・ルゴウカに関連する組織あるいは事象がリスクとなる可能性はないだろうか。全ての事象を観測し、ヴィーキュルの駆逐に明け暮れたザ・モナークにとって、人類の歴史に干渉してくる事象は憂慮すべき問題である。その意味では、個体進化の途中にある天照という存在もまた、ある意味で面倒な因子とも云えるかも知れない。

BFネーム・ファティマを生み出すための要件・要素が足りていなかった可能性
素粒子運動記録を読み取るための「キー」となる何かが不足していた可能性がある。それは例えば、タイ・フォンと炎の女皇帝が持ち帰る何かかも知れないし、バフォメートやアスタローテあるいは先先(マーター・マーター)が持ち込む何かかも知れない。あるいは、ラキシスが星団暦7281にアズデビュート数式生命帝と出会うことで初めて入手するのかも。いずれにしても「キー」が存在しなければ、先送りになる理由となるだろう。また、Fネーム・ファティマの母体となるファティマを見ると、ミラージュ・ファティマ以外のメンバーも存在することが判る。単純に、ミラージュ以外のファティマを含む多くのファティマの参加が必要であった可能性もある。

Cザ・モナークの観測事象が足りていなかった可能性
星団紀においては、ザ・モナークの観測すべき事象が足りておらず、さらなる長期間の観測が必要であった可能性はないだろうか。前述のとおり、アスタローテが星団記録を停止する時期は7777年まで引き延ばされた。この「停止」はFネーム・ファティマの出現を受けてのものだが、少なくとも太陽紀(モンドやバナロッテの時代)においてもセントリーは健在であるし、監視対象がいる以上、その行く末をモナークは監視し続けていたはず。ジョーカー人類が滅亡し、イースター太陽系が消滅するまでの期間も貴重な情報となったかも知れない。


もちろん、ひとつの理由ではなく@ABCの全てが絡む理由があった可能性もある。
という訳でグダグダ書き出してみましたが、これはあくまでも一意見。いろいろ考える中でモナークを理解するための一助になっていれば幸いです。
今回はここまで。
(2024.06.08)
 
 
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