† 第16巻 エピソードガイド †
The Five Star Stories XVI
 
コミック初版を参考に。
15巻と同様にNT連載時の扉絵が考察の参考になっている場合があるので、可能な限り補足を入れて整理しています。
 

 

■ 藍色の髪のラキシスについて (p2)


巻頭のキャラクター紹介にあるラキシスについて。連載時に公開された情報と比較してエラく省略されているので、可能な範囲で補足しておきます。

「ラキシスの本体」と紹介されている藍色の髪のラキシスはウィル星団暦5899年以降の姿。
コミック1巻では3238年以降とされていたり、以前の星団年表で6599年に目覚めるとの設定もあったが、新設定ではカラミティが爆発した3239年から実年数で12億年後に当たるウィル星団暦5899年に目覚め、その時点でこの姿に変化していたらしい。
ただ、これだけの長期間をずーっと寝ていたのか、異次元を通ってその時代に飛ばされたのか、という意味ではおそらく後者になるだろうか。
光速以上の速度で移動していたとしても、ラキシスの視点で2660年もの長期間を寝たままというのはさすがに無理があるような気もする。

髪色の変化については、これまでの解説において、マグナパレス(KOG)のコクピット内で羊液に浸かっているうちに変色したという説明も為されたが・・・現在の設定では原因不明となっている。と云うか、幼少時のラキシスはもともと黒っぽい髪色で、劇中で最初に登場してバランシェと会話したときも黒っぽい髪色だったから、栗色の髪のラキシスの方が「世に出すために本性を隠した状態」であって、そこから成長・変質したというよりは「本来の姿に戻った」と考えた方がしっくり来る。

マンティコアの説明にもあるように、ラキシスのファティマスーツに付属する宝石にはそれぞれ「しもべ」や「特殊な力」が封印されており、これらは総じてジュエルスと呼ばれる。
メインのしもべとなるのが、胸の4つの宝石に封じられているマンティコア、マニウ、シノアレグ・ゼア、クフィル・インペリューンの4体。本巻ではシノアレグ・ゼアを除く3体が登場する。
両肩に付属する16個およびスカートに付属する9個の宝石については詳細が明かされていないが、うち1個には後に協力者となるフラウ・ゴリリダルリハが封じられている模様。ただし、彼女は「しもべ」ではなく「協力者」である。
脇腹の1個には本巻p212で示されているように、ビュランコートの力の半分が封印されており、残りの半分は懐園剣に封じられている。よって、ビュランコートは懐園剣がラキシスの手元にある状況でしか召喚できない。
腰の中央の宝石はすえぞうが贈ったセントリー・ドロップであり、ジュエルスとは扱いが異なる。本巻ではすえぞうが呼び出されているものの、セントリー・ライブを呼び出すアイテムという訳でもなく、ラキシスの助けとなる戦力ではないことは明らか。コミック8巻で明かされているとおり、対となっている天照のドロップと信号を送り合う役割をもつ。
(2021.10.17)


■ JOKERとポーター (p4)


ポーターの周りに描かれているクラインについて。
白のクラインは劇中でも登場しているとおりセントリー・ライブのクライン。
金のクラインはおそらくセントリー・カラット、黒のクラインはセントリー・パルサー、紫のクラインがセントリー・ブリッツ、赤のクラインがセントリー・マグマだろう。
旧デザインと比較すると、サンダー⇒ブリッツで青から紫へ(おそらく紫電のイメージ)、アース⇒マグマで緑から赤へ、イメージカラーが変更されたようだ。
アーク・水霊とポーターが同化している点はこれまでと変わらないが、水霊もまたセントリーに含まれる存在になった模様。

JOKERは「監理者」にして「摂理の神」とのこと。
摂理とは創造主である神が被創造物に対してもつ計画や配慮のこと。つまり、天照大御神がジョーカー太陽星団に存在する遍く事象と生命に対して自身の計画と配慮に沿わせるように遣わした神と云えるだろう。簡単に云えば、神の意に沿うようにヒトの世話を焼く神様である。
ここで「えーJOKERってただの傍観者だよね」とツッコミを入れるのは間違っていない。ここで云う「神の意」とは即ち「ヒトはヒトで在れ」という考え方であり、ヒトがヒトの領分を超えない限りJOKERの役割はただの「監視者」に留まるということだろう。
だからこそ、神に抗う意思を見せたラキシスに対して天照は過敏に反応したのである(本巻p249)。・・・天照ってホントにラキシスのことを判ってないのね。これまでの経緯を考えればただのファティマでないことは気付いているはずなのに、彼にとっては未だにヒトのレベルに収まる何かとして認識している訳だから。永野センセーの解説に拠ると、天照はラキシスの力についてこれっぽっちも気付いていないらしい。
(2021.10.17)


■ そのほかの異界の皆様 (p5)


マンティコアやシルヴィス、ヴィーキュルの面々やアンカー勢については巻頭および巻末の解説のとおりで考察すべき点はない。が・・・NT連載時に公開された情報がないと読み解くのがキツイかも知れない。
各キャラクターの設定や細かい用語は辞書ページにまとめたので参照されたし。
(2021.10.17)


■ ラキシスの動向 (p10)


デモールの実戦試験(シーゾス戦)より半年が経過。
ベラ国でソープと別れたラキシスは、ミス宇宙軍とバイズビズを伴ってムンスターに立ち寄り、湖畔都市のシャルデファーに移動してきた模様。
そこにショウメがやって来る。

ラキシスが聴いているホーダウン周辺の戦局について。DE6に掲載された情報に拠ると、ホーダウンの周辺に展開している枢軸軍はメヨーヨ朝廷主力軍と枢軸騎士連合。
フィルモア帝国の萌葱グループがホーダウンを再制圧したことをラキシスは訝しんでいるようだが、おそらくフィルモアの狙いは単純に交戦状態の長期化である。戦局を安定させないために、陣取りを繰り返しているものと考えられる。
ただし、最新設定に拠ると星団暦3159年に新生ミノグシア連合の代表である時の詩女マグダルと、フィルモア帝国皇帝レーダー9世の間で超法規協定が結ばれた際、その一文に旧ホーダウンを自由都市とし、自治を認める内容が記されていたとのこと。当時、この一文が注目されることは無かったが、これこそがフィルモア1世と詩女ラーンが望んでいた最終合意地点であり、且つ、詩女ナカカラがクリスに与えた予言の成就であったようだ。この点のみ見れば、元老院の判断ではなくダイ・グの指示があったとも考えられるが・・・おそらくダイ・グはまだ「その時」に向けた決意を固めていない。彼の決意が決まるとしたら、本巻でラキシスと会話した後だろう。

ラキシスがダイ・グの人となりを知っているのは、おそらくジークが慧茄に預けられることになった2977年に顔を合わせているため(コミック15巻p138)。
ラキシスら三姉妹は、ジーク、茄里、彼らの両親、ダイ・グ、慧茄とも顔見知りであり、この後でダイ・グと再会することになる。

ラキシスがショウメを観察する際に使用した携帯端末の画面に「Buty Plus」と描いてある。おそらく、iOS/Androidデバイス用のカメラアプリ「BeautyPlus」が元ネタ。開発元は中国福建省アモイ市に本拠を置くMeitu Technology Inc.(メイトゥ社)。撮影シーンに合わせたフィルター機能でいつでも鮮明な写真を撮影でき、自撮り画像を簡単に加工できる機能をもつことから女性に人気のカメラアプリとのこと。また、使用している端末もアップルマークに近いアイコンが確認できるため、iPhoneが元ネタであることが窺える。
ついでに、ラキシスが拡大観察した画像で、ショウメが6本指であることが判る。
うーん・・・初登場の時点でそもそも小さい体なのか、命の水を預けたから小さくなったのか、よーわからんですね。

ショウメのセリフを読む限り、彼女は命の水をフンフトに預け、自身の保護のためにラキシスの下を訪れたようだ。つまり、ショウメはラキシスがヴィーキュルと対峙し得る存在であること(より正確にはヴィーキュルと対峙し得る存在がラキシスを保護していること)を知っているということか。この行動から、ショウメ争奪戦に絡む存在が朧気ながら見えてくる。ショウメの捜索をしているシステム・カリギュラどころの騒ぎではない。彼女を狙っているのは(ハリコンが云うところの)この世界に穴を開けようとしているヴィーキュルたちである。
p68では「人間に捕獲されるの怖くて」と云っているものの、p15の時点ではスイレイが助けてくれることも予見していた訳で・・・彼女が真に恐れている対象が異界の者であることは明らか。
(2021.10.16 修正)


■ アーク・水霊とクライン (p13)


新デザインのスイレイと5種のクライン。
ブリッツのクラインに大きなヒビが入り、フンフトの手に命の水を垂らしているのが確認できる。
フンフトの横にいるのは新デザインのモラード。ツバンツヒから得た技術をもって若返るようだ。
(2019.03.24)


■ ジークママと別れたヨーン (p16)


ジークママと別れてシーゾス国境にやって来たヨーン。ストラト・ブレードを会得した模様。おそらくほかの剣技もいろいろ会得しているはずである。
スキッパーの近くに2本のアンテナが立っている。おそらく地面の振動を感知するセンサーではないだろうか。周辺の見通しがよく、戦闘の危険性がないことを確認してから民間のスキッパーで乗り込んできたものと思われるが、万が一に備えてGTMの接近を警戒しているのだろう。
(2019.04.06)


■ 朱塔玉座が直った (p18)


劇中に登場する度に不幸に見舞われる場所ミラージュ・パレスが再び登場。
7つの塔の名称として、新たにグラウ・タワーとパルス・タワーが追加された。よく見ると、コミック6巻のp110〜111とほぼ同様のアングルで描かれており、名前が明かされたタワーもちゃんと以前から描かれていたことが判る。パルス・タワーとグラウ・タワーは初出であるが、前者は6巻に名前が出ていたパレス・タワーと同一ではないだろうか。今回の名称公開で名前が出ていないが、劇中に登場したデモンズ・タワーを含めると7つの塔の名前が確定できる。過去の設定にあったネードル・タワー、ミラージュ・タワー、パトラクシェ・タワーはボツ設定に。

アイシャがフロート・テンプルに戻ったようだが、メレトレに指令を出しているのはおそらく「ついで」ではないだろうか。ミノグシア各国への言い訳外交が終わって本国に報告に来た・・・というよりは、天照のところに文句を言いに来たものと考えられる。

メレトレが口にしている従帝について。位階を上下に分けた場合の下の階級を「従」、上の階級を「正」と呼ぶため、天照王朝において正帝(=国王)に次ぐ地位をもつ者を従帝と呼んでいるのだろう。従帝座はおそらく天照の玉座の真下の階層に置かれているのではないだろうか。椅子の両側に飾られている垂れ旗に四つ菱とコーダンテ家の花紋が確認できる。おそらく将来的にワスチャが座ることになる椅子である。
アイシャはヨーンが正統な騎士として剣を取ることを望んでいるようだが・・・彼を失いたくないという姿勢はどこか妹のワスチャに近いものがある。ふたりとも好意と呼ぶには些か大げさな感じで基本的に「I think of you」なんだな。

クラカラインがデコースの居場所を聞きに来る。おそらく微弱な電磁波を発することで簡易センサーの役割を果たす金属片をパッシブメタルと呼称しているのだろう。ファティマであればこの金属片を用いて通信ケーブルなどから情報を抜き取ることが可能なようだ。
メレトレが茶菓子として食べているのは森永エンゼルパイ。実はビオレート・トライトンの好物だったりする。
クラカラインのアシリア・スーツが地味に登場。彼女自身もコミック11巻から久々の登場となる。
典星舎でチラシの裏が流行っているのは、天照がツバンツヒの来訪を手書きのメモで伝達したため。おおかた「陛下がやったのだから何か意図があるのかも知れない」的な流れでみんなで真似するようになったのだろう。
(2019.04.06)


■ タワーの製作再開 (p22)


ショウメより命の水を預けられたフンフト。ムグミカの記憶を継承したのか、モラードから事前に情報を得ていたのかいまいち不明であるが、タワーの製作を進めるべくモラードを呼び出したらしい。
詩女の瞑想室として使われていたアンダーゲートをタワーの育成場所として提供したようだが・・・その巨大さ・堅牢さを見るに、この空間は「何かを呼び出すための空間」あるいは「何かを封じ込めるための空間」であるように思える。大仰な開閉ゲートも緊急事態に備えた安全措置ではないだろうか。おそらく、フンフトはタワーが暴走する場合を想定しており、封じ込めによって被害が抑えられる場所としてこの空間を提供したのだろう。もっとも、タワーが本気で暴走すればこの程度の施設は一瞬で吹き飛んでしまうのかも知れないが。

問題は、ウラニウム・バランスがラーンに在籍していた時代もこの施設を使用していたこと。つまり、ウラニウム公も「封じ込めを考慮しなければならない何か」を研究していたことになる。うーん・・・ウラニウム公の時代はファティマがまだ生まれていなかった訳で。このような空間が必要ということは・・・超帝國剣聖に絡む何かだろうか。また、詩女ラーンが現れたということは、時代に大きな影響を与える「何か」がそこにあったということ。その手向けとしてウラニウム公に「種」が渡されたものと考えられる。詩女ベリンが星団暦2000年代まで存命であったか否かは不明であるが、これまでに明かされている設定から彼女は何らかの形で未来に現出する能力を持っていることが予想される。

さらに、天照家内宮にも同様の施設があり、この禁断のゲートは2020年に開かれたことがあるという。2020年は天照の生年である。となると、その詳細を知る者はおそらく天照の命(ミコト)ただひとりということ。これまでに明かされている情報から察するに、カラミティ・ログナー・ラスト1と魔王タンツミンレの戦いがその場所で起きていたのではないだろうか。
(2019.04.06)


■ マドラの来訪 (p24)


クラカラインから情報を得たマドラがデコースの潜伏場所にやって来る。これ、エストが留守中でよかったかも。もし彼女がいたら、マドラに問答無用で殺されていた可能性がある。

マドラはデコースとの以前の邂逅を「この前」と云っているが、ハリスと戦ったのは3010年であるため、実際には26年が経過している。「この前」と表現するには些か長すぎる時間な訳で、普段は出てこないマドラの視点では時間の経過がうまく認識できていないのかも知れない。また、ピッキング・ハリスはマドラの存在を認識しているものの(コミック11巻)、マドラはハリスの存在を認識していないか、意図的に無視しているようだ。強い騎士の血を求めるのであれば、以前出会ったはずのカイエンが最強ということになるが・・・その際はこのような肉食系の女子では無かった。おそらく、デコースに「身体を傷つけられた」ことで、フンフトが施していたであろう「箍(たが)」が外れ、時間の経過と共にマドラの意識が表層化したのではないだろうか。

にしても、このほとんど逆レイプとも云える子作りはなんというか怖い。
生殺与奪を完全に握られている化け物に襲われているのだから、デコースが泣いてしまうのも無理はない。戦場で死ぬ覚悟ができている人間でも、自身を一瞬で食らうような化け物がにじり寄ってくれば誰でも恐怖を感じてしまうだろう。

マドラの内に潜んでいる超帝國剣聖はアマンダ・プロミネンス。彼女のセリフを読む限り、プロミネンスは自身が作られた本当の理由を聞かされていないようだ。超帝國剣聖は炎の女皇帝が星団民に恐怖を与えるために作り出したものであるが、炎の女皇帝率いる剣聖騎士団はAD世紀のスタント遊星において魔王と対峙していたらしい(旧設定ではAD世紀6000年頃に魔王ノストスパスムスと対峙⇒本巻で明かされた情報では時期不明で魔王カリストチェルと対峙)。おそらく、この戦いこそが超帝國剣聖が作られた「本当の理由」ということになると思えるが・・・プロミネンスはこの戦いに参加していなかったのだろうか。
あー・・・違うのか。マドラの中にリストアされた理由が判らないと云っているのか。その点についてはナオやレンダウドも同様に不明かも。ただ、コミック14巻を読む限りナオはなんとなくこの時代に生きる意味を理解し納得しているようではある。
(2021.10.18 修正)


■モラードの不老化 (p31)


モラードはツバンツヒにショウメの情報を与えた見返りとして、ポリメリゼーション転化技術のコア(もしくはそのデータが入った端末)を受け取ったようだ。
詩女がシステム・カリギュラの技術を知っているのは、おそらく炎の女皇帝の記憶をも引き継いでいるため。カリギュラの一派と女皇帝が分かれてから数十世紀が経過しているはずであるが、大きな技術革新は起きていないようだ。

にしても、モラードが若くなることは判っていたものの、まさかカリギュラの技術を使うことになるとは。これ、モラードはおそらく騎士の力ももつことになる訳で・・・最終的に名前を変えてミラージュ騎士になる可能性が出てきましたかね。
デコースとマドラの子(=ベルベット)がつくられるエピソードと、タワーが作られるエピソードをわざわざ重ねて描くあたり、永野センセーの意図するところが微妙に見えているような気がする。要するに、次世代のミラージュ騎士が歴史に登場してくる過程を見せられているのかなと。なので、不老化するモラードももしかして・・・と思わずにはいられないですね。
(2019.04.06)


■ ツバンツヒがやって来る (p32)


ラキシスが吸い込んでしまったショウメがあっさり復活。んで、ラキシスの護衛役としてツバンツヒがやって来る。クニャジコーワとの入れ替わりらしいが、ログナーが別件の指令を出すために彼女を呼び戻したのか、これから起こり得る事象を予測してツバンツヒが適任と判断したのか・・・。んー劇中の描写はないけど、セントリー・ブリッツの転生に関してログナーが知り得ていない、ということはないと思うんですよね・・・。ヴィーキュル関連の動きに予兆があれば、おそらく察知するのではないかと。

ラキシスが見ているパンケーキの画像に「cafe accueil Ebisu」と描かれている。東京都渋谷区恵比寿にあるカフェ・アクイーユ恵比寿が元ネタ。株式会社R&Jザ・ワークスが展開しているカフェ店のひとつ。2015年と17年に全国パンケーキ人気店ランキングで1位となった有名店である。ラキシスはソープが休みをとって来てくれることを期待しているようだが・・・この願いは結局叶わないことになる。

ツバンツヒの春休みについて。
プロムナードのエピソードを見る限り、ルミナス学園は欧米と同じく9月が進級のタイミングとなっていた。このような学校では4月に休校を設ける意味があまりないため、大半は1週間程度の短い春休みが置かれているだけである。んが、各太陽系間の移動時間は民間機で1週間という設定もあるため、わずか1週間の春休み中にお付きを交代させるとは思えず、したがってグリース王国内宮高等学校の進級タイミングはおそらく日本と同じ3-4月という想像ができる(それでも2〜3週間であるためツバンツヒは軍用機で移動してきた可能性はある)。
また、9月進級の学校であれば、ツバンツヒの学生証は学年が切り替わる前となるため、この時点で「3036年度」の記載か、年表記であれば3037年中の学期記載、もしくは発行年の記載が無ければならない。しかし、彼女の学生証は「3037年度」の発行になっている。この点からもグリース王国内宮高等学校の進級タイミングは日本に近い3-4月であることが窺える。

ツラック隊においてラキシスが名乗っていた名前は「ファナ」であるが、ツバンツヒはちゃんと「姫様」と呼んでいて、後半では「人妻」と呼んでいる。女子高生ミラージュによる新人教育の甲斐があって、ツバンツヒはラキシスがどういった存在なのか正しく認識できた模様。また、超セレブのミラージュ騎士でありながらスーパーの特売品をチェックするあたり、ツラック隊での炊事・洗濯を通して節約を心掛ける主婦の根性が身についたものと思われる。やっぱり花嫁修業だったのね。スーパーに全力で走っていくあたりも微妙にむごい。

土産を買ってきた萃茶は東京都豊島区西池袋にあるタピオカ専門店。甘さ控えめで大粒のタピオカが特徴。深夜まで営業していることで有名。現在は千代田区飯田橋にも店舗がある模様。
また、学生証の裏に「SUIC」という文字列が見えるが、おそらくJR東日本が発行しているICカード乗車券「Suica」が元ネタである。彼女が学校に通う際に公共交通機関を使用していることが判る。
(2019.04.17)


■ ダイ・グの静養@ (p34)


p10で出ていたフィルモア軍によるホーダウンの掃討に関して。表向きは萌葱グループの派遣に際して筆頭騎士のクリスティンが同行したことになっているようだ。ダイ・グに静養をとらせるため、戦線を一時鎮静化する目的で彼女の名前を周知したらしい。それだけ魔導大戦においてクリスティンが恐れられているということだろう。
また、ダイ・グに静養を取らせる話はブラウ・フィルモア王の要請に拠るもので、詩女フンフトからの助言も後押ししたようだ。ダイ・グの体調悪化は関係各所でウワサになっているらしい。ミヤザが云うところの氷グループの一件は、茄里がジークを刺してしまった件を指している。これに関してジェイン・ボルガ女王とブラウ・フィルモア女王の双方からバルバロッサに圧力を掛ける動きがあったということだろう。幾重にも重なるカーテンの奥の出来事であっても、こういった形で情報は漏れてくるということ。ミヤザさん、裏の事情はほとんど知らないはずなのに見事な伝令ぶりである。微妙にいい仕事してますね。

話がダイ・グ本人に移る。ダイ・グが食べているジェラートのカップに「gelateria MIC」と描いてある。おそらく京都府舞鶴市にあるイタリア菓子とジェラートの専門店パスティッチェリア・ジェラテリア・ミカ・マーレ(Pasticceria Gelateria Mica Male)が元ネタ。永野センセーが地元贔屓なしで最高と称えるお店である。ついでに、エルメラ王妃もこのお店のヴァローナチョコジェラートが好物とのこと。

ラキシスとダイ・グの再開は後でまとめるとしてクリスの方。
ツバンツヒは物陰で監視しているクリスの視線に気付いたらしく、カフェラテを差し入れに話しかける。
カフェラテを買ったお店はONIBUS COFFEE。株式会社ONIBUSが主に都内で店舗展開している同名のコーヒーショップが元ネタ。東京都目黒区の中目黒店と世田谷区の奥沢店のほか、渋谷区道玄坂に系列店のアバウトライフコーヒーブリュワーズ、渋谷区神宮前にレシオ・アンドシーというお店がある。オニバス(onibus)はポルトガル語で「公共バス」の意味だが、その語源に「万人のために」という意味があるとのこと。

クリスが耳につけているイヤリングを見て、ダイ・グと「訳アリ」な関係であることを見抜くツバンツヒ。それを察して「人妻ですよ」「心配ないですよ」というあたりは確かに女子力が高そうである。んが、そのダイ・グと婚姻話が出ているフンフトは元「人妻」な訳で、クリスの心配は余計に増えてしまったかも知れない。彼女にとって「人妻」枠は決して静観できる対象ではない訳で。
ついでに、一見して騎士と判らない人物ほどコワイということをクリスは幼少時に学んでいる。なので、目の前にいる女子高生がミラージュ騎士であると知ったのであれば、彼女は同時に非常に強い騎士であることも認識できたはず。
(2019.04.24)


■ ダイ・グの静養A (p36)


上記と切り分けて再度ダイ・グの話。連載時に「髪の色は茶色ではないけど」となっていたセリフが「髪の色は藍色ではないけど」に修正されている。

ダイ・グは幼少時の(藍色の髪の)ラキシスを知っているため、(目の前にいる彼女の)「髪の色は藍色ではないけど」と口にしているようだ。よって、彼はこの時点で現在の栗色の髪のラキシスを見ていることになる。
ただし、巻頭の解説でダイ・グはラキシスの本当の姿が見える人間であることが明かされているため、コマの中に描かれているとおり、彼の目には薄っすらと未来のラキシスの姿が見えているのだろう。
一方、後半の会話を見る限り、ダイ・グはラキシスがファティマであることと、天照のパートナーであることをちゃんと認識した上で話していることが判る。現時点におけるラキシスは栗色の髪の姿であるため、一般の認識ではそちらが知られているはずであるが、ダイ・グの中では藍色の髪のラキシスが強く記憶に残っているようだ。つまり、現在のラキシスが栗色の髪であることはあまり知られていないということ。これはおそらくダイ・グに限られたことではなく、ラキシスの姿は一般には公開されていないのだろう。
・・・にも関わらず、天照が娶っているという情報はそれなりに知られているようではあるが。

ふたりの会話でラキシスが天照のことを「人でなし」と罵っているが、天照は文字どおり「ヒトではない存在」なので、ヒトが考えるところの責任、プライド、見栄、メンツといったモノが備わっていないのは当然のこと。ラキシスはそれを全て知った上で、敢えて責めるような云い方をしているっぽい。まあ、ダイ・グの前ということでヒトの視点に立った物言いをしているのだろう。

んで、未来のラキシスである。
コーラス3世の目に未来のラキシスの姿が見えていたことから、このラキシスは「死の予兆」として現れる存在、という見方ができるかも知れない。だが、おそらく彼女が出て来るのは「その死の先にちゃんと未来がある」という祝福を与えるためである。ヒトはいずれ死ぬものであるし、どのように望んでも未来永劫には生きられない。たとえその死期が思ったより近かったとしても、それは未来の礎となるし、アナタにはその力がある、という安心感を与える行為。これが未来のラキシスによる「導き」なのではないだろうか。

考えてみると、気が遠くなるほど昔から続く過去の記憶を受け継いでいる詩女、とくに、花の種を未来につなげるべく時を超えて現出するベリン・ラーンと、遥か未来から現れて導きを与えるラキシスは、完全な対存在である。今を生きる人々に過去の歴史を伝え、遥か未来においてもなお人々の営みがあることを伝える・・・彼女たちの言葉を受けるキャラクターが、どれだけ大きな心の支えを得ることになるか・・・この辺、FSSでしか成立しないドラマですねー。なんだかんだでラキシスが与えてくれるのは常に「希望(フォーチュン)」というところとか。ホントに面白い。ベリンとラキシスが対存在であるからこそ、このふたりの声優は同じ、という屁理屈も付けられるかも(実際には永野センセーの奥さん激ラブぶりということになると思う)。

あと、それぞれ出会う順番はバラバラであるが、天照はリトラと現在のラキシス、モラードはムグミカと未来のラキシス、ダイ・グはフンフトと未来のラキシスと・・・それぞれ「過去」「未来」と触れ合うことで導かれる図式になっていることに気付く。こう考えると、未来のラキシスを目撃したコーラス3世と詩女のつながりが無かった点が惜しいところであるが・・・この後に続くエピソードで、懐園剣をもつアルルとフンフトあるいはラキシスが出会うことになるかも知れない。コーラスはFSSを引っ張っていく血筋でもあるため、そういった「接点」となるイベントが欲しいところ。フンフトとハリコンの関係性が明らかになったこのタイミングであれば、コーラスの血筋と詩女の導き・ラキシスの導きがクロスオーバーする場面が出てくるのではないだろうか。

ラキシスと会話したダイ・グがどのような行動に出るのか・・・「あとは」というセリフから察するに、ダイ・グには気に掛けている対象がある模様。
(2021.10.18 修正)


■ ダイ・グとクリスと (p44)


p44でダイ・グが口にしている「ボクが守ろうと決めた・・・あの子」とはおそらくクリスティンのこと。ダイ・グは魔導大戦のデビュー戦でもクリスを守るために戦場に降下している。騎士の力を使えば寿命が減ることを自覚しているのに、である。
p44の最後のコマで「え?」と焦っているのは、クリスがいたこと+ちょうどクリスのことを考えていたことで二重の驚きが含まれているのだろう。
買物用のカバンを持ち歩いているツバンツヒに対し、クリスは学校指定のカバンを持ち歩いている模様。おそらく、クリスの学校(フィルモア帝国帝国近衛兵学校)は兵学校を兼ねているため、軍命令・私用に関係なく外出する際は学校指定のカバンを持ち歩く規則になっているのだろう。
ラキシスが湖畔の向こう側にあるカフェを指定したのは、なるべく一緒の時間を多く取るため。
p46の1コマ目の左側にボー・ゼクスが既に描かれている。

ダイ・グが「あの事件」のことを知っている点から、ブラウ王家の裏事情や茄里の現状を全て知り得ていることが判る。ただし、茄里は自分の意志でボォスに乗り込んできたため(コミック13巻p172)、バルバロッサをそのまま「黒幕」と位置付けるのは少々微妙かも知れない。そのような行動を採るように茄里を教育したのかも知れないが、彼女の自由意志がある以上、全ての責任をバルバロッサに負わせることはできない。
また、ジークママの行動を止めたのはジークではなく、ジークの中のフィルモア1世であるが、ダイ・グがp47で考えている「彼」はおそらくジーク本人のことを指している。うーん・・・ジークの中にいるフィルモア1世の意識には気が付いていないということか。

今回のエピソードで気になる点があるとすれば、ラキシスや茄里との出会いがあることすらも全て見通した上でフンフトが静養を取るように助言した可能性があるということ。
一方、この後で茄里がクリスに会いに来るのは、詩女ナカカラによる導きがあったためである。詩女(と過去の詩女たち)がどこまで先読みをしているのか、気になりますねー。
(2019.05.23)


■ 驚愕のマウザー (p48)


裏切者の処刑に向けて情報を収集しているマウザー。ツバンツヒの痛々しい変貌ぶりを見て開いた口が塞がらない模様。
調理クラブが作りあげた海賊風パエリア「南海の大決闘手長エビ対明石のタコ」の元ネタは、1966年に東宝の配給で公開された特撮映画「ゴジラ・エビラ・モスラ 南海の大決闘」から。この映画では、南海のレッチ島を舞台にゴジラ、モスラ、大コンドル、エビラが戦う。ゴジラ・シリーズでタコに近い怪獣と云えば、1962年公開の「キングコング対ゴジラ」に登場する大ダコになる。ただし、この大ダコはキングコングと戦って敗走しており、ゴジラとの絡みはない。
じゃーじゃーは中等部で調理クラブのメンバーでもないのに、料理にあり付くために出入りしているようだ。

「はっはーん」と何かに勘付いた様子のマウザーであるが、何をどこまで想像しているのか少し微妙。
3030年の浮遊城襲撃は単なるデモンストレーションではなく、ボスやんがラキシスを狙っていたことが匂わされている(コミック10巻p219)。p47でボスやんの行動を訝しんでいることから、おそらくボスやんに何らかの狙いがあったこと、その対象がダイ・グと話している「A.K.D.の少女」であることに気付いたのだろう。ボスやんが狙うほどの対象であれば、普通ではない「何か」があるということ。その「何か」を突けば、別の「何か」に動きがあることを予想しているのではないだろうか。懐園剣に絡んで動いているEV-3に対して「面白くなるぞ?」と語った点から、マウザーは懐園剣がヴィーキュル絡みで力を発すること、そのヴィーキュルが何かを狙って魔界から来ていることをうっすらと勘付いているのかも知れない。・・・が、この時点で「ラキシスを突けば何かが起こる」と結論づけるのはちょっと飛躍し過ぎだし、懐園剣と結びつくような会話のやり取りでもない。ふーむ。
(2021.10.18 修正)


■ 茄里の来訪 (p50)


茄里がクリスと話すためにやって来る。
ジークと茄里は幼少時に慧茄に預けられたため、ダイ・グとは兄妹のように育ったようだ。
エラルド島のエピソード(コミック10巻)を慧茄から聞いていたのであれば、そこそこ成長するまでエラルド島で一緒に生活していたということか。ダイ・グが皇帝になる際に慧茄が本国に戻ったと思われるので、その際に茄里も本国に向かい、そこから何等かの理由でバルバロッサ家に預けられたことになる。ジークはこの時点でルミナス学園に渡った感じだろうか。

クリスの右腕を斬ったのはカイエン。そのカイエンはダイ・グにもケガを負わせている。この辺の関係性を考えつつ10巻ぐらいから読み直すと、この「斬った・斬られた」という要素でユーゾッタ、ジーク、ヨーン、ナイアスの話も絡まって来るのが何とも面白い。
茄里とダイ・グの会話は、両家の血筋と両者の立場が分かっていれば、敬語・口語が入り乱れる理由も分かるはず。
詩女ナカカラがコミック15巻p111で口にしていた「二羽の小鳥」はクリスティンと茄里のこと。このふたりが支えることになるのが、おそらく未来のジークである。フィルモア1世の言葉に導かれ、ジーク、茄里、クリスがフィルモアを背負う状態となったとき、つまり、ダイ・グの語る「いい未来」が実現したとき・・・おそらく天照の大侵攻が始まってしまうことになる。ドラマだなーホントに。
(2021.10.18 修正)


■ 流れる血を減らすということ (p56)


実兄を「あの男」と呼んでその言葉を疑う一方、ほぼ兄と同じことを云っているダイ・グの言葉は素直に聞き入れてしまう茄里。
どうにも違和感があるが、ヒトを殺めることを恐れて剣を捨てた男と、殺めることを是としながらもその責を背負う男では言葉の重みも違ってくるというもの。まあ、茄里から見れば兄への恨み節の方が強いのかも知れないが。
とは云え、ジークは剣を捨ててもなお敵を迎え撃ち、その敵ですら守ろうという姿勢を貫いており、妹の放った技も真正面から受けて説得する覚悟を見せている。その重みがダイ・グに劣ろうはずもない。彼がやろうとしていることを尊いと思うからこそ、ジークママはその行動を認めて見守っているのだろうし、同じ岐路に立つヨーンにも選択肢を与えようとしている訳である。家族であることを意識してわずかでも心を開けば、茄里もまた兄の言葉に耳を傾けられるはずであるが・・・彼女の頑なさは若さゆえの了見の狭さという見方もできるだろう。
(2019.06.22)


■ ダイ・グの名采配 (p58)


おそらく斬首すら覚悟した上でダイ・グに事の顛末を語るアラン・リー。
彼女の言葉に拠れば、元老院とバルバロッサ王家は茄里の振る舞いを危険と見なし、関与を否定すべく放逐したようだ。前述のとおり、茄里は自分の意志で乗り込んできたため、その責をバルバロッサ王家に問われたとしても言い訳が立ちそうなものだが・・・王家・貴族の手前、突かれるような隙をわざわざ見せたくないということだろう。裏でクリスティンの失脚を狙っていたり、バッハトマとの密約も進めていたりするのであれば、トカゲの尻尾切りとなるのも当然である。

一方、皇帝としての責をもつダイ・グは、アラン・リーの言葉を聞いたとしても直接的にバルバロッサ王家を非難することができない。相手は強大な権力を有しており、迂闊なことをすれば足元を掬われてしまう。また、運よく追及することができたとしても、3王家のバランスが崩れれば帝国そのものが傾いてしまう危険性もある。彼女の言葉を聞いたが最後、何等かの沙汰を下さなければならず、真に忠を尽くした言葉であったとしても国家の混乱を招いた者として斬首は必須であると。

もっとも、慧茄に育てられたダイ・グであれば、帝国内に蠢くそのような奸計にこれまで全く気付いていないということもないだろう。バルバロッサを警戒しているジークママもいるし、慧茄やフンフトの導きもあれば何らかの対策は打てるはず。海千山千の王家当主同士が繰り広げるパワーゲームを前に、死を覚悟して進言すれば何かが好転するかも・・・と考えてしまったアラン・リーもまた若過ぎると云わざるを得ない。
その若さを気付かせると同時に、フィルモア1世の指輪を預けることで重大な責任を負ってもらい、以て迂闊な行動ができないよう戒める・・・ダイ・グの采配は流石の一言である。ブラウ女王の方は、おそらく茄里にこの指輪を渡すことで娘に寄せる信頼の気持ちを伝えようとしたのだろう。

にしても、フィルモア1世に関連するアイテムが劇中のあちこちに登場してきましたね。
七宝の指輪はブラウ・フィルモア⇒ダイ・グ⇒アラン・リー⇒後に茄里に渡されると。ただし、この指輪は最終的にレーダー9世に渡されるはず(映画GTMより)。
サイレン・ガットはブラウ・フィルモア女王が所持しており、後にレーダー9世の手を経てクリスに渡される。
十字の銀の耳飾は慧茄⇒ダイ・グ⇒クリスが所持。
ベリンから渡された織物は皇帝のガウンとなり、現在はダイ・グが所持。後にレーダー9世に渡される。
ゴルゲットはレーダー王家に伝わっており、後にエンペラーズ・ハイランダーとなったクリスに渡される。
皇帝笏はバルバロッサ王家が引き継いでいるらしいが、これも最終的にレーダー9世かクリスがもつことになるのではないだろうか(映画GTMでレーダー9世が持っていたやつかも)。
これらのアイテムの流れから察するに、レーダー9世の即位はサイレン皇子の再来という意味をもつことになるはず。3王家の血筋を継ぐ者が現れ、各王家に散らばった宝物がすべて集まり、フィルモア帝国の黄金期が始まると。
・・・そこに天照の大侵攻が重なることになる訳だ。

うーん・・・宝物がすべて集まる、という捉え方をすると、カイゼリンがフィルモアに返還されるイベントがあってもいいかも知れない。レーダー9世に渡されて、そこからクリスの乗騎になるのであれば、ファティマ・町がカイゼリン・スーツを所持することも説明がつく。んが、カイゼリンはマグダルから天照に託されることが判明しているため、フィルモアに返還されるはずもない。となると、町がカイゼリン・スーツを所持する点がどうにも気になってくる。
クリスは現在レーダー王家の養子となっているため、そこにジークが婿入りすることで将来的に(フィルモア6世ではなく)レーダー9世になる点は説明がつく。皇帝の妃となったクリスであれば双頭竜の紋章を身に着けることになるため、ファティマ・町のスーツにこの紋章が付くことも納得できる。では、なぜファティマスーツまでカイゼリン・スーツとなるのか。ファティマスーツの色は乗騎の色合いに合わせるパターンが多いようなので、レーダー9世の即位により皇帝騎たるメロウラがカイゼリン・カラーに改装されるのかも知れない。いや、ちょっと突飛すぎるか。
(2019.07.03)


■ デコースのその後 (p62)


舞台がバッハトマに移り、デコースが意外に幸せ(?)そうなことが判明。バッハトマの騎士とは異なり、エストはデコースがどのような目に合ってるか理解しているようだ。
東の君が「シャデルファーが近いのが幸い」と云っているので、ラキシスの護衛役としてマドラを呼び出すつもりであることが判る。
ここで問題となるのが、マドラが子を生したか否か。p71で「またやるぞー」と云っているのはマドラの人格であるが、この後の展開でマドラの統一人格が発現するため、そこから改めてデコースと子作りに励むタイミングがあるとも思えない。ただ、息子ベルベットの生年は3060年前後とされているので・・・この後で再びデコースの下を訪問する可能性もあるか。
この後、別口でレンダウドが派遣されることも判るので、超帝國剣聖ふたりの揃い踏みとなる。
(2021.10.18 修正)


■ 動き出す神々 (p65)


んで、フロート・テンプルでは天照が何かを察知して手駒を差し向ける模様。
レンダウドの「体」が必要で、サイズの合わない靴を貸し与えることから、天照が一時だけ超帝國剣聖の体と力を与えることが判る。
24K張りのサンダルとはおそらく純金が張り付けてあるサンダルのこと。24Kとは24/24の割合で純粋な金(きん)が入っている金を指す。

スペクターが公園の池で釣りをしていたところで捕まってしまう。ちゃんと止水域に適した棒浮きを使用しているのがエライ。
天照がカステポーに行ったときは池で水遊びしており(コミック6巻)、ブラック・スリーの襲撃時はクロス山の麓の池の周りで散歩していた(コミック10巻)。暇な時に水場へ行くという行動パターンは子供と一緒。

天照がシャルデファーに行けない理由は本巻の内容から読み解くことはできないが、NT2021年11月号の永野センセーの解説に拠れば、ヴィーキュルもまた天照大御神が創造した存在であるため。この後のヴィーキュルとの戦いでラキシスが手を下さなかった理由もそこにある。全能神の視点から見れば、ヒトもヴィーキュルも自由に生きることが望まれる存在であり、創造者自らが彼らに直接手を下すことはできないようだ。

ポーターが口にしているアワ・プロビデンス(Our Providence)を直訳すると「我々の摂理」という意味になるが、命令に対して「Yes, Our Providence.」と返答した場合は「神の意のままに」あるいは「天帝の意のままに」と訳される。ルビにある「天主」とは神のこと。対象が国王であれば「Yes, Your Majesty」となるが、天照は王朝および国民にとって「神そのもの」であるため、「あなた様の威厳に対して」返答するのではなく、「我々全てに与えうる神意に対して」返答する体裁を採っているのだろう。あるいは、「ポーター」と「ポーターに同化している(?)水霊」の両者から見た視点で「我々の」と口にしているのか。

んで、摂理とは、創造主である神が被創造物に対してもつ計画や配慮のこと。この世の遍く事象は全て神の計画と配慮に基づいて起きているという考え方を表した言葉であり、ヒトの行いは全て神の意志に拠るもの、それは運命そのものであるという受け取り方ができる。天照の指示を受け取ったポーター(=アーク・水霊)はその言葉を「摂理」として受け取った。彼の言葉こそは私の運命ということだろう。
(2021,10,18 修正)


■ マドラがやってくる (p68)


何気なしにツバンツヒ(追っていたヒト)とショウメ(追われていたモノ)の初顔合わせ(?)を済ませてしまうラキシス。
ショウメは人間に捕獲されることを恐れてラキシスの下に来たようだ。つまり、この世のモノではない存在を認識し、そのまま受け入れてくれる擁護者としてラキシスを選んだということか・・・うーん。単にヒトから逃げるだけであれば、ラキシスでなくともよいはず。というか、最初に出会った際に「命の水を渡してしまって力がないこと」、「保護の代償として自身の一部を天照に捧げること」、「自身の喪失はジョーカー世界のバランス崩壊につながること」をちゃんと伝えていたはず。命の水やジョーカー世界の趨勢が関わる事象であれば、脅威の対象が「自分を捕獲しようとしている人間」ということはあるまい。ラキシスを選んだことには別の理由があるはず。
あー違うのか。この部分は単純にギャグか。ショウメが恐れていた「自分を捕獲しようとしている人間」のひとりが、目の前にいても気付けないアホだったというオチなのね。

ピッキング・ハリスの意識が回復した状態でマドラがやってくる。んが、彼女の言動を見る限り、マドラの意識もちょこっと混じっているようだ。プロミネンスの意識が一度完全に表層化したことで、リストア状況(マドラの場合は多重人格の中の一人格という状況)に変異が生じたのかも知れない。あるいは、この後の悪魔との戦いに備えて無意識下で人格の統合が進んでいると考えればいいのか。
マドラの持ってきたカバンに描かれている三角形アイコンは、レースカーなどでキルスイッチの場所に張り付けられる稲妻マークのステッカーである。最近、ファッションアイコンのひとつとして流行っているらしい。

ツバンツヒが作っていたデザートはハウス食品の「プリンミクス」。同社が1964年に発売したインスタント食品である。お湯を注いで混ぜ、冷やすだけでプリンが完成する。卵原料を使用しておらず、卵アレルギーのある子供でも安心してプリンを楽しむことができるのが特徴。「プリンエル」も同じくハウス食品が1988年に発売したインスタント食品であるが、こちらは牛乳を混ぜてから加熱する工程がある。
60年代当時、手作りプリンは蒸し器で作るのが一般的であり、子供の調理体験としては少々難易度が高いものであった。よって、小学低学年でも簡単に作れるプリンミクスは、プリン好きの子供たちの味方であったと思う。マドラが「やるな」と表現したのは、要するに60年代の子供の味方であり、且つ、同じプリンの素でも元祖に近い商品である「プリンミクス」を選択したことを称えてのこと。

マドラが冗談で話した「天照陛下の鉄拳制裁」という言葉にラキシスが反応している。天照が来たのであれば、なぜ自分の前に現れないのか、と考えたのだろう。実際には東の君がマドラを正気に戻した(=おそらくスコーパー的な干渉をして意識を戻した)訳で、ラキシスもすぐに納得したようだが・・・ソープが来れないことに違和感を覚えたようだ。p67の天照の対応、すなわち、ラキシスに何らかの干渉があるという予測は、まだ彼女自身に伝わっていないことが判る。なぜ天照だけが察知し、ラキシスには察知できないのか・・・天照にスコーパーの能力(実際はそれに似た神の力)があるということか。
(2019.08.20)


■ ユーゴ・マウザーがやってくる (p73)


ラキシスの様子を伺っている謎のモヤモヤの正体はp250で明かされる。
ツバンツヒにケジメをつけさせるため、マウザーがお供ふたりと共にやってくるが・・・このヒトは元デザインの方が好みかな。あの腰痛を患っているような振る舞いがいい感じだったので。あと、右耳だけピアスをしているのはゲイの象徴だろうか。

ラキシスが王女と后を同時に名乗ることについて。連載当時の欄外の解説に拠ると、ラキシスは天照家の王女扱いとなる。天照家の王女と云えば、アイシャ・ルーマー、ワスチャ・コーダンテ、パナール・エックス、シトロン・メナーなどが該当する。ラキシスは天照の妻であるが、先代命(ミコト)の養女でもあるため、便宜的に姫として扱われるとのこと。この場合の「姫」とは「王家当主の娘」としての「姫」ではなく、プリンセス(princess)の訳語である「王族の貴人の女性」としての「姫」に当たる。ちなみに、皇女、王女、公女、内親王、親王妃、皇太子妃、皇族の王女や王妃、姫などは全て英語でプリンセスとなる。
ラキシスが天照の正式な妻として公表されれば王妃(クイーン)且つ皇后(エンプレス)ということになるが、人工生命体という出自もあるし、そもそも公にその存在が明かされていないこともあって、姫扱いとなっているようだ。

その意味では、マウザーがチェスのコマに例えて「クイーン」と呼ぶあたり、内情もちゃんと判っているようで面白い。彼女が最強であることも十分に理解しているようだ。というか、ジョーカー星団にはチェスがあるのね。まあ、将棋、花札、トランプもモチーフとして登場しているので当然か。将棋は三条香のピアス、花札はカイエンの浴衣、トランプはアルカナ騎士のスートとして登場している。

マドラがツバンツヒとマウザーの技量を比べて「互角」と称している。初対面で技量の判断ができてしまうのは、おそらく(他者の追随を許さないほど高位に位置する)剣聖クラスであるため。
ディモスやカイエンが天位を渡せるのも、こういった技量判断ができるためである。

ラキシスが着用している衣装はパジャマとのこと。調べてみたら半袖とショートパンツのパジャマが各メーカーやブランドから出ている模様。胸に「PQ」と描いてあるが、元ネタが判らず。iOS/Androidデバイス用のライブコマースアプリ「PinQul」が2017年に立ち上げたプライベートブランドとして「P.Q. by PinQul」という名のブランドがあるが、このアプリのサービスは2018年中に終了していることもあってブランドの詳細は判らず。海外ブランドの可能性が高いが、調べた限りでは特定できず。PQからピケの略称のようにもみえるが、ピケの商品で似たような形状は確認できず。ふーむ。
(2021.10.18 修正)


■ ヴィーキュルの介入 (p80)


ヴィーキュルの介入によって一同が異界に閉じ込められてしまう。

マドラが頭痛で倒れてしまったのは、おそらく潜在意識下にあるプロミネンスの影響と思われる。
強制的な意識の統合が始まって、頭脳に負荷が掛かり過ぎているのだろう。

p86のセリフを読む限り、ショウメは「命の水を失っている自分」を「ヴィーキュル侵攻の対象外」と思っていたようだ。んが・・・もともと「狙われる」ことを危惧してラキシスによる保護を要請していたはず。彼女が気にしていた相手はヴィーキュルではなく、言葉どおり人間であったということか・・・その場合、カリギュラのほかに、セントリーを研究対象として見ているガーランド、あるいは世間に注目されたい一般の騎士・人間が脅威の対象ということになるだろうが・・・ショウメにとってこれらが脅威の対象になるとは思えず、この辺がどうにも解せん。
NT2021年9月号の記事に拠ると、今回の侵攻の目的はラキシスであったことになるが・・・p119では幼生を渡すよう明確に要求している訳で、この点がどうにも読み解きにくい。
目的が命の水であったならば、ゴリリダルリハはそれを要求するはずだし、ショウメの云う通りこのタイミングで襲われる理由にならない。
目的がショウメそのものであったならば、今回の侵攻はタイミング的に合っていることになる。ライブとカラットが転生中のため不在。モナークの騎士たるログナーも不在という状況である。劇中のセリフとも辻褄が合う。
目的がラキシスであったならば、天照とログナーが不在の状況のため、このタイミングで侵攻してくる点も辻褄が合う。ただし、劇中のセリフとは齟齬が生じることになる。
まあ、ヴィーキュルの考えていることだから、よく判らんという結論でも問題ないか。
(2021.10.18 修正)


■ ツバンツヒの復帰とマウザーの入団 (p93)


絶命したかに見えたツバンツヒが復帰。マウザーは心臓部に直接生体エネルギーを送り込んでツバンツヒの回復と変形を促したようだ。胸の中央にチャージャーがあるということか。あるいは心臓自体が不定形のエネルギー・コアのようなもので、電磁的なエネルギー(?)であれば全て取り込むことができるのかも知れない。体の各部にスイングパーツがあるので、おそらくエネルギー源はGTMと共通になると思われるが、さすがに生身の肉体にハーモイド・エンジンを搭載しているとも思えん。という訳で、バッテリーの役割を果たす不定形パーツが胸部中央にあるのかなと。

んで、マウザーが「面白そう」という理由だけで入団を決めてしまう。
やっぱり、不老であるが故にこの世界に飽いていたと考えるべきだろう。
にしても、デモールの開発は投げっぱなしになるし、バッハトマとの関係もすべて投げうってしまう訳で・・・これ結構、魔導大戦の戦局に大きく影響するような気もする。
優秀なガーランドがいきなり消えたようなもんだろうに。バッハトマ敗北の遠因になっているような気がしないでもない。

ツバンツヒのセリフによると、完全機械化は対GTM・対戦艦戦の形態とのこと。エネルギー消費が大きく、最大戦力の維持は10分程度。つまり、駆逐戦闘ではなく、あくまでも非常時の形態である。超帝國剣聖の能力に追随するために生身を捨てたのであれば、システム・カリギュラが生み出された時点で既に超帝國の技術が失われていたことになる。カリギュラの本拠地はスタント遊星のはずで、炎の女皇帝が星団を離れる以前に向かった先がスタント遊星であるが、この辺の技術格差がどのタイミングで生まれたのか・・・素直に受け取れば、カリギュラは「置いてけぼりにされたヒトたち」ということになるだろうか。

「じゅーせんきなんたらのどーたい」とラキシスが表現しているので、「重戦機エルガイム(1984)」に登場するヘビーメタルと同様、胴体、首、手の部分はラバー製もしくは軟質パーツで構成されているのだろう。
髪飾りの部分に手を触れることで全身の変形が始まった点から察するに、この部分に制御系の重要な機器が埋め込まれているものと思われる。頭部だからもちろん重要な部分であるが、脳内コマンドではなく、手動で操作する点が面白い。最終安全装置として、わざわざ手動でスイッチを入れる仕組みになっているのかも。女子高生ミラージュの面々に頭を触らないよう懇願していたのも、この辺が理由と思われる。
(2019.10.12)


■ 侵攻の理由 (p99)


ラキシスはヴィーキュル侵攻の意図を汲みかねている模様。彼女の視点では、スレイブ、ソルジャー、コマンダーのいずれも本来の能力を発揮できておらず、無謀な介入をしているように見えているようだ。となると、単に「命の水」を狙った行動(=自分たちを進化させる行動)ではなく、もっと別の深刻な問題に対処するための行動ということになるだろうか。前述の考察と合わせるならば、目的はショウメそのものか、ラキシスということになるが・・・やっぱりよく判らない。
(2021.10.18 修正)


■ マドラの人格統合 (p101)


ついに人格が統合されたマドラが登場。スパーク、プロミネンス、戦うことを恐れていたマドラ(カイエンと出会った頃のマドラ)の人格は消え去ったようだ。コミック11巻に登場していた3075年のマドラは人格統合後の姿だったことになる。
p100の最終コマ、彼女のブラウスのカフスボタンを見ると、ヴィヴィアン・ウエストウッドのブランドマークが確認できる。芸がコマかい。

さて、マドラのダムド・ストロークは圧縮された空気の発熱でプラズマが発生するらしい。
つまり、断熱圧縮によって大気を構成している分子が分解されて粒子の遊離が起きていることになる。
簡単な物理現象で例えると、通常の剣聖クラスが真空(カマイタチ)を生み出す運動量を発揮できるのに対し、超帝國剣聖クラスは大気圏突入に匹敵する運動量を瞬時に生み出していることになる。これが、カリギュラでも到達できなかった超帝國剣聖の戦闘能力ということだろう。あー・・・GTMを素手で壊すというのも納得ですわ。
おそらく、超帝國剣聖が使用するガット・ブロウには電磁剣や電磁ライフルの機能が付いていないのではないだろうか。彼らはヘリオス錬鋼の刀剣を振るうだけでその刃にプラズマを纏い、自在に射出することが可能なはずである(デザイン画にはトリガーがあるが)。星団紀の騎士にはそういった芸当ができないため、ガット・ブロウにそのような機能が追加されたのではないだろうか。
(2019.10.12)


■ 懐園剣の誕生 (p104)


武器を欲するマドラの声に答える形で空に異形の声が響き渡り、覚醒した懐園剣が落ちて来る。
この声の正体は赤子の天照。本巻中の解説で詳細は掲載されていないが、生まれた直後の星団暦2020年の天照が、55億年後のイースター太陽系を用いて作り出し、この時代に生み落としたらしい。この時点でアルルの手元にあるはずの懐園剣はそのまま彼女と共にあるが、懐園剣は高次元存在であるが故に矛盾は生じていないようだ。なお、懐園剣の雌剣も同時に作り出されたが、マドラの眼前に落ちて来たこの瞬間に別の次元に旅立っているとのこと。この後でMMTデモンが手にしている剣が雌剣である。

誕生したばかりの懐園剣であるにも関わらずマドラによって過去の記憶が読み解かれる。
この理由に関しては、未来においてラキシスが式神ビュランコートの力を封じ込めたことで、過去から未来の全ての記憶が同時に内包された状態となっているため。

順を追って整理していく。
まずノストスパスムス戦。旧設定では炎の女皇帝がスタント遊星に出向いたAD世紀6000年頃に出現したことになっていた。
使用者はアッサラム・スキーンズで旧設定から変更はないが、事象としてはこれより未来の話となるようだ。

次にタンツミンレ戦。これはこれまでに何度か設定が公開されているとおり。天照が誕生した2020年のエピソードである。
この時、全てのセントリーとカレン、懐園剣を得たログナーが参戦してこれを撃退したようだ。ログナーがその長い人生の中で唯一黒星を付けたとされる戦いが、この2020年の戦いである。懐園剣の最初の戦いとして設定されていたはずであるが、今回のマドラのセリフの順番からいくと、ノストスパスムス戦の方が先に起きた感じである。
また、旧設定ではAD世紀5000年頃にスタント遊星に出現し、緋紫の皇帝アーハトが撃退したことになっていた。アーハトは以前の設定でナインの前皇帝になっており、設定変更により女皇帝が星団から離れていた時期の総帝となったため、懐園剣に絡むエピソードがボツになった可能性が高い。
タンツミンレは3220年頃(現在の星団暦では3225年頃)に再びスタント遊星と共に襲来する設定になっていたはずであるが、新設定ではこの詳細な記述が消えており、後述の通り別の魔王ラドナリスリビオンになっている。この時の使用者はマキシとなるはずで、彼はこの戦いで肉体を失いタイカ宇宙へ転送されることになる。

次にカリストチェル戦。旧設定では太古の時代においてアズデビュート・デルタベルン・モンソロン大帝が撃破していたことになっていた。
今回の設定変更により、遥かな時空において超帝國剣聖ララファ・ジュノーンが討ち払ったらしい。過去か未来かは不明であるが、炎の女皇帝がAD世紀5000年頃にスタント遊星に向かった際、魔王クラスと対峙しているはずである。この戦いの最中に「遥かな時空」に飛んだ状態で対峙したのかも知れない。
あるいは・・・剣聖ハリコンとフンフトの会話で、ヴィーキュルを封印するために超帝國剣聖の力を発揮して懐園剣を使用する可能性が示唆されていたはず(コミック15巻p127)。この戦いが実はララファとカリストチェルの戦いであった可能性もあるだろうか。

次にダリスドゥバース戦。超古代においてアズデビュート大帝が討伐したらしい。旧設定ではカリストチェル戦だったが、上記のララファと入れ替えになる。

そしてオピクル戦である。旧設定ではカラミティ・ゴーダース・フーバーク大帝の手によって撃破されたことになっていた。
五つの星の物語に登場していた国王がおそらくフーバーク大帝、その娘がアイエッタ姫、そしてアイエッタ姫からログナーが誕生したと思われるが、今回のセリフではアイエッタ姫が懐園剣の使用者だったようだ。また、セントリーの初出現が絡むエピソードのため、アイエッタ姫のエピソードは伝承紀のはずであるが、ここでは「モナークの素子姫」とされている。ログナーもまた「モナークの騎士」と呼ばれており、彼らの起源がいつの時代となるかは判然としない。
順当に考えれば・・・。
モナーク紀にモナーク・セイクレッドが作られたが、その記録は一切なし。
伝承紀(フーバーク大帝の時代あるいはカラミティ・ゴーダース王の時代)のエピソードは伝承として残されたが、詳細は不明。
アズデビュート紀にモナーク・セイクレッドが発見され、伝承紀以前の遺物として考えられたことでモナーク紀の存在が認められた。
という流れになるはずなので、アイエッタやログナーの呼び名に「モナーク」が冠せられる点がなかなか難しい。この辺は何とも結論が出ない。

上記の情報とNT2020年6月号に掲載された情報をまとめると、おおよそ下記のとおり整理される。
 
時代 懐園剣・雄剣 懐園剣・雌剣 備考
伝承紀あるいはモナーク紀
(フーバーク大帝の時代)
モナークの素子姫ことアイエッタ姫が魔王オピクルと対峙・撃破。
アーク・水霊の出現と5体のセントリーの召喚。
その後、姫の体に宿っていた受精卵が摘出され、多くのクローン体が生み出された。
それがカラミティ・ゴーダース星団皇帝ことF.U.ログナーとなる。
不明。 アイエッタ姫はカラミティ・ゴーダース・フーバーク大帝の娘と思われるが、詳細不明。
アズデビュート紀
(宗帝アズデビュートの時代)
数式生命アズデビュート大帝が魔王ダリスドゥバースと対峙・撃破。
旧設定に沿うならモナーク・セイクレッド武士団とログナーも参戦。
不明。 アズデビュート帝のフルネームはアズデビュート・デルタベルン・モンソロン大帝と思われる。
AD世紀5000年頃 不明。 超帝國・緋紫の皇帝アーハトが雌剣を所持。  
時期不明 超帝國剣聖ララファが遥かな時空で魔王カリストチェルと対峙・撃破。ただし、AD世紀にはスキーンズが所持していたとの設定もある。 ララファは雌剣も所持していたらしいが、雄剣の使用時期と重なるかどうかは不明。 ログナーと炎の女皇帝がどのように関わったかは不明。
星団暦2020年 天照の命の前に双剣が出現。
全てのセントリーとハイペロン111(=ログナー)が魔王タンツミンレと対峙。
撃破後にドウター・チップが使用されたものと考えられる。
懐園剣は一度行方不明になるが、異なる時代・次元における戦いが終わった後に、再び天照家に戻ってきたようだ。
旧設定ではこれが初出現。
星団暦3000年代まで 雄剣が2200年代に剣聖ナッカンドラ・スバースに渡される。
2400年代から2900年代後期まで剣聖ハリコン・ネーデルノイドが所有。
2900年代後期からアルル・フォルティシモが所有。
雌剣が2600年代に剣聖ディモス・ハイアラキに渡される。
その後、ファティマ・クーンを介してダグラス・カイエンへ。
3010年にカイエンからミース・シルバーに、ミースからアウクソー渡される。
 
星団暦3037年 女魔帝ゴリリダルリハの干渉。一時的に星団暦7444年に強制転移。
マドラの願いに応えて赤子の天照が懐園剣を創造。マドラが雄剣を用いてヴィーキュル軍と対峙する。
ゴリリダルリハの撃退後にルシファ・センタイマが乱入。
ラキシスが雄剣を引き継ぎ、シルヴィスの導きにより式神ビュランコート召喚。
雌剣はルシファがMMTデモンと共に召喚。
最終的にファーンドームの星王が雄剣を持ち、雌剣を携えたルシファと対峙。
これが初出現。
星団暦3200年代まで 3070年の時点でマキシが手にしているらしい。
旧設定では3200年代に剣聖マキシに渡る。
3170年頃に剣聖マドラが所持。
3200年頃にファティマ・クーンが所持。
その後、一度マキシに渡される。
いずれも旧設定のため変更の可能性あり。
 
星団暦3225年 惑星バスターの出現を受けて魔王ラドナリスリビオンが進軍。
スタント遊星攻防戦。ミラージュ騎士団、超帝國剣聖騎士団、セントリーが参戦。
マキシが懐園剣を使用するものと思われる。
マキシはこの戦いで死亡し、雄剣を携えてタイカ宇宙へ移動。
不明。  
星団暦3300年頃 タイカ宇宙に移動したマキシがシルヴィスと共に大魔王ルシファ・センタイマを撃破し、タイカを平定している。また、この時はシルヴィスも雌剣を所持していたという記録がある(ボツ設定か、一時期だけ戻ってきたのか)。  
星団暦4000年頃 不明。 4100年頃にディジナ・マイスナーが雌剣を所持。 4062年にソープがコーラス26世に渡すらしい。
時期不明 超帝國剣聖アサラム・スキーンズが魔王ノストスパスムスと対峙・撃破。
おそらくこの時期に炎の女皇帝がプラネタリ・ウェポンと定義する。
  スキーンズが息子の名をとって懐園剣と命名。
星団暦6787年頃 惑星オリンポスにてラキシスがビュランコートをしもべに迎え、懐園剣にその力の一部を封じる。   これにより、過去から未来の記憶が全て統一化される。
太陽紀 マキシが所持していると思われるが、好き勝手に飛び回っている可能性あり。 惑星フォーチュンにてカレンの出現を待つ。  
56億7千万年後
(ザ・ウィル星団暦7777年)
天照大神、シルヴィス、ファーンドームの星王(マキシ)、シルヴィス・ミラーと共に神界に渡る。 カレンの手に拠ってタイカへと持ち込まれる。
あるいは異世界タイカのシルヴィス・ミラーに渡される。
7777年にフォーチュン攻防戦(またはラキシス救出作戦)があるらしいので、再度ログナーとセントリーが魔王と戦った可能性あり。
 
旧設定において、懐園剣は「ハイペロンの要請を受けてカレンが創った」とされていたのだが、今回のとおり「マドラの声に応じて赤子の天照が創った」ことが起点となっている。
ハイペロンなる人物がログナーの本性であることはセンセーの解説で明かされている訳だが・・・ルイ16世がフランス国王であったように、カラミティ・ゴーダース王あるいはカラミティ・ゴーダース星団皇帝という呼称は星の名前を戴いた肩書きのようなもので、個人名はバビロン・ハイペロンということになるだろうか。旧設定にあったカラミティ・ゴーダース・フーバーク大帝(たぶんアイエッタ姫の父君でログナーの祖父)とかはボツ設定になるのかも知れない。

また、雄剣の正当所有者はマキシからラキシスに変更。雌剣に関してはシルヴィスあるいはカレンが最終所有者との設定もあったが、正当所有者は異世界タイカのシルヴィス・ミラーとなる。
マドラがp106で「本来の主は・・・なるほどそれで・・・」と話していているのは、式神オフェロス(=ビュランコート)より本来の主が「ラキシス」であることを聞いていたことになる。

超帝國剣聖ララファがカリストチェルと対峙した際に所持していたのが雌剣であれば辻褄が合うような感じだが、マドラが雄剣を手にした際に記憶を読み解いていたので、ここでは雄剣の歴史として整理した。
案外、雄剣と雌剣で記憶を共有している可能性もあるか。

あと気になるのが。本巻で明かされたとおり、マキシがボスヤスフォートと戦った際に雄剣を手にしていたという点。ハスハ解放作戦の直前にマドラから渡されるのだろうか。以前は3170年頃までマドラが所有していたことになっていたはず。ディジナの手に渡るのも何やらありそうな気配である。

炎の女皇帝が懐園剣を指して「遊星兵器」と定義づけた点から察するに、スキーンズの戦いか、ララファの戦いの時点で炎の女皇帝がこの剣を検分していたことになる。
マドラ自身の記憶に未来が含まれているのであれば、スキーンズの戦いの際でも問題ないが、マドラ自身に未来の記憶がないのであれば、過去の時代において出現した際に検分したことになる。
あーでも炎の女皇帝がモナーク・セイクレッドに到達してから、過去に向けて超帝國剣聖をリストアしたことが判っているので、マドラ自身に未来の記憶があっても不思議ではないか。あーヤヤコシイ。

スタント遊星攻防戦で登場するのがタンツミンレからラドナリスリビオンに変更。ラドナリスリビオンは「ヴィーキュルの王」とされているので、おそらくジェネラル(魔王)だろう。
うーん・・・タンツミンレが来ないのか。いや。星団暦2020年の戦いで黒星を付けられたログナーが再戦を果たす機会がないまま放置される訳もなく、おそらくタンツミンレもこの戦闘に参加するのではないだろうか。
なお、スタント遊星攻防戦はまさかの和平により終結するらしい。戦闘を制止したのがオーバーローデス・ビーネンクリーガン・ディアブラとのこと。おそらくディアブロ(diablo)が語源であろう。スペイン語で「悪魔」を意味する名前である。
(2021.10.18 修正)


■ おっぱいミサイルとツバンツヒの頭 (p106)


ツバンツヒの変身が解けた際に「おっぱいみさいる」というセリフがある。アニメおよびコミック作品の「マジンガーZ(1972)」に登場したアフロダイAのミサイルがその元祖。後継機のダイアナンAや「グレートマジンガー(1974)」に登場するビューナスA(こちらは光子力ミサイルという正式名がある)も同様の機構を有しており、シリーズを通して登場するネタ兵器となった。正式名称ではないが、コミック版で「おっぱいミサイル」と呼んでいるシーンもあるようだ。この兵器の最大の疑問は途中からムチャクチャ連射ができるようになること。謎だ。
ツバンツヒの変身が解けた際に頭部のモジュールが顕になっている。自在に変形できる身体でありながら、この部分のパーツは体内に収納できないようだ。髪飾りの内側に隠していたことが判る。
(2019.10.22)


■ 女性のヴィーキュル (p110)


センチュリオが登場したことでショウメが状況を理解し、これまでのコマンダーと姿が異なっていた理由が明かされる。
今回介入してきたヴィーキュルは女性型で支配種に位置付けられるらしい。つまり、ショウメは女性型の存在を知りつつも、過去に遭遇していなかったことになる。あるいは、セントリーもまた神の一種である訳で、今回の遭遇だけで支配種が存在していることを一瞬で推論したのかも知れない。

p114で最上位種と思われる女魔帝ゴリリダルリハが登場。
サタネスは名前ではなく肩書き。おそらくサタン(Satan)に女性を表す「-ess」を併せた造語である。直訳すれば「女サタン」ということになるが、そのまんま「女魔帝」と意訳した方がよいだろう。
(2019.10.22)


■ 悪魔の視線 (p117)


ゴリリダルリハの視線に魅入られて正気を失くす面々。
カリギュラのメンバーの思考が食欲メインになっている点が意外。半有機生命体であれば、食べ物に興味を失っていても不思議ではないはず。それとも、長生きすることでほかの欲求がどんどん消えていって、最後に食欲が残るのか。母星での普段の食生活がジョーカー星団の一般的なモノからかけ離れており、彼女たちから見て「ある意味レトロな味」が逆に新鮮に感じられるのかも。
ボー・ゼクスが考えている資生堂パーラーは化粧品メーカー資生堂の子会社。レストランの運営や洋菓子の販売を行う企業であり、展開しているチェーン店も資生堂パーラーと呼ばれる。1902年創業の「資生堂ソーダファウンテン」がその起源。現在の社名は1941年から。銀座本店のほか、都内、横浜市、名古屋市などに店舗がある。チキンライスは同店の人気メニューのひとつ。また、「資生堂パーラー・チキンライスの素」という商品も売られているようだ。

マウザーのセリフに拠ると、GTMフドーの開発にコーネラとダスニカが絡んでいるようだ。設定上はディ・ヨーグン連合の主力GTMであるが、バルター・ヒュードラーの協力を得ながら、ダスニカおよびディ・ヨーグンと共同開発を進めていることになるだろうか。ボスやんもこの2国に肩入れしているようなセリフがあったはず(15巻p45)。

超帝國剣聖の動きですら凌駕する女魔帝ゴリリダルリハと親衛隊(センチュリオ)の連携攻撃に対し、マウザーは神経レベルのリンクがあるのではないかと考察したようだ。個々の判断で動くだけではなく、各個体がリンクすることで統一した総体として意識をもつことが可能ということか。うーん・・・微妙にミラージュ・マシンのストライパー・システムと似通っている気がする。
もしかしたら、天照はヴィーキュルのこういった特性を事前に知り得ており、その対抗策としてストライパー・システムを開発したのかも。
(2019.12.23)


■ 星団暦7444年 (p119)


ラキシスがゴリリダルリハに掴まれた際にタイトルが入る。「ラキシス7444 大君主バフォメートのまなざし」とのこと。今現在描かれているエピソードが7444年であることがここで明かされる。ちなみにバフォメート(Baphomet)とはもともとキリスト教における悪魔のひとり。黒ミサを司る山羊頭の悪魔である。
今回のエピソードは(3037年から呼び出されて)7444年(に移動してきた状態)の話ということになるが、ラキシスが「時を駆け下りてきたヒト」(3巻p176)である以上、未来の記憶を宿していても不思議ではない。現に、ラキシスが未来の姿に転じて話しているセリフには、7281年にアズデビュート大帝と出会った際に得た知識が含まれているようだ。

ラキシスのセリフから読み取れることを整理すると・・・モンソロンの時代にアズデビュートが自身を式崩壊させることで、モナーク・セイクレッドの世界創世式を解いたと。んで、ヴィーキュルの頂点に立つ存在は大君主バフォメートであり、バフォメートもまたアズデビュートと同様に世界創世式の「解」を知り得ていると。ただし、これに同族が触れることを禁忌としているらしく、ゴリリダルリハは独自にその「解」を得る行動を起こしたようだ。
世界創世式が何であるかは不明であるが、その名称から察するにジョーカー宇宙あるいはジョーカー世界を生み出したその根源となる数式ということだろう。この世界のあらゆる存在が、この数式に沿って生み出され、生まれ変わり、変遷を繰り返していると。単純に考えれば、ジョーカー世界のすべてがその数式を組んだ極めて上位の存在によってコントロールされていることになるだろう。つまり、天照大御神が組み上げた数式ということになる。
(2021.10.18 修正)


■ マグナパレスの乱入 (p124)


コミック1巻のK.O.G.の起動シーンを彷彿とする流れで主役ロボ・マグナパレスが登場。ぎゃーカッコイイ。
思うに、MHがGTMに置き換わり、コミック13巻以降で(読者に紹介する目的で)ドカドカ登場させてきたその一連の流れの大トリとして、本作を象徴する主役ロボがついに登場したということだろう。

ミキータ・オージェが大人の姿で登場。履いている靴は天照が与えたサンダルである。彼女の言に拠ると、超帝國剣聖は同調神経によりファティマなしでGTMを操縦できるとのこと。ただし、ファティマと比較して感応レベルは低いようなので、騎体制御のレスポンスは悪くなっている可能性がある。ミキータのパートナーはパシテアであるが、たまたま連れてくることができなかったのか、マグナパレスであるが故に搭乗できなかったのか・・・。もともと完全制御できるのはラキシスとヒュートランだけという設定もあったため、後者の可能性が高いか。

GTMの腕装甲が見えた時点でツバンツヒがヴェーパー・ラティス・ラミネート(格子蒸化装甲)と呼んでいる。ヴェーパー(vapor)は「蒸気」、ラティス(lattice)は「格子」、ラミネート(laminate)は「積層板」の意。おそらく、純金を一旦蒸気化して格子状に定着させ、透明装甲に挟み込んだサンドイッチ装甲をこのように呼んでいるのだろう。マグナパレスだけがもつ特殊装甲ではないだろうか。
ティティンD型ツァラトウストラという呼び名は初出。ツァラトウストラはB型の呼称であるが、先行開発したD型のデータが同型フレーム・同型エンジンのB型に反映されているはずなので、ツァラトウストラの原型モデルとして同じ呼称が使われているのだろう。ツバンツヒがこのような反応を示したということは、少なくともマグナパレスのデータを閲覧しているということ。あるいは既に実騎に触れて改修を手伝っているのかも。

惑星の衝突に匹敵する懐園剣よりも、マグナパレスのビー・ベロックの方が威力が高いように見えるが・・・単純にマドラは懐園剣の本来の能力を引き出していない、と考えればよいのか。いずれにしても、生身で戦うよりGTMで戦う方が安全なはず。

マグナパレス登場までの経緯を考えるに、ちゃあ・ティはヨーンを追う形で魔導大戦に乗り込んで来たものの、ジークと再会した後で捜索を一旦打ち切り、(ジークに捜索をお願いして)ルミナス学園に戻ったと考えていいだろう。んで、マグナパレスはフロート・テンプルに戻されて装甲と装備を戻したと。
今回は天照がラキシスの危険を察知し、緊急に手配できる最大戦力としてミキータにマグナパレスを渡したものと考えられる。異界に干渉するために次元を超える機能をもつマグナパレスが与えられたのか。いや、JOKERとスイレイが絡んでいる時点で何でもありと云ってしまえばそれまでだが。
天照が与えた命令は「可能な限り時間を稼げ」とのこと。さらにトンデモない何かが出て来るようだ。
(2019.12.30)


■ バスター砲3連射 (p130)


マグナパレスのバスター砲3連射までの流れを追ってみる。
p130でサイドクレーンを伸ばしてラピデア・カノンを連結している。ナイト・オブ・ゴールドの2段折りバスター砲とは異なり、マグナパレスは3段折りとの設定。3つのパーツをスライドして連結するようだ。トラベリングクランプはおそらく移動・輸送時に砲身を固定して、振動による破損や故障を防ぐ役割をもつ支持架のこと。ヒートベンダーは排熱器である。

p132でインナーバレルを回転して砲身内発生電子による熱上昇を抑えている。おそらく、バスター・エネルギーが砲身内を通過する際、砲身の一部や空気に分子結合の崩壊が起こり、電子が大量に遊離するのだろう。砲身の回転で電子の位相を反転する(=陽電子に変換する?)という部分がナゾ技術であるが、単純に砲身の回転で熱を系外排出するのではなく、強制冷却のための仕組みがあるということだろう。

p133で電子照準と電波照準を停止し、肉眼照準に切り替えている。
電子照準はスキャナーや距離測定ビームなどを用いると共にコンピューターによる支援を受けて行う照準合わせのこと。
電波照準は初出であるが、単純に電波を用いた照準合わせということ。電波は波長によって様々な周波数帯に分けられるが、おそらくレーダーやビーコンを用いた照準合わせということになる。電波だけで目標を絞り込むことは難しいと思えるが、ほかの電子銃を含めた複合解析を行っているのだろう。ちなみに、電波天文学で使用されるのもミリ波(30〜300GHzの電波)である。

肉眼照準としてラキシスが表示した円は、おそらくカメラや望遠鏡のピント合わせで昔から使用されているスプリットイメージの円マークではないだろうか。円の上下のズレを合わせてピント調整するアレである。

p133後半でチャンバー圧力が最大となり、ラピッドアクションレバーを下げて装填している。
ディスコネクターは銃火器のパーツのひとつ。トリガーを引いて弾丸が発射された後、トリガーとハンマーの連結を一旦遮断する機構をもつ。つまり、ディスコネクターが作動していると、トリガーを引いた状態にしていてもハンマーはフリーな状態となっており、トリガーを戻して初めてハンマーを起こすことが可能となる。
シアーはトリガーとハンマーの間にあり、ハンマーを起こした際に固定する役目をもつ。トリガーを引くことでシアーが解放され、ハンマーが倒れる仕組みになっている。
ディスコネクターは本来オートマチックピストルでフルオートを避けるための機構である。ディスコネクターを作動させた上でシアーを解放してロックすると、3連射の次弾装填が自動でできないことになるが・・・ラピデア・カノンでは発射の度にハンマーを起こす訳ではないので、トリガーを一度引いた状態で3発分のバスター・エネルギーが発射されるまで固定する役割を持っていることになるのかな。うーん・・・連射しない場合はディスコネクターを作動させ、連射する場合は停止させる方が一般的なイメージに近いはず。

んで、バイザーを下げて3連射。余剰エネルギーはスラッシュカット・エキゾーストから排出。発射時にサイドクレーンの先端が伸びているのが確認できる。ビロビロ伸びている部分はおそらくスタビライザーである。

ツバンツヒのセリフに拠ると、破烈の人形のラピデア・カノンは威力を落とした2連射となるようだ。
(2019.12.30)


■ マドラのパンツ (p131)


マドラがジャンプしているシーンで、コマ外にパンツの説明あり。「Ravege hip hang Tanger」と書いてある。
「Ravege」では無くて「Ravage」が正解。スペインの下着ブランドGemma(ジェンマ)のチーフデザイナーを務めたLaure Atain(ロール・アタン)が1990年にフランス・リヨンで創業した高級下着ブランドRavage(ラヴァージ)が元ネタ。ブランド名はフランス語で「退廃」を意味する。丁寧な刺繍はもちろんのこと、素材の段階からオリジナル・デザインの生地を作ることで知られ、「ランジェリーのオートクチュール」と評される。1999年にBarbara(バルバラ社)と合併。ナトリウム・シング・桜子もこのブランドの下着を着用している。
また、「Tanger」では無くて「Tanga」が正解。ヒップハング(hip hang)はお尻を大きく覆うタイプのショーツで、タンガ(tanga)は両サイドが細い帯状もしくは紐状になっており、フロントとバックがV字状に切り込まれているショーツを指す。この両者を融合させた形状で、腰周りを大きくベルト状に覆うタイプのタンガをヒップハングタンガと呼ぶ。
(2019.12.30)


■ 紫電雨 (p132)


マウザーが解説キャラになっているのがちょっとかわいそう。
今回初出の紫電雨(プラズマ・フォール)という技。おそらく、プラズマを纏う扇状のソニックブレードを放つことで敵集団を薙ぎ払う効果を発揮する剣技と思われる。地面を抉る際に地霧の如く波状にプラズマが広がることから、滝壷に広がる霧雨に準えてこのような名前が付けられたのだろう。
(2019.12.30)


■ お守り役がやって来た (p138)


絶体絶命と思われたところでラキシスのお守り役であるポーターがやって来る。ちなみに、ポーターがラキシス・ガードとして設定公開されたのは、リブート4巻刊行時。なんと2011年である。マドラが懐園剣を使用するのはコミック11巻の時点で明かされていたので、今回の話はそれだけ前から既に設定されていたことになる。

ポーターはアーク・水霊でもあるため、これに従う立ち位置にあるセントリー=ショウメがその登場にビビっているようだ。p139で「おこられるー」と云っているので、ラキシスを頼ったことを咎められると考えているのだろうか。結果としてラキシスと一緒にいなければショウメがあっさりヴィーキュルに拉致られた可能性もある訳で、結果オーライのような気もするが。

ポーターのセリフに拠ると、現在ラキシスたちがいる場所は星団暦7444年時のシャルデファーとのこと。異界からヴィーキュルが来たのではなく、ヴィーキュルたちがラキシスたちをこの時代に呼び寄せたようだ。ウエスタは寿命が尽きかけており、赤色巨星となっている模様。
赤色巨星は寿命を終えた恒星の進化段階のひとつ。恒星は中心部の水素を使い果たすとヘリウムを中心核として水素に覆われた星となる。中心部の核融合が無くなることで星は収縮を始めるものの、重力エネルギーが熱に転じることでヘリウム中心核のすぐ外側の層で水素の核融合が起こり、その熱によって外層が膨張し続け恒星が大きく成長する形となる。これを赤色巨星と呼ぶ。恒星の寿命は質量により異なるが、我々が住む太陽系の恒星も55億年後には赤色巨星になっているタイミングである。

あと、イースター太陽系が懐園剣に飲み込まれるのも本当の出来事らしい。星団暦7777年にカレンが誕生してフォーチュン宇宙を創造すること、ジョーカー宇宙最後の星フォーチュンを新たな宇宙に移すことは設定公開されているため、それ以前にほかの太陽系は終焉を迎えているということだろう。

ジョーカーは対峙する相手が女魔帝と知って逃げ出したようだが、おそらくポーターだけで対応可能なことが判ったから適当に傍観しているのだろう。
ゴリリダルリハがポーターに対して「使い魔」と罵っているので、ヴィーキュルの方でも彼女と主従関係にある使役者がいることを既に把握していることが判る。

ポーター曰く、ヴィーキュルにはバックアップが存在するために死滅させることは不可能とのこと。自身が破壊された場合に再生するのではなく、バックアップ=破壊される前の時空から肉体を呼び出しているのだという。つまり、意識そのものは別の次元にあり、肉体は現世にアクセスするためのアバターであって、あらやる時間帯から無限に呼び出すことが可能ということだろう。
ベルトコンベアの上に、過去・現在・未来の自分が無限にあると考えれば判りやすい。ベルトコンベアを回すのと、そこにアクセスするのに多大なエネルギーが必要なため、まずはそれを断ち切る(=バスター砲発射)ことで無限に湧き出る仕組みを停止させたと。残った目の前にあるモノはオマケの一発(ノヴァ・フレーム)で消せばいいという訳だ。なるほど。
(2020.01.01)


■ 物理と精神の世界を超えよ (p144)


大剛神モイキュードがヴィーキュルに遺したという「物理と精神の世界を超えよ」という言葉。
より正確には「物質と精神の世界」と表現すべきだろう。これは、ルネ・デカルトなどが唱えた実体二元論から読み解くと判りやすい。
実体二元論とは、いわゆる肉体(物質的実体)とは別に、魂や意識を成す実体(心的実体)が存在しており、思考や判断はこの心的実体が担っているという考え方である。
現在の哲学あるいは形而上学においてほとんど支持されることの無い考え方であるが、無限に肉体を構築できるヴィーキュル(や劇中の神々)は、まさにこれを体現している存在と云える。むしろ、実体二元論に完全に縛られた存在という見方もできるだろう。肉体が死滅しても心的実体から無限に復活できる存在・・・そのような永続性に縛られた存在が「何をもって超越を果たせるか」という部分を考えると、ゴリリダルリハが求めているモノも薄っすらと見えて来るかも知れない。

例えば、本巻ではアトロポスとクローソーが登場する。彼女らはゲートキーパー(門神)であり、おそらくヒトは死を経ることで門神に導かれ、現世から常世に渡ることができる。これがヒトにとっての超越であるとすれば、ヴィーキュルにとっての超越とは何であろうか。彼らは自殺したとしても上位の世界たる「彼らの常世」に渡ることができない。あるいはモイキュードがその方法を見つけたのかも知れないが・・・ゴリリダルリハの目的がこの「超越のための模索」であるならば、これを「盲信」と切り捨てられるスイレイは、やはりヴィーキュルよりも上位にある存在ということになるだろうか。

モイキュードの肩書きは「アクト・リジット・オーバーロード」。アクト(act)は「行為」の意。また、演劇等のパフォーマンスにおける「一幕」や「一席」という意味もある。リジット(rigid)は「厳格」の意。よって、「非常に厳格な行為を示す超神」と訳せばいいだろうか。
一方、スイレイの肩書きは「アーク・オブ・ユニバース」。アーク(arch-)は「首位の」とか「頭目の」という意味の接頭語であるが、ここは素直に「宇宙の主」と訳した方がよいだろう。ただ、アイエッタ姫の眼前に現れたスイレーは「異界異形の少女」と呼びかけていたので、本質的にはジョーカー宇宙の神ではなく、別世界から干渉している異界神とした方が収まりが良いのではないだろうか。

ポーターを依代(?)としてスイレイがついに顕現する。スイレイとラキシスの遭遇は今回で2回目となるが、ラキシスはおそらく前回の遭遇を忘れているはず(コミック6巻p106)。
また、前回はスイレイが去った後にポーターの登場シーンがあるが・・・この時点で既にポーターと同化(?)していたのか否かは不明。
というか、デザインズ1で浮遊城動乱の原因はJOKERの抑制となっており、スペクターはアークの登場を異界からの手助けとして見ていた(6巻p123)ので、この時点で同化はしていなかったと考えるべきか。
(2020.02.08)


■ すえぞうの登場 (p148)


スイレイが白のクラインを割ることでスターバーストが生み出され、その中心からセントリー・ライブが飛び出す。
スターバーストとは、銀河同士の衝突によって星の材料となる星間ガスが大量に発生し、短期間で大量の星形成が起きる現象のこと。爆発的星形成とも呼ばれる。また、スターバーストによって生まれつつある銀河をスターバースト銀河と呼ぶ。クラウン銀河の中心部にはスターバーストが存在しており、その空間に「この世の全てを手中に収めた者が求めるであろう聖典」とも云われるモナーク・セイクレッドが安置されているらしい。うーん・・・今回の描写を見る限り、モナーク・セイクレッドを求める行為は、セントリー(の中枢?)に近づくことと同義のようにも思えるが・・・。

という訳で、すえぞうが久しぶりに登場。その全長はなんとアンドロメダ銀河の直径とほぼ同じとのこと。
アンドロメダ銀河はメシエカタログにM31として記載されている渦巻銀河。さんかく座銀河(M33)や天の川銀河(我々の太陽系を含む銀河)と共に局部銀河群を構成する。直径は22〜26万光年とされており、天の川銀河の8〜10万光年と比べて遥かに大きい銀河である。地球から250万光年ほど離れており、肉眼では見えないが、夜空では満月の約5倍の大きさに見えるらしい。すえぞうの大きさも何となくイメージできるだろうか。

んで、アトロポスとクローソーがすえぞうと共に登場する。コミック9巻に登場した際はすえぞうの両翼にシルエットが浮かび上がっていたのだが、今回は実体(?)を伴っての登場である。吸収したというよりは、同化することでふたりがゲートキーパー(門神)に進化したと考えればいいだろうか。
運命の3女神のうち、「誕生」と「死滅」を担うアトロポスとクローソーは常世と現世の狭間に立つ女神でもあるため、門神となり得るし、すえぞうが属す世界との接点も見出すことができる。一方、「誕生」と「死滅」の間を埋める「一生」あるいは「生そのもの」を担うラキシスは常に現世に留まる女神ということになるため、門神には成れず、すえぞうとの接点も薄いのかも知れない。というか、すえぞうはラキシスが単純のコワイだけか(グーで殴るし)。
すえぞうがこの姿となったために、ソープが与えた首飾りが消えてしまっているのは残念。身体のどこかに取り込んでいるのだろうか。
(2020.02.08)


■ 3つの名前 (p63)


消えゆくゴリリダルリハの念波が語る3つの名前。
所々欠けているものの、「母神アスタローテ」「大君主バフォメート」「ヴィクトリー」と云っていることが判る。この言葉が指す対象が何者であるかは、本巻のラストで明らかとなる。

アスタローテは炎の女皇帝が自身の衛兵として登用した女性騎士。その正体は、魔王(ジェネラル)や女魔帝(サタネス)を生み出したヴィーキュルの最高存在ビーネンクリーガンの一体である。劇中に登場したシーンでは、女皇帝以下、超帝國騎士全員が光子結晶に精神を移した後も、ただひとり実体を維持して焔星緋帝母艦「星(シング)」の中で守衛を務めていた(コミック9巻p79に登場した「阿斯達羅特」)。星団紀に入った現在も存命で、この母艦において女皇帝の留守を預かっているらしい。
いつの時代のエピソードとなるかは不明であるが、彼女はある「言葉(おそらくラキシスがモラードの語った言葉)」を追うために炎の女皇帝から離れ、その放浪の果てにFネーム・ファティマの先先(マーター・マーター)と出会い、天照の下に流れ着くことになるらしい。その後に名乗る名前はレディ・スペクター。ミラージュ騎士団No.35そのヒトである。

バフォメートはヴィーキュルが崇める最高存在。女魔帝(サタネス)や女王蜂(ビーネンクリーガン)が大君主と呼ぶ上位の存在であり、彼女らとは一線を画す超存在(オーバーエクゼステンス)とのこと。天照大御神によって作られたヴィーキュルの管理者であり、彼自身はヴィーキュルではない(ただし本巻では「我らヴィーキュル」というセリフがある)。レディ・スペクターと同様、いつの時代となるかは不明であるが、彼もまた天照の下に流れ着きヴィクトリーの名でミラージュ騎士に登用されることになる。彼がNo.34であることを考えると、アスタローテより先に拾われる形になるだろうか。

このふたりの名を伝えたということは・・・ゴリリダルリハから見てその全容が計り知れないラキシスは、いずれアスタローテやバフォメートから直接干渉を受ける存在に思えたということ。「またいずれ会う」というセリフは捨て台詞のようにも思えるが、少なくとも彼女から見て会いにくるべき存在として認められたということ。彼女がこの後でどうなるかは、本巻の巻頭で説明されているとおりである。
このセリフではっきり判るのは、ゴリリダルリハは時間を超越した存在ではあるが、星団暦7777年以降の時代は知り得ていないということ・・・それ以前の時代において次元を超越する物質を求めて右往左往していることになる。
本巻ではそのような経緯を全てすっ飛ばして遥か先の未来、ウィル星団暦7777年以降の時代からアスタローテとバフォメートが現れることになる訳だが・・・この点については最後の方で感想をまとめます。
(2021.10.18 修正)


■ 運ぶモノ (p156)


ポーターの弁に拠ると、彼女は現世と常世の間を結ぶ運び役(ポーター)の役目を負っているようだ。アトロポスとクローソーは門神、ポーターは門の間で橋渡しを行う運び役ということになる。門神となったふたりより現世に近い位置にいる形となるため、ポーターが劇中で果たす役割は今後も大きくなるかも知れない。
あるいは、ラキシス外伝において、天照をラキシスの元へ「運ぶ」役割を担うことになるのか。
永野センセーの解説では、ポーターはウィル星団暦7777年までラキシスを超える最終兵器として君臨するらしい。天照に付き添ってラキシスの探索に同行するものと考えられるが、スペクターの方はウィル星団暦6599年のレディ・スペクター入団時には既に退団したことになっている。天照がジョーカー太陽星団から旅立つ際に居残るということだろう。
(2020.02.09)


■ 虚無空間の発生 (p160)


ゴリリダルリハの干渉を退けたポーターは、エネルギーの大規模消費によって発生した静穏な状態を「虚無空間」と称した。
虚無とは何物も無い状態のこと。おそらく、その「場」を構成するエネルギー・ポテンシャルが著しく低くなることで、別宇宙からの干渉が容易にできる状態になってしまうのだろう。
ポーターの弁に拠ると、コミック6巻の浮遊城動乱においてヴィーキュルを撃退した際、これと酷似した状況が発生していたらしい。
あの時は、ヴィーキュルの干渉に対して、セントリー・カラット(フェザー・ドラゴン)が登場し、次元回廊の解放、千手観音(=マニウ)の出現、カレンとユライヒの乱入と確かに膨大なエネルギーが消費されていたかも知れない。それ以前に浮遊城のエンジンが停止して「場」を支えるエネルギーが枯渇していたような描写も見られた。
そのタイミングで接触して来た存在がルシファ・センタイマである(6巻p119)。

今回は状況が全く異なるものの、ヴィーキュルを抑え込んだ後というタイミングは一致している。
この隙を縫って、別の宇宙の神々が・・・というか再びルシファが干渉してくる。
(2020.02.14)


■ 神々と星の創造 (p162)


ラキシスを弄ぶ(?)べく異界からの干渉が始まる。カレンやユライヒの感知を避けるためなのか、時間軸と座標を悟られないように新たな星を想像したようだ。

青い岩を見てツバンツヒがシアン化合物ではないかと疑っている。
シアン化合物はシアン化物イオンを含む塩類の総称。シアン化物、青酸塩、青化物とも呼ばれる。シアン化カリウム(青酸カリ)などが有名。多くは毒性を持っており、この物質に晒されることで中毒症状を発症する。例として、シアン化ガスを吸引すると数分以内に頭痛や眩暈が起こり、次に嘔吐や発作、最終的に心拍数低下、意識消失を経て心停止する。ガスで無くとも、固形物を摂取したり、液体が皮膚に触れることでも同様の症状が出る。ただ、シアン化合物の全てが青色を呈する訳ではないので注意。ツバンツヒのセリフを読む限り、生体兵器に変身できるカリギュラのメンバーでも毒物に完全な耐性を持っている訳ではないようだ。

ポーターが「神々」と呼ぶ存在について。ヴィーキュルやスイレイも神とされているため、この辺の関係が判らずちょっと混乱してしまう。
設定上、スイレイは星の破壊は可能でも創造はできないとされている。その下位に位置するセントリーもおそらく同様であろう。アークと呼ばれる存在は異界神という設定もあったが、これもおそらくボツ設定。ポーターの視点から見てこの後で登場するモノたちが「別の世界の神々」であるとするならば、アークはジョーカー宇宙あるいはジョーカー世界に属す神ということになる。ヴィーキュルの頂点に立つ大君主バフォメートもまたアズデビュートと同様に世界創世式の「解」を知り得ているとの話があったので、アークとヴィーキュルは共にジョーカー宇宙に属す存在ということになる。p158のポーターのセリフでも、ヴィーキュルは「次元は違えど私たちと同じ宇宙世界の住人」としているのがその証左となるし、神々の位階については本巻の巻末に掲げられているとおりである。

また、本巻巻末の解説によってバフォメートもまた天照大御神が作り出した存在であること、NT2021年11月号の永野センセーの解説に拠りヴィーキュルもまた天照大御神が創造した存在であることが明かされているため、世界創世式を造り上げたのは天照大御神ということになるが・・・そうなるとヴィーキュルが所属する宇宙とされていたバスター宇宙はおそらくボツ設定になるはず。では、「バスター宇宙の支配者」とされていた大剛神モイキュードをどのように捉えるか。
ジョーカー宇宙から見て、タイカ宇宙に属すユライヒ、フォーチュン宇宙を創るカレンは、異界神であると同時に全能神である。それと対峙するモイキュードは同クラスの全能神という想像ができるが・・・下位にあるヴィーキュルたちがジョーカー宇宙に属すことになると、彼らの関係性が見えなくなってくる。モイキュードがボツ設定になっていればこの辺は気にしなくてもいいのだが、劇中でその存在が匂わされた以上、何らかの形で整理したくなるなぁ。
ビーネンクリーガンと呼ばれるアスタローテがオーバーローデスとも呼ばれるので、オーバーロードとされるモイキュードは同格にあったと仮定すると・・・うーん、ヴィーキュルの1体であったモイキュードが「彼らの常世」たるバスター宇宙に渡ってしまい、その際に「物理と精神の世界を超えよ」という言葉を遺して去ったと考えれば辻褄が合うかかも。
(2021.10.18 修正)


■ 魑魅魍魎の宴 (p166)


切り刻まれたメンバーの血が黒い霧に転じてしまうのは、接触によってこの星と同様に構成物質を作り替えられてしまったためか。
あるいは、液体が存在し得ない物理法則となっているのか。

マドラが刻まれるシーンを見て、もし既に懐妊しているとしたら・・・と思わずにはいられない。
この創られた星での出来事がマドラの子ベルベットに何らかの影響を与える可能性はないだろうか。
直前にデコースの下を訪問するエピソードが描かれたことを考えると・・・うん、その辺を勘ぐってしまうなぁ。

オージェが小さな身体に戻ったのは、おそらく力を与えていた存在とのリンクが切れてしまったため。天照が一時的に未来の姿を与えていたのだろう。
一方、ポーターは不滅の肉体を維持しているようなので、彼女の異能は天照やJOKERとのリンクで得ている力ではないようだ。

身体を刺し貫かれたラキシスも一瞬で未来の姿に変じているため、ヴィーキュルたちと同様に心的実体をもつ存在という見方もできる。
んが、これに関しては「現在のラキシス」と「未来のラキシス」で隔たりがある可能性もあるため、なんとも云えない。
浮遊城動乱でセンタイマが現れた際はカレンとユライヒに助けられており、JOKERは「まだまだ力不足」と評していた。そこから数十年を経たとはいえ、このわずかな期間でラキシスが進化(神化)したとも思えない。ただ、今回のエピソードでラキシスは明らかに未来の記憶(=アズデビュートから得た情報)を語っている訳で、この辺は何とも判断が難しい。

いきなり罫線素片のような文字で会話を始めるラキシスだが、何を云っているか不明。unicodeとかいろいろ調べたけど判らないっす。
(2020.03.01)


■ ラキシス無双 (p174)


魑魅魍魎(この後で判るがアンカーのモノノフたちが奇子化された姿)を相手に無双するラキシス。
ラキシス外伝で数多の世界を渡り歩いたことで身に付けた体術・・・と考えればいいのか。
ノヴァ・フレームの破壊力と比べてどっちがどう強いのか、とか考えるとキリが無いが・・・とりあえず超高速戦闘にポーターは介入できないようだ。

素手でM.B.T.を連射するのであれば、おそらく現在のラキシスの技量は本来の超帝國剣聖クラスと同レべルかそれ以上。永野センセーの解説では「ラキシスに勝てる者はこの世に存在しない」レベルとのこと。
ラキシスが懐園剣を自在に操作できてしまうのは、おそらくその正体がビュランコートであるため。未来のラキシスにとって、懐園剣は「しもべの1体」である。
マグナパレスが装備するサテライト・ポリフォニック・ビームは都市殲滅兵器とのこと。設定上、ツァラトラとカイゼリンも装備していることになっている。
次元回廊はコミック6巻でも登場。あの時は千手観音(=マニウ)も出て来てエライことになっていたのだが・・・本来はこれだけスマートな技であることが判る。
ファイナル・ファンタジーの「デジョン」みたいなもんだろうか(これもシリーズによって効果が異なるが)。
(2020.03.15)


■ 謎のブヨンブヨン (p181)


そういう訳で星を創造した親玉「ブヨンブヨン」が登場する。
ラキシスが倒したのは奇子体(ヴァンク)とのこと。コミック5巻p40で名前が出ていたヤツである。
巻末の説明にあるとおり、奇子体のそれぞれが神のように強い訳ではなく、今回はルシファ・センタイマがブーストを掛けている状態のようだ。
ラキシスと戦っていた奇子体がM.B.T.のような技を出している(p179)のを見て、「あーなるほど騎士なのね」という納得ができた。
つまり、異界の騎士=キシ=奇子(体)なのかなーと。

んで、謎のブヨンブヨンがラキシスを捉えて「受粉」させようとする。
ここで面白いのが、ラキシスが生殖可能な存在であることを見抜いている点。
普通のファティマに生殖能力はない。ポーターも然り。また、既に死んでしまっているがカリギュラのメンバーは不老性を持っているのでおそらくこちらも生殖機能がない。子を作る必要のない存在であれば生殖機能は不要となるためである。一方、ラキシスは不死性を持ちつつも生殖機能を有している稀有な存在という見方ができる。ブヨンブヨンはラキシスにわずかに触れるだけでその機能を理解したのだろうか。まあ、ヴィーキュルですら性別が存在することを考えれば、とりあえず生殖したろ!という神がいてもおかしくはないのか。ただ、ブヨンブヨンが語る「混ぜる」が「子を生すこと」なのか、胎内を通じて「作り変えること」なのか、この辺はいまひとつ判らず。
(2020.03.25)


■ JOKER顕現 (p184)


ラキシスの危機に際してJOKERが出現する。外観から判るとおり、7巻で登場したデザインとは大きく変わり、今回はツァラトラの姿を模して現れたようだ。。
連載当時にあった永野センセーの解説に拠ると、ジョーカー宇宙は136億年前に誕生しており、地球もジョーカー星団が存在する宇宙に含まれているとのこと。現在の研究で宇宙年齢138億年とされている地球から見て、星団歴3000年代のジョーカー星団は地球から見て約2億年前に相当するようだ。・・・となると、劇中でほぼ中生代の時期に当たるとされるジュノーと地球がおおよそ同年齢ということか。また、ラキシス外伝においてラキシスがウロウロする世界は、全てジョーカー宇宙の中に存在する世界ということになる。ラキシスが1945年の地球に出現するのも、同じ宇宙の中に存在するためである。

ふーむ・・・ジュノーが2億年後に地球になるんでしょうかねー。サザンド太陽系の惑星はアトス、オハマ、ジュノー、ソード、スーロウサ、グラシャン(もしくはグラッヤン)、ペントリ(もしくはベントリ)、オデット(もしくはオテット)の8つ。太陽系の惑星の数と一緒である。ただし、FSSの連載が開始された当初は冥王星が惑星として扱われていたため、さすがに無理があるか。

JOKERがどこでもいいから脱出口を作れ、と云っているのは、脱出したメンバーが宇宙空間に放り出されたとしても、また、例え死んでいても復活させることが可能な創造神であるため。
あ、逆に云えば、死体をこの星に放置したまま脱出しても、完全な無から彼らを復活させることはできないということか。いや、異界に存在を縛られていては復活できないということかも。
JOKERのセリフにあるクェーサーとは準恒星状電波源(quasi-stellar radio source)あるいは準恒星状天体(quasi-stellar radio source)のこと。宇宙の膨張と共に光の速さで移動する銀河とされており、通常はその宇宙の最も外側にある天体とされる。
(2020.03.25)


■ 7本指の「お前」 (p188)


突如現れた7本指の手を見て「お前」と呼び掛けるJOKER。この7本指の正体は本巻の最後で判るが、どうやらJOKERとも既知の間柄のようだ。
また、JOKERはこの時点で「7本指」が最初からラキシスらと共にあり、この世界に巻き込まれたことを察した模様。つまり、JOKERは「7本指」が容易にこの世界にアクセスできる存在ではないことも知り得ていることになる。ポーターも脱出口を作れと云われて「無理です」と応えており、JOKERの力を渡されたとしてもジョーカー宇宙に戻れるかどうかといったレベルであることが窺える。この辺の流れから察するに、JOKERと「7本指」の能力はほぼ同等ということ。巻末の説明やNT2011年9月号の記事でも、バフォメートとJOKERは同格という説明がされている。

ついでに云うと、JOKERはカレンや「7本指」だけに留まらず、タイカ世界の熾権使やデモンのことも知っていると・・・どう考えても星団暦7777年以降の状態をすべて知っているとしか思えない訳です。天照が星団を離れる際にスペクターは同行しないことがこれまでの設定で明かされているものの、JOKERは既にその結末を知っていると。まあ、そもそも光の神アマテラスが生み出した存在であることを考えれば、7777年以降の時代から遣わされた可能性もある訳ですが。
なので整理すると、「神々の世界」と「高次元の世界」に属する存在(JOKER、スイレイ、バフォメート含む)は遥か未来の状況を知り得ている。「異次元の世界」に属す存在(ヴィーキュルやモナーク・セイクレッド)は7777年以降の状況を知らない、という切り分けができる。アスタローテはヴィーキュルであるが、彼女は先先(マーター・マーター)に導かれてミラージュ入りしている経緯もあるし、今回はそもそも7777年以降から様子見に来ている状況である。
この切り分けの部分が重要と思ったので敢えて書き出してみました。
(2021.10.19 修正)


■ シルヴィスとブヨンブヨン (p190)


シルヴィスが登場。コミック5巻のタイカ編に出ていたシルヴィスではなく、11巻に出ていた「神界に渡った後のシルヴィス」である。
これに呼応する形で謎のブヨンブヨンがその正体を明かし、熾権使の能力を使ってMMTデモンを呼び出してしまう。
一連のルシファのセリフから状況を整理する。

まず、古代タイカにおいて「タイカの民」の敵対者とされてきた「アンカー」の正体は、同じタイカ民族の闇華亜族であったということ。
闇華亜族における治世の体制は十曜亜族と同一であり、ルシファ・センタイマもまた大権使であったと。
さらに、MMTの搭乗権は個人に紐づいているのではなく、同様の能力があれば融合可能ということ。そのため、今回はルシファがユライヒの搭乗機であるデモンを呼び出す形となってしまった。熾権使の歌で顕現するのであれば、カレンやユライヒが使用する際も歌が必要ということだろうか。
ほかにもデモン(とバイナス)が外神と呼ばれていたり、MMTがマジカル・ミューテーションの略語であったり、いろいろあるがその辺は後で辞書ページにまとめる。

デモンは永野センセーがものすごーく昔から何度も何度も描いているという究極のロボット。1985年に発売された「永野護'86カレンダー」に頭部のみ描かれたのが初出。今回のデザインを見る限り、GTMとシェル(シェルブリットに登場するロボット)のハイブリッド的なデザインラインである。まあ、搭乗者との融合によって権限する兵器であるため、ユライヒが使用する際はまた異なる外観になるのかも知れない。
デモンが手にしている剣は懐園剣・雌剣とのこと。本来の持ち主はルシファの子孫に当たるシルヴィス・ミラーであるが、先祖に当たるルシファの呼びかけに応じて出現したらしい。
(2021.10.19 修正)


■ 新デザイン群が乱入してくる (p198)


シルヴィスがラキシスのしもべたちを次々と召喚する。

マンティコアは惑星オリンポスの古代文明が作り上げた機械生命体ボーグ・ジェネレートの一種。自己再生・自動進化によって独自の発展を遂げ、オリンポスの現行文明の人々から陸神と恐れられた異形の存在である。大きさを自在に変更することが可能で、オリンポスを離れた後にラキシスのオペラ・スーツに付属する宝石に封印されていた模様。

マンティコアが登場したことよりも、シルヴィスがその存在を知り得ていることが問題。FSS第3部におけるラキシスの放浪は、全能神から見てすべてトレースできているということ。つまり、いくらでも干渉可能な状態であったにも関わらず、(天照大御神自身も)ラキシスと天照が再会するまでただ見守っていたことになる。
神がその進化を遂げる上で56億7千万年を過ごす必要があったということか。うーん・・・もしかして、天照に必要だったのではなく、ラキシスに必要だったのかな。
弥勒菩薩が56億7千万年後に悟りを開いて釈迦の次のブッダになるように、天照あるいはラキシスの真なる進化にこれだけの年月が必要であったと。
弥勒菩薩=マイトレーヤであり、コミック3巻p21に出ている存在は「ミロク」のイメージで描かれたという設定がありましたね。
これでいくと、ミロクとはすなわち未来のラキシスということでいいのかも知れない。巻末の解説にもあるとおり、ラキシスの神としての本体はメイトリィーア・ラキシスと呼ばれ、これが弥勒菩薩となるようだ。

クフィルはマンティコアと同じく機械生命体ボーグ・ジェネレートの一種。空神と呼ばれる。

マニウは「天の川銀河より来たる異次元空間タバラチの神」とのこと。
「タバラチ」について・・・インド神話の系列で調べたけど判らず。多胎児(たたいじ)のことをタバラチと呼んでいるのかも知れない。多胎児とは双子や三つ子の総称であり、劇中のマニウは三つ子が奇妙に絡まったようなデザインである。

すえぞうが飛び出してくるシーンで、ちゃんとラキシスのスーツに付いているセントリー・ドロップから呼び出されていることが判る。
ビュランコートの召喚に使用するのは脇腹の宝石である。まあ、ポーターやスペクターが言っているとおり、シルヴィスがボケをカマしたのだろう。

ビュランコートもボーグ・ジェネレートの一種であるが、陸神マンティコア、空神クフィル・インペリューンを超える最終破壊兵器とされる。他のボーグ・ジェネレートと同じく自己再生・自動進化を繰り返していたはずであるが、ラキシスの接触により数億年の眠りから目覚めたという設定があるため、おそらく現行文明の人々の目に触れられないまま伝承として語られる存在になっていたのだろう。大きさを自在に変更することが可能で、オリンポスを離れた後はラキシスのオペラ・スーツに付属する宝石に封印。ただし、ビュランコートの力はあまりにも強大であったため、その力の一部は懐園剣・雄剣に組み込まれたという。今回も召喚時に宝石と懐園剣を結ぶ光が確認できる。
ボーグ・ジェネレートはいずれもカレンがタイカ世界に移る際に持っていくらしい。
(2021.10.19 修正)


■ デモンとバイナスについて (p201)


デモンとバイナスについて補足する。この2体が同時に出現できないことはカレンが劇中で説明しているとおり。
永野センセーの解説に拠ると、バイナスは全てにおいてデモンとは反対の属性をもつらしい。デモンを破壊し得る唯一の兵器であるが、この2機は敵対出現によって相手の出現を封じる機能を有するため、直接戦闘はできないまま互いに不倶戴天の間柄となっている模様。双方が同時に出現して決着をつけるためには何らかの条件が必要となる・・・という設定。

一方、我々読者はコミック6巻で同時に出現しているデモンとバイナスを目撃している訳で・・・ユライヒが全能神となっている時期には「デモンとバイナスが同時に並び立つ条件が解明されている」ことが想像できる。そしてその記憶もまた現在登場しているカレンは知り得ているはずであるが・・・今回ルシファが呼び出したデモンに対しては同時出現が不可能な状態であったと。これをどう読み解くか。

デモンとバイナスが並び立つ条件がもしハード側に紐づいているのであれば・・・例えば何らかの制御装置によって制限されているのであれば、制御が外れた後のバイナスを呼び出せばいいということになり、今回のデモンとも戦うことができたことになる。が、おそらくこれは違う。となると、デモンとバイナスが並び立つ条件はおそらく搭乗者側に紐づいていることになる。無の神ルシファとカレンではその条件を満たすことができない。同様に、人間であった頃のユライヒもまた条件を満たすことができない。しかし、夫婦になった後のカレンとユライヒであれば条件を満たせると。
この辺から察するに、デモンとバイナスは「敵対関係ではない状態で呼び出せば、おそらく同時出現が可能」ということが予測できる。
そこから振り返ってこれまでに明かされている設定をまとめると・・・カレンがタイカ世界に向かった直後はおそらくユライヒと決裂して敵対関係になり、その後で両者が和解することで十曜亜族と闇華亜族の和平が成立。結果、デモンとバイナスの同時出現が可能になった・・・ってな感じのドラマが推測できる。

タイカのエピソードについては本巻の巻末に説明があるとおり。カレンがタイカ世界に移動した当初、ユライヒはまだ人間であり、全人類を消滅させようと躍起になっていたらしい。10万年もの闘争を続けてきた十曜亜族と闇華亜族は既に和平を見いだせる状態ではなく、例え勝利したとしてもその憎悪と怨恨に塗れた歴史は罪深いものとなるだろう。世界平和を真に望むのであれば、自身を含む全ての消滅を以て実現するしかない・・・といったようなことを考えていたのだろう。まあ、普通に生きたいと願う者からすれば、非常に傍迷惑な思想と云える。・・・コミック5巻においてシルヴィスは「神々の言う"救い"が我らの想うところの"救い"と同一であること」を願っていた訳で・・・カレンが人間であった頃のユライヒと出会ったときに、何を感じてどう行動したか。なんとなく想像できるだろう。彼女が劣勢のアンカーに与するというのもまあ納得である。

あと、カレンがMGPに対して「今のお前」と云っている点に注意。マグナパレスもまた強化されていく(あるいは進化する?)らしい。
これまでに明かされている設定に拠ると、MGPはマンティコアら機械生命体に搭載されていた遊星駆動システムとエネルギー・システムを組み込むことで強化されることになる。p255に名前が掲載されているマグナパレス・ディアグレース(ナイト・オブ・ゴールド・カレン)が強化後の名称である。ラキシスと天照が再会した後、ラキシスのしもべたちを参考に天照が改修するようだ。
さらに、カレンがタイカに移動する際に頭部だけ持ち込むことが判明しており、タイカ世界ではバイナスと同じ心臓部を移植されてMMTとなるらしい。この改修はカレンとユライヒが担当するらしいので、おそらくはふたりが和解した後の作業ということになる。古い設定でバイナスはK.O.G.シリーズの5号機という設定もあり、正式名はKnight of Titin KALLENとされていたことを考えると、バイナスとマグナパレスがニコイチになるイメージかも知れない。
カレンがタイカ世界から帰還した後は再び天照とラキシスの手に戻るようだが・・・この時点でGTMという兵器の存在意義があるか否かは不明。ちなみに、ナイト・オブ・ゴールドの1号機はシュペルター、2号機がK.O.G.[ラキシス]、3号機がK.O.G.[アトロポス]、4号機がザ・ウィル、5号機がバイナス、そして未発表のマシンが6号機でしたね。この設定がもし生きていたら、天照がさらなる改修を加えることもあるかも知れない。
(2021.10.19 修正)


■ グラビトン圧縮とルシファの「反則」 (p216)


ビュランコートがグラビトン圧縮を起こして全てを消し去ろうとする中、ルシファは「反則」と称して熾権使たちを異次元に飛ばして避難させる。

おそらく、何らかの膨大なエネルギーを用いてグラビトン(重力子)を圧縮することをグラビトン圧縮と呼称しているのだろう。ただし、重力子は重力を媒介する粒子とされているため、おそらくそれを圧縮することはできない。似たような物理現象としては、重力崩壊(恒星が自らの重力に耐え切れず崩壊する現象)あるいは粒子崩壊(素粒子が別の素粒子に変換される現象)が挙げられる。
同様に、永野センセーが解説している光子蒸発という現象も微妙に在りそうで無さそうな物理現象である。似たような物理現象としては、やはり重力崩壊もしくはホーキング放射(ブラックホールが光子を発しながら蒸発する現象)あるいは対消滅(物質と反物質が接触することで光子を発して消滅する現象)になるだろうか。
FSSはSF作品ではないので、この辺の設定はたぶん適当なのよ。
想像しやすいモノで例えると、マイクロブラックホールか反物質砲のような兵器になるだろうか。

ルシファの「反則」について。
おそらく、全能神の能力は使わず、あくまでも大権使としての能力だけでラキシスら一行を追い詰めようとしていたところ、ビュランコートが現れて星そのものを消し飛ばすほどの攻撃を放とうとしたことから、全能神の力を用いて熾権使たちを異次元に送り、さらに星の消滅を回避するために威力を相殺したのだろう。
要するに、ルシファにとっては最初から全力を出すつもりがない、チョッカイを掛けるだけの遊び半分ということだろう。

正体を現したルシファが思ったより童顔なデザインであるが・・・おそらくシルヴィス・ミラーの祖先であることから逆算してデザインし直したのだろう。
一応、旧設定のデザインはNT1992年2月号付録「THE OFFICIAL ART OF The Five Star Stories 1992-1996」でデザイン画を見ることができる。

懐園剣がルシファの手に渡ることについて。カレンは父親の性質を引き継いで「何も考えていない」と説明しているようだが・・・やはり、武器である以上、武器自身がその使用者の善悪を測る意味はないということだろう。逆に、この場に残ったメンバーの中でルシファ以上に懐園剣を振るう資質のある者がいなかったと云うべきか。この後のマキシとの戦闘を読む限り、ルシファは剣聖クラスの腕前をもつようだ。
うーん・・・覚醒していない懐園剣・雌剣をなぜ全員が脅威と感じているのかがナゾ。マキシも封印状態の懐園剣を太刀に変えたようだし。
(2020.08.16)


■ マキシ降臨 (p223)


懐園剣を手にしたルシファに一行が怯える中、剣聖マキシがついに降臨する。
説明セリフが長いな。

いくつか疑問点あり。
まず、懐園剣を手にしたマキシが「久しいね」と口にしている部分。
マキシの説明に拠ると、懐園剣を手にしていた時期は、マグダルやデプレと共にボスヤスフォートを倒した時期となるようだ。
となると、3225年のスタント遊星攻防戦・・・対ラドナリスリビオン戦では懐園剣を使用していなかったということか。
と云うか、タイカ世界の戦いでは使用していないのか。いやぁ・・・ボスやんとの戦いで懐園剣を使うというのも微妙だし、タイカでも使用していなかったというのも微妙だな〜。
コミック11巻でも懐園剣を手にしているし、「2つの宇宙のあらゆる物を切り倒して参りました」って云ってる訳だし。

マキシの血縁については・・・まあ、彼自身が口にしているとおりなんだけど。
クーンがバランシェのコピーであったという設定は今回が初出ですね。

カレンから見ると、マキシは母ラキシスの弟に当たるために「叔父」。
マキシから見て、遺伝子上はカイエンが「父親」で、ミースが「母親」。ただし、受精時の胎はアウクソーであるため、アウクソーもまた「母親」。
また、自身の素体はクーンの情報のリマスターであるからクーンもまた「母親」。同時に、クーンは父カイエンの代理母でもあるため「祖母」でもある。
これをまとめて、マキシはクーンのことを「大お母様」としている。
46体目のファティマとしての視点ではバランシェが「父親」。ただし、バランシェはクーンの父親でもあるため「祖父」でもある。
さらに、母ミースはバランシェの養子でもあるため、二重の意味で「祖父」。
父カイエンの代理母がクーン、クーンの父親がバランシェと考えると、バランシェは「曽祖父」でもある。
ついでに云うと、マキシは幼年期にフンフトに育てられるという設定もあるので、フンフトも「母親」である。
コミック11巻の「母と母であった方々(マザース)」の意味がここでクローズアップされましたね。

精霊体となっていたクーンがファティマの姿となって現れたようにも見えるが・・・「付いてこられましたか」というセリフが微妙に謎。
「どこから」付いてきたか。神界に渡っていた星王に付いてきたのであれば、クーンもまた神界に渡っていたことになるが・・・。
あるいは、実体のクーンもまた未来において他界しており、別の精霊体に転生してこの場に駆け付けたのかも知れない。いや、JOKERであっても自在に行き来できる場所ではないことが示唆されているため、精霊体では難しいはず。

次。マキシの口から「泰華銀河連合」という単語が語られる点。
おそらく、十曜亜族が宇宙へと進出した後、タイカ太陽系を含む周辺の銀河、銀河団、超銀河団へと版図を広げ、数多の異星人とのコンタクトを経て築き上げた連合体制もしくは連合国家を泰華銀河連合と呼んでいるのだろう。
しかし、マキシがタイカ世界に渡った時期は古代タイカの時代であり、この時点において十曜亜族に宇宙の知識が無かったことは、コミック5巻p60でシルヴィス自身の口から語られているとおり。
なぜ、マキシが活躍した時代に存在していない「泰華銀河連合」という言葉が出るのか。
うーん・・・可能性としては、「その時代にもマキシがいた」ということになるだろうか。
転生も可能かも知れないし、神として降臨することも可能かも知れない。女神シルヴィス・ミラーがこの時代に転移させたかもだし。いやーどうだろーなー。

そのほかの小ネタ。
マキシの誕生年は3037年で確定。以前は3035年としている資料もあった。
マキシの服に描いてある「滅」の字ははカイエンの浴衣と一緒(コミック9巻)。
マキシは幼年期から青年期まで天照家で育てられる予定。腰の部分に四菱のマークがあることから、天照家の一員でもあるのかも知れない。

あと、シルヴィスは巫女である以上、処女性の維持がおそらく重要視されるので、マキシと夫婦になったのは意外と全能神となった後かも知れないですね。
(2020.08.23)


■ ルシファの真意 (p234)


切り結んで互いに血を流したところで剣を納めるマキシとルシファ。戦いを終えた懐園剣は次の戦いの場に飛んで行った模様。
ルシファの言葉に拠ると、ラキシスがモラード候に語った「五つの星の物語」はそのまま異世界タイカにも届いており、彼はラキシスの力量を測ろうとしていたようだ。ただ、ラキシスの言葉の解釈は明確な形で読者に示されている訳ではないので、ルシファが今回の行動に出た思考(というか理屈)をトレースするのが難しい。

ラキシス語った「五つの星の物語」は、遥かな未来においてヒトが希望の地に至ることを語っている予言になると思われるが・・・主語なしで「種を運びたもう」となっているのがポイント。高位にあるモノが種を運んでくれることを暗示している訳だが、言葉を受け取る側としては「では何モノが種を運ぶのか」「そこに希望を見出してよいのか」という疑問につながる。
ヒトであった頃のルシファはその言葉を聞きつつも、生涯においてその意味を測ることができなかったため、全能神となった後もその気持ちが残っていたと。全能神になれば、おそらく過去・未来の全てを「視る」ことも可能になるため、ラキシスの言葉の顛末をルシファもまた知っているはずであるが・・・ラキシスそのものに対する興味がずっと残っていたと考えればいいのか。

うーん・・・「ルシファが聞いたその言葉を後世に残したか否か」また「十曜と闇華が未来においてどのような結末を迎えたか」が判れば、この辺の位置関係がスッキリすると思うんだけど・・・全然判らんなぁ。

一方、ラキシスの言葉もまた「惑星フォーチュンへ至った未来のラキシスの言葉」であることは想像できるけど・・・神々とも戦うという意思表示は「メイトリィーア・ラキシスに至る以前のラキシス」から発せられたようにも思える(メイトリィーアもまた神の一員であるため)。いや、そもそも全能神が集う神界においてラキシスが登場したことはないし、おそらくは既に天照大御神とも融合しているはずなので、「五つの星の物語」を伝えた未来のラキシスがどの時点のラキシスなのかが今ひとつ判らない。
あるいはメイトリィーア=弥勒=「仏」と考えて、「神」とはまた異なる存在として捉えればいいのか。
いずれにしても、言葉を発した存在が神にすら挑もうとする気概をもつ人物であるころが判り、ルシファ自身は溜飲が下がったようだ。

ついでに。今回のルシファのセリフで判ったのは、「44分間の奇蹟」が星団暦3075年に起きるということ。ハスハント解放戦の冒頭はコミック11巻でわずかに描かれているため、あの後で何が起きるかってことですね。
(2020.09.22)


■ 記憶の消去とバグについて (p239)


神々の干渉を「無かったこと」にするため、全員の記憶の消去をスペクターに指示するカレン。
今回の戦いは、ラキシスとマグナパレスの記憶からも消されるようだ。

んで、今回改めて開示される情報。
FSSの世界からMHを消し去り、GTMに置き換えたのはカレンとビヨンド・クラスファーの仕業とのこと。
まーデザインズ1の時点でカレンが何かやらかすことは暗示されていた訳だけども・・・やっと劇中でちゃんと説明されましたね。
うちのホームページではその辺についてちゃんと解説されることはないだろうと早々に諦めていて、デザインズ以降の考察でも全然取り上げてませんでした。
トレーサーex2の発売直後のタイミングで、掲示板に「連載再開と同時にMHが全部GTMになってたとしても、そんなに驚かないですねー。(中略)何が起きても全部カレンのせいというか。」と自分でカキコんでいたようなので、当時はとりあえずカレンの仕業ってことで読者の皆も思っていたのかな。

さて、カレンが語る「とあるモーターヘッドの名前を覚えている者」についてだが・・・これまでに開示されている情報から察するに、おそらくアウクソーのことだろう。コミック13巻では「GTM感応機能」が失われていることになっていたのだが・・・GTMに置き換わった世界において「MH感応機能」が残っていると考えれば辻褄が合う。
アマテラスが云うところの「本当の本当のほんとうに死ぬよりもつらい時」=「カイエンに別れを告げられた時」に、彼女はおそらく「神」に対して自らの死を願ったと。それがおそらく今回のバグの引き金になっているのではないだろうか。
マキシにとってアウクソーは母親でもあるため、その「修正」をすれば自身にも影響が出ると考え、パッチ当てをやめさせているものと考えらえる。
(2020.10.05)


■ ショウメの行く末 (p242)


ポーターがほぼオマケの説明セリフとしてショウメの行く末を語る。
それによると、ラキシスがカラミティの爆発に巻き込まれて星団外に飛ばされる時期は、ブリッツの再転化の時期と重なる模様。
その再転化の際に、ショウメの一部がラキシスに同行するようだ。おそらくスーツの宝石の封じられる形になるだろうか。つまりジュエルスの一体である。
一方、ショウメの一部を取り込んだタワーはそのまま天照に付き添って星団外に出立。
本体はブリッツとなって、静と共に生きるようだ。・・・ということは、静はミラージュ騎士団に移籍しないということか。
ふーむ・・・破烈の人形がログナーの乗騎(星団暦3960年のジュノー侵攻最終戦にて使用)となることが確定しているため、なんだかんだで静も移籍するものと思ってました。
(2020.10.05)


■ 目覚める一行と明かされるアレコレ (p245)


ポーターの呼びかけに答えて目覚める面々。
ショウメはポーターに回収されたことでラキシスとはお別れ。
マドラは統一人格が安定したことで、改めてミラージュ騎士として活動する模様。「騎士相手に剣を取ることはない」というのは、剣聖位をもつ者として活動するということだろう。
カリギュラの面々はそのままラキシスの配下に収まるようだ。

カリギュラの指揮官クラスは超帝國の総帝・皇帝らのコピー体とのこと。オリジナル体は皇帝の粛清によって消滅したのか、あるいはコピー体となることで消滅したのか。
まあ、この後でモラードのオリジナル体とコピー体が同時に登場するといろいろ問題があるはずなので、コピー体の出現と同時にオリジナル体は失われると考えた方がよいだろう。
マウザーは6代目総帝ゼクスのコピー(劇中では皇帝となっているが総帝とするのがおそらく正解)。ゼクス(Sechs)はドイツ語で「6」の意。数字の大小と在位時期の順番は一致していないとの設定もあるが、彼はそのまんま6代目の総帝となるようだ。
一方、ツバンツヒは5代目総帝フィアの娘トーターエルフのコピー体とのことだが・・・5代目総帝フィア(Vier)はドイツ語で「4」を意味するため、この場合は総帝の代数がズレている。また、エルフ(Elf)はドイツ語で「11」の意。トーターの部分が「Tochter」であれば「娘」の意。「Toter」であれば「死人」という意味になる。おそらく「11番目の娘」という意味になるだろうか。

ミラージュ騎士団にラキシスを絶対君主と仰ぐメンバーが加わるという設定について。
今回のメンバーに関して云えば、ツバンツヒはおそらく天照寄り、マドラは自ら宣言しているとおり双方寄り、マウザー(=クラック)はラキシス配下という感じだろうか。
おそらく、ベルベットなんかはラキシス配下になるのだろう。ほかは現時点では予想つかず。
(2020.11.01)


■ 天照の考える「希望」 (p249)


ルシファとの対話で天照大御神とも戦う姿勢を見せたラキシス。その言葉を、その天照本人に対して報告するスペクター。
ただし、この時点の天照はおそらくラキシスと自分がいずれ融合して天照大御神に昇華することを知り得ていないので、JOKERは「この世界を創造した神であっても戦う」というようなことを伝えたはず。
この後の天照のセリフから、彼の「神としての考え」が透けて見えるのだが・・・この部分はとても重要なため考察を最後にまとめる。
(2020.11.01)


■ 携帯端末の応用 (p250)


マドラが石を投げているシーンで、左手に携帯端末を持っているのが確認できる。
これはおそらくソナーを用いて魚群探知機として使用しているのだろう。芸が細かい。
(2020.11.01)


■ ふたつの霊体 (p252)


ラキシスを追っていたふたつの霊体の正体は、ゴリリダルリハが口にしていたヴィーキュルの最高位存在・・・アスタローテとヴィクトリーであったことが判明する。

この後の一連のシーンを読み解くと・・・レディ・スペクター(=アスタローテ)は未来において先先(マーター・マーター)をパートナーとして迎えており、その先先が設計したザ・ウィル・スペンサードを用いてこの時代を訪問していたようだ。
異界神ルシファの干渉に際して、ヴィクトリーはラキシスを庇うために右手を出して負傷し、その手の中央に未来永劫に残る傷を負ったと。しかし、それはもともと彼自身が気付かぬうちに負っていた「古傷」であったようだ。つまり、彼の肉体にとって星団暦7444年の出来事は「過去の事象」、精神にとっては「現在進行形の事象」であったということか。前述の考察で書いていた、実体二元論に完全に縛られた存在(=物質と精神が分かたれたままその壁を越えられない存在)であることが読み取れる。

p120のラキシスのセリフに拠ると、バフォメートはアズデビュート数式生命帝と同様に世界創世式の「解」を得ているとのことであったが・・・これが彼の云うところの「ラキシス様に受けた恩」ということになるだろうか。ただ、この「恩」はこの時代より過去において授けられたのではなく、おそらく遠い未来において授けられたものと考えられる。
つまり、遥か未来においてラキシスに救われたヴィーキュル(レディ・スペクターやヴィクトリー)がいる一方で、未だ救いを求めて世界に干渉してくるヴィーキュル(ゴリリダルリハ)が存在しており、この両者を隔てているのが「時間」という構図である。

うーん・・・未来において救われたモノたちが存在しており、そこから過去に移動することが可能な状態であったとしても、その手を過去に差し伸べることは「ヨシ」としないと。
ラキシスが弥勒となるまでに、ファティマが子を産むまでに、ヴィーキュルがヒトや神と共存するまでに、等しく56億7千万年が必要ということか。
なぜそれほどの時間が必要かと問われれば・・・おそらく「全てが「幼年期」に過ぎないから」ということになるのかな。カレンの本名がカリェルレンであり(後述)、物語全体が「幼年期の終り」のオマージュになっているのであれば、という条件付きの考察だけども。
つっても、この辺は明確にそう設定されている訳でもないし、永野センセーも全てを語るはずがないので、ただの「謎」としておくのが正解だろう。

ザ・ウィル・スペンサードの解説で、新規設定がてんこ盛りに出てくるが・・・この辺は「いろいろ想像できますね」という範疇に収まる内容なので辞書ページにまとめておきます。
(2020.11.01)


■ 未来からの来訪者 (p256)


Fネーム・ファティマの先先(マーター・マーター)が早くも登場。
彼女のセリフで重要なのは以下のふたつ。

@天照がアークマスターと呼ばれていること。
天照がこのように呼ばれるのは、バランシェによるプログラム制御ではなく、ソープにだけは迷惑を掛けたくないという歴代バランシェ・ファティマの「思い」が引き継がれた結果であったはず。先先が同様にアークマスターと呼ぶのであれば、母親たちの「思い」がウィル星団暦7777年以降に生まれるFネーム・ファティマにも引き継がれていることを示唆している。

A先先は「天照が肉体と精神を切り離せること」を知っている。
このセリフから、天照が未来において神の力の一部を人前で(少なくともFネーム・ファティマの前で)示していることが読み取れる。
もっとも、天照はこれまでにクーンやアウクソーの眼前でカイエンを蘇生したこともあるので、ラキシスほど力の開示に制限を掛けている訳ではないようだが・・・この点について少し引っ掛かる部分があるので、あとの考察にまとめます。

ほとんどオマケのような感じでファティマ・タワーも登場。身体からライトニング・ブラストが漏れとる。
アンカーのモノノフの助太刀として現地に降りたかったようだが・・・あの場でカイゼリンが現れてMGPと戦闘を始めたら収拾がつかないどころの話ではない。読者も大混乱である。
天照に服従するよう教育されているとの設定もあったが・・・彼女のセリフから「マスター」として認識していることが判る。

あとは・・・カイゼリンの改修状況とか、3225年のスタント遊星攻防戦に出現するのがジュラスターンだとか、カナハの娘としてFネーム・ファティマの織織(オリ・オリ)がいるとか、いろいろ新規設定がてんこ盛り。カナハがミラージュ入りすることになるのかな。
先先が会いたかったヒトはもちろん、ヒュートランのマスターであるワスチャのことだろう。
ヴィクトリーの実体でかい。身長は10mを優に超えている模様。騎士ではあるが担当騎が設定されていないのも納得。
(2020.11.02)


■ ミルクドロメダ・クェーサー超銀河について (p259)


永野センセーが解説しているとおり、我々が生活する天の川銀河は40億年後(諸説あり)にアンドロメダ銀河と衝突してひとつになると考えられており、この状態をミルコメダ銀河あるいはミルクドロメダ銀河と呼ぶ。FSSの劇中では、ジョーカー宇宙=我々が生活する宇宙とされており、遥かなる未来においてミルクドロメダ・クェーサー超銀河が誕生することになっているようだ。
ただし、惑星フォーチュンはジョーカー星団において最後に生まれる星で、カレンが創造したフォーチュン宇宙に移されるという設定もあるため、このミルクドロメダ・クェーサー超銀河もまたジョーカー宇宙で誕生した後に、フォーチュン宇宙に移されたものと考えればよいだろうか。
(2020.11.02)


■ 希望(フォーチュン)という名の星について (p259)


さて、16巻すべてを通した感想と考察をまとめます。
p249の天照のセリフから読み解くと・・・天照にとって「希望」とは、絶滅した人類に対して神が「与えるもの」。ヒトは儚く脆い。どのように生きたとしても死が訪れる。そこに救いを与えるのが神の役目と考えているようだ。アウクソーに「本当の本当のほんとうに死ぬよりもつらい時」に使うおまじないを与えたのも、この考えがあってのことだろう。

一方、ラキシスの考える「希望」は生きとし生けるモノ全てが「持つもの」。神によって創られたヒトだけでなく、ヒトが作り得た人口生命体であっても、その「希望」を持ち、死の間際であっても次なる生に「受け継がれるもの」という感じである。未来のラキシスがコーラス3世、モラード、ダイ・グの前に現れたのは、ヒトの未来に「希望」があることを伝えるためであったと考えられる。そして、その生あるモノがもつ「絶望への抗い」は、創造神に対してすらも向けられる・・・と考えているようだ。

天照とラキシスの根本的な違いがここにある。
果たして、「希望」は神が与えるものなのか、それとも、ヒトが最初から持ち得るものなのか。
おそらく、この両者が互いに成長し、両者の「希望」の在り方が変容・融和するとき・・・それが双方にとっての最終到達地=星団暦7777年という時代なのだろう。

7777年以降の設定を振り返ってみよう。
神がヒト前でも神の力を行使し、ヒトと神と魔(ヴィーキュル)が共に生活し、人工生命体もまた新たな生命を紡ぐことが可能な時代。
生きている人々に神が「希望」を与え、生あるもの全てが「希望」をもって生きる時代。全能神のカレンが赤子になってヒトに甘えられるような時代である。
そのような「全てが融和する世界」がおそらく7777年以降に作られると。

なぜ、最終到達地にフォーチュン=「希望」という名が与えられたのか。これで十分に説明されたと云っても過言ではないだろう。

さらに、そのような時代を超えた後にカレンがタイカへと向かう。そのタイカにもまたラキシスの言葉が届いているという状況。
カレンが向かった先では十曜亜族と闇華亜族の戦いがあるが・・・それもまた、さらに先の未来においてデモンとバイナスが共に並び立つ世界が待っていることが暗示されていると。
まあ、この辺は多分に妄想の域を出ない訳ですが・・・なんとなく、FSSの全年表を通して描かれるモノが何であるか、今回のエピソードで見えてきたような気もしますね。

少し微妙な点として、ヴィーキュルとの和平が成立している平和な時代においてGTMや戦艦が作られる理由が判らない。新天地たるフォーチュン宇宙においてさらに上位のモノが接触してくる可能性があるのだろうか。少なくとも、異世界タイカの話はこの後の時代であり、ルシファ以外の異界神が現れる可能性もまたゼロではないか。
まあ、天照の趣味という線が可能性としては最も高いが。

そんなこんなでコミック16巻を読み解いてみましたが・・・やっぱりFSSの風呂敷を微妙に畳み始めているような気配を感じますね〜。
一方で、永野センセーが好きなだけロボットのデザインができる環境が整ったとも考えられます。名前だけしか登場していないGTMの方が多い訳だし。
次月以降のFSSも楽しんでいきましょう。
(2020.11.02)


■ 神々の世界の位置づけ (p263)


巻末資料で人間の世界から神々の世界までの階層とビヨンド・クラスファーの正体が明かされる。
ビヨンド・クラスファーは最高位存在となった天照のこと。えーと・・・光の神アマテラスがラキシスと融合して全能神アマテラス大御神になって、そこからさらに進化して最高位存在になる・・・のかな。まあ、何も考えておらず、干渉もしてこないのであれば、それはイコール世界そのものということかな。

タイカ世界から神に昇華した存在として、シルヴィス、シルヴィス・ミラー、ユライヒ、ルシファが設定された。
本巻でラキシスを巡る戦いに参加しているのが、神となったルシファとシルヴィス、マキシ、そしてカレンである。
ユライヒは人間であった当時は冷酷無比の存在であったらしい。コミック6巻に登場したユライヒは光の神となった後のユライヒである。

セントリーとヴィーキュルは高次元ではなく異次元の存在。とは云え、4次元、5次元に干渉できるのであれば、ヒトから見てやはり高次元の存在である。
この階層で行くと、大剛神モイキュードは異次元の世界から脱して高次元の世界あるいは神々の世界に渡った存在であることが推測できる。
異世界タイカは天照大御神の干渉が制限される世界ではあるが、この階層では人間の世界に位置付けられるようだ。

ラキシスの本体はメイトリィーア・ラキシスとのこと。弥勒菩薩ということになる。
弥勒菩薩とは釈尊(ブッダ)が入滅してから56億7千万年後の現世に顕れて人々を救済し、永遠の楽土に導くと云われる未来仏のこと。
やはり、天照とラキシスが再会するまでの56億7千万年という期間は「ラキシスが弥勒菩薩となるまでに必要な時間」であったということだろう。
天照は生まれた瞬間から光の神であったが、ラキシスはファティマの1体(正確には個体進化を繰り返す素体)として出現した。その存在が神あるいは仏となるまでに修行が必要であった、と考えればいいのかな。

本巻には収録されてないが、カレンの別名として「カリェルレン」という名前が連載中に公開された。やはり、ネーミングの由来は、アーサー・C・クラークが1953年に発表した小説「幼年期の終わり」に出てくるオーバーロードのひとりKarellen(カレルレン)ということになるだろう。カレンの名付け親はバランシェとの設定もあったが、おそらくバランシェが付けたのは「カリェルレン」。云いにくいために通称が「カレン」になった感じだろう。
バランシェは運命の三姉妹の名前も「以前読んだ本」から拝借していた。その本とはおそらくゲーテの「ファウスト」であり、カレンの名前も「以前読んだ本」から引用していても不思議ではない。それが「幼年期の終わり」だったということだろう。ちなみに、この作品に出てくるオーバーロードは巨大な身体、コウモリのような翼、小さな角、矢印のような尻尾を有している。つまりはバランシェの趣味に沿った「醜い存在」という訳だ。
そう云えば、「幼年期の終わり」にはオーバーロードの上位存在で、宇宙を統括している精神体として「オーバーマインド(Overmind)」という存在も出てくるのね。なので、旧設定にあった「ビヨンド・クラスファー・オーバーマインド」もここから引用されていたことになるのか。
(2020.07.24)


■ 闇華について (p265)


アンカーについてはMMTの解説も含め連載時に細かい設定が公開されていたのだが、それらをまとめるとp264の内容に集約されてしまうのでここではあまり補足しません。
単語はすべて辞書ページに入れてあるので、そちらを読むことでも把握できると思います。

シルヴィス・ミラーや巻頭の熾権使の衣装に漆黒の花十字が描かれているのは、おそらく古代タイカに招かれたマキシがそのエンブレムを使用していたため。10万年という時間の中で、そのエンブレムがアンカー側に流れたようだ。

シルヴィス・ミラーの解説にあるとおり、彼女はファティマ・タワーを召喚することができるらしい。
問題は、天照大御神ですら干渉が制限されるタイカ世界なのに、ファティマ・タワーは自由自在に行き来できている点。
うーん・・・全能神であっても干渉に限界がある(低位の神は干渉すらできない)・・・という意味ではなく、その世界への影響が過度に大きくならないように、上位の存在であればあるほど干渉に制限が掛かると考えればいいのか。
ビヨンド・クラスファーが最高位存在となった天照であることが明かされたことを考えると・・・天照大御神の力は大きすぎるからタイカ世界では制限過多、タワーの力はそれほどでもないから制限解除、みたいなバランス取りなのかも知れない。
(2021.10.19 修正)


■ エフィーとボーについて (p266)


エフィー・ドライとボー・ゼクスがミラージュ左翼に所属する点について。これ、今現在連載中の扉絵の解説がないと判らないと思う。
ホームページの別ページにまとめているので参照されたし。
(2021.10.19)


■ Fネーム・ファティマについて (p268)


Fネーム・ファティマについては・・・永野センセーの解説がまた結構ややこしい。NT2022年9月号の解説の方が判り易いかも。
物資の素粒子運動記録(その素粒子が宇宙の開闢から現在に至るまで辿ってきた軌跡)を読み取り、かつての構成体の情報を引き出して再構築することで生み出されるのが数式生命体。理論的にはその宇宙に存在した全ての生命体、人工物、天体ですらも再現することができるらしい。星団暦7777年以降に生み出されるFネーム・ファティマは、母体となったファティマの記憶と特性、そのファティマの製作者およびマスターの資質や性格を引き継いだ数式生命体である。

イギリスの理論物理学者スティーヴン・ウィリアム・ホーキングが1974年に提唱した理論「ホーキング輻射」に拠ると、ブラックホールには熱的な放射があり、やがてはエネルギーを失って蒸発することになるらしい。量子力学の原理では、量子状態が有する情報(量子情報)は確実に保存されるため、あらゆる物質を内部にため込むブラックホールは吸い込んだ情報を恒久的に保存する一種の大容量ストレージと成り得る可能性があるらしい。ただし、ブラックホールの蒸発後に内部の情報がどのようになってしまうのかは一切不明。これは現代物理学における未解決問題のひとつで「情報問題」と呼ばれる。
永野センセーは、この量子情報の解析から数式生命体が作られる、ということをp268で説明している訳である。

空間エネルギーについて。
宇宙空間を構成している要素のうち、通常の物質は約5%、ダークマター(暗黒物質)は約27%、残りの68%は未知のエネルギーとされており、このエネルギーをダークエネルギーもしくは暗黒エネルギーと呼ぶ。ダークエネルギーは反発する重力の効果を生み出しているとされる仮想のエネルギーであり、2021年現在において未発見のエネルギーである。一説には空間そのものがもつ「真空のエネルギー」ではないかという意見があり、永野センセーはこれを空間エネルギーと呼んでいるのだろう。なお、星団暦7777年以降のGTMに搭載されるクェーサー・エンジンは空間エネルギーを用いて動力を得るらしい。その最大出力は銀河系ひとつ分をも超えるとのこと。

あとは反粒子かな。反物質を構成する粒子のこと。通常の物質を構成する素粒子と比較すると、質量とスピンが等しく、電荷など正負の属性が逆となる。永野センセーはおそらく、素粒子と逆の属性をもつ粒子を反素粒子(反レプトン+反クォーク)、その反素粒子から構成される反バリオン(反陽子や反中性子)を反粒子と呼称して区別しているのだろう。反素粒子という呼称はあまり一般的ではなく、現在はこれら全てを含めて反粒子と呼ぶ場合がほとんどである。

大体この辺まで判れば、永野センセーの説明も頭に入って来るはず。

本巻には収録されていないが、スペック上で勝るはずのFネーム・ファティマが母親に当たる従来のファティマには勝てない、という設定がある。
これはFSSで最初から共通して描かれている絶対的なルールみたいなもんですね。
要するに「オカンには勝てない」ということなんでしょう。

天照はミコトに勝てない。
カレンはラキシスに勝てない。
ジャコーはイマラに勝てない。
セイレイはエルメラに勝てない。
ズームはペールに勝てない。
ミッションはスジャータに勝てない。

力の優劣というよりも、母親とはナンであるかという認識の問題。
まあ、母は強しですよ。ほんとに。

コミック3巻でラキシスはモラードに向かって何やらごちゃごちゃ話していたのだが、この部分の解釈を13巻でムグミカが引き取っているんですよね。
曰く、「はたして未来・・・その時に人がいたとしてそれは私たちと同じ姿の人なのか」という疑問が投げかけられていたと。
これに対してムグミカは「ヒトの記憶を受け継いでいる者が人間」という回答をしつつ、それが機械や人工知能となることを否定している。
ムグミカは「ヒトがヒトの姿を保って未来に渡ること」を願ってモラードにタワーの製作をお願いした訳で、Fネーム・ファティマもまた単なる「子供」ではなくて、「ヒトの記憶を受け継ぐ新たなヒト」という部分に重要な役割があるように思えます。数十万人のA.K.D.の国民ではなく、モナーク紀から続く人類の記憶と英知をさらなる未来に運ぶ役割をもつヒト、という意味です。

つまり何が云いたいのかというと、ムグミカが望んだ未来がモラードに託され、タワーとモラードが天照の旅に同行した結果として、(もともと生まれる予定の無かった)Fネーム・ファティマが生まれたのではないかと。逆に云うと、未来を知るラキシスが「時を駆け下りて来て」モラードとムグミカに問いを発したことで、Fネーム・ファティマの出現につながったのではないかと思える訳です。
あ、ここで云う(もともと生まれる予定の無かった)というのは劇中の設定の話で、永野センセーがメタな部分で最初から予定していたのは解説のとおりなんだけど。

まとめると、ラキシスが3巻で語ったのは「ヒトの記憶を受け継ぐべき未来のヒトはどのようなモノであるべきか」という問いかけであって、ムグミカの導いた答えが「タワーの製作による記憶の伝承」・・・しかし、そのような希望をもさらに飛び越えた上位の存在として「ヒトの記憶をさらに未来に運ぶ媒介者・具現者」となるFネーム・ファティマが生まれて来る、ということなのかなと。・・・そう考えると、7777年以降の時代が描かれて初めてFSSという物語が終わるのかなーと思いますね。

今回掲載された3人のFネームのほかに、明かされている名前が結構ある。
文文(ルーン・ルーン)・・・ルーンという名前から静の娘のような気もするが詳細設定なし。
引引(リード・リード)・・・詳細不明。
藍藍(ストラ・ストラ)・・・シリアルはBF-40 F1-06(エフワン・ゼロシックス)。これまでに明かされている設定から、メガエラとビュラードの形質を受け継いでいることが窺える。
織織(オリ・オリ)・・・カナハとシリーズ・シアン夫人の形質を受け継いでいるらしく、先先(マーター・マーター)と共に星団暦3037年に向かったタワーのために、カイゼリンとお揃いストッキングやサンダルを作ってあげたようだ。
クラウ・クラウ・・・先先(マーター・マーター)と共に、タイカ宇宙から帰還したマグナパレスの改装と再調整に携わったとされる。エックス家とイカロスの形質を継いでいるのかも。
(2021.10.19 修正)


■ オマケ


連載時の扉絵に掲載されていた情報で、次のデザインズに掲載されるかどうか微妙なモラード・ファティマ一覧をまとめておきます。
16巻の内容に全く関係ない内容ではありますが、これがコミック16巻に収録されなかったのがイタ過ぎる。スペック等は過去データから引っ張ってきました。重要なのは製作順と工場製ファティマの位置付けになります。
 
■ モラード・ファティマ 一覧 (前半のみ)
名前 別名など パワーゲージ クリアランス タイプ マスター 備 考
ウラム         ボルサ・バスコ
コーラス22世
(MC-01)
レイルゥ         エフィー・ドライ
掲載時はEV-7となっていたが間違い
(MC-02)
マニケッツ         レーダー王家預かり (MC-03)
ポーター   A-2A-A-2A-B1 VVS2 S スペクター 2971年戦死扱い
(MC-04La)ロスアンジェルス
テック         ベスター・オービット
現在はミース預かり
(MC-05)
エスト エスタブリッシュ
バーシャ
B1-A-A-A-B1
(2A-3A-3A-3A-2A)
F S ツーリー・パイドル
ロードス・ドラグーン
デコース・ワイズメル
バンドライン・ゴール
グラード・シドミアン
 以上、黒騎士
型式Mk-A-T:ボツ設定
シリアルNo.NS-2-BB3351:ボツ設定
シンクロナイズドフラッター
バッシュ・ザ・ブラックナイト専任ファティマ
(MC-06)
(MC-08)バーシャ時予備シリアル
ディモス・ハイアラキ
コーラス2世
天照帝
レーダー9世
F.U.ログナー
コーラス26世
 以上、黒騎士以外のマスター
クラーケンベール・メヨーヨ
マヨール・レーベンハイト
マロリー・マイスナー
慧茄・ダイ・グ・フィルモア
ガリード・ケンタウリ
ディーザス・ビィ
ヨースト・サヤステ
ダイアモンド・ニュートラル
 以上、一時預かり
ヨーン・バインツェル
 以上、バーシャ時のマスター
ビルト ビルド B1-A-B1-B1-A VVS1 S パイパー将軍
ワンダン・ハレー
(MC-07)
シリアル08までの間に工場製ファティマ12体製作(後にシリアル15〜26付与)
スパルタ       S ピョトン・コーララ
ヴィンズ・ヴィンズ(バイズビズ)
(MC-09)
ソリュート ソルート     S ルビール・レイス (MC-10)
アリエ         オロダムド・ハル (MC-11)
エルマ       S プルース・ランダース 2989年戦死
(MC-12)
クエスーラ クエスラ       ボー・ゼクス (MC-13)
マルター マルタール       アーリィ・ブラスト (MC-14)
不明           工場製 (MC-15)
不明           工場製 (MC-16)
不明           工場製 (MC-17)
不明           工場製 (MC-18)
不明           工場製 (MC-19)
不明           工場製 (MC-20)
不明           工場製 (MC-21)
不明           工場製 (MC-22)
不明           工場製 (MC-23)
不明           工場製 (MC-24)
不明           工場製 (MC-25)
パルスェット   B1-B2-B1-B1-B1 VS1 S ミハエル・レスター
ヨーン・バインツェル
工場製
シリアルS-308-M12
S型30番工場8番ロット/モラード管理12番
(MC-26)
ウリクル   A-2A-B1-B1-A VVS1 S コーラス23世 2989年戦死
(MC-27)
イグリド         バレフィラ・サンダン (MC-28)
ミロン         ボナン・ストレイ (MC-29)
リンラン・メー         数麗卿 (MC-30)
ポワトニア         茄里・ボルガ・レーダー (MC-31)
エベレスト         ヒン・モンダッタ (MC-32)
カプリコーン         アード・ゼニャッタ (MC-33)
スラート         育成中
ヨッヘンマ・ピストーチ
(MC-34)
アイジェルン・ダリ・キア   2A-2A-3A-A-2A NONE S 保存中 (MC-35)
ガスレイビー         育成中 (MC-36)
トートマー         マグダル・エイリアス (MC-37)
デルタベルン・パッチデータ           極秘扱い
(MC-38)
タワー ザ・タワー         3100年誕生
アトール聖導王朝皇帝騎士
ミラージュ騎士
セントリー・ファティマ
(MC-39)
 
 
表の一番上に「前半」と入れているのは、延命後のモラードがさらに別のファティマを製作していくことが判明しているため。
延命後のモラードはモラード・カリホルニウムと名前を変えて、天照のラキシス探索行に同行する。
カリホルニウム(californium)は元素記号Cf、原子番号98のアクチノイド元素。超ウラン元素(基本的に自然界には存在しない元素)のひとつ。

これまで処女作とされていたエストが6番目に移り、パルスェットを含む12名の工場製ファティマが欠番扱いのモラード・ファティマに位置付けられた。
ウラムとかレイルゥなんかは懐かしい名前だけど・・・マニケッツ、アリエ、リンラン・メー、ポワトニア、ガスレイビー、トートマーは初出。

処女作のウラムがボルサ・バスコとコーラス22世のパートナーを務めていたらしい。
おそらく、このツテを通して黒騎士のファティマとなる以前のエストをボルサに預けることができたのだろう。ムグミカやフンフトがモラードと接触したのも、ボルサから引き継ぐ記憶があってのことと思われる。あと、ハリコンの時代に連なる詩女とコーラス王家の繋がりは22世の時代に紡がれたものであることが想像できる。コーラス22世のパートナーはシクローンという設定もあるため、ウラムをパートナーとしていた時期は晩年の短い時期になるのではないだろうか。つーか、詩女のバスコさんは騎士でもあった、ということになるのかな。

レイルゥのマスターはエフィー・ドライ。連載時はEV-7とされていたのだが、ミラージュ入りした方のはずなので変更している。
クエスラのマスターはボー・ゼクスとのこと。オーハイネがスタント遊星を知る唯一のファティマという設定が霞むな。
ベスター・オービットのパートナーであったテックはミース預かり。
マルター(マルタール)が新作ファティマという設定はボツ。ウリクルの姉に当たる中期の作品になるようだ。
ミロンはスキーン隊のファティマであるため、ボナン・ストレィはおそらくAP騎士。
ポワトニアのマスターは茄里。ということは、オディールとの関係を解消してポワトニアを迎えるということか。おそらくオデットはジークのパートナーとなるはず。
トートマーのマスターはマグダル・エイリアスとのこと。マグダルが詩女となる頃にエイリアスを生み出すことが読み取れる。
デルタ・ベルンについては、レイヤー化して取り出したフォーカスライトとアウクソーの記憶を統合し、1体のファティマとして機能させるために新たなパッチデータを組み上げたものと考えられる。このファティマについてはなかなか設定が定まらない感じですね。

これまで名前が挙がっていたモラード・ファティマで、リストに名前が挙がっていないのがルーリィ。
レイルゥと名前が似ているのでボツになったか、工場製ファティマの1体として今後登場するかも知れない。

ついでにもういっちょ。
モラードがただの「延命」ではなく、カリギュラの技術で「延命」する点が気になってまして・・・もしかしたら騎士になるのではないかと。
んで、もし騎士になるのであれば、ミラージュ入りするのではないかと私は疑っております。
上の表にある「育成中」のスラート・・・そのマスターとなる「ヨッヘンマ」・・・微妙に怪しくないでしょうか。
(2021.10.19 修正)
 
 
SOUGNE KARLINE'S REPORT TOP