† 第14巻 エピソードガイド †
The Five Star Stories XIIII
 
コミック初版を参考に。
13巻と同様にNT連載時の扉絵が考察の参考になっている場合があるので、可能な限り補足を入れて整理しています。
 

 

■ 表紙と扉絵


コミック14巻の表紙イラストのタイトルは「White Morpho」。NT2018年3月号に掲載された記事によると、GTMホワイトモルフォとショウメを描いているらしい。
これまでに明かされている設定でモルフォと名の付くGTMは、イーエス・モルフォ1=デムザンバラ、イーエス・モルフォ2=トリバネル、モルフォ・スルータン(旧設定のAUGEに相当)の3騎。他にバーナー・レンダウドが搭乗するモルフォ・トリバネルというGTMがあるが、これはおそらくトリバネルを指しているものと考えられる。
この後のエピソードで登場が匂わされているGTMはトリバネルであるため、ホワイトモルフォ=トリバネルということになるだろうか。
イラストを見る限り、頭部にモルフォチョウの装飾をあしらったGTMということになるが・・・永野センセーも登場時は全然違うものになる、と言い切っているので今回はイメージ優先で描かれたデザインということだろう。

表紙をめくった扉絵に描かれているのは成長後のバーナー・レンダウド。スーツにあしらわれている漆黒の花十字から、成長後に着用するミラージュの騎士服であることが判る。
女性ミラージュ騎士はタイツの色がパーソナルカラーとなるため、彼女のミラージュにおける識別色はレモンイエローとなる。
エルガイムに登場したHMオージェを彷彿とさせるショルダー・バインダー(?)が目立つが・・・ミラージュ移籍後のバーナー・レンダウドがGTMトリバネルに搭乗する点を考えると、このシルエットが改修後のトリバネルにそのまま当て嵌まるイメージになるだろうか。
となると、トリバネルはオージェ系列のシルエットを引き継ぐ形となるため、旧設定のナイト・オブ・ゴールド[A-T]に相当するGTMは存在しないのかも知れない。
(2018.02.13)

 

■ キャラシートより (p2)


新たに起こされたキャラシートが多数。永野デザインが好きな方はまさに眼福ですね。

ラキシスが劇中で着用する騎士服のようなスーツはダブル・アライメント・スーツとのこと。うーん・・・連載中の(コミック15巻に収録される)エピソードでネタ振りをしておき、14巻のカラーページで種明かしするというこの荒技っぷりが何ともFSSという感じである。連載を読まずにコミックだけ購入しているヒトは、このスーツに纏わるエピソードも2〜3年先まで見れないというね。

連載時の扉絵にあった設定解説からみると、ハロ・ガロ関連の設定が大きく変わっている。
以前の設定では、ラミアスの先行量産型3騎(ラミアス・ゴーゴン)が慧茄、マドラ、ナイアスに渡されており、派生型のラミアス・エリュアレがハロ・ガロ、同じく派生型のラミアス・ステンノとラミアス・メデューサが建造中とされていた。
p6の解説では、剣聖慧茄とマドラが使用するのがフゥアー・インマー・メドゥーサ、ナイアスが使用するのはイー・ズィー・イー・ステンノとなっているため、先行量産型から既に派生型に改修された騎体であることが読み取れる。フゥアー・インマーはデザインズ6に収録される模様。

その他の各キャラクターやGTMに関しては、連載時の扉絵にあった解説も含めて辞書ページにまとめてあるので参考にされたし。
(2018.02.13)

 

■ ベラ国の戦況について (p9)


ナルミの報告とコミック11巻巻末の戦力分布図から、開戦後のベラ国の戦況がおおよそ判る。
ロッゾ帝国はベイジ西方に降下した後、海岸線を北上してベラ国国境線まで進軍。その後で傭兵騎士団を残してベイジに引き返したらしい。
ウモスはカラン・ウモス派兵連合軍がカステポーから入ろうとしてセントリーの一撃で壊滅したはずなので・・・おそらく別動部隊を出してハスハ東部から北上してきたのだろう。
ハプハミトン騎士団はバッハトマ魔法帝国の南方に位置するハプハミトン公国が組織している騎士団。魔導大戦勃発時はバッハトマ側に付き、ハスハ侵攻でも黒騎士団の後方支援として派遣されていたらしい。
要するに、バッハトマ枢軸軍の動きが落ち着いており、2軍的な位置付けの騎士団が外縁のハスハ各国で小競り合いをしている状況が窺える。

ロッゾの傭兵騎士団とハプハミトン騎士団はGTMスコータイを使用している模様。
スコータイはガマッシャーン・レイスル騎士団の主力GTMであり、ナルミもガマッシャーンの供給があることを確認している。
コーネラ帝国の建国時、ガマッシャーン共和国は王宮警護のためにレイスル騎士団を派遣しており、その見返りにバルター・ヒュードラーが設計した試作騎エクペラッハを受領したらしい。その辺の背景もあってスコータイを回せる余裕があるのだろう。
(2016.03.13)

 

■ ソープとラキシスが嫌われている理由 (p10)


ソープとラキシスが嫌われているのは、どっからどう見ても観光客のナリをしているため。コミック13巻のミースたちを見れば判るとおり、ガーランドやスライダーがその資格を有する者として動くときは常に「5本線」や「4本線」を身に付けることが基本である。
ソープはコミック1巻の頃からただの一度も4本線を付けたことが無い。女子を連れてフラフラしていれば尚のこと、前線の兵士・騎士から嫌われるのは当然である。逆に、コミック3巻のコーラス城ではソープがうろうろしていてもそれを訝しむヒトがいなかった。これは、入国当初からコーラス3世の客人として受け入れられたため。また、コーラスは設計図を見せる際も自室に呼んでおり、現場の混乱を避ける配慮をしていたことが窺える。まあ、コーラス王朝の懐の深さというべきか、のほほんとした国民性を表しているのかも知れない。

ソープの戦況分析は(口は悪いが)至極まともなもので、戦力の2/3を失えば撤退という判断は、前線のセオリーに基づいたものである。ナルミの言動を見る限り、彼女もそのセオリーをちゃんと認識した上で、国民を守ることを第一に考えているようだ。彼女が通そうとしているのは、指揮官としての意地ではなく、騎士としての意地である。FSSの劇中には様々な騎士が登場するものの、面と向かって騎士道を説けるヒトは少ない。彼女は極めて愛国心と義侠心に溢れる騎士であるようだ。

さて今回、ナルミが啖呵を切ったことでソープが動くことになった訳だが・・・この啖呵が無かったとしたら、果たしてベラ国攻防戦というイベントは起こり得たのだろうか。
ナルミの発した「ヒトの思い」が、ソープ=天照という神を動かしたとも云える、この状況・・・FSSを読み直すと、ソープ=天照はいろんなところで「ヒトの思い」に当てられて、行動を起こしていることが判る。コーラスに剣を託されてK.O.G.を出したり(コミック3巻)、バランシェがアトロポスを心配していることを時から聞いてカステポーに行ったり(コミック5巻)、クローソーの声を聞いてシャーリィの自害を止めたり(コミック9巻)・・・んで、その結果がちゃんとエピソードのオチに(歴史に)響いている訳である。結局、神がいる世界であったとしても、それを動かして歴史を作るのはヒトの心と行動なのだ!っつーのがFSSのテーマなのかも知れないですね。
(2016.02.13)

 

■ アジャスターとブリッシャー (p13)


2本線を「アジャスター」、3本線を「ブリッシャー」と呼ぶことが判明した。
アジャスター(adjuster)はそのまんま「調整者」の意。2本線(ダブル・ボーダー)は博士号などの学位を得た上で研鑽を積んだ技術者のこと(コミック13巻の解説で技術者とあるが、シングル・ボーダーの時点で熟練技術者とあるため、学位の取得が条件になると推測)。GTMの各部調整ができるレベルの技術者になるだろうか。
ブリッシャーの語源はいろいろ調べたけど判らず。3本線(スリー・ボーダー)は熟練の技術者や科学者の中でも、その業種の権威もしくは指導的な立場にある者のこと。今回の描写から、GTMのパーツを理解しているレベルの技術者。あるいは、パーツから組み立てができるレベルの技術者がこれに当たることが判る。天照の助手としてツァラトウストラ・アプターブリンガーの組み立てを行っていたリィ・エックスも3本線である。
(2016.02.13)

 

■ GTMの地上搬送 (p15)


バーガ・ハリ・KKの出撃シーンからGTMの地上搬送方法が判る。
GTMステーブルから出撃する場合、搬送ユニット(ケージ・バレット)に載せた状態で運送セイラー(フェリーセイラー)に収容。セイラーにおそらく1個小隊もしくは2個小隊のGTMを載せて戦場まで運送するようだ。部隊単位で移動する際に各自が単騎用のセイラーで移動する訳にもいかないし、基地と前線の間の移動でイチイチ戦艦を出す訳にもいかないと・・・おそらく、フェリーセイラーは戦車揚陸艦のようなイメージだろう。

ところで・・・「フィアアーブンツ」がもともとどういう意味なのか判らず。ドイツ語でフィアー(Vieh)は「家畜」の意味。フィア(vier)だと「4」の意味だし。うーん・・・ドイツ語で「Vieh Abends」と書いて「家畜を晩餐に」と訳すことができるのであれば、これが「作業終了」の意味をもつ言葉になるかも知れない。GTMを整備するステーブル(stable)には「厩舎」という意味があるため、家畜関連の用語から引用されていても不思議ではない。
(2018.02.13 修正)

 

■ 12番騎の不調について (p17)


GTMの胴体を構成しているパーツはツインスイング・フレームだけで、このパーツがヒトの身体でいうところ背骨・神経節・腹筋・背筋に相当する部分を担っている。また、ハーモイド・システムが発するエネルギーの伝導もツインスイング・フレームが担っていることから、この部分に負荷が掛かると、エンジンにも影響が出るということが判る。ヒトに例えるなら、背骨の中に大動脈が通っているようなイメージである。背骨が歪むと血流もおかしくなって、心臓に負荷が掛かってしまうということだろう。
しかしあれだな、ジェネレーターは左右両方にあるのか。デザインズ4の設定だとハーモイド・エンジンとポリスケール・ジェネレーターで左右セットになっていたと思うが・・・。

ソープのセリフから、泰千錫華のドツキ太刀打ち音頭(コミック10巻p261)を伝授されていたことが判る。つまり、ニューたちにエンジンを渡してとっとと帰ってもらうつもりが、結局最後まで太刀打ち音頭を見せられたということか。

ソープが設計図なしにGTMの構造を判ってしまうのは、おそらく星団最高のガーランド(=天照)でもあるため。コミック1巻では、星団暦2973年のトブルク戦において、12時間で36騎のGTMをハンガーアウトするという驚異的な記録を打ち立てたことが語られていた。このスピードは通常のスライダーの10倍に相当するらしい。GTMの構造をよく知る天才的な技術者であるからこそ、整備士が手こずるあらゆる作業をショートカットできるのだろう。・・・騎士の反応速度で整備していた訳じゃなかったのね(そりゃそうか)。
(2016.02.13)

 

■ コーラス・ハグーダ戦におけるソープの活躍 (p21)


コーラス・ハグーダ戦でソープがGTMの整備を行っていたことになっとる。ジ・エンドレス(=ジュノーン)を組み上げただけじゃなかったということか。
ということは、コーラスの主力騎ワイマール(=ベルリン)、ビュラードのホウザイロ1(=クルマルス3)、ルビール・レイスのGTM(=クローマ)、ロードス仕様のダッカス(=バッシュ)、この辺も触ってた可能性がある。ホントにGTMを見る(看る?診る?)のが好きなのね。

ソープが名前を公表されて困るのは・・・ファティマを連れて逃亡したからか。まあ他にも、ソープ=天照を知っているヒトが星団のそこかしこにいるので、天照がベラ国に来ていることを知られるのがマズイのかも知れん。ビュラード当たりは面白がってベラ国までやってきそうだし。
(2016.02.13)

 

■ バーガ・ハリの稼働率が上がることの影響 (p23)


バーガ・ハリが前線に出てきたことで、敵軍が警戒しているらしい。
当然、敵軍から見れば援軍が来たように見えるはずで、今後の侵攻でGTMを増やしてくる可能性が出てくる。攻める⇒押し返す⇒攻める⇒押し返すという流れが繰り返されることで、ベラ国攻防戦に注目が集まり、本巻後半で描かれる大規模戦に発展することとなる。

まあ、とにかくヒトを惹き付けてしまうお祭り男のソープが来たことで、各国の騎士とGTMが集まってくるということだろう。コーラス・ハグーダ戦と同様の流れである。
(2018.02.13 修正)

 

■ なぜベラ国の現状を報道させたのか (p26)


なぜ、ソープはベラ国の現状をマスコミに公開するよう提案したのか。おそらく、「注目させること」により「停滞」を無くそうと思ったのではないだろうか。
東日本大震災なんかもそうだが、マスコミが注目する場所にはヒトとモノとカネが集まる。ソープとナルミが危惧していたのは、物資の不足によるベラ国の陥落である。であれば、懐具合を知られたとしても、何らかの流れを生み出した方がよい、という判断と思われる。

ベラ国の困窮状態が国内外に知れ渡れば、国民感情に圧されてスバース本陣も何らかの支援を送らざるを得なくなるだろうし、マスコミが注目している中で人買い(ブローカー)が怪しい動きをする訳にもいかなくなるだろう。一方で、アードやヒンのようにAP騎士団内で士気が高まる部分もあるだろうし、ベラ国を訪れるガーランドやスライダーが出てくるかも知れない。
変えるべきは、ベラでもなく、ミノグシアでもない。開戦から一定の時間を置いてに落ち着こうとしている現状と世論である。

今回、ソープの顔を見ていると、ナルミに提案したのは「ソープ」ではなくて「天照」であるようにも見える(p26の最後のコマ)。人間的な思考を排除して大局を見極めることが可能な「天照」が、「ソープ」の思考に介入してきたのだろうか。コミック10巻の考察でも書いたが、天照は自分の中に4人の人格(ソープ、ソープダッシュ、リンス、東の君)があるように考えており、それらは天照本人の意識と切り離している(つもりになっている)らしい。人々の不安はとりあえず置いておき、ベラ国の人々を生きながらえさせる最良の選択を提示するために、「ソープ」の思考を俯瞰して見ている「天照」がちょっと顔出ししたのかも知れない。
(2016.03.15)

 

■ GTMバーガ・ハリ・BSコブラ (p31)


BSコブラはAP騎士団の精鋭が使用するエース仕様騎。騎体色はブラックグリーン。
頭部にあるアッセルムラトワ皇家の家紋は、詩女の護衛騎士(ネードル・シバレース)に指名されたヤーボの搭乗騎だけに付けられるエンブレム・・・という訳ではなく、BSコブラの標準装備らしい。ヘッドカラーはスバース隊の白。コブラの模様がスバース隊の支隊カラーであるスカイブルーで彩られる。デザインズ5の解説でも確認できるが、支隊カラーとバーガ・ハリのヘッドカラーは一致していないようだ。

詩女がその衣装や刺青のモチーフに治癒の象徴として白蛇を用いることを考えると・・・AP騎士団の精鋭が身に付けるモチーフがコブラ、というのはなかなか面白い符号である。
詩女のシンボルが「柔」の白蛇、これを守護する騎士たちは「剛」のコブラ、という対称性を表しているのかも知れない。
もっとも、詩女の設定が明かされる以前からヤーボとギラ+ヘビというモチーフは劇中に登場しており、ヤーボの元ネタとなったアーティストJarboe(ヤーボー)がヘビと映っている写真があることから、この辺のメタな部分が大きく影響している可能性の方が高いか(こちらのヘビはコブラではなくニシキヘビ)。
(2016.03.15)

 

■ ツラック隊とスバース隊の食事の違い (p32)


支隊によって食事に差がある点については、永野センセーがデザインズ5で詳細を語っている。
精鋭部隊により良い食事が行くのは、軍として当然のことであるし、今回はベラ国の物資が不足していることもあって、食事に大きな差ができたようだ。

ヒン・モンダッタは相変わらずハイヒールが苦手な模様。入隊したときも「ハイヒールキライ」って言ってましたね。
永野センセー、カプリコーンとエベレストも出してください。
(2016.03.15)

 

■ あり得ない禁断の因子 (p34)


ソープがベラ国に参戦している可能性に気付くティスホーン。一方、本巻の後半で、他のミラージュ・ファティマはこのことに気付いていなかったことが描かれる。
つまり、ツラック隊のGTM稼働率を詳しく把握できる立場にあったティスホーンだからこそ、この可能性に気付くことができたということだろう。
(2018.02.18 修正)

 

■ ラキシスがシャトル・アシリアのヘッド・キャパシタを装着している (p37)


ソープとナルミの会話シーンに割って入ったラキシスをよく見ると、シャトル・アシリアのデザインで見られる蝶型のヘッド・キャパシタを付けているのが確認できる。つまり、彼女はGTMとの通信・接続が可能な状態を維持していることになる。デザインズ5の解説に拠ると、ソープがGTMの整備をやっている間に、ラキシスはこっそりファティマ側のチューニングを行っていたらしい。このヘッド・キャパシタはその証ということになる。
ツラック隊のメンバーはラキシスがファティマであることに気付いていないため、この蝶型のアクセサリーがヘッド・キャパシタであることも気付いていないのだろう。
(2016.05.31)

 

■ 暗号シリアルについて (p38)


ミースが発行した書簡をツラック隊に渡すツバンツヒ。ジョーカー星団における公的な文書などに付される暗号解除キーを暗号シリアルと呼んでいるのだろう。通常は文書とは別に発行され、受取人の元に届くように発信されるはずである。ミースが渡した書類は中身を見なければ文書発行番号が判らないようにしてあり、別途発行した暗号シリアルにより開示される仕組みになっていたようだ。おそらく、暗号シリアル自体もツバンツヒに渡していたのだろう。ツバンツヒが暗号シリアルを手にしていることで、少なくともミースの既知の人物という身元保証になっていた訳である。

シルバー・バランシェのサインの横にあるマークはミースがもつ紋章だろうか。ちなみに、コミック7巻p136にはバランシェが発行したアトロポスの認定申請書(?)に、ミッション・ルースのサインが書き込まれた書類が登場している。この書類の上の方にある紋章が、おそらくクローム・バランシェの紋章である。
(2016.06.04)

 

■ コニチハ (p39)


ソープの名を知っているツバンツヒに対して過剰に反応するラキシス。なんせ、旦那に横恋慕しそうな相手が近付いてきたことになる訳で・・・彼女の野生のカンは鋭いとしか云い様がない。それにしても、ソープの名前を知っているのであれば・・・その人物が連れているオマケの正体がラキシスだと気づいても良さそうなもんだが・・・あまりにもファティマっぽくないために、そういった考えをもつことができないのだろうか。
あるいは、バストーニュにおける逃亡劇のオチは世間に知れ渡っておらず、ラキシスの容貌なども星団内に公開されていないのかも知れない。ビュラードあたりが当時の詳細に関して報道管制を敷いた可能性もある。
(2016.06.04)

 

■ エニーホという名について (p68)


ファティマ・オーハイネが名乗った偽名。エニーホ(ENIHO)はオーハイネ(OHINE)の逆読みである。連載時はルビが振られており、すぐに判るようになっていた。
(2018.02.14 修正)

 

■ ルビコン⇒スコータイ (p45)


旧設定のルビコンに相当するGTMスコータイが登場。ガーランドはストーイ・ワーナー。ナルミが語っていたとおり、ガマッシャーン共和国の供給でロッゾ傘下の傭兵騎士団やハプハミトン騎士団に配備されていたようだ。p9の時点で名前の出ていなかったドレンノ連邦騎士団とガマッシャーンの北部部隊が加わり、GTMヴェランタとグラーマスが戦線に加わったようなので、この2種のいずれかがドレンノ連邦騎士団の制式騎、もう一方がハプハミトン騎士団の制式騎(=供給されていたスコータイの損失を補填するために自国から持ち出した騎体)ということになるだろう。んで、p125においてドレンノ連邦はグラーマスを使用していることから、ハプハミトンの制式騎はヴェランタということになる。グラーマスはツバンツヒの設計らしい。
(2018.02.14 修正)

 

■ 謎の騎士登場 (p51)


戦況の偵察に来た謎の騎士。その正体はこの後すぐに判明するワンダン・ハレー。
単騎で飛び込んで敵を引き離し、攻撃を加えて弱らせてから味方にトドメを刺させる戦法は、カーディナルスがよく使うらしい。一連の流れを見れば判るとおり、個人の星(撃破章)の獲得に拘らない戦法である。カーディナルスとなる時点で既にエース騎士であり、且つ、法と徳を重んじる騎士の集合体であればこそ、敵GTMの撃破に拘らない戦法が生まれるというのはなるほど納得できる。
(2018.02.14 修正)

 

■ 戦果報告 (p52)


機関冷却でバーガ・ハリの全身から水蒸気が出ている中、カーツのパートナーであるプレインスが戦果を読み上げる。
支隊長ナルミのパートナーであるビューリーがホストを務めると思われたが、支隊の在籍期間なども含めてホスト役が決まるのかも知れない。ビューリーは魔導大戦の勃発後にナルミが得たファティマであるため、ツラック隊においては新人ファティマである。
(2016.06.05)

 

■ ツラック隊の支隊長の帽子 (p62)


p35でナルミが見つめていた遺品のうち、ツラック隊のエンブレムが目立つ帽子は前支隊長が被っていた帽子である。
p54の叙勲のシーンでナルミは長帽子を身に付けているようだが、彼女は現在の支隊長でありながら、一般のAP騎士と同じ帽子を被っている。
戦時下で正式に昇進していないこともあるし、帽子を新調する時間も無いということもあるのだろうが・・・彼女自身、代理で支隊を預かっている、という思いがあるのかも知れない。

黄金突撃章はおそらく敵陣に突撃した者に授与される勲章、戦功十字章は後方における戦功を対象とした勲章になるだろう。
この辺は第二次世界大戦中のドイツの勲章と意味合いがおそらく一緒である。
(2016.06.05)

 

■ イェンシング共和国のバーガ・ハリ工場 (p55)


イェンシング共和国の立ち位置を理解していないと、バーガ・ハリが新たに送られてくることの意味が判らなくなってしまう。
ナルミが云っているように、北部ミノグシアの3国・・・枢軸軍による侵攻がほとんど無いために静観できたバトラント共和国、イェンシング共和国、イースト・ハスハ(もしくはイースト・カステポー)は魔導大戦において中立を表明している。中立の立場の国がGTMの増産に力を貸せば、枢軸軍が睨みを利かせることになるが、そういった危険性を超えてなお、ベラ国を助ける動きが広がっていることを意味している。p27のソープの読みが見事に当たったということだろう。
(2016.06.05)

 

■ ツバンツヒ騎のチューニング (p56)


Aカーブ連動の部分が判らなかったので調べてみた。
音響機器のボリューム制御などで、可変抵抗器の操作量に対して抵抗値の変化を表している出力カーブの形状をAカーブ、Bカーブ、Cカーブなどと呼ぶらしい。Aカーブは対数変化で下向きの弧を描く駆け上がりのカーブ、Cカーブは対数変化で上向きの弧を描く山なりのカーブ、Bカーブは比例変化(直線変化)で直線に近いカーブを指す。GTMのツインスイングの出力カーブに例えるなら、Aカーブは細かい動作については出力を極力抑え、攻撃を加える瞬間に最大出力を得るような設定ということになる。攻守・緩急の差をよく理解し、力の入れどころを身体で覚えた騎士でなければ、このような設定は合わないはず。ツバンツヒが搭乗するGTMのスイングをAカーブ連動にしたソープは、それだけ彼女の腕前を事前に読み取っていたことになる。

この後のデコースとニナリスの会話で出てくるデムザンバラは、Aカーブをさらに極限まで突き詰めて、最大出力のピークをごく細い状態まで絞り込んだ設定になっていたらしい。つまり、最大出力を得られるエンジンの励起状態(車のエンジンであれば回転数)の幅がごく僅かしかないことを示している。端的に云えば、無駄な動きを一切排除した、一撃必殺の戦法に特化した騎体ということになるだろう。
(2016.06.05)

 

■ ソープの経歴について (p56)


伝説のGTMスライダーと謳われるレディオス・ソープの名は、星団暦2700年代に起こったダマ分裂戦争で初めて登場したらしい。時期的に見て、天照がクローム・バランシェと出会ってから数十年を経ている頃・・・おそらく、バランシェ邸に入り浸っていた時代に当たると思われる。デビューしたバランシェ・ファティマの様子を窺う目的で戦場に向かったのかも知れない。

それにしても、バストーニュの一件をツバンツヒが知り得ているのであれば、やはりソープの助手ファナの正体がラキシスであることに気付いても良さそうなもんである。まあ、気付いたとしても、ラキシスが天照のパートナーであることは伏せられているので、そこからソープの正体に気付くことはできないか・・・。よく知らない相手に恋するっつーのもなかなか難儀そうですな。
(2016.06.05)

 

■ ボスやんのいる場所 (p58)


久しぶりにボスやん登場。フ・リエとル・ゾラがボルテッツの能力を解放しているように見えるが・・・案外、この場所(もしかしたら宇宙船)を隠すために能力を駆使しているのかも知れない。

枢軸軍に対抗する力を付けたベラ国の状況を受け、大軍による攻勢を思案するデコースとボスやん。
これを受け、この後でベラ国に多くの騎士が集まって来ることになる。
(2016.06.05)

 

■ エストが復帰しとる (p62)


エストがいつの間にか復帰しとる。えー・・・ハイトだけ置き去りか。もしかしてデザインズ5に書かれていた孤児院の運営者ってハイトになるのか。

デコースがエストに贈ったのは、断片的に見えるロゴからエルメス(Hermes)のペンダントヘッドであることが判る。エストの瞳の色と合わせたのであれば、おそらくエメラルドのペンダントヘッドだろう。何とも粋なことをするデコースが心憎い。永野センセーが地味に書き込んでいる「ましょーの女」というツッコミが笑える。
(2016.06.05)

 

■ ヒトの心に触れるということ (p67)


難民の子供の訴えを聞いてショックを受けるツバンツヒ。シオの門番でもある彼女はこれまでの長い人生の中で多くのヒトと関わりを持ってきた。が、その相手の多くは国を動かす権力者であったはず。また、ユーゴ・マウザーを始めとして、彼女の身の周りにいる者は全て不老不死の肉体をもつ異形の人間であった。彼女は、権力を持たず、戦う力・抗う力を持たない非力な一般人の声に直接触れることが無かった訳である。
クラーケンベールが11巻で云っていた「わくわくしながらこの戦を見ている者」という捉え方は安全圏にいるヒトたちの話であって、魔導大戦により国を追われた民、命を落とした民は数多くいる。この点を無視して戦乱をゲームのように考えるバッハトマやメヨーヨはやはり非道であるし、戦乱の歴史を俯瞰して見てきたツバンツヒもまた、ヒトの心を理解しないまま生きてきた存在ということになる。人智を超える存在として世界に介入してきた経緯があるからこそ、ヒトの心に対して鈍感となってしまったのかも知れないが・・・騎士が命のやり取りをする世界と、子供が「仇を討ってくれ」と懇願する世界は、常に隣り合わせである。ツバンツヒはこのことを初めて理解したのだろう。

この一連のシーン・・・実にいいシーンですね。ツバンツヒという人間がぐっと掘り下げられました。ラキシスの表情も満点という感じです。さっすがヒロイン。
(でも、映画GTMで超然とした立ち振る舞いのツバンツヒを見ておかないと、ちょっと感動が薄いかも)
(2016.06.15)

 

■ コーラス勢のふたり (p69)


セイレイとマロリーがベラ国に来た目的はアルルだった模様。
AP騎士に見つかるとヤバイ、というのは、いくら傭兵騎士が集まっているとは云え、おいそれと他国の騎士がウロウロしていい場所ではないため。見つかれば職務質問は必至である。また、コミックでは判りにくいがジュノー出身の人間は比較的肌が黒いので、もし面と向かって話せばセイレイがジュノーの騎士であることはすぐバレてしまう可能性がある。コーラス勢がアルルを狙っていることは星団中に報道されているので、例えセイレイ本人であることに気付かれなくても、ジュノーの騎士であると気付かれることは避けなければならない、ということ。セイレイの周りにお供の騎士がいないのも、その辺を考慮した隠密行動ということになる。おそらく配下の騎士はボーレン市以外の場所で偵察任務を行っているのだろう。

セイレイの思いつめた表情を見て、マロリーは何かしら思うところがあったようだ。このことがこの後の行動につながる。
(2016.06.15)

 

■ フロート・テンプルも刷新されとる (p72)


フロート・テンプルも新デザインで登場。以前の設定では全長6.9kmであったが、増改築もあって10.6kmに拡大されたようだ。島の下半分は完全新規のデザインである。
p71に登場した中古のスキッパー。・・・誰が乗ってたのか気になりますね。
(2016.06.15)

 

■ サリオンとログナーと (p74)


元老院のメンバーは「お付きも連れず」と口にしているので、コミック6巻で起きたような天照の負傷(実際には一度死んだ訳だが)と、その後の混乱を気にしているようだ。読者からすれば、天照の負傷より、フロート・テンプルの「フタ」が開いて魔王がやって来る方がよっぽど問題である。まあ、あれはラキシスが単独でいたことも原因のひとつであった訳で、今回のようにふたり一緒であれば安全と云えなくもない。
サリオンとログナーの会話を見る限り、ふたりともラキシスが天照といる分にはとりあえず問題ない、ということを互いに知り得ているようだ。ログナーは知っているのにあえてサリオンにカマをかけ、その回答が「(わざわざそれを僕の口から)言わせるか?」という返答なので、「それはお前の方がよく知っていることだろう」という意味に受け取れる。んが、フロート・テンプルが登場したページで「近いうちにだれかのせいでまたへし折れる」と書いてあり、このオチは本巻のラストで描かれることになる。ちなみに、前回へし折ったのはログナーである。
(2016.06.15)

 

■ ムンスターで待機中 (p75)


ムンスターで待機中のアイシャの下を訪れたセイレイとマロリー。コミック13巻のラストでは、ベラ国の国境沿いの混乱で飛行場も閉鎖されそうになっていたはず。p65の会話で、前回の戦闘から3ヶ月が経過していたことになっているため、国境周辺の行き来も比較的楽になっていることが窺える。と云うか、セイレイとマロリーは何に乗って移動しているんだ。ハイレオンはどこに置いているのか。

ミラージュ勢の服装と髪型が変わっていて判りにくい。バイザーを付けているのはもちろんキュキィ。アグライアは7巻以来の再登場。アイシャの後ろにいるのは・・・配下の忍者だろうか。

セイレイ配下のコーラス軍を使わず、ミラージュ騎士団を動かそうとするマロリーの企みやいかに。アルル捕縛という大義名分があっても、ラーンにいる限りコーラス軍は手を出せない。ミラージュ騎士団は今回の戦乱に対して明確な表明を打ち出していないので、ミノグシアと枢軸軍の双方に対して接近することは可能となるかも知れないが・・・。天照家とラーン教導学院は過去に対立していた歴史があるし、A.K.D.とコーラスが友好国であることは星団に知れ渡っているので、この両者が一緒に動けば「すわアルル狙いで攻めてきた」と受け取られかねない。それとも、ミラージュの隠密性を充てにしているのか。・・・と思ったが、単純にコーラス軍だけでは人手が足りないと判断したのだろう。この時点でセイレイとマロリーは大戦になることを予測していたことになる。
(2018.02.14 修正)

 

■ ツバンツヒの活躍 (p78)


ガーランドの知識と騎士の身体能力を活かして料理と家事に精を出すツバンツヒ。やっていることが微妙に花嫁修業になっとる。
ダルカレーはレンズ豆を用いて作るカレーのこと。インドでは皮を剥いてひき割りにした豆をダル(dal)と呼ぶ。
ココナッツチャパティはココナッツの粉を用いて作ったチャパティ。通常のチャパティは全粒粉と水を捏ねて生地を作り、発酵させずに薄い円形にして焼いて作る。インド、アフガニスタン、パキスタン、バングラデシュなどで食されるパンの一種である。
モモはチベットやネパールで作られる料理。小麦粉で作った薄い皮で肉や野菜などの具を包み、煮たり蒸したりして作る。餃子、小籠包、焼売などに似る。

ソープが云っている88mm戦車砲は、第二次世界大戦当時に最高の火力を誇った戦車砲である。タイガー戦車に搭載されたKwK 36 L/51、 キングタイガーに搭載されたKwK 43 L/71がこれに当たる。タイガー戦車の主砲の威力を水鉄砲レベルまで落とすというのは、おそらくほぼ無理な話である。
(2016.06.15)

 

■ 下級騎士の生計について (p80)


連行された人物が騎士であることを確認した上で、その人物の素性・職業について候補を上げるナルミ。彼女のセリフから、騎士団に雇われない下級騎士がどのように生計を立てているかが窺える。
忍者は軍組織のひとつであり、バッハトマの忍者軍を見れば判るとおり、潜入、追跡、工作と様々な形で作戦行動に参加する。彼らは軍属として給与も得ており、比較的安定して賃金を得ているはずである。が・・・騎士団に所属している騎士と比べれば能力は低く、対騎士戦闘で命を落とす者も多いと思われる。
戦場レポーターは民間の報道機関に雇われているものと考えられるが・・・そういった需要が常にあるとも思えない。コミック11巻で「放送局の解析ファティマ」という単語も見られたが、民間の報道機関が単独でファティマを管理・運用することは難しいはず。稼ぎの少ないフリーの騎士がファティマ付きのアルバイトとして雇われているのではないだろうか。
GTMのパーツやファティマを売りさばくブローカーは、要するに戦場に出没する追い剥ぎである。コミック4巻で描かれたとおり、カステポー周辺は騎士同士の「手合い」が横行しており、擱座したGTMを狙うバイヤーも多いようだ。騎士であれば一般市民より安全に戦場で活動できるが、安定した生活ができるとも思えない。
この他に、一般市民に迷惑を掛けるチンピラ騎士、それを取り締まる騎士警察(ナイトポリス)などが劇中に登場している。
総じて見ると、一般人と比べて身体能力が高く、それを活かした職種は少なからず存在するものの、社会的地位は微妙というところである。

騎士という立場を完全に捨て、他分野で成功して悠々自適に暮らしている騎士もいるはずであるが・・・ワンダン・ハレーの風貌や、傭兵騎士であった頃のブラフォードを見ていると、まともな騎士団に入れない騎士の多くは、往々にして経済水準が低い生活に身を落とすことになるようだ。それだけ騎士に対するヤッカミが多いということかも知れない。
(2016.08.20)

 

■ まだバレていない? (p81)


パートナーの正体がオーハイネであることを、まだ隠しているつもりになっているツバンツヒ。
ラキシスとソープがその正体に気付きつつも、あえて本人にツッコンでいないことが判る。
まあ、ソープたちも自分たちの正体を隠している訳で、お互い様ということだろう。

父親であるはずのモラードを指し置いて、ビルドを引っ張って来るミース。・・・どんだけくっつけたいんだ。お見合いおばさんか。
モラードはバランシェ邸に残っているのか、エストをメンテナンスした後にビルドだけ置いて行ったのか、この辺も微妙に気になる。
(2016.08.20)

 

■ 騎士の素性確認について (p82)


ミースがツラック隊の基地に到着するまで、ワンダン・ハレーの本人確認ができていなかったらしい。
うーん・・・騎士公社に問い合わせたり、DNA鑑定で身元の確認をしたり、ジョーカー星団ならではの技術力でそういった対応はできないのだろうか。ミラージュ左翼が記録上は既に末梢されているように、騎士の個人情報はあまり正確な形で残されていないのかも知れない。あるいは、いくらでも偽装可能なのか。
(2016.08.20)

 

■ バーガ・ハリ・SQ (p83)


バーガ・ハリ・SQのデザイン画は以前から公開されていたので、アルル率いるスクリティ隊の活躍が見れると思ったら・・・まさかのコミック9巻エピソードの焼き直し。
まあ、炎のカイゼリンも登場したので素直に喜びましょう。
装甲色を真紅に染めて全身から炎を噴き出した状態のGTMディー・カイゼリン。エネルギーのバックロードができず、余剰エネルギーを全て噴き出している状態であるため、この時のカイゼリンは意外と整備不良の状態であった可能性がある。

バーガ・ハリ・SQの両腕のフライヤーの形状が爆発反応装甲のようにも見える。これも特殊な機能を持っているのかも。
というか、スクリティはアチコチ特殊仕様だから、全身のデザインが見たいですねー。

若い頃のハレーの制服の襟もとに見えるマークがエンブリヨ隊の支隊マークだろう。
それにしても・・・ハレーさん、エンブリヨ隊のエースで大隊長だったのね。
(2016.08.20)

 

■ ナルミのパートナーについて (p86)


ナルミが魔導大戦の初戦で失ったというパートナー。
p87においてナルミが話しているセリフに被せる形で、ずっと一組のパンプスを追って描いていることに気付けるはず(コマ割りをカメラに例えるなら一組のパンプスをフォローしている)。・・・おそらく、この靴はナルミのパートナーであったファティマが履いていたものだろう。中敷きのマークを見る限り、シャネルの靴であるようだ。
(2016.08.20)

 

■ 逆告白 (p91)


ファティマからではなく、騎士からファティマに対してパートナーになることを願い出たワンダン・ハレー。FSS連載史上初の騎士側からの告白(?)である。
あー・・・違うのか。メガエラ、エスト、町が「どうか私を」と云って相手側(騎士)からパートナーに選んでもらうパターンがあったから忘れがちだが・・・本来はお披露目で騎士たちが自分をアピールして、ファティマがマスターになる騎士を指名する流れでしたっけ。・・・あれ?実はまともなお披露目って連載史上一度も描かれたことが無いのでは?

とにもかくにも、AP騎士団に復帰したワンダン・ハレー。
以前の設定では、ドーチュー隊の支隊長となるはずであったが・・・ベラ国攻防戦の後で、スバース市に召喚されることになるのだろうか。

周りの「ドラマ」に当てられてどんどん感化されていくツバンツヒ・・・は、まあ置いておくとして。
ミースまでもがツラック隊に籍を置くことになった模様。この後、ミースとアウクソーは再びバッハトマに捉えられ(?)、3075年の解放戦でデプレおよびマキシによって助けられることになる。
んーまだまだ間に入るエピソードが山盛りですね。
(2016.08.21)

 

■ アウクソーはもう治らない (p94)


ソープのセリフを読めば判るとおり、ファティマ・アウクソーであるからこそ、現在の状態から復帰する見込みは皆無であるようだ。
それもそのはず。アウクソーはカイエンに合わせた唯一無二のファティマであり、カイエン以外の騎士をマスターとすることを想定していない。
このようなファティマは、旧設定でコンプリート・ファティマと呼ばれていた。
この点、後の考察でまとめます。
(2016.08.30)

 

■ カイエンの暴走 (p96)


星団暦2946年のエピソード。デザインズ4に掲載されていたカイエンの暴走およびアウクソーの勘当に関わる詳細が語られる。
コミック7巻p135でチラっと出ていた、カイエンが両腕を落とされているシーンの詳細でもある。

ちなみに、この時代までのカイエンの来歴を振り返ってみると・・・
2672年に誕生。
2755年に剣聖としてデビュー。
2780年に詩女ジキジディーにより封印。
2810年に詩女ボルサにより封印解除。
2869年に行方不明になっていたようだ。

おそらく、であるが・・・自身の出生の秘密を知ったことで自暴自棄になり、2869年にAP騎士団を飛び出したのだろう。
とは云え、バランシェの元に殴り込みを掛けたのは2946年。70年以上もの間、カイエンはどこで何をやっていたのだろうか。
これまでに公開されている情報から察するに、カイエンの自殺、というエピソードが間に入ると思われる。

時系列を整理・予想すると・・・
クーンが母親であることを知り、AP騎士団から出奔。ヤケクソで自殺。おそらく服毒。
その超人的な体質故に死ぬことができず、昏睡状態で数十年経過。
カイエンの自殺を見たクーンが、カイエンと別れることを決意。おそらく、自らの分身でカイエンをサポートするファティマ(=アウクソー)の製作をバランシェに依頼。
(カイエンを身籠っていた期間に超帝國剣聖の遺伝情報の一部がクーンにバックロード⇒その情報を用いてアウクソー製作)
カイエン覚醒。死ねなかった自分を呪いつつ、バランシェ邸にヤケクソの殴り込み。
育成途中のアウクソーを会わせるつもりでカプセルから出してみたら、いきなりバトルが始まった。
というのが今回のエピソードの背景になるだろうか。

コミック6巻のラキシスとカイエンの会話では、カイエンがバランシェ邸を何度も襲撃していたことが語られていた。よって、今回のエピソード以前に同じような戦闘が発生していた可能性はあるが・・・この後の会話を読む限り、そんなに何度も来ていたような雰囲気は窺えない。ふーむ。実際のところどうなんだろ。

デザインズ4の設定によると、カイエンはこの後で詩女ボルサにクーンを預け、アウクソーを伴ってミラージュ騎士団のエースになったようだ。
んが、デザインズ4の設定には一部矛盾があり、ボルサの退位はこのエピソード以前の2918年となっている。p110でもクーンが会いに行くのは詩女フンフトとされているが、2916年に詩女ボルサがクーンをセントリー・マグマに預けたという設定もあるようだ。ちょっとアチコチ辻褄が合わない感じですね。
この後、2955年にはミマスによってカイエンとマドラが引き合わされ、カイエンは全力でスカートをめくる行動に出ることになる。
クーンがいろいろ悩んで眠っているというのに・・・カイエンはアホの極みである。

センセーの絵柄が結構変わっていて、カイエンが初登場時より老けて見えたり、バランシェが6巻p101の時点より若く見えるけど・・・その辺は気にしない。
あと、クーンが普通にしゃべっているけど気にしない。ニューのパートナーとして復活したときにカタカナ・トークになっていたけど気にしない。カイエンと別れたことで何かダメージでもあったのか。きっと、セントリー・マグマのところで寝過ぎて、若干ボケちゃんたんだよ。
(2016.08.30)

 

■ カイエンvsリンス (p97)


リンスが所持しているガット・ブロウは、ミラージュ騎士団の「血の十字架」。使用する際に鍔を広げるのではなく、逆に閉じるのね。
カイエンが手にしているのは懐園剣の雌剣。魔導大戦においてはアウクソーが所有者となっている。

リンスが最初に繰り出した技はミラー含む16分身からの16本リング・スライサー。剣聖剣技ダブル・ヘクサグラムの亜種である。が、リンスは技を出す瞬間に本体を消している。
カイエンの腕を落とした技は、旧設定でカルバリィ・ブレードと呼ばれていた剣技・・・と思われるが、コミック10巻p218とは描写が若干異なる。別の剣技かも知れない。

互いに超高速の戦闘を繰り広げているとは云え・・・カイエンが全く足を使っていないのが気になる。例の如く、本気を出していないのでは。
(2016.08.30)

 

■ 純血の血をもつ唯一の生命体 (p102)


カイエンは超帝國剣聖スキーンズと詩女ヤーン・ダッカスの間にできた子供。この時点で剣聖ナッカンドラ・スバースは死去しているため、超帝國剣聖としては最後のひとりである。
ただし、厳密には今現在においてもヤーン・ダッカスや超帝國剣聖は存命であることが判明している。p102のセリフから、天照は超帝國に関する情報を知り得ていないことが判る。

また、天照のセリフから、詩女であれば剣聖を完全に制御できることが判る。とは云え、自身の手足のように剣聖を使役するという意味ではなく、その暴走を抑えられる、管理下に置ける、という意味ではないだろうか。剣聖の動きを完全に制御できるのであれば、それはすなわち剣聖以上の反応速度をもつ、ということになり、詩女ムグミカがボスヤスフォートに遅れを取る理由が無くなってしまう。
あくまでも、詩女の前にいる限り、超帝國剣聖はその意を反故にすることはない、という意味に受け取るべき。
(2016.08.30)

 

■ アウクソーの「マスター」 (p103)


重傷を負ったカイエンに対してアウクソーが「マスター」と呼んでいる。んが、彼女はこの時点でまだ育成途中であるし、アウクソーの育成が始まってからこの殴り込みまでに、カイエンがバランシェ邸を何度も訪れていたとは考えにくい。
コミック4巻でカイエンがアトロポスに語ったところに拠ると、アウクソーと初めて出会ったのは「狂ったバカ野郎の城」であり、メガエラ、アレクトー、ティスフォーンの目覚める直前であったらしい。メガエラの製作開始は2952年とされているため、若干の矛盾はあるが・・・時期的に見て、カイエンとアウクソーはこの時点でほとんど初対面になるはず。育成途中であることも含めると、この時点で「マスター」と口にする状態はちょっと普通ではない。

おそらく、この戦闘が始まる直前に引き合わせたところ、いきなり「マスター」と呼んだのではないだろうか。意外とカイエンは、アウクソーという自分専用のファティマが作られていたことに対しても腹を立てているのかも知れない。アウクソーが「マスター」と口にしたことでこの戦闘が始まったのであれば、「私がいけないんです」と云っていることにも説明が付くはず。
(2016.08.30)

 

■ バランシェ家の紋章 (p104)


バランシェの首元にあるYの字のような(双葉のような)紋章は、p38に出ていたミース発行の文書に記されていた紋章に似ている。ルミナス学園の校章にも双葉のマークが見られることから、双葉のマークはフェイツ公国もしくはバランス家の紋章に共通するモチーフであることが窺える。

バランシェは捨て台詞を残して城に戻ったが、おそらくこの後でチャーティ・ウッドさんに小言を云われるはず。「面倒事は外でお願いしまずぞ!」みたいな感じで。
(2016.08.30)

 

■ アウクソーの「完成」 (p104)


アウクソーはなぜ「完成したもの」としてバランシェに勘当されたのか。この点をコンプリート・ファティマであることを踏まえて考えてみる。

旧設定において、アウクソーはコンプリート・ファティマとされていた。コンプリート(complete)とは「完璧な」とか「完成した」の意。特定の個人のために製作(再構成含む)もしくは調整されたファティマである。アウクソーの他には、ディモス・ハイアラキのクーン(完成後に再調整?)と、F.U.ログナーのイエッタがコンプリート・ファティマとされていた。
クーンに関しては、もともとハイアラキ専用のファティマではなく、ハイアラキが引退した後はカイエンをマスターとしていたため、おそらく数回の再調整を施したものと思われる。

んで、ログナーが死亡した後、天照がもっとも気にしていたことは、イエッタが新生したログナーをマスターとして認めるか否か、であったらしい。
コンプリート・ファティマとして調整されていたとしても、それが果たして作り手の思惑通りに行くかどうかは「なってみなければ判らない」ということだろう。

今回のエピソードにおいて、アウクソーは「唯一のマスターが死にそう」という状況に直面し、父親たるバランシェとアーク・マスターたる天照に「逆らった」。カイエンを殺すのであれば、自分も殺してくれと「願った」。自分のマスターはカイエンしか在り得ないということを宣言してみせたことになる。
上記の表現に照らし合わせるならば、「なってみなければ判らない」状況に追い込まれ、予想していた反応を「示して見せた」という見方もできるだろう。
だからこそ、バランシェは「完成した」と解釈したのではないだろうか。

あるいは、バランシェは常にファティマの領分を越える作品を残そうと考えており、通常のファティマには起こり得ないはずの「反抗」を見て、ファティマの領分を「越えた」と見なしたのかも知れない。最初から「思い通りにいかない作品」を目指し、「思い通りにいかない結果」を見て、「んじゃオッケー。もう知らん」とばかりに突き放そうとする・・・なんつーか、ホントに捻くれてるヒトなんだなぁ。

結局、この後でアウクソーは天照に引き取られ、とくに新たな調整を施すことなく、成人するまで見守られていたようだ。
んで・・・成人した後に見せられたのが、カイエン本気モードのスカートめくりかと思うと、アウクソーはホントに不憫でならん。

ものすごーく曲解するのであれば・・・カイエンは最初から自らの命を捨てるつもりでバランシェ邸に乗り込み、本気を出さないままリンスの手に掛かって殺されようとしていたのかも知れない(自殺するような奴だし)。んで、アウクソーが涙ながらに自分を庇ったのを見て、少なくとも自ら命を投げ出すような生き方はするまいと思った。だからこそ、マドラ戦ではちゃんと本気を出して戦い、さらにスカートめくりというアホな態度をして見せてまで、アウクソーに「自殺するつもりはサラサラないよー」というアピールをしたかったのかも知れない。考え過ぎか。
(2016.08.30)

 

■ 一本の髪へと姿を変えるリンス (p105)


天照に戻るよう指示されて、一本の髪の毛に姿を変えるリンス。
リンスの正体は天照の髪の毛であった、というよりは、髪一本からでも人体を組成できてしまう驚異的な神通力を表しているのだろう。おそらく、髪の毛で無くとも爪の欠片や血液一滴からでもリンスを顕現させることは可能と思われる。天照がその気になれば、リンスを複数同時に顕現させることすら可能なのかも知れない。

さてさて、一連の会話を読み解く限り、ミースはアウクソーがコンプリート・ファティマであることを知らないか、あるいは、知っていてもその特性を完全には理解していないと考えてよいだろう。
カイエン本人にパートナーの解消を宣言された以上、アウクソーの機能不全は完治しない。そのことは既にコミック11巻p18でも宣言されている。ホントに不憫ですね。
(2016.09.02)

 

■ ナッカンドラの血筋に変更あり (p109)


ナッカンドラ・スバースから続く血筋が旧設定から変更されている。ティティンシャの子供は、長男クリュ、次男ラシャ、長女慧茄の三兄弟であったが、クリュとラシャが女性に変更されて三姉妹となった。この設定でいくと、クリュ・バスコがヘリデ・サヤステの娘ヌーノ・ユーゾッタを娶ったという設定と矛盾が生じる。まあ、ヌーノを男性に置き換えると一応辻褄が合うか。あとで辞書ページにまとめます。

それから、天照のセリフで「現フィルモア皇帝」とあるが、これはおそらく「皇后」の間違い。
フィルモア皇帝でナッカンドラの血筋に当たる人物は、慧茄の孫に当たるフィルモア5世であるため、会話をしている星団暦2946年の時点で皇帝ではない。
また、ナッカンドラの血筋で「ルース王」というのも、ちょっと表現としては怪しい。アラド・バスコを妻として娶った人物はジェスター・ルースであるが、長男のウゴードは王政を廃止して共和制に移行したため、ナッカンドラの血筋でルース家の子孫となるウゴードやミッションは、決して王族とはならないはず。天照が同家の当主に敬称として「王」を付けているのかも知れないが、ここは正確に「大統領」と呼ぶべき。

いろいろ混乱しますね。というか、ホントにこれでいいのか。
(2018.02.14 修正)

 

■ ずっとひとり・・・ではない (p110)


天照が「ずっとひとり」と口にしている。
一応、以前は奥さんがいた訳だし、この時点ではまだリトラの霊とお別れしていないはずなんだけどね。
まあそれでも、リトラが亡くなってから800年は経っている訳で。独り身の方がずっと長いことに違いはないか。

この時点まで一緒に生きていく相手がいなかった天照ではあるが、40年ぐらい後にはそれを望んだラキシスが出現する。
ついでに云うと、現在ツラック隊にお邪魔しているソープの傍には不老不死のツバンツヒが居て、この後でスーパー・ヒューマンのタワーも生まれてくる。
56億7千万年先の未来まで付き合ってくれる仲間が少しずつ増えてきていることになる。
そう考えると、この天照のセリフは実に意味深というか、ナイスなフラグ立てといか、そんな感じである。地味に重要なエピソードですね。
(2016.09.19)

 

■ クーンの製作とカイエンの誕生について (p110)


クーンはカイエンを生み出すために作られたらしい。
んが、コミック9巻のエピソードでは、星団暦2997年より遡ること350年前、つまり2640年前後にバランシェが後にカイエンとなる受精卵を預かったことになっていた。
そもそも、バランシェがセントリーの下を訪問したのは、天照の正体を見極めようとしたことが発端となっていたはず。バランシェが天照と出会ったのはクーンの完成後であるため、それ以前に受精卵を入手していたことにはならない。クーンの完成が2629年であることから考えても、カイエンを生みだすために作られたというのは些か語弊があるような。まあ、一度完成したクーンを再構成したと考えればいいだろうか。
天照のセリフによると、クーンの身体にはセントリーの因子が含まれており、それ故にダムゲートシステムを組み込まなかったらしい。
技術的に組み込めなかったのか、組み込む必要が無かったのか・・・どっちだろう。

劇中で度々登場していた霊体(?)のクーンは、彼女が休眠中に飛ばしていた意識体ではなく、セントリー・ライブによって分けられた「本体とは別の何か」であったようだ。
あーなるほど。ファティマのスペックを超える部分を分けたから、ファティマ・クーンの方はカタカナ・トークに戻ったのね。納得。
ということは、今後もカステポー周辺で霊体のクーンが出現する可能性があるということか。
(2016.09.19)

 

■ 生んでくれてアリガトー (p112)


カイエンがクーンに向かって「この世に出してくれて」というシーン。
やー・・・これ、個人的にずっと見たかったやつだ。うれしいです。こういうところがあるからカイエンは憎めない。クーンが自分の生みの親であることを知った。聖宮ラーンに行けばこれまでのクーンとはお別れ。だからこそ、母としての意識をもつクーンにちゃんとお礼を云う。・・・刹那的に生きているからこそ、今伝えるべきことをちゃんと伝えるという姿勢が見え隠れしますね。

セントリー・ライブによるクーンの分割について。
「超常の力を受け継いだクーン」と「通常のファティマとしてのクーン」に分けた・・・というよりも、「母としてのクーン」と「騎士のパートナーとしてのクーン」に分けた・・・という受け取り方がよいのかなと。ニューのパートナーとして復活したクーンには、今回のエピソードで垣間見せるような母性らしさが感じられない。通常のファティマには起こり得ない「子を産む」という経験と、それに纏わる意識・心情の変化が切り離されたのではないだろうか。
とすれば、カイエンの遺伝子上の母=ダッカス、生んでくれた母=霊体のクーン、精神上の母=女皇帝の記憶を受け継ぐ詩女たち、という感じで、カイエンの母に位置する存在はみな不滅の存在となり、カステポー周辺に集まっている状況であることに気付く。
さらに話を膨らませると、剣聖マキシについても、受胎時の母=アウクソー、出産時の母=ミース、育ての母=フンフトといった具合に、複数の母親が存在する格好となっている。これがつまり、ファーンドームの星王が云うところの「母と母であった方々=マザース」である。

この辺から察するに、そういった母性の連鎖のようなテーマが、マキシ誕生までに綴られる話になるのかなと。だからこそ、天照はこの後のp117で「アウクソーにマキシ(純血の騎士のマスター)が必要になる」という表現を使わずに、「マキシにアウクソー(母親としての存在)が必要になるかも知れない」と表現したのかも。
まあ何にしても、カイエンとクーンの話、それを生みだしたバランシェの話は、これからマキシを産もうとしているミースにとってよい試金石になったのではないだろうか。単に惚れた男(カイエン)の子を産むということではない。アウクソーの子でもあり、超帝國剣聖でもあり、母性の連鎖の果てに生み出される究極の騎士でもあるマキシという存在の重み・・・ミースはそのことを知っておく必要があった訳だ。
このマキシという存在がさらにタイカのエピソードまでつながっていくことを考えると・・・永野センセーがFSSでやろうとしていることって結構すごいような気がする。
マキシの漢字表記が「蒔子」となるはずなんだけど、これが「種を蒔く」という意味を最初から込めていたのだとすれば、マジでちょっと凄すぎる。何年越しの伏線になるのやら。
(2016.09.19)

 

■ 天照は突然やってきた (p112)


アウクソーのセリフで、天照はバランシェを守るために突然テレポートしてきたことが判る。
なるほど。天照が着ている衣装は天照家乙種2等正装である。こんな格好でバランシェ家に出入りしているのは確かに違和感がある。おそらく、玉座にでも座っていたところ(もしかしたら公務中)にバランシェの危機を察知していきなりテレポートしてきたのだろう。この頃はまだ浮遊城ができていないので、天照の云う「城」とは天照家本殿内宮の中のどこかである。
(2016.09.19)

 

■ ○○様 (p113)


アウクソーの「お願い」の話を聞いて不思議がる天照。
FSSは神そのもが登場する世界観であるため、劇中には宗教や信仰というものは存在しない。
信仰の無い世界であるにも関わらず、アウクソーは何者かに願いを捧げていた。
だからこそ、天照は驚いているのである。育成中のファティマが知るはずのない「信仰」という行為自体に。

振り返ってみると、コミック6巻で描かれた「五つの星の物語」に登場する王女は、この世のモノではない何かに大切なお願いをしていた。つまり信仰を文化として持っていた。
一方、天照がアウクソーに語ったことに拠ると、それが行われていたのはモンソロン帝よりはるかな昔とのこと。星団史で云うところのモナーク紀以前である。
「五つの星の物語」はカラミティ・ゴーダース星団皇帝の母親であるアイエッタ姫のことを語っているらしいので、この時代において信仰があったという設定はきっちり辻褄が合っている。

ついでに云うと、FSSにおいて「信仰」を描いているシーンはもうふたつある。
シルビスが祈祷により天照大神を呼びだしたシーンと、モンドの許嫁が命を捧げるシーンである。彼女たちが口にしていたのは「神」あるいは「神様」、「安息の日」もしくは「安息の日々を」というキーワードである。普通に考えて、天照がアウクソーに教えた言葉は、彼女たちが口にしていた言葉ということになるだろう。

それにしても・・・シルビスの願いによりタイカに出現することになるのはカレンとマキシ。そのマキシの受胎時の母がアウクソー。そのアウクソーが「信仰」をもつというこの状況。
いろいろつながっているような。そうでも無いような。
(2016.09.19)

 

■ バーガ・ハリ・BS-R (p120)


ワンダン・ハレーに与えられたGTMは、ヤーボがかつて使用していた真紅のバーガ・ハリ・BS-Rであった。・・・つっても、コーラス・ハグーダ戦やその後の模擬戦で使用していた騎体は真紅では無かったはずで、この騎体色は後付けの設定である。

ソープのセリフに拠ると、BS-Rにはホルダ31と同型のエンジン(HL630)が搭載されているらしい。
一瞬、設定が公開されていないホルダ25型(騎体番号7011に相当する騎体でマール・クルップが関与したらしいGTM)なのかな?とも思ったが・・・現行モデルのエンジンを搭載しているのであればおそらく違うだろう。フィルモアからエンジンを提供されたのであれば、慧茄が聖宮ラーンからフィルモアに移った際に何らかのやり取りがあったと考えるべき。
後頭部の意匠がヘアードの神官服の冠にちょっと似ている感じもするデザインである。

騎体名はコブラであるが、頭部・肩部に刻まれている模様は詩女の白蛇である。このことから、詩女の側近となる騎士が使用していた過去があるのかも知れない。慧茄がラーンに籍を置いていた時代に搭乗していたGTMとか。ヤーボがカイゼリンの装甲色を真紅にしていたのは、この騎体色が半ばパーソナルカラーとして定着していたためだろう。
(2016.09.19)

 

■ バッハトマ大攻勢 (p124)


ボスやんとデコースが話していたバッハトマの大攻勢が開始される。ベラ国攻防戦のクライマックスである。

アシリア・スーツを用いたフルレンジ索敵はギャザーもしくはギャザリングと呼ばれるようだ。ギャザー(gather)とは「集める」とか「かき集める」の意。リンク可能なあらゆるネットワークに介入して必要なデータを収集するらしい。
フルレンジ索敵のシーンでモーグの後ろに控えている車輌はおそらく通信を中継している中継車だろう。

戦力配置図の内容から集結した各騎士団の部隊編成が読み取れる。
ヴーグラ騎士団とドレンノ連邦騎士団は3騎を1小隊とするケッテ編成。ガマッシャーン軍も集団の前半分はケッテ編成である。
ガマッシャーン軍の後半分は4騎編成。おそらく、前半分が疲れたら交代するものと思われる。
ハプハミトン騎士団もケッテ編成であるが、陣形は横一列になっているようだ。
バッハトマは2騎を1小隊(もしくは1分隊)とするロッテ編成。これはフィルモア帝国と一緒である。
ウモス軍は12騎(たぶん中隊相当)を三角形に並べた陣形・・・戦国時代に用いられた八陣で云うところの魚鱗の型になっている。

第二次世界大戦における戦闘機の編隊飛行では、先にケッテ編成が主流となっており、戦中を通してロッテ編成⇒ロッテ×2個のシュバルムへと主流が変わっていった。
新興国家のバッハトマと、合理性を突き詰めるフィルモアが、それぞれ(歴史的に新しい)ロッテ編成を採用しているところが興味深い。

編成マークとして掲載されているアイコンは北大西洋条約機構において使用されている兵科記号と合わせてあるようだ。
検索するとすぐに出てくるので参考にされたし。
GTM集団の部隊規模表示を見ると、ロッゾ軍とガマッシャーン軍は「XX」で師団規模、ウモス軍は「XXX」で軍団規模、ドレンノ連邦とハプハミトンは「III」で連隊規模、バッハトマ軍は「II」で大隊規模、となる。
劇中でハレーが気にしているように、バッハトマの投入騎数が少ないのが気になる。
(2016.12.11 追記)

 

■ ソープだけが気付けること (p126)


ツラック隊のファティマがフルレンジ索敵を掛けているのに対し、枢軸軍がカウンターを張らないのは、圧倒的戦力をツラック隊に見せつけるため。
もうひとつ。ソープのセリフから察するに、カウンターを張った途端に個体識別が可能なスーパー・ファティマが来ているため、であろう。
ロッゾの方は情報特化型のマドリガル・オペレッタ。ガマッシャーンの方は令令謝である。
この時点で枢軸軍の意図を読み取れるのはおそらくソープだけ。バランシェ・ファティマの個体特性と能力をよく理解している彼だけの芸当である。

設定上、マドリガル・オペレッタはしばらくマスターを得ておらず、シアン夫人がお針子として手元に置いていたことになっていたはず。
そのマドリガルが戦場に来ていることにソープは気付いた・・・つまり、彼女がスドール騎士団長に娶られてロッゾに籍を移したことを事前に知り得ていたことになる。こういった最新情報の取得こそが、天照のすごいところ(というか、彼が指揮下に置いている天照家典星舎のすごいところ)ということになるだろう。
(2016.11.28)

 

■ 騎士の博覧会〜ロッゾ (p126)


ロッゾ軍はヴーグラ騎士団の本隊が登場。マドリガルが4軍(今回登場した第1〜第4集団)のアークホストを務めるということは、グレースが本攻勢の総指揮官として動くということか。
んで、ロッゾ総騎士団長のダックナードが出陣すると「ウモスの立場がない」とのこと。今回、総騎士団長クラスが出張っているのはウモス軍(とガマッシャーン軍)になるため、それを慮ってダックナードは出陣しないようだ。
ついでに云うと、ロッゾは魔導大戦の序盤でアチコチ正規軍を出していて、一部は剣聖慧茄によって壊滅させられている。ここで総騎士団長を出すと、ロッゾ陣営が余裕の無い状態に見えてしまうため、まだ出る訳にいかない、という事情もあるのではないだろうか。とは云え、大国ロッゾがヴーグラ騎士団の本隊を出すと云う事は、すなわち「絶対に負けてはならない」という意志の表れである。国家の沽券に関わる出陣となるため、ダックナードは檄を飛ばしている訳である。

ヴーグラ騎士の肩章の模様は山形の1本線。スドールは山形の1本線に菱3つである。おそらく、一般騎士は少将クラスでスドールは上級大将クラスということだろう(菱1つで中将、菱2つで大将)。ダックナードはおそらく元帥もしくは長官扱い。んが、デザインズ3の解説でロッゾの肩章は階級章ではなく騎士団章という設定もあった。
ダックナードの横にいるファティマはネロス。戦場に来ていないのでアラビク・スーツで登場。というか、ロッゾのアシリア・スーツが意外とお洒落でびっくり。
(2016.11.28)

 

■ 騎士の博覧会〜ウモス (p130)


ウモスは総騎士団長のベルミ・クローゼが参戦。彼のセリフから、これまでに描かれた「ブローカーが絡むウモスの怪しい動き」は、全て難民対策であったことが判る。
AP騎士団ダンダグラーダを懐柔したのは、公宙域のブローカーの活動に目をつむるよう打診したということだろう。
難民の流出は各国の受け入れ問題につながるため、これを積極的且つ秘密裏にブローカーに流すことで、他国の負担を肩代わりして貸しを作ろうとしていると。ただし、ブローカーによって流された難民の一部は最終的にウモス傘下の植民星で労働力として使われる訳で、自国の利益も大いに確保していることになる。ブーレイ傭兵騎士団を使うことが無くなることに安堵を匂わせていることから、彼自身も望んでブローカーを使っている訳ではないことが判るが・・・一般的な道徳観ではあまり褒められた思考ではないし、彼自身もそれをよく認識しているようだ。その意味で、クローゼ自身が口にしている「悪役」は単なる自己擁護の言訳ではない。文字どおり自己を「悪」と規定する言葉である。渋いなあ。

青銅騎士の格好とコミック13巻のメルシュの格好と比べると、騎士服のケープは取り外しができること、袖口が2重になっていることが判る。
あと、ヴィルマーの見た目が若干ロリになっとる。あー・・・スカートの形状が紅盾鋼の頭部側面の装甲と合わせてあるのね。面白い。パイド・パイパー騎士団はウモスの独立駆逐大隊としても扱われていたため、マスターを失った彼女がウモス国の所属となったのもなるほど納得。彼女にとって紅盾鋼は紫苑鋼と同じボルドックス系列である。ちなみに、同じ騎士団にいたオキストロはフィルモアへ、プーウラーは後にミラージュへ、ビルドはミノグシアのツラック隊へ移っている。今回、ヴィルマーとビルドは対峙する格好となるため、直接対決に期待したいところ。
うーん・・・あれ?メルシュさんはこの戦線にいないのか?どこに行った?
(2016.11.28)

 

■ 騎士の博覧会〜ガマッシャーン (p133)


ガマッシャーンは筆頭騎士のシュバイサー・ドラクーンが参戦。意外と若い。初老の騎士かと思ってました(旧設定では魔導大戦の途中で引退することになっていたはず)。
やっと登場した令令謝はまさかのネコっ子ファティマ。シュバイサー・ドラクーンの本名はナオ・リンドーになる模様。
レイスル騎士団は2代目黒騎士のロードス・ドラクーンが剣指南役としてその名を連ねていたことで知られる。そのロードス公の孫がシュバイサーで、彼はレイスル3党首のひとりリンド家に籍を置いていることもあってナオ・リンドー・レイスルという名前になるようだ。ロードス公に娘がいてリンド家に嫁入りしたということか。なぜか土佐弁(?)である。

エストがシュバイサーを認めなかったのは・・・そもそも無理な話ではないだろうか。マスターが死亡するか、パートナーを解消してからで無ければ、どのようなファティマであれ新しい騎士を認めるはずがない訳で。ロードス公は他殺によってエストとの関係が解消され、エストはその後で放浪生活に入ったから、ロードス公の口利きで顔合わせをしたのであれば、まだ2代目黒騎士であった時代ということになる。その状態で出会ったとしても、ファティマがマスターを認証するトリガーは発動しないだろうに。

NT連載時扉絵の解説に拠ると、ナオに関する「天位殺し」、「ナイトキラー」、「泰天位蹴り」という数々の渾名は全てガマッシャーンが吹聴している虚言であり、彼の実質的な撃破数はゼロとのこと。軍師としての腕前は一級品であるが、その腕前はからっきしとされる。んが、本巻後半の活躍を見れば、ガマッシャーンが吹聴していることは事実であったとしても、その実体を「臆病者」「虚仮威し」とする捉え方は大間違いであることが判る。
この辺は後でもう1回まとめる。

さらに付け足すと、ナオはコミック9巻で既に登場してるらしい・・・あー超帝國剣聖クルマルスのことか。9巻p78の2コマ目、焔星に搭乗している騎士がクルマルスである。
これ登場っていうのか。見切れるどころか、焔星に乗ってセリフが出てるだけじゃないか。
というか、単行本は日本語訳が付いていないから判らんっつーの。
ちなみに、ナオのキャラシートは2種類あり、p6に掲載されている姿は超帝國剣聖としての姿。もうひとつ、腰に工務店のタオルをぶら下げた姿もある。

んで、そのナオが搭乗するGTMがラミアスの駆逐型とされるハロ・ガロ。
完成したばかりの試作騎ラミアスのアッパーバージョンを供給する点から察するに、フィルモア帝国とガマッシャーン共和国には何らかの政治的なつながりがあるのだろう。
ハロ・ガロの左腕のフライヤーでもフィルモア帝国の紋章が確認できる。
また、リンドーや令令謝のセリフから、ハロ・ガロは今回が戦場デビューになることが窺える。
連載再開直後に設定されていた彼の乗騎エクペラハは制式採用・量産化が進み、自軍配備が完了したようだ。

ハロ・ガロという名称について。
NEU!(ノイ!)が1972年に発表したデビュー・アルバム「Neu!」に収録されている曲が「Hallogallo」である。ドイツ語で「狂宴」を意味するスラング「HalliGalli」と英語の「Hallo」をかけた言葉とされる。各国の騎士団が結集するまさに「狂宴」に相応しい名称と云える。

ハロ・ガロの英訳表記の部分にゴーゴン(Gorgon)と書いてある。ゴーゴンはギリシャ神話に登場する異形の三姉妹。女神アテナを侮辱したことでその呪いを受け、恐ろしい怪物になったとされる女性である。猪の牙と無数の蛇の髪の毛、青銅の腕と黄金の翼を持ち、手に鉤爪が付いていたとされる。また、その双眼に見つめられれば石にされるという話はあまりにも有名。三姉妹の長女がステンノ(「強い女」の意)、次女がエウリュアレ(「広く彷徨う女」もしくは「遠くに飛ぶ女」の意)、三女がメデューサ(「支配する女」の意)である。この名前がそのままラミアス・シリーズの名称に採用されたようだ。後頭部から伸びる蛇型のスタビライザーを蛇女の頭部に見立てているのだろう。

レイスル騎士団は二角帽(ナポレオン帽)のような形状の帽子、ショートマント、ミドル丈のジャケットを基本とする騎士服の模様。
国家の紋章が4枚の花びら(?)となっているのに対し、騎士団の紋章は3枚の花びらとなっている。3枚の花びらはレイスル3党首のイメージにもつながるため、同騎士団の紋章としては妥当に思えるが・・・国家章の方はもしかしたらフィルモア帝国の十字紋章と何らかのつながりがあるのかも知れない。であれば、ラミアスを供与された理由も何となく筋が通ってくる。

次に令令謝について。NT連載時扉絵の解説に拠ると、令令謝はヒュートランの設計母体になったファティマとのこと。
パワーゲージは2A-A-A-B1-B1、クリアランスはVVS2、S型のファティマという設定。戦闘能力は騎士級となる。
ちなみに、ヒュートランのパワーゲージは2A-3A-2A-3A-3Aとなっているため、スペック上ではヒュートランが確実に上位となる。それでもなお令令謝に勝てないという話であれば、ファティマのカタログ上のスペックは全くアテにならないということ。ヒトとして生きている以上、経験による伸び代はあって当然ということだろう。

また、ガマッシャーン共和国はミノグシアの西方、海を挟んだ位置にある大国であり、旧ハスハとは昔から様々な軋轢があったとのこと。
ガマッシャーンの南部には旧超帝國東都ハツーダンが存在していた。となれば、ガマッシャーンもそれなりに超帝國との縁を残している国家となる訳で・・・同様に超帝國との縁が深く、詩女を擁するミノグシア周辺各国とは歴史的な背景から関係が拗れていたということだろう。まあ、その惑星の代表者とも呼ぶべき存在が長年に渡って特定の国家に所属していれば、他国のヤッカミを受けたとしても仕方がない。
(2018.02.17 修正)

 

■ 騎士の博覧会〜バッハトマ (p136)


バッハトマ勢はデムザンバラが参戦。全身のデザインは初登場となるが・・・装甲換装前がどんなデザインだったのか気になりますねー。下半身はミラージュ・シリーズの意匠が残っているっぽいけど。

バギィのセリフから、彼はジィッドのお目付け役として戦場に来ていることが判る。となると、デコースはジィッドの指揮・采配に関してあまり信用していないということか。とは云え、手駒が多い=部下から慕われているという見方もできるので、バッハトマの若い騎士の間ではジィッドの人気も高いはずだし、信頼もされているはずである。となると、バギィを付けた理由は、連合軍と足並みを揃えるのに経験の浅い騎士では多少の不安が残る、という程度のものかも知れない。
銀騎士団は銀月騎士団とも呼ばれるようだ。
(2016.12.26)

 

■ 真っ向勝負 (p137)


バッハトマ連合軍を前にして真っ向勝負を挑もうとするツラック隊。ソープの意見では「奇襲伏兵はない」とのことだが、これまでの描写を見る限り、ジィッドが何らかの策を練っているようだ。
練度の高い少数精鋭の騎士とツバンツヒのような超エース騎士、ホームグランドを戦場とする地の利に加え、ソープとミースもいるのでサポート体制も万全とも云えるが・・・問題は圧倒的な戦力差だろう。ツラック隊を1師団とすると、連合軍は4師団相当。さらに、敵軍は総騎士団長クラスがゴロゴロいる状態となるため、かなりツライ戦いとなるはず。両軍ともに短期決戦を想定しているのが唯一の救いか。
ちなみに、コーラス・ハグーダ戦のアトキの戦いでは、コーラス全軍で16軍団62師団が参戦したとの記録がある。当時の戦闘がいかに熾烈であったか、この辺から読み解いてみるのも面白い。
(2016.12.26)

 

■ ラキシスの着替え (p140)


ラキシスが脱皮に失敗しているシーンで、天照家の四菱が刻印されたケースがある。おそらく、この後のシーンで登場するダブル・アライメント・スーツとガット・ブロウが入っているのだろう。入国当初から持ち歩いていたのか、ベラ国に入国した後で本国から送ってもらったのか・・・。この後でバイズビズとクニャジコーワが潜入していたことが描かれるので、おそらくこの2人が入国する際に持ってきたのではないだろうか。
その他、室内に散らばっているモノを見ると、入国した際に持っていた花のバッグ、シャネルのスーツケース、「干しいも IBARAKI」、「RASUKU CHIPS」、「おさつドキ」といったお菓子と、「ベラの歩き方」というガイドブックが確認できる。ベッドの上にまとめて置いてあることから、ラキシスなりに出掛ける準備をしていたことが判る。
(2016.12.26)

 

■ バイズビズ vs ツバンツヒ (p142)


まだ入団前とは云え、久しぶりのミラージュ騎士同士の戦い。十文字霞斬りは分身から飛燕剣を繰り出す剣技らしい。ちなみに、霞斬りは大小二刀を用いて多段ディレイアタックを仕掛ける剣技とされているので、名前は似ていても両者は基本となる技が全く異なる。
飛燕剣はもともと左右いずれの方向からでも打ち込みを可能とする剣技であるため、最初から腕を狙って無力化しようとすると相手の打ち込みを左右いずれかに確定した方がやり易くなる。そこで、ツバンツヒは片腕をおとりにしたということだろう。・・・斬られても問題ない左腕をおとりにしたように見えるが、右腕に隙を見せて置いて、交差する瞬間に左腕を変形させたのか。

変化したツバンツヒの左腕を見ると、肘のあたりにツインスイングが確認できる。デザインだけ見るとほとんどGTMと同じ構造のようだ。そう云えば、映画GTMの劇中でもシオのメンバーが腕を変形させていましたね。戦闘に特化した腕を作ろうとすると、指の部分の関節を頑丈に作るしかなく、このような大きくなってしまうのかも知れない。全身に生体兵器を宿しているポリメリゼーション・キャスターであれば、腕だけで無く、体や両脚が変形したとしても不思議ではないし、今回登場した腕以外に複数の変形パターンを持っている可能性もある。・・・うーん、ツバンツヒは変形オタクなのか。

クニャジコーワのセリフから、潜入の指令を出していたのはログナーであることが判る。12巻でログナーから指示を受けたクニャジコーワはおそらくムンスターでランドに会ってマグダルの護衛を引き継いだはず。その後、天照とラキシスがミノグシアに入ることになったため、ミノグシアの玄関口であるムンスターで待ち構え、一緒にベラ国に入ったのではないだろうか。んで、ナカカラでワスチャの護衛についていたログナーは、本国に天照とアイシャがいない状態になってしまったため、シトロン・メナーを呼び寄せ、慌ててフロート・テンプルに戻ったものと思われる。A.K.D.の総司令であるにも関わらず、アチコチ忙しく動き回るログナー。彼が他のメンバーを指して「ヒマそうなやつ」と云った気持ちも判ろうと云うものだ。
(2018.02.15 修正)

 

■ ラキシスの出陣 (p147)


GTMスーツ(に見えるダブル・アライメント・スーツ)で身支度を整えたラキシス。ミースも驚いているように、彼女が騎士コクピットに乗ると、ファティマ・シェルが空になってしまう訳だが・・・アトロポスのように単独制御に挑むつもりか。まあ、ラキシスは何でもありっちゃーそれまでだけど。と云うか、クローソーがエンドレス(=ジュノーン)を動かした時もコーラス3世は既に絶命していた訳で・・・運命の三女神って全員騎士いらずなんだよなー。

ラキシスの云う「夫が戦に出る事態になれば世の終わり」というセリフは、3159年に開始される大侵攻を考えると極めて意味深である。神が戦場に出ることになれば、世界は滅亡する。そしてたぶん、ラキシスはいずれそのような未来が来ることを知っている。神を(戦場という穢れた場所に立たせることなく)ただ神として傍観者の位置に立たせておくこと。それがラキシスが考える「神の妻」としての矜持であるようだ。
とは云え、コーラス・ハグーダ戦ではソープが結局戦場に向かった訳で、ラキシスがこのような矜持を持つに至った背景には、コーラス戦以降の何かが影響しているのかも知れない。例えば、コミック3巻ではソープがラキシスの前で戦争の愚かさを説いているシーンがあったり、10巻では先に死んでゆく騎士を見つめ続ける立場の心情を吐露するシーンがあったりする。これを受けてラキシスなりに何かを決意しているのか。
まあ、今回に関しては単純にソープが戦場に出るつもりが無いことを見抜いて、何とかしようとしているだけかも知れない。
(2018.02.15 修正)

 

■ ツラック隊のブリーフィング (p148)


クニャジコーワの口から敵軍AFの情報がもたらされる。p126でソープだけが知り得ていたと思われる情報(敵軍に情報特化型の超級ファティマがいること)がツラック隊全軍に行き渡ったことになる。
マドリガルの情報妨害に対してビルドをアークホストに据えるということは、それだけビルドが高性能のファティマとして認識されているということ。バランシェ・ファティマが規格外の超級ファティマであることはおそらく全星団の共通認識であるが、そのライバルとされるモラード候のファティマもそれに拮抗する能力を持っているという認識が広まっているようだ。
(2016.12.26)

 

■ BS-R始動 (p150)


コミック収録時にカットされた解説では、「ハーブ」ではなく「ハブ」と記載されていた。
ハブは有鱗目クサリヘビ科ハブ属に属すヘビ。日本の南西諸島に生息しているものの、その分布は飛び石状で、一部の島に固有に見られるトカラハブやサキシマハブなどは別種として扱われる。毒ヘビとして有名。

劇中の描写から、アークホストを務めるファティマが搭乗する際はGTMの頭部両側面からホスティング・ポールを展開することが判る。
p149でボイスオーバーGA2が展開していたアンテナも、ホスティング・ポールであろう。
(2017.01.07)

 

■ 情報妨害戦あれこれ (p151)


ツラック隊の面々がGTMを始動するシーンで、アークホストとは別にコマンドポストを設定する描写がある。
コマンドポスト(Command Post)とは司令所のこと。要するに指揮官(ここではナルミ)の指示に従って全軍のファティマに指示を出すファティマ(ここではビューリー)がコマンドポストである。つまり、ビルドがアークホストとなって全軍の通信保護を行い、そこを行き来する情報はコマンドポストとなるビューリーに集め、全軍に指示を出せるネットワークを築いた格好となる。アークホスト=全軍トップという訳ではなく、このような組み方もあるということ。

ネットワークの構築にあたって各ファティマが互いにつながった状態となるため、個別に撃破された場合はネットワークに穴が開くことになる。そうなると危険なため、緊急時はマスターからコントロールを取り上げて、ビルドに従って(穴埋めできる動きをして)くれという指示を出しているのだろう。
加えて、各分隊でリーダー騎の反応が確認できなくなった場合は、僚騎のファティマがリモートでリーダー騎を離脱させるか、コクピットを吹き飛ばして生存確認をするよう指示している。
つまり、実質的にリーダー騎がやられたら、僚騎は生存者保護を優先して戦線を離脱するよう指示している。おそらく、「反応がない」状況が長く続くのを避け、僚騎のサポートによって「穴」をすぐに認識できる動きをとってくれ、という意味が含まれているはず。この辺、あたかもビルドが全軍に指示を出しているように見えるが、あくまでもネットワーク保護を優先する場合の対応について話を進めているだけであって、展開後の全軍の采配はナルミとビューリーが仕切ることになるはず。
指揮系統で混乱しそうな流れだったので、一応そんな感じで考察。

次。クロス・ジャマー関連。
「おそらくこうではないか」というところで専門用語を整理していくと・・・。

○アシストコード
アークホストが発信するメインコードを保護・強化・援助する機能をもつコードのこと。

○クラックコード
敵軍のネットワークに侵入・改竄する機能をもつコードのこと。

○カウンターコード
クロス・ジャマー(情報妨害戦)で使用するコード全般の総称。

○アタックコード
敵軍のネットワークあるいは敵軍ファティマの演算処理を破壊する機能をもつコードのこと。

○インターセプト
「迎撃」の意。敵軍ファティマのアタックコードを片っ端から潰していくこと。

○プロテクト
「保護」の意。自軍のネットワークあるいは自軍ファティマの演算処理を保護すること。

この後が厄介。

○マルチコード
うーん・・・解析処理の対象となるコード上の「特定の要素の羅列」を「別のひとつの要素」に置き換えて演算処理を行うことができれば、その演算処理は通常よりも高速で実行することが可能となるはず。おそらく、バランシェ・ファティマやモラード・ファティマは姉妹だけで伝達・処理が可能な固有の文字(=「別のひとつの要素」に使用できる文字)を脳内プログラム上に無数に保持しており、これをマルチコードと呼んでいるのではないだろうか。

○マスターコード
敵軍ファティマが使用する各種カウンターコードの大元になっているコード群をマスターコードと呼んでいるのだろう。

○対抗キーコード(対抗コード)
敵軍ファティマが使用する各種カウンターコードに対抗する機能をもつコード。ファティマがいくら膨大な演算処理を行ったとしても、その処理がプログラム上で行われている限り、生み出されるコードは何らかの「法則性」をもっていることになる。その法則性を読み取れれば、逆にそのコードを無効化するコードも生み出せるはず。そのような無効化コマンドのコード群を対抗キーコードと呼んでいるのだろう。

○マザーシート
上記の対抗コードで云うところの「法則性」を可視化したものをマザーシートと呼んでいるのではないだろうか。
ファティマの演算処理のクセを探し出して、そのクセから対抗コードを生み出すシートを作ろうとするならば、ファティマが総当たりで予測演算を行うよりガーランドの直感の方が速いはず。ガーランドの演算は直観力に優れ、その結果は検算が無くとも全て「正解」となることはこれまでの解説で述べられてきた。コミック10巻p239でもミースはこの辺の片鱗を既に見せている。今回の戦闘においてミースがマザーシートの作成に名乗り出たことも、これで説明が付くはず。

大体、こんな感じで考えれば劇中のセリフがつながるはず。
あと、クロス・ジャマーを展開すると、それぞれのファティマが生成するコードにヘッダーが挿入されるらしく、参加しているファティマの名前が互いに伝わってしまうようだ。この設定、いろいろ話を広げるのに使えそう。

あとは・・・スパルタはビルドの妹でビョトン・コーララの元パートナー。
戦場参加は劇中初。あーそう云えばスパルタを助けたのはヤーボだ。ヤーボに助けられた彼女がAP騎士団に参加している状況が面白い。
ミラージュ所属なのでバランシェAFの性能はよく判っている様子。

虹姫は桜子の初期型ファティマでチャンダナをモデルにしているとのこと。p148の「ほえーなにするのですか〜?」で前振りしてあった訳ですな。
マドリガルがp155で口にしている3人目のバランシェ・ファティマはこの後で登場する。
(2017.01.07)

 

■ ツラック隊の編成 (p152)


NT2017年4月号に掲載されていた永野センセーの解説に拠ると、大隊長のユージン・ボレーはナルミとカーツに次ぐ古参騎士。意外と若く、地球年齢で30歳前後とのこと。ツラック隊の編成にあたり、ハレーを第1大隊の隊長に就かせるよう推薦したものの、ナルミの判断で在任のボレーに第1大隊を任せたらしい。
第1大隊はバーガ・ハリだけで構成されており、部隊を管理する意味でも慣れた騎体・慣れた部下を配下に置く方が効率的ということもあるはず。ハレーが第2大隊を、ツバンツヒが第3大隊を、それぞれ率いることで、戦力を均等に分ける意味もあったのではないだろうか。
(2018.02.17 修正)

 

■ 北部ミノグシアからの援軍 (p157)


最終戦の開始直前に北部ミノグシアからジャーグド隊とスパチュラ隊が参戦。
ジャーグド隊の魔導大戦勃発時の駐屯地はイェンシング共和国の首都シドラ(バトラント共和国にも一部が駐屯)。使用GTMはバーガ・ハリ・JG(イェンシング工場生産/装甲色ライトグリーン)。ハスハ王宮が陥落した後も引き続きイェンシング共和国に駐屯。中立不動を表明し、スパチュラ隊と共にイェンシングおよびバトラント両国に跨る防衛線を敷いていたはず。
スパチュラ隊の魔導大戦勃発時の駐屯地はギーレル・ハスハ王国の王都ギーレル。ハスハ王宮が陥落した後、本隊はバトラント共和国に移動。また、一部(第3大隊)はホームのカッツェー公国に移動した。使用GTMはバーガ・ハリ・AE(イェンシング工場生産/装甲色ライトグリーン)であったが・・・今回の登場でバーガ・ハリ・ファンディ(装甲色オレンジ)に変更された模様。
うぁー・・・やっぱり兵器のバリエーションってロボット作品には重要だよねぇ。デザインが細かいところで違っていて超かっこええ。

それにしても、AP騎士団は支隊カラーとバーガ・ハリのヘッドカラーと所属するファティマスーツの色がごちゃごちゃでものごーく混乱する。
スバース隊のバーガ・ハリ・BSコブラの騎体色はブラックグリーン、ヘッドカラーは白。ファティマスーツはブラックグリーン。支隊カラーはスカイブルー。
ただし、通常のバーガ・ハリ・BSの騎体色はダークイエロー。
スキーン隊のバーガ・ハリ・SKSの騎体色はダークイエロー、ヘッドカラーはイエロー。ファティマスーツはライトイエロー。支隊カラーはシャンパンゴールド。
ツラック隊のバーガ・ハリ・KKの騎体色はライトグリーン、ヘッドカラーはグレー、ファティマスーツはライトグリーン。支隊カラーはマリーゴールド。

その他に判明しているのは、ハレーが駆るバーガ・ハリ・BS-Rの騎体色は真紅。ビルドのスーツはクリアーレッド。
ドーチュー隊は支隊カラーが黒。使用するバーガ・ハリ・DSのヘッドカラーも黒。
ラーン王宮支隊が使用するバーガ・ハリ・LAの騎体色は白。ヘッドカラーはオレンジ・ピンク。

一応、バーガ・ハリの騎体色とファティマスーツの色はおおよそ共通しているようだ。バーガ・ハリの騎体色も、当初予定していた4色(ダークイエロー、サンドグレー、レモンイエロー、ライトグリーン)に加えて、スバース隊第1大隊のブラックグリーン、スパチュラ隊のオレンジ、ジャーグド隊の緑と、劇中に登場する時点で増えているため、最終的に支隊ごとで別カラーになるかも知れない。
(2017.01.07)

 

■ 青騎士:紫仙鋼も登場 (p160)


GTM青騎士の名はX-8ボルドックス・アメシストの別称であることが判明。うーん・・・連載再開直後の設定ではX-9が紫仙鋼だったはず。名前の交換が行われている模様。
と云うか、コミック収録時にシアンランという名前も追加されたため、結局どの名前が正解なのか不明。
X-3ボルドックス・ジェームの別称が何になるか、あるいはボツ設定になるか、この辺も含めてデザインズ6に解説が載ることを期待。
p178で判るが、パイド・パイパー騎士団に貸与されていたGTMはX-8とのこと。

あと、ロッゾ陣営で頭部装甲の形状が異なるグロアッシュが微妙に紛れているっぽい。副官クラスは頭部形状が異なるのかも知れない。
(2017.01.07)

 

■ 謎の女性騎士 (p161)


レイスル騎士団の本陣に謎の女性騎士レンダウドが登場。後の左翼ミラージュである。エミーテ家所属という旧設定はボツ設定になるだろうか。
ナオのセリフから、超帝國剣聖は記憶を保持したまま転生を繰り返していることが窺える。ハリコンも超帝國の関係者だったとは。んが、そのハリコンの死後にララファは出現していないらしい。

ヘリオス剣聖騎士団の8名の名前が判明。
フラーマ・アトール、ララファ・ジュノーン、コロッサス・バング、アマンダ・プロミネンス、キーラ・ネプチューン、ミキータ・オージェ、ディオ・クルマルスの7名を指して7剣聖と呼称。8人目のアサラム・スキーンズと詩女となったヤーン・ダッカスは別枠。F.U.ログナーも彼らと行動を共にしていたものの、超帝國剣聖ではない。よって、ネッド・スバースは最後の8人目ではなく、その後に作られた9人目の剣聖ということになるようだ。
剣聖ララファは旧設定でも名前だけ登場してたはず。AD世紀6000年頃、懐園剣[雌剣]を所持していたとされる騎士である。
コミック9巻で名前の出ていたネプチューンはキーラ・ネプチューンに、以前の設定にあった剣聖テレキスがボツ設定に・・・と思われるが、ここで連載時扉絵にあった解説が入るとさらに混乱する。

永野センセーの解説に拠ると、超帝國剣聖の一部は前世の記憶を保持した状態で転生しているのではなく、意識だけが特定の騎士に宿る形で再生されているらしい。
意識体を再生されているのは、ディオ・クルマルス(=ナオ・リンドー)、ミキータ・オージェ(=バーナー・レンダウド)、アマンダ・プロミネンス(=マドラ・モイライ)の3名。また、p167でコーラス24世に剣聖ララファ・ジュノーンの意識が形成されつつあることが判明する。
スキーンズ、バング、アトール、ネプチューンの4名は超巨大戦艦シングに滞在中。詩女ダッカスとサタンのアスタローテも一緒にいるとのこと。アスタローテの正体はサタンのひとりである。
彼らが設定どおりに登場するのであれば、ジョーカー星団への帰還は星団暦3225年・・・スタント遊星攻防戦ということになる。

んで、上記の剣聖の名前は、本名+コードネームで表記されている。彼らの本名はまた別である。これ、マジでコミック14巻に収録して欲しかった。
アサラム・スキーンズ ="ザ・ディグツァイト"
アマンダ・アルゴン ="プロミネンス"
フラーマ・テレキス ="アトール"
ララファ・ネーデルノイド ="ジュノーン"
ミキータ・恋・パルトラバーナー ="オージェ"
ヤーン・ダッカス ="バッシュ・ザ・ジェットクィーン"
これにより、旧設定で確認されていたテレキスやアルゴン・プロミネンスなどもキレイに納まった格好となる。
このルールに沿うのであれば、"クルマルス"、"ネプチューン"、"バング"もコードネームとなるため、旧設定にあったビビアント・クルマルスという名前も組み込まれる可能性がある。

さて、ナオのセリフから「泰天位蹴りはウソ」という設定が怪しくなってくる。
少なくともナオはミマス帝に会ってマドラの情報をもらっていることが判るので、マドラと同様、ナオの実力はミマスに読まれているはず。おそらく、ミマスはナオの本性が超帝國剣聖であることを見抜いており、その上で剣聖位の授与を引き下げ、同じく超帝國剣聖の因子をもつマドラの情報を与えたということだろう。泰天位蹴りはその意味で虚言ではない。ごく一部の者だけが知る真実ということになる。

シュッツィエンの名前の部分にある Flamme unt Vertil Roboter・・・微妙にスペルが違うような。
Flamme und Vertilgung Roboterであれば「炎と殲滅のロボット」と訳せるが。
(2018.02.18 修正)

 

■ パシテア登場 (p161)


レンダウドが連れてきたパシテアはヌー・ソード・グラファイトの元パートナーでコークス預かり。んで、行方不明からの復帰。
なんだかずいぶん若くなっているような。三つ折りソックスだし。
パシテアの名前と一緒に表記してあるThe Charites(カリテス)はギリシャ神話における美の女神のこと。アグライア、アウクソー、カレ、タレイア、エフロシューネもカリテスの一柱に数えられる。

バランシェ・ファティマの経歴とか特徴がちょこちょこと揃って来たので振り返り。備考欄は旧設定含めていろいろ適当に入れてみた。
 
■ バランシェ・ファティマ 一覧
名前 別名など パワーゲージ クリアランス タイプ マスター 備 考
クーン クィーン 2A-2A-A-3A-B1 VVS1 M ディモス・ハイアラキ
ダグラス・カイエン
ダイアモンド・ニュートラル
ダムゲート・プログラムなし
全設定除去
ロングライフ
ハイアラキ用?⇒カイエン用?コンプリートファティマ
超帝國剣聖因子バックロード
(BFK-1):ケルト系
パルテノ パルテノン 3A-3A-3A-B2-D VS2 M バーグル・デ・ライツァー
ベルベット・ワイズメル
ユーパンドラ・ライム
ダムゲート・プログラム破壊→全設定除去
ロングライフ
ハイパーボディ
廃棄処分処理済み扱い
(BFM-2):マサイ系
バランス   mL   バランシェのボディとして使用
(BFG-3):ゲルマン系
マージャー マージャ
魔邪
2A-3A-2A-A-2A VVS1 S 天照斑鳩王子 2930年グロウ・プログラム追加(斑鳩の代理母)
(BFI-4):インド系
チャンダナ   A-2A-A-B2-B1 VVS1 S-M 慧茄・ダイ・グ・フィルモア
ダイ・グ・フィルモア5世
精神安定性MAX
(BFARI-5):アーリア系
ニーム サラスバティ
ヴィン・ティン
ヴィンテイ
弁天
B-2A-A-B2-B1 VVS1 S ジャコー・クォン・ハッシュ (BFCh-6):中国系
イエッタ 白のイエッタ
アイエッタ
A-2A-2A-A-B1 F M F.U.ログナー ログナー用コンプリートファティマ
ダムゲート・プログラム有り
全設定除去
(BFOS-7):オーストリア系
オデット   A-A-A-B2-B1 VVS2 M クローター・ダンチーヒ
ブラウ・フィルモア女王(白鳥時)
皇女茄里(黒鳥時)
ノルガン・ジークボゥ?
以下3名同時製作(舞踏三姉妹)
二重人格切り替え(白鳥/黒鳥)
(BFSu-8):スラヴ系
オーロラ   A-A-A-B2-B1 VVS2 M ママドア・ユーゾッタ (BFSu-9):スラヴ系
ジゼル ジゼール A-A-A-B2-B1 VVS2 M ナイアス・ブリュンヒルデ (BFSu-10):スラヴ系
バクスチュアル バシクチュアル
ザ・ブライド(氷の花嫁)
D-3Ax5-3Ax5-D2-E NONE(F) M 天照の帝
アイシャ・コーダンテ
F.U.ログナー
ダグエラン・ルス
ヴィクトリー
レディ・スペクター
ミラージュ・マシン開発専用
5騎同時コントロール
ストライパー・システム基礎構築
精神/情緒カット
(BFOS-11):オーストリア系
ダイモン 大門 A-A-A-B2-B2 VVS2 mM-L 三条香 (BFCh-12):中国系
ヴィッタシャッセ ヴィッターシャッセ D-2A-2A-C-A NONE L 天照の帝 準備体はバランシェ/育成は天照
ミラージュ・マシン開発専用
(BFAKD-13)
トキ A-A-A-A-A VVS1 L アイオ・レーン 以下4名同時製作
(BFNi-14):日本系
シズ B1-2A-A-A-B1 VVS2 S-M アルテン・サヤステ
ミューズ・ヴァン・レイバック
(BFNi-15):日本系
マチ A-2A-A-B1-B2 VVS2 S バーバリュス・ビィ
クリスティン・ビィ
(BFNi-16):日本系
キョウ A-A-A-A-B1 VVS2 M アーレン・ブラフォード (BFNi-17):日本系
レレイスホト レイレイシャ
令令謝
2A-A-A-B1-B1 VVS2 S シュバイサー・ドラクーン ヒュートラン設計母体
(BFCh-18):中国系
アンドロメーダ   A-A-A-A-B2 VVS2 L クラーケンベール・メヨーヨ (BFNA-19):ノースアフリカ系⇒アルジェリア系に変更
ハスノホルテ   2A-A-A-B2-B2 VVS2 S   バランシェ邸にて休眠中
(BF-20)
ヒュートラン エミリィ 2A-3A-2A-3A-3A ? ほっといて ワスチャ・コーダンテ 自己鍛錬プログラム追加
(BF-21)
ソーナー   B1-2A-2A-2A-B2 VVS2 S   ミース・シルバー博士預かり
(BF-22)
マドリガル・オペレッタ マドリガル  A-A-A-2A-A VVS1 M グレース・スドール 情報戦特化型
(BF-23)
ドアランデアスティルーテ   B1-2A-A-A-A VVS2 M トワイス・カテリ枢機卿 (BF-24)
ランマル 蘭丸
オーキッド
A-A-2A-A-2A VVS1 mS   プリズン・コークス博士預かり
(BF-25)
ラピス 瑠璃 A-2A-2A-2A-A VVS1 S ノンナ・ストラウス (BF-26)
カナハ   B1-A-2A-A-A VVS1 M ドヌーブ・ガセット
キャナリア・アイデルマ
(BF-27)
スパリチューダ   A-2A-3A-B1-B1 VVS1 S ロータス・バルンガ 演算戦特化型
(BF-28)
アキレス   B2-A-A-2A-B2 VVS2 mM-L ディッパ・ドロップス 以下2名同時製作
(BFK-29):ケルト系
イカロス   A-A-A-A-B2 VVS2 mS-M リィ・エックス
パナール・エックス
アラート・エックス
(BFK-30):ケルト系
ティータ ティータニス
ショウ・マスト・ゴー・オン
B2(2A)-2A(3A)-2A-B2-B2 VVS1 M パルトーク・クリサリス
レオパルト・クリサリス
メロウ・クリサリス
カーレル・クリサリス
対エスト用決戦兵器
(BFGr-31):ギリシャ系
クラカライン   B2-A-A-B2-B1 VVS2 M ピッキング・ハリス (BFLA-32):アングロラテン系
エフロシューネ   B2-A-A-B2-B1 VVS1 L シャーリィ・ランダース コーラス王家預かり
(BFLA-33):アングロラテン系
カレ   A-A-A-A-B1 VVS2 S ステートバルロ・カイダ (BFGr-34):ギリシャ系
パシテア パテシア B2-A-A-A-B2 VVS1 L ヌー・ソード・グラファイト
バーナー・レンダウド
以下3名同時製作
情報戦特化
集積能力強化
(BFOS-35):オーストリア系
アグライア   B1-A-A-A-B2 VVS1 L キュキィ・ザンダ・理津子 (BFF-36):フランス系
タレイア サリア B1-A-A-A-B2 VVS1 M クロクル・ハーマン
ハインド・キル
(BFOS-37):オーストリア系
アウクソー ガーネット・アウクソー A-2A-2A-3A-B1 VVS2→F M ダグラス・カイエン
マキシマム・ハルトフォラス?
カイエンの死後クリアランスをフローレスに格上げ
フォーカスライト再構成
カイエン用コンプリート・ファティマ
個体進化理論実証試験
(BFF-38):フランス系
アレクトー アレクト A-2A-2A-A-B1 VVS1 M アイシャ・コーダンテ
ルート・コーダンテ
以下3名同時製作
(BFARI-39):アーリア系
メガエラ メガイラ
ブルー・メガエラ
メルクラ
A-2A-2A-A-B1 F M ミッション・ルース
ウピゾナ・バーテンバーグ
(BFUS-40):アングロサクソン系⇒フランス系に変更
ティスホーン ティシフォネー
ティシフォネ
A-2A-2A-A-B2 VVS1 L ランドアンド・スパコーン (BFSp-41):スペイン系
ユーパンドラ   2A-2A-A-3A-3A NONE NONE   天照複製試験
ダムゲート・プログラムなし
クリアランス評価なし
欠番扱い
(BFG-42):ゲルマン系
アトロポス A.T.ライム 3A-3A-3A-3A-3A OUT 天照の帝
ユーパンドラ・ライム
L-M-S可変タイプ
ダムゲート・プログラムなし
ロングライフ
制御無設定
クリアランス評価なし
廃棄処分扱い
(BFEsF-43AT):エストニア系
ラキシス ラケシス ∞-∞-∞-∞-∞ (XX.YY.YY) OUT 天照の帝 全設定不明
個体進化理論完成
ダブルイプシロン型ヒューマノイド
廃棄処分扱い
(BFBG-44LC):ベルギー系
クローソー クロトー 3A-VA-VA-3A-A FF コーラス23世
コーラス26世
L-M-S可変タイプ
ダムゲート・プログラムなし
ロングライフ
制御無設定
対天照/ラキシス用決戦兵器
(BFLuFF-45CH):ルーマニア系
マキシマム 蒔子 -UNKNOWN- OUT   理論のみの46体目の作品
ミース・シルバー引き継ぎ
超帝國剣聖を超える人造人間
ムーン・チャイルド         ダイアモンド・ニュートラル エトラムル
ロンド・ヘアライン         マヨール・レーベンハイト エトラムル
アークエンジェル         シャリシャン・ホーカ エトラムル
ケーリッカク         ミューリー・キンキー王女 エトラムル
デルタ・ベルン         ラベル・ジュード エトラムル(ジ・エンドレスに搭載)
ジュノー           エトラムル
ボォス           エトラムル
カラミティ           エトラムル
アドラー           エトラムル
サロメ   A-B1-B1-A-A VS1 S ディモス・ハイアラキ
オリビー・タイトネイブ
ファクトリー製
パトラ         アイリーン・ジョル ファクトリー製
ヨーキ           ファクトリー製
ナゴン           ファクトリー製
ハルペル       M ワンダン・ハレー インタシティ再構築
 
大体揃ってきた感じですね。そろそろモラード・ファティマの全リストが欲しいかも。
デルタ・ベルンからアドラーまではボツ設定の可能性あり。
(2018.02.15 修正)

 

■ 格闘戦開始 (p164)


クロス・ジャマーの影響下で開始される格闘戦。p165の配置図と各キャラクターのセリフを追っていけば混乱はないはず。
各大隊で稼働しているGTM数が異なるのと、令令謝が単独でハロ・ガロに搭乗している点に注意。
(2017.01.30)

 

■ オージェとクルマルスの会話 (p166)


ナオのセリフにある「その御手からこぼれ落ちた他の民」というのは、ミノグシア以外のボォスの住人を指している。つまり、ガマッシャーン共和国を始めとする他国(=詩女の庇護下にない国家)の住民である。
連載時扉絵の解説に拠ると、ナオの意識はそのまんま全てが「剣聖クルマルスの意識」という訳ではなく、この肉体に本来備わっている「ナオ・リンドーの意識=ガマッシャーンの騎士でレイスル3党首のひとりとしての意識」がキレイに混在しているらしい。
詩女の救済を受けることができない周辺国家の苦悩を表したこのセリフは、剣聖クルマルスの意識というより、レイスル3党首としての意識が吐き出した言葉と云えるだろう。

レンダウドがスコーパーの能力で感知した「ララファが体内に形成されつつある人物に近しい者」とは、(おそらく)この後で登場するセイレイ・コーラスのこと。
コーラス24世はコミック9巻以来の登場。順調に成長しているようだが、この人物に剣聖ララファの意識が形成されつつあるようだ。

・・・ふーむ。星団暦3225年のスタント遊星攻防戦で剣聖ララファの意識を宿すコーラス24世が絡んでくる可能性があるのか。いやいや、ララファは全く別の目的で星団に介入するらしいので、この戦闘には参加しないのか。旧設定に沿うならば、24世は生涯ファティマを娶ることが無かったらしいので、おそらくGTMを使用する戦闘には介入しないはず。となると、コーラス24世は懐園剣に絡んで動くことになるのか。
現在、懐園剣を所持しているのはアルルとミース。この後のサタンとの戦い(?)でマドラの手に渡り、最終的にマキシに渡るはずであるが・・・そこに24世も絡むドラマがあるのだろうか。

クローソーは意識体となってコーラス24世を守護しているらしい。彼女にとって24世は、唯一愛した男性の忘れ形見である。実体はジ・エンドレスの中で休眠中。
アトロポスとクローソーは最終的に天照と同等の存在(=ゲートキーパー)になるらしいが、現時点においてはまだ実体に縛られている状態にあると考えていいだろう。
ただし、クローソーは天照に呼び掛けてシャーリィの自害を止めるなど、この時点で既に超常的な力を発揮しつつある。24世に絡む形で今後も何らかの干渉があってもおかしくはない。
(2017.01.30)

 

■ ミースと天照の存在に気付くファティマ (p168)


ツラック隊の影にミースと天照がいることに気付くマドリガル、令令謝、パシテアの3名。天照が見ているからこそ、持てる全ての力を使って戦う。それがバランシェ・ファティマたちがもつ矜持であるようだ。
そして、その姿を見て未知の存在を感じ取るナオとレンダウド。物語が天照を中心に回りつつある点に注意。
にしても・・・スキーン隊のティスフォーン、枢軸軍のバランシェ・ファティマ3名が天照参戦を既に推測しているというのに、この後で出てくるミラージュ勢が全員それに気づいていないというね・・・。相変わらずミラージュ勢はヌケてるというかお気楽というか。
(2017.01.29)

 

■ メンテケージ (p171)


ツラック隊の整備兵が動かしているメンテケージを見ると、基地のGTMステーブルにあったケージとほとんど同型である(p9のGTMステーブルのシーンに登場)。
おそらく、ケージそのものに走行機能が付いているのだろう。
この辺から、GTMをだたデザインするだけでなく、その運用も含めて全て永野センセーの頭の中でちゃんと組み立てられていることが判る。
(2017.01.29)

 

■ コーラス勢の乱入 (p174)


セイレイ・コーラスとマロリー・ハイアラキ率いるコーラス勢の乱入。
HL1(ハイレオン)2騎とワイマール6騎の中隊編成。ワイマールはコミック12巻p78で語られていたとおり、6騎のみの派遣である。

さて、アイシャたちが出ているシーンの背景を見る限り、ここに来たメンバーはコーラス軍の大型クルーザーで駆けつけた模様。この後のシーンで登場するハイファ・ブリンガーもこのクルーザーに搭載されているものと考えられる。さすがにミラージュのGTMセイラーで駆けつける訳にはいかなかったか。この時点では登場していないが、アイシャとブラフォードもGTMを持ってきている。
ハイファ・ブリンガーは劇中初登場。グラン・シーカーのデザインも刷新されたようだ。
ヘッツァー(Hetzer)はドイツ語で「勢子」の意。勢子(せこ)とは、狩りを行う際に音を出して鳥獣を追い込む役割を負うヒトのこと。この点から、グラン・シーカーとビヨンド・シーカーは探査と監視だけでなく、攻撃によって敵騎を牽制し、こちらの有利な地形・状況に追い込む機能をもつことが判る。

ハイレオンのコクピットに「六代目世呂死苦」の文字あり。
欄外の説明を読む限り、ハイレオンが永野センセーデザインの主役機系列で6代目に当たることを示しているらしい。
1代目はLG(=エルガイム)、2代目はJun(=ジュノーン前期型)、3代目はSR4(=ジュノーン後期型)、4代目はENG(=エンゲージSR1)、5代目はSR3(=エンゲージSR3)、6代目がHL1(=ハイレオン)になるようだ。一応、設定上ではジュノーン前期型とエンゲージSR3は基本同型となっている(劇中デザインとキャラシートの違いはある)。また、連載時扉絵に掲載されたジュノーンの初期デザイン、エンゲージMK2⇒エンゲージSR2となったマロリー搭乗騎(HL1が全て同型になったためボツ設定)、4100年に登場したジュノーン最後期型(劇中登場のみ)なども間に入るはず。

にしても、ハイレオン2騎の見分けがつかず。永野センセー、せめてパーソナル・マークの追加を。

なお、NT2016年4月号ではFSSの特集記事が組まれ、ハイレオンの解説がまとめられていた。
ハイレオンの発動機は「誉45」。これは旧日本軍機に搭載されていた同名の空冷18気筒レシプロエンジンが元ネタ。山本五十六が設置した海軍航空技術廠と中島知久平が創立した中島飛行機が共同で開発したエンジンである。帝国海軍での名称は「誉」、略記号は「NK9」、帝国陸軍における呼称が「ハ45」である。爆撃機の「銀河」、偵察機の「彩雲」、戦闘機の「疾風」や「紫電改」に搭載されていたらしい。
このエンジンがコーラス軍GTMにおけるハーモイド・エンジンの系列ということになると・・・ワイマールに搭載されているエンジンは「寿」、「光」、「栄」、「護」あたりになるだろうか。

ハイレオンの英訳表記はhi-Rhiannon。Rhiannon(リアノン)とはウェールズの神話で語られる月と馬の女神であり、その名は偉大なる女王という意味をもつ。永野センセーの解説ではライオンという意味になるらしいが、おそらく発音が似ていることで当て嵌めた「獅子」と「女神」のダブル・ミーニングではないだろうか。通常であればレオン(leon)とかリオン(lion)が使用されるはずである。ついでに、Fleetwood Mac(フリート・ウッドマック)が1976年に発表したシングルのタイトルが「Rhiannon」。前年の75年に発表したアルバム「Fleetwood Mac」に収録されていたもので、後にシングルカットされてビルボードチャートで11位にランクインした楽曲である。
(2017.01.30)

 

■ GTMを知れば戦法も確立される? (p178)


ベルミ・クローゼのセリフで、ビルドはX-8(青騎士=ボルドックス・アメシスト)をよく知るファティマであるため、ボルドックスを駆る青銅騎士は戦闘を避ける(ロッゾに任せる)よう指示を出しているシーンがある。
ツバンツヒのツラック隊デビュー戦においても、敵GTMの特性はよく知っているから任せてほしいとナルミに進言するシーンがあった。
この辺のセリフから、騎士やファティマが敵GTMの特性を理解している場合、攻略法・対処法もある程度は確立され、戦闘を極めて有利に進めることが可能となることが読み取れる。
GTMは乗り手の動きをトレースするロボットであるため、その動きは基本的に乗り手のクセを反映したものになるはずであるが・・・どうやら「乗り手のクセ」よりも「騎体特有のクセ」の方が大きく影響するようだ。あるいは、「その騎士団に所属する騎士の戦術・戦法」が「騎士団に共通するクセ」としてGTMに反映されるのか。いずれにしても、多くのGTMと対峙した経験のある騎士、多くのGTMに搭乗した経験のあるファティマはそれだけ生残率が高くなる訳で・・・エストのような存在は敵軍からみて極めて厄介な相手ということになる。

ついでに。ベルミが口にしている「奴らのハスハでの行動(=コーラス勢の行動)」には、今回の乱入だけでなくノウラン東部での戦闘(アルル対ネイパー戦およびセイレイの乱入)も含まれている。アルルを狙っていることを公言しておいて(=アルルとハスハは自分の敵)、アルル狙いの他者の介入も認めないと宣言し(=アルルを狙う他の集団も自分の敵)、ここに来て今度はツラック隊に加勢した状態となっているため、他国から見てかなり身勝手な立ち回りである。ベルミの怒りは御尤も。
(2017.02.20)

 

■ アイリーン・ジョル参戦 (p182)


シェン・ラン騎士団のアイリーン・ジョルが参戦。
コーラス王朝トリオ騎士団の元団長で、コーラス・ハグーダ戦の後で自ら除隊した人物であるようだ。
おそらくヒューズ・カーリーとは既知の仲だろう。ハグーダ戦に参加していたのであれば、ソープの顔も知っているのではないだろうか。

アイリーンがエルメラのラブレターをコーラスに受け渡したことで、ふたりの関係がスタートしたらしい。ラブレターって・・・どんだけ昭和なんだエルメラさんは。ジョーカー星団であれば電子メールぐらい太古の昔からあるだろうに。アイリーンをミノグシアに派遣したのも、エルメラ王妃の差し金である。
アイリーンのGTMスーツの肩にコーラスの紋章あり。除隊した後もコーラスの騎士であったことを誇りに思っているようだ。
シェン・ラン騎士団はピチカート公国の所属とのこと。ピチカート公国は桜子が籍を置いている国家でもある。

連載時扉絵の解説に拠ると、ピチカート公国はピチカート・マイスナー・ナンブ公家が治める国家。おそらく、ピチカート公の先祖がマイスナー王家の直系から別れた兄弟だったのだろう。にしても・・・マイスナー王家はもともとネマ地方を治めていてコーラス王家との縁組で王朝に加わった経緯がある訳で・・・コーラス本家に引き継がれてきた「ナンブ」の名をマイスナー家の分家筋が名乗っている点に疑問が残る。まあ、そういった血筋に拠らず、ガーランドの系列としてナンブの名を継いでいたとしても不思議ではないか。
あと、デザインズ2の地図で見る限り、ピチカート公国はコーラス王朝の東ではなく西にある。それとも、デザインズに掲載されていた地図は上下逆さま(南半球が上)になっているのかも知れない。

アイリーン・ジョルが搭乗しているGTMはアマルカルバリ。
彼女が率いているエルダグライン隊が使用しているGTM(アマルカルバリと頭部形状が異なる騎体)はカイリーダウンとのこと。
これらのGTMを設計したガーランドがキアリ・セトメ。キアリ・セトメは小ロット生産(=少数生産)の高性能GTMを設計・開発することで知られ、魔導大戦の開戦に前後して新型騎のアマルカルバリをアイリーン・ジョルに引き渡し、見返りに孫娘キルリを伴ってベラ国の戦場まで来ていたらしい。なお、ピチカート公国はキアリ博士の指導下でGTMの生産ラインを整備したらしく、コーラス王朝の主力GTMワイマールのほか、ジュノー各国のGTMの生産・改修を担う国家として成長したようだ。

ピチカート公国の首都コルトはガーランドの拠点であることを意識して名前が付けられた模様。コルトの元ネタはアメリカ陸軍大佐のSamuel Colt(サミュエル・コルト)が1836年に創業した銃器メーカーColt's Patent Firearms Manufacturing Company(コルト特許火器製造会社もしくはコルト・ファイヤーアムズ社)から。ついでに、セトメという名前の元ネタはスペインの銃器メーカーCentro de Estudios Tecnicos de Materiales Especialesから。頭文字をとってCETME(セトメ)と表記される。直訳すると「特殊材料技術研究センター」になるだろうか。

その他にちょこちょこと。
ワンダン・ハレーはAP教導支隊でカーリム・レオナの担当教官であったようだ。AP騎士団の教導支隊という設定は初出。
グラン・シーカーは上空監視ではなく、土煙に紛れて戦場を監視している模様。あらゆる発信コードを隠蔽しているため、おそらくクロス・ジャマーの範囲外にある。
ハイレオンの後ろにコーラス軍のワイマールが登場。
モンスーンとシクローンはアルセニック・バランスの手に拠るファティマ。パトラはバランシェがクーンを作る以前にファクトリーで作りだしたファティマ。同じバランス系列のファティマであるため、モンスーンは「バランス・バランシェ親子のAF3人」と云っている。この辺、副読本の内容を覚えていないとかなり混乱しそう。
セイレイは「パンツァー・カイル」を「パンツ替えろ」と聞き間違えている。というか、彼女はおそらく「パンツァー・カイル」という戦法を知らない。とにかく先頭に立って突っ込んでいるだけであることが判る。
(2018.02.17 修正)

 

■ 焦るミラージュ勢 (p186)


ソープ参戦の事実を知って驚愕するミラージュ勢。
ソープが居ること自体に焦っているのか、ソープがいる=ミラージュがここまで来ていることに気付かれる=命令無視がばれることに焦っているのか、いまひとつ不明。アレクトーの「オワタ・・・」を見る限り、後者のような気がする。というか、アレクトーはストーリー・クラッシャーのソープがいることで、このエピソード自体が全てぶち壊しになることを危惧しているのだろう。

アイシャは戦場をモニタしている中で中央の戦線が乱れ、敵本隊が肉薄している状態に気付いたようだ。
ソープ参戦について何ら反応を示していないが、この後で完全にブチ切れていたことが判明する。

おりょ。ニナリスの後ろにあるヘッドレストに描かれている模様は、ミラージュ騎士が身に付ける漆黒の花十字。バッハトマに接収された後もファティマ・シェルを交換していないことが判る。というか、デムザンバラがAP騎士団で運用されていた頃から交換していなかったということか。旧設定のMHとは異なり、GTMのコクピットはファティマの調整でアジャストできるため、移籍したり、接収されたりしたからといってイチイチ入れ替えるものではないようだ。
(2017.02.20)

 

■ ジィッドの奇襲 (p189)


ジィッドが狙っていたのは、戦線の拡大による敵軍の分散、中央突破、敵軍大将ナルミの討伐であった。

クロス・ジャマーの強制終了によりツラック隊の敵味方識別コードがクラッシュする。クラッシュとはIT用語でアプリケーションソフトやコンピュータの動作に問題が生じ、入力を受け付けなくなったり異常終了したりすること。正常な状態に戻すには、システムの再起動が必要となる。今回、クロス・ジャマーに対抗するためにツラック隊の全GTMが感覚器をフル稼働していたのだろう。そこで突然、外部からの負荷が消え去ったことで、情報網の内部で行き交っていた信号が増大し、回路への過剰な負荷によって識別コードのクラッシュを意図的に引き起こしたようだ。要するに、GTMのスキャナを標的としたDoS攻撃ということか。
うーん・・・ニナリスはなんのジャマーコードも発していないような気もするけど・・・あ、違うのか。識別コードのクラッシュを狙ったジャマーコードを出したのか。ちょっと判りにくい。

ナオのセリフから、ジィッドの奇襲の内容は枢軸軍全軍ではなく、ウモスとバッハトマの間だけで取り交わしていた作戦であったことが判る。つまり、ロッゾとレイスルは戦線を拡げるための囮である。両軍ともに消耗戦になることは見えていたはずで、ジィッドは「どこで終わらせるか」という分水嶺を「敵軍大将の討伐」に位置付けていたことになる。この考え自体はおそらく間違っていないが、おいしいところだけバッハトマ(とウモス)がいただく流れはちょっと虫が好すぎる。バギィが焦っているのはおそらくそのため。

アイリーン・ジョルはコーラス・ハグーダ戦の終盤に起きたラルゴの奇襲を思い浮かべた模様。
コーラス・ハグーダ戦では、ミミバ族の潜入によって本陣の座標が特定され、前線を通り越していきなり奇襲を受けた。詳細は異なるが、敵軍が突然本陣に切り込んでくる状況が過去を彷彿とさせたのだろう。
案外、コミック3巻でコーラスの前にいたGTM(旧設定のベルリン)にアイリーンが搭乗していたのかも知れない。

ラキシスは割り込み制御でバーガ・ハリの緊急回避を実行。というか、おそらく一瞬だけ分身を行っている。ニナリスの焦り具合を見る限り、ラキシスがやらかした割り込み制御は通常のファティマがマネできるものではなく、ほとんど反則の超高度な芸当ということになるようだ。ラキシス自身が規格外のド級ファティマである点はもちろんのこと、今回についてはGTMに搭乗していない点(騎体の操作にリソースを割いていない点)も大きく響いているのかも知れない。

もうひとつ。ニナリスのセリフから、GTMは自騎の周囲に磁気嵐を発生させることが可能なことが判る(オーロラビームやグランド・ジャマーもその類に位置付けられるはず)。これができるのであれば、最初からクロス・ジャマーを無効化することもできるのでは・・・と思ったが、おそらく磁気嵐を起こしてしまうと味方との通信やスキャナも使用不可になるのだろう。んが、この後の描写を見ると、デムザンバラはちゃんとナルミ騎にロックオンしているし、背後から近付いてくるGTMにも気付いている。つまり、磁気嵐の内側は通信や索敵が可能で、磁気嵐の外側は不可=電磁波が送れないし、入っても来れない状態になっているということか。
マグニフィケート(magnificate)は「拡大する」の意。うーん・・・マグネティック・ストーム(magnetic storm)の間違いっぽい。
(2017.05.23)

 

■ アイシャの参戦 (p196)


コミック13巻の時点でその存在が匂わされていたF2型ミラージュ=フォクスライヒバイテが参戦。
F2型はF型(=ファンダウン・ブリンガー=グリット・ブリンガーの[雌型])から派生したシングル・エンジン搭載型ではなく、ツァラトウストラと同じツイン・エンジン搭載型。型式も「Pz-Kpfrbt-ケ-ApB-F2」となっており、「ApB」は「アプターブリンガー」の略語であることから、本来はアプターブリンガーの名を冠する特殊仕様騎であることが窺える。

フォクス(Fuchs)は「キツネ」、ライヒバイテ(Reichweite)は「射程」とか「範囲」の意。永野センセーは「射手」としている。つまり、フォクスライヒバイテは「キツネ狩り」を専門とするGTMということ。背面のマント状のリア・フライヤーは巨大な武装=おそらくはバスター砲のマウントを想定して作られており、敵騎を狩り出して砲撃で仕留める駆逐型GTMである。
んで、今回はバスター砲を搭載していない状態で登場。旧設定においてアイシャが魔導大戦で使用することになっていたフレーム・ハカランダがそのまんま予定どおり登場した格好となる。
背中の巨大な放熱板はほとんど翼のようにも見えるが・・・ここからさらに発展して、高速飛行とバスター砲の装備・運用を両立したスピード・ミラージュの開発につながるのではないだろうか。

p196-197の見開きページを見ると、うっすらと見える影から、脚部後方に向けて巨大な鎌のようなパーツが飛び出ていることが判る。これがツイン・エンジン搭載型に付くアンクル・クレーンである。その全貌と機能はp226で語られる。

デムザンバラに剣戟を受け止められた後で、ガット・ブロウが超高熱を発してあっさり装甲を熔解したように見える。連載当初の設定で、騎士が任意のタイミングでガット・ブロウの刀身に電磁溶解刃を発生することが可能になっていたのだが・・・これまでの連載ではそのような描写がなく、この機構が全てのガット・ブロウに共通するものなのか、ミラージュ騎士団のガット・ブロウに特有のものなのか、詳細は不明である。エンジン出力が高いことでこのような芸当が可能なのかも知れないし、破烈の人形のエネルギーソードのような極秘の機能が備わっているのかも知れない。
まあ、ジィッド君は御愁傷様です。

アイシャは参戦の大義名分として「ミラージュGTMの奪還」を掲げようとしたようだが・・・ンナもんは無いわ!ボケがぁ!と怒っている。
ソープが見ている手前、何らかの言い訳ぐらい必要と思ったのかも知れないが、それよりも先に怒りが勝ってしまったのだろう。

フォクスライヒバイテは騎体の周辺に「シュウウウウ」とか「シュワアアア」という文字が見られる。他の騎体より機関冷却に大幅なリソースを割いている模様。エンジンの放熱が間に合っていないのだろう。劇中でもカイダがエンジンのオーバーフローを指摘している。

んで、レインボースリットと両肩のパネルの設定が公開された。旧設定におけるレーザー・リフレクターの設定を引き継いでいるようだが、ツイン・エンジン騎だけに付与された特殊兵装になるようだ。ツァラトウストラにも同じパネルが付いている。マグナパレスにも付くのだろうか。
(2018.02.17 修正)

 

■ ミラージュ勢の参戦 (p201)


ステートバルロ・カイダの駆るハイファ・ブリンガーが登場。デザインを見る限り、p177で登場したビヨンド・シーカーの発射口は頭部になるだろうか。p194でバル・バラを投げたのはアイシャではなくて、カイダとブラフォードっぽい。
登場したGTMを見る限り、アイシャはファルトリム・ブリンガー、カイダとブラフォードはハイファ・ブリンガー、キュキィはグリット・ブリンガーで参加。ブラフォードの搭乗騎は対シーブル戦でアイシャが使用した騎体になるはず。
・・・あれ。コミック13巻で出ていた2騎目のグリットは誰も使用していない。あー、この後のパルスェットのエピソードで登場するヨーンに渡すのか。
アイシャたちがミノグシアに持ち込んだGTMが4騎だとして、グリットがそもそも1騎多いことになる訳で・・・ランドが持ち込んだGTMを預かり屋から受け取ったのかも知れない。
(2017.05.25)

 

■ ストライパー起動 (p202)


ツイン・エンジン騎の出力サポートにストライパー・システムを起動するアグライア。ほー・・・ツァラトウストラだけに実装しているシステムではなくて、ミラージュGTMに共通で搭載されているシステムなのか。
今回の描写を見る限り、ストライパーを起動したアグライア(グリット・ブリンガーに搭乗中)が、フォクスライヒバイテのサポートと同時にデムザンバラに対してロックオンしている(ミラージュGTM全騎が同時にデムザンバラに対してロックオンしているのかも知れない)。こういった相互補完がストライパーの効果になるのだろう。
集団戦を考えた場合、グリットの先行潜入とハイファの後方撹乱を進めると同時に戦場の全敵騎に対してロックオン→ツァラトウストラとJ型駆逐戦闘兵器で瞬時に殲滅という進め方もできることになる。ミラージュGTMは端から戦闘に勝利することを目的としているのではなく、効率的に敵を殲滅することを目的にしているようだ。
(2017.05.25)

 

■ ハロ・ガロ参戦 (p204)


ニナリスの危機に際し、ハロ・ガロを起動したナオ・リンドー。
ハロ・ガロの右腕のフライヤーに超帝國の紋章(旧設定のアトールの紋章)が確認できる。p134では左手のフライヤーにレイスル騎士団のマークが描かれていたため、左右両腕でフライヤーが異なるようだ。腿の部分のデザインはカイゼリンの意匠を引き継いでおり、この後のページでもソープが「ラミアスだけどカイゼリン」と口にしているので、おそらくカイゼリンに代わる新たな皇帝騎をイメージして開発されたことが窺える。

巻末の解説で、「GTMに捕捉された目標が逃げられる術はまったく無い」、「逃れることができるのはそのGTMが他の対象に目標を変えた時だけ」と書かれているのだが・・・アイシャ、キュキィ、ブラフォードが揃ってハロ・ガロ(とエクペラハ)に目線を移したことで、まんまとデムザンバラに逃げられてしまう。ミラージュの皆さん、緊急参戦ということもあって統制が全く取れてない。
この後、アレクトーがファルトリムのエンジン出力をピークパワー(最大出力)で維持しようとして、スパイラルミクス(おそらく両脚のエンジン機構)をフルブーストにしたことで発熱が抑えられなくなり、ツバンツヒが異様なエンジン音と脚部の冷却機構に気付くことになってしまう。ピタゴラスイッチの如く話が転がって進む。

ツバンツヒがツイン・エンジン騎の脚部を見て驚いているということは、3007年のツァラトウストラ公開の時点ではアンクル・クレーンが付属していなかったということ。もし付属していたのであれば、カリギュラがその映像を見逃すはずがないし、ツバンツヒであれば初見であってもツイン・エンジン騎であることを見抜き、眼の前にいるGTMがミラージュマシンであることを看破したはずである。この辺の疑問点についてはp226を見れば氷解するようになっている。
(2018.02.17 修正)

 

■ 夫婦だからこそ (p208)


アイシャに血の代償を支払ってもらおうと考える天照に対し、「ブッ殺されますからやめましょう」というラキシス。
これ、天照がいくら手加減したとしても、アイシャに打倒されるような状況というものは確実に発生しない。おそらく、ラキシスはアイシャの感情を慮って、ヒトの怒りってモノをもっと理解するよう、天照に釘を刺しているのではないだろうか。「人間は命令に絶対ではなく、自らの不利益を知ってもなお、感情優先で動く場合もある。イチイチ腹を立てるな」と。ラキシスはそれを敢えて「ブッ殺されます」というあり得ない表現を使って茶化しながら伝えている。それに天照も乗っかる形で「だよねー」と応えて自らの考えを改めている。
この辺、ちゃーんと「夫婦の会話」をしているんだなーと思えてくる。

・・・それにしても、ミラージュ勢は柄が悪過ぎる。
アイシャは「死んどけ」、キュキィは「snuff it」(英語で「死ぬ」という意味)、天照は「血の代償」、ラキシスは「DEATH」・・・他の軍隊の皆さんはそんな物騒なこと云ってないよー(セイレイ除く)。もうちょっと落ち着こうぜ。
(2017.05.27)

 

■ トーフコワイ (p221)


ファティマ・京によって明かされる衝撃の事実(?)。ヒュートランがアレな感じになったのは、令令謝が赤子だったヒュートランの頭に豆腐の角をぶつけたためであった。結局、この後の京と令令謝のやり取りでハロ・ガロの制御がおかしくなり、ナオはガマッシャーン軍に撤退を指示。他の3軍も同時に撤退することとなった。
ありゃりゃ。ファティマの会話だけで決着を付けるのはちょっと掟破りな感じかなぁ。ブラフォードもそんなに全力でギャグに付き合わなくても・・・。
まあ、ナオも戦場でそのまま暴れるつもりは無かったようだし、ジィッドの作戦がダメになった時点で消耗戦に見切りを付け、デムザンバラとニナリスを保護するためだけにハロ・ガロを動かしたのだろう。

豆腐の話。
「豆腐の角に頭をぶつけて〜」という表現・逸話は、古典落語の「穴どろ」が由来。この演目に登場するごくつぶしの男が女房に「豆腐の角に頭をぶつけて死んでおしまい」と罵られるシーンがある。また、ハロ・ガロが「トーフコワイ」と云っているのは、同じく古典落語の「まんじゅうこわい」が元ネタだろう。

調べてみると、秒速340m(時速1,224km)の速度で豆腐の角に頭をぶつけると、人間は死んでしまうらしい。赤子とは云え、ファティマがヒトより優れた肉体を持っていることを考えれば、時速250kmの豆腐であっても頭部への衝撃は実際のところ大した衝撃ではないはず。なので、ヒュートランがあっぱらぱーになってしまったのは、豆腐が直接的な原因ではなく、その後のバランシェの緊急措置に問題があったと考えるべき。親子揃って最初からあっぱらぱーにしたかったとしか思えない見事な連携プレーである。

伏見御香宮の名水で作ったまろやか絹ごしとは、京都・伏見にある御香宮神社(ごこうのみやじんじゃ)に湧き出ている名水「御香水」を用いて作られた絹ごし豆腐のこと。実際にそのような製品があるか否かは不明。御香水は日本の名水百選に選ばれており、「伏見七名水(七つ井)」のひとつとしても有名。御香水は石井(いわい)。他の六つが常盤井(ときわい)、春日井(かすがい)、白菊井(しらぎくい)、苔清水(こけしみず)、竹中清水(たけなかしみず)、田中清水(たなかしみず)である。
島豆腐については辞書ページにまとめてあるので参照にされたし。ちなみに、島豆腐はにがりを使って作るパターンもあり、必ずしも海水を使って固めている訳ではない。

枢軸軍全軍が撤退したところでベラ国攻防戦が終結。
あれ、アイシャが使用する予定だった旗竿ランスが登場していない。
(2017.09.22 追記)

 

■ ダックナードとネロス (p214)


ロッゾ帝国の首都オラウドでベラ国攻防戦を振り返るダックナードとネロス。オラウドは都市の外周を堤防で囲ったような形をしている。周りは海だろうか。
ジィッドの奇襲を止めたのがアイシャであることは各軍に知れ渡った模様。ミラージュの勝手な参戦であったとしても、他国から見ればA.K.D.の参戦として見なされる訳で・・・戦後処理はかなり面倒なことになりそう。
その辺の責任はA.K.D.全軍総司令のログナーが背負うことになるし、ログナーとしては表立った動きにならないようバイズビズとエレーナを派遣していたはずなので、アイシャたちはたぶん後でものすごく怒られると思う。
(2017.05.28)

 

■ それぞれの戦後処理 (p217)


ナルミはアイシャとミラージュ勢の参戦を「天照の意向」として受け取った模様。実際にはソープがノリでやって来ただけで、ミラージュの動きはソープの管理下の外にある。一方、アイシャはナルミの人となりを見て「なるほど・・・我主が・・・(認めただけの器量をもつ人物だ)」と感じ入ったようだ。んが、ナルミはソープの正体を知らないため、このふたりの会話は微妙に食い違っている。また、p219でアイシャが云っているように、ミラージュ勢は天照の許可なく参戦したため、この後で「おしおき」が待っている。ただし、今回に関してはソープの気まぐれも問題となるため、大したお咎めは無いまま終わるはず。まあ、前述のとおりログナーにはしこたま怒られると思うけど。

アイシャの「オマケ」という言葉に反応して「グリコ」を連発するキュキィ。グリコに付くオマケ(公式にはおもちゃと呼ばれる)は1927年に開始されて今現在も続いているものの、食玩ブームを経た現在においてオマケ⇒グリコとすぐ連想できるヒトは少ないかも。なんとなく昭和の発想である。

セイレイの参戦により大隊規模の騎士団と支援の地上師団を派遣することになったコーラス王朝。この後でアルルが合流すれば暴風3王女の揃い踏みとなるが・・・水虫の件やらおねしょの件やらでひと悶着あるのは明白。まあ、セイレイもアルルのことを「お姉様」と呼んでいるので、お互い素の状態になればすぐ打ち解けるのではないだろうか。にしても・・・連載開始時の状況と比べると、ハスハとコーラスの関係性はかなり変わっており、今後の星団侵攻において各国家がどのように動くかが微妙に見え始めている気がする。アルル、セイレイ、マロリーの子孫がどのように星団内に広がっていくのか楽しみ。

p222でツラック隊の本部にコーラスの紋章付きのコンテナが置かれている。エア・バレルのMe-2も到着しているので、エルメラが云っていた支援の地上師団が到着したのだろう。数日間が経過しているものと思われる。
(2017.05.28)

 

■ 弱者の視点から (p221)


ロッゾ、ウモス、ガマッシャーンの3軍が負傷者の保護をしている姿を見て、ヒトの在り方に考えを巡らす「クルマルス」と「オージェ」。
超帝國剣聖の力を失い、弱者の視点に立ってヒトの営みを見ることで、初めて感じ得るモノがあるのだろう。

NT連載時に掲載されていた超帝國剣聖ミキータ・オージェの解説に拠ると、本名はミキータ・恋・パルトラバーナー。英訳表記を見るとMichietta Renn Patraqsch(ミキータ・レン・パトラクシェ)となっているので、オージェの初期名称パトラクシェ・オージェから名前を引き継いだキャラクターであることが判る。また、スタント遊星攻防戦ではツァラトウストラ・アプターブリンガーに搭乗するらしい。この戦いで超帝國剣聖としての力を取り戻し、戦後は女皇帝と共に星団を離れるようだ。

さらに彼女はトリバネルとルーガル・ブリンガーにも搭乗するらしい。ここで重要なのは、トリバネルが後世において存在しているということ。つまり、アトロポスが使用した(であろう)トリバネルは、自爆した後に回収され、マグナパレスの2号騎(旧設定で云うところのナイト・オブ・ゴールドAT=パトラクシェ・ミラージュ)に生まれ変わるのではなく、そのまんまトリバネルの2号騎が作られたということか。マグナパレスに「写しはない」という設定もあったので、この辺は辻褄が合っている。おー・・・結構でかい設定改変かも。天照がジュノー侵攻で搭乗するGTMもトリバネルになってしまうのか。この辺、かなり気になりますね。

永野センセーの解説に拠ると、炎の女皇帝が(コミック13巻で=56億年7千万年後の世界で)モナークに辿りついた後で、プロミネンスの再生(マドラ・モイライに意識を宿らせる操作)を開始したらしい。
年齢的に見て、その後でディオ・クルマルス、ミキータ・オージェの再生を行ったことになるのかも知れないが・・・ナオ・リンドー(に宿っているクルマルス)は、彼がこの世に生まれた時点で既に他界していたはずの剣聖ハリコンに「ララファの意識」が宿っていたことを知り得ていた。この部分が微妙に引っかかる。ハリコンの時代にクルマルスも存在していたかのような物言いである。となると、クルマルスの意識も2600年代において別の誰かに宿っていたのではないだろうか。クルマルスとララファは意識の再生を繰り返しており、炎の女皇帝が遥か未来においてモナークを来訪した後、新たにプロミネンスとオージェの再生を行った・・・のであれば、クルマルスがオージェに対して「この時代ではトホホな力しか出せない」ことを説いていることも納得できる。

もう一点。同じく永野センセーの解説によると、@炎の女皇帝が遥かな未来でモナークを見てしまったこと、A母としての本能(を発揮したことor自覚したこと?)、Bログナーがモナークによって作り出される太古の超人であること(を知ったこと?)・・・これらに起因して、女皇帝は剣聖の意識の再生を始めたらしい。つまり、「ヒトがヒトで無くなる地獄」を回避するための方策として、あるいは、そこに至らないようにする何らかの手段を求めて、過去に剣聖の意識を遣わせたということか。
絶対的強者の視点から世界を見るのではなく、弱者の視点から世界を見ることで、剣聖たちに何かを悟らせようとした・・・のであれば、クルマルスは既にその影響を受けているとも云える。
あるいは、超古代からの歴史の観察者であるログナーとのコンタクトを考えた・・・のであれば、スコーパーの能力をもつミキータを再生させたことにも説明がつく。同じく女性騎士のプロミネンスにもスコーパーの能力があるのかも知れない。まあ、いろいろ考えられますね。

炎の女皇帝によるモナーク来訪は遥か未来の出来事であるのに対し、剣聖たちの再生は現在まで遡っている。通常の時間の流れを無視した現象が起きているようだ。感覚的には剣聖ハリコンの活躍⇒タイ・フォンのモナーク来訪⇒炎の女皇帝の来訪⇒剣聖の再生という一連の流れがあり、剣聖の成長と炎の帰還そして両者の再会はこの後の歴史で描かれることになると。んで、時間の流れを無視したもう一方の存在・・・懐園剣に絡む裏の事情があって、ララファ(とクルマルス?)は繰り返し再生されていたのではないだろうか。この後でマドラも懐園剣に絡んで動くらしいので(コミック11巻p11)、この辺の諸事情全てが懐園剣というキーアイテムに集約されるのだろう。

ところでこの「肉体は別の者でありながら意識だけ宿らせる形で再生する」という事象は、炎の女皇帝が作り上げたドウター・チップが発現しているらしい。彼女は何らかの意図をもって剣聖の数だけドウター・チップを作り出し(実際には炎の女皇帝やログナーの分も作られている)、これにより現世において剣聖を覚醒させているのだという。・・・この設定、フール・フォー・ザ・シティに登場した「地球にいるログナー」もまるっと飲みこめる設定ですよね。
22世紀の地球に誕生したマシンチャイルドのログナーに、ジョーカー星団のログナーの意識が宿っている・・・のであれば、この時点でバルト海に眠っている(あるいはS.I.D.が回収している)ラキシスの身柄を保護するために動いたとしても不思議ではない。同時に、騎士としての力を発揮できないログナーにも説明が付くはず。うん。すっきりする。
(2018.02.17 修正)

 

■ ツァラトウストラ公開 (p224)


オーハイネと共に去ろうとしたツバンツヒに天照が正体を明かし、彼女のミラージュ入りが確定したところでツラック隊のエピソードは終了。
星団各国のGTMが軒並み登場した本アピソードのオチとして、ついにツァラトウストラの全身像が公開された。ツバンツヒと天照が出会った⇒その結果としてツァラトウストラの真の完成が「確定した」ということだろう。コミック5巻でも、ソープとバランシェが出会った⇒その結果として天照とラキシスの間に生まれるカレンの出現が「確定した」とも受け取れる演出があった。今回もそういったイメージの喚起を促していると思われる。

にしても・・・ツァラトウストラの全身はウェディングドレスを模したモノになると考えていたので、完全に予想が裏切られました(いい意味で)。ほとんど怪獣というか。セントリー・ライブとファイア・ウィッチのダブル・イメージだろうか。あるいは、あらたまの詩女=リトラをイメージして作られたGTMなのかも知れない。横から見ると、巨大なベンダー・ウィグがモーニングドレスのベールのようにも見える・・・天照にとって婚姻と死のイメージで直結するのはやっぱりリトラのはずだし。巨大なアンクル・クレーンも長いドレスの裾を引きずっているようなイメージで捉えると、また印象が変わりますねー。

ツイン・エンジンの凶悪過ぎる出力を緩和するためにフレーム・ランチャーが取り付けられたはずなのに、ランチャー発射の反動を制御する(放熱も兼ねる)アンクル・クレーンも追加され、最終的にフレーム・ランチャーを運用するためのGTMとして完成したような印象である。固定武装の取り外しはできないので、コミック1巻の黒騎士との一騎打ちもイメージが大きく変わって来るはず。

ツァラトウストラが登場したところでこれまでの物語全体を振り返ってみると・・・。
ジョーカー星団における「天照の役割」って、本来はただの創造者・傍観者だったと思うんですよねー。それが、天照とバランシェが出会ったことで妻と子供が「出現」することになり、タイカ世界の絡みやラキシスを狙う動きも加わってサタンの干渉が激化したのではないかと。んで、おそらくログナーのアドバイス(?)もあってスタント遊星の接近時にサタンの大攻勢が来ることが予見されたため、それに対抗する措置としてミラージュ騎士団とツァラトウストラが必要になったのではないか・・・要するに、ツァラトウストラの存在意義はあくまで「サタンの駆逐」であったと思う訳です。
ところが、天照はどこかのタイミングで「人類がもうちょっと仲良くなって生き残れる」方法を模索するようになり、敢えて自らを人類共通の敵に据え置くことを決め、最終的にツァラトウストラを用いて星団侵攻を始めることになるのかなと。

そう考えると、FSSという作品で描かれるメインテーマは
「天照が如何にしてバランシェと知り合ったか」
「天照が如何にして妻を娶ったか」
「天照が如何にして騎士を集めたか」
「天照が如何にしてツァラトウストラを生み出したか」
「天照が如何にして成長し、心を持つに至ったか」
そして、「天照が如何にしてヒトを救いたいと思うようになるか」
という部分に集約されると思うんですよね。
今回のツラック隊のエピソードも、最終的にツバンツヒのミラージュ入りが確定したことで「天照が如何にして騎士を集めたか」、「天照が如何にしてツァラトウストラを生み出したか」というテーマを描いていたことになるので・・・まさに物語の本流を目にしていることになるのかなーと。ブラフォードの加入とか、この後のヨーンの話も、ミラージュ騎士が加入するエピソードですよね。

もうひとつ。
FSSという作品を彩るエピソード群の最後は、コミック1巻の最初で描かれたツァラトウストラ(=L.E,D,ミラージュ)とダッカス(=バッシュ)の戦いで〆られることになっている。
GTMを用いた戦乱はこの後も続くことが判明しているにも関わらず、なぜこの戦いが「最後」に位置づけられるのか・・・おそらく、ジョーカー星団の歴史の中で最も「華のある戦い」であったということだろう。より単純に「FSSの主役ロボ同士の戦い」だったと云うべきか。そう考えると、今回のオチってのはコミック14巻分のエピソードを通してやっと描かれた「真の主役ロボの登場シーン」になる訳です。少なくとも、これまでの劇中でフレーム・ランチャーを構えた姿は登場していないし、3007年公開時もまだ未完成の状態であったことは永野センセーがアチコチで解説していたはず。
連載開始時に描いていたデザインを全て捨て去った上での真の主役ロボの登場・・・うーん感慨深い。思えば、コミック3巻でL.E,D,ミラージュが登場したシーン(p71)も、連載時は違うアングルで描かれており、コミック収録時に描き直されてましたね。それだけ、永野センセーはツァラトウストラを劇中に出すシーンに拘りを持っているのではないかと。
MHからGTMに変更して、最初の見開きで登場したのがダッカスだった点も考慮すると・・・この2騎の登場シーンに関してかなりいろんな意図・意味が含まれているように思えますねー。

ツァラトウストラの登場により、ミラージュGTMの脚部をこれまで一切公開しなかったのは、「ツラック隊のエピソードのオチとして最後まで残しておく必要があったため」であることが判る。
この全身像を見たときに、アナタが何を感じ、何に期待するか・・・FSSという作品と付き合っていく上で、今回の「オチ」の受け取り方は極めて重要なような気がします。

つけたし。よく見たら、E型ミラージュがシングル・エンジン搭載型に変更されている。
E型は天照家J型駆逐戦闘兵器の開発素体として作られたティティン・エンパー・フレームに割り振られた型式名であり、この設定がイキているのであればツイン・エンジン搭載型である。
単なるミスと考えればいいのか。
(2018.02.17 修正)

 

■ ミラージュ女子会 (p230)


スリーブノートで描かれるのはミラージュ入りしたツバンツヒに降りかかる災難の話。・・・というか、ミラージュ女子はどのようにして結束するかという裏事情を描いた話である。いやーホントにミラージュが女子高生・女子中学生騎士団になっとる。

グリース王立内宮高等学校は天照家内宮の敷地内にある総合高等学校。つまり、首都グリステリアの宮殿内にある学校である。1コマ目、校舎の奥に浮いている船舶はホエール型戦艦のようにも見えるが・・・どこかに行こうとしているのか、ただ浮いているだけか。・・・ミラージュ騎士団の一部が天照と共にミノグシアから戻り、補給を終えて再びのミノグシアに向かおうとしているのかも知れない。
同校はミラージュ騎士のリィ・エックス、パナール・エックス、オリビー・タイトネイブ、ミューリー・キンキー、シトロン・メナーのほか、今回登場したイーシ・ルーマー、そしてビット・マエッセンが勉学に励んだ場所でもある。ツバンツヒは社会勉強をするために入学したため、騎士科ではなく、普通科の学生となっている。

キンキーの帽子が「あついぞコラ」と云っている。んで、中等部メンバーは全員が冬服。高等部のメンバーは平服を着用している。つまり、劇中の季節は「夏服への衣替え直前」もしくは「冬服(平服)への衣替え直後」の季節ということ。この後のツバンツヒの入城シーンで、観光窓口に掲げてある「今月のみどころ」に「プラントきのこ狩り」と書かれているので、秋になったばかりと考えればいいのか。まあ、プラントであれば季節を問わず様々な野菜・キノコが採れるのかも知れないが。

シトロン・メナーが学校に戻っているということは・・・ちゃあ・ティの護衛役を別の誰かが引き継いだということ。うーん・・・アイシャがムンスターに向かったのか、ヨーンと合流できたのか。そういえば、キンキーも魔導大戦の開戦後にファティマ・イルペオを伴ってミノグシアに入っていたはずであるが・・・迷子になってそのまま帰国したのだろうか。ちゃあと桜子もルミナス学園の学生であり、本来は今回のメンバーのように学校で勉学に励む必要があるが、このふたりはおそらく休学中である。

下着の話。
ツバンツヒが着用しているブラデリスは大阪に本拠を置くゴールドフラッグ株式会社が1994年にニューヨークで開業した補正下着ブランドBradelis New York(ブラデリス・ニューヨーク)のこと。「美胸・美尻を育てる」機能に特化した下着ブランドとして宣伝されている。
パナールが着用しているチュチュアンナは大阪に本拠を置く株式会社チュチュアンナが展開する同名の服飾ブランド。2013年の創業40周年を機にブランドコンセプトとして「カワイイを、未来に。」を掲げており、10〜20代の若年層に人気のブランドとして知られる。
アモはトリンプ・インターナショナル・ジャパン株式会社が1998年から展開している下着ブランド「アモスタイルバイトリンプ(AMO'S STYLE by Triumph)」のこと。ブランド名が長いため、アモスタイルもしくはアモとも呼ばれる。「夢みるブラ」シリーズがとくに有名。
ピーチ・ジョンは野口美佳が1994年に設立した女性向け下着通信販売会社。同名の通信販売カタログを季刊で発行しており、オリジナル・ブランドの製品と輸入下着を取り扱う。ブランド名は「桃太郎」の意。
地球年齢で10代に相当するキャラクターは年相応の下着をチョイスしているようだが、実際には超高齢で体型を変えられるツバンツヒが補正下着を付けている点が微妙に面白い。胸とか尻の形は微調整ができないということか。

それにしても、下駄箱にラブレターとかどんだけ昭和なんだ。エルメラ王妃の告白もラブレターだったし。ジョーカー星団では学生が学内に通信端末を持ち込むことは御法度らしい。
あと、ツバンツヒの頭に付いているピンクのポンポン(?)は弱点になっている模様。
(2017.07.09)

 

■ ツバンツヒの入城 (p62)


天照によって一時的に記憶を消されたのか、天照に出会ったショックで記憶領域が破損したのか、なぜか記憶が覚束ない状態でツバンツヒが入城。
p242でマーク2を取りにボォスへ向かっているので、民間のシャトルで来たことが判る。

観光窓口のところに貼ってある「空とぶえびせんべい」という文字が引っかかる。商品名があまりに突飛なのと・・・そのポスターの前に置いてある「オプション」と書かれた三角札がなんとも・・・。ツァラトウストラのオプション武装がエビの煎餅みたいな形になったことを永野センセーがこっそりアピールしているような気がしないでもない。
王宮の床は巨大なグラフィックディスプレイになっているらしく、歩くと後方に光の欠片が表示される模様。お洒落な仕組みである。

ハインドとルンが登場。ふたりとも漆黒の黒十字をあしらった服装のためか、ツバンツヒも即座にミラージュ騎士であることに気付いた模様。
ツバンツヒが入城することは天照の勅命(という名のメモ書き)で御達しがあったらしい。天照のメモにある「XD」は笑った顔を左に傾けた顔文字。「XO」であれば英語のスラングで「hugs and kisses(抱擁とキスを)」という意味。

天照の私室に置いてあるベラ国土産のクマの置物は、北海道土産の木彫りの熊と一緒。サケの仲間は基本的に北方種で、それを狩る巨体のクマも北方に生息する。そういった地域でなければこのような土産物は作られない訳で、ベラが北部ミノグシアに位置していることを考慮した細かい演出と云える。最近は巨大なサケがクマに噛み付いている木彫りの熊もあるらしい。
・・・にしても、アイシャから逃れるためにラキシスを置き去りにしてきたのか。天照のへたれぶりもここに極まれり。アイシャはそのままミノグシアに残っているようだ。

ツバンツヒが床に「のの字」を書いている。のの字とは、若い女性が恥ずかしがったり、すねたりするときに、指先で平仮名の「の」を書くような仕草をすること。近年の舞台、映画、ドラマ、アニメなどでそういった仕草を見る機会はほとんど無い。と云うか、全く無い。ツバンツヒも昭和世代なのか。
(2017.07.17)

 

■ ミラージュ女子の気苦労 (p237)


ツバンツヒが自らの恋心を高らかに宣言したことで、女子勢が暴走する。学校の廊下で何をやっているんだか。
キンキーの母国はミューリー王国と呼ぶらしい。家名がキンキー家という設定なので、キンキー王国ではないのか。

シトロン・メナーが云っている大奥とは、江戸城に存在した将軍の私邸のこと。将軍家の子女、正室・側室、女中の住居であると同時に、正室を頂点とする数百から数千人規模の組織を指す。その最たる目的は将軍の世継ぎを作ること。天照王朝に大奥のシステムがあるとは思えないが、天照に世継ぎが存在していない現状を考えると、大奥軍団という例えは云い得て妙である。
一方で、シトロン・メナーは「陛下の子種」は非論理的と知っている。つまり、陛下には子供が作られない=不老不死の存在であることを知っているということか。あ、イーシ・ルーマーが「血を受ける」と云っているので、単純に女子高生が陛下の正室に付くのは非論理的ということか。
まーいずれにしても、天照は相変わらず劇中最高のモテキャラということで。
(2017.07.17)

 

■ ラキシスのミノグシア放浪 (p239)


天照に逃げられたため、お供を連れてミノグシアを歩き回るラキシス。あーこの流れでジャコーとかダイ・グと出会うのか。ラキシスが星団で残す戦績は「天照に永久全勝、カイエンに3勝、ログナーに無敗、マグダルに4勝、赤子のマキシに2勝、デプレに3勝、ベルベットに99勝、慧茄と水入り、フィルモア5に惚れられ、クリスに勝ち逃げ、ジャコーと戦闘放棄、ユーゾッタにサンダルキック、ナインと引き分け、すえと2勝1敗」となっている。この大半はミノグシアに滞在しているメンバーである。アチコチでうまいモノ巡りをしながら、各国首脳と出会うことになるのかも知れない。

ついでに。
ジェラート・ピケは東京都千代田区に本拠を置く株式会社マッシュスタイルラボが2009年に設立した部屋着ブランド。アイスの生地と呼称されるモコモコ素材の衣服が看板商品となっている。
アナトリアはおそらく神戸市に本拠を置く株式会社ワールドが2002年に設立したレディース・ブランドanatelier(アナトリエ)のこと。ブランドのオリジナル生地やレース、細やかな刺繍を用いた上品な造りが特徴。
女子高生・女子中学生メンバーが地味に張り合っている中、好きなもんを買って、好きなもんを食べて、どんどん先に行くラキシスが描かれて終了。天照に逃げられたのに落ち込まないラキシスがエラ過ぎる。この辺は既に熟年夫婦のような感じである。
(2017.07.17)

 

■ ミラージュ・パレスの災難 (p240)


劇中に登場する度に災難に見舞われる場所ミラージュ・パレス。今回もやっぱり災難が降りかかることになる。
フロート・テンプルの7つの塔が自己防衛のためにしゃべるって・・・4100年の浮遊城陥落の際にどれだけ大騒ぎすることになるんだか。可哀そうな役回りである。
ちなみに、p240の1コマ目に登場しているのがヴァーミリオン・タワー(朱塔玉座)。p243の2コマ目がブラウ・タワー(青の塔)、p245の1コマ目の後ろに見えているのがヘル・タワー(晴れの塔)、p247の1コマ目で「あー」と云っているのがグライス・タワー(輝きの塔)になるだろうか。他は判らず。他に7つの塔で名前が確定しているのがデモンズ・タワー(魔の塔)とネードル・タワーの2つ。7つ目の塔はいまひとつ不明。これまでの設定を振り返ると、ミラージュ・タワー、パレス・タワー、パトラクシェ・タワーなどの名前が出ている。

ツバンツヒがボォスに向かったことで、マーク2はバランシェ邸に放置してきたことが判る。「少々おまちを」と云っているが、民間シャトルで渡航したのであれば往路だけで1週間は掛かっているはず。

懐かしい顔ぶれが大集合。
p242で天照の隣にいるのはメルカ・ルーモアズとダグエラン・ルス。
アキレスに話しているのはディッパ・ドロップス。アキレスのマスターで第2期ミラージュの中核のひとり。アキレスの隣がイカロス。パナールのパートナー。
ブラフォードの隣はヴィッターシャッセ。何年ぶりだろうか。
(2017.07.23)

 

■ イカヅチ丸について (p249)


ログナーのセリフから、雷丸は自身が搭乗するGTMに付ける個体名であることが判る。デザインズ5に拠ると、超帝國時代に搭乗していた群青色のシュッツィエンも雷丸と呼ばれていたらしい。
旧設定では、ダイアモンド・ニューが製作したマイティ・ベータにも雷丸という名前が付けられていたのだが・・・新設定における名称・詳細は不明。今回、ログナーがマーク2を貰い受けることで、ニューが製作したGTMの登場が無くなる可能性がある。

ログナーが「コーラスのガキに取られる前に」と口にしている。マーク2は星団暦4000年代にスカイアギフトと共にコーラス軍の所属になることが決まっているらしい。現時点においては副読本でのみ明かされている設定のため、劇中のログナーが未来に起こる事象を知り得るはずもないが・・・まあ、単なるセンセーのお遊びということだろう。
また、ログナーはコーラス城陥落時にマーク3(破烈の人形)に搭乗することが判明しているため・・・この後でマーク2、マーク3、ウーラソニックとほぼ全ての可変騎に乗ることになる。
まあ、単独行動が基本となる人物のため、恒星間移動を可能とするGTMが手元にある方が助かるということだろう。
(2017.07.23)
 
 
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