† 第11巻 エピソードガイド †
The Five Star Stories XI
 
コミック初版とTales of Joker#25〜29を参考に。
今回は加筆や修正が結構あります。またNT連載時の扉絵設定画や説明文は単行本に収録されていない部分も多く、本編に絡んでくる情報も多いので、可能な限り補足して考察してます。
 

 

■ 扉絵にヒュートラン (p1〜)


初っ端の扉から謎のキャラ。ゲートキーパーとクローソーに重なって描かれているファティマは11巻の巻末にも掲載されているヒュートラン。7巻で戦闘能力2Aをもつファティマとしてハスノホルテとともにアーレン・ブラフォードが口にしていたファティマである。彼女のマスターについては巻末の説明や「SW」でも伏せられているが、ヒュートランが初出となった「NT2003年2月号」の付録カレンダーには後ろにピンク色のクロス・ミラージュ(厳密には違うんだけど)が描かれてあり、このMHの頭部に描かれているマークがワスチャ・コーダンテ・メル・ダージリング・天照のスカートに描いてあるマークとほぼ同一であることから、ワスチャこそがマスターであることがわかる。

そのワスチャ・コーダンテについてはカラーページのラストで「今巻初登場」となっているが、登場しているのは本編ではなく巻末の並列外伝「プロムナード」の主役チャアがこの人物に当たるらしい。「プロムナード」は「FSSのキャラがゲスト出演しているまたは幾つかの欠片を織り交ぜたアメリカが舞台の学園マンガ」なので、登場人物を全てをFSSに当てはめるのは無理であるが、チャアに姉さんがいることや実家と距離を置いていることなどは、ワスチャの設定にかぶってくるものと思われる(こういうマンガの手法は手塚治虫などに多いですね)。

蛇足となるが11巻の裏表紙の四菱の紋もヒュートランに絡んでくるマークである。四菱はグリース王家の家紋であり、構成色の朱色、桃色、草色はアイシャがテロル・ミラージュを使用した際に用いた信号弾と同色であることから、この点からもワスチャ(コ−ダンテ家)とヒュートランの関係は見えてくる。んでもって表紙イラスト右側のファティマもヒュートランである(左はBF11からバクスチュアル)。これだけ宣伝するからには、よほどセンセーの思い入れが深いキャラと踏んでいいだろう。次巻での活躍を望むばかりである。
(2003.04.21)

 

■ 第6話冒頭 (p10〜)


タイカ、ジョーカーからも離れた神界からスタート。p12〜13は「NT」から9巻の単行本収録時にカットされた第5話冒頭の見開き扉絵である。ぱっと見た感じでゲートキーパーと天照大神、マキシ、シルビスがみえるほか、p13下部に見えている2人はそれぞれU.R.I.とカレンが、デーモンとビーナスに融合している状態に見えなくもない。ただ、この後の神々の会話シーンではU.R.I.もカレンも出ていないのでちょっと微妙。
p10〜11の絵は単行本で追加されたページになる。小さく描かれている部分は11巻に出てくるシーンがほとんどであるが、その他の部分・・・膝を落とし泣いているクリスティン、岩に寄りかかっているラキシス、光のタイ・フォン、右腕を失ったマドラ・モイライなどは12巻の予告と考えていいだろう。一番厄介なのがp10下部の3人で、左から何となくエスト、ヨーン・バインツェル、クーンのように見えるのだが・・・さすがにヨーンのエピソードにクーンが絡んでくるとは思えないのでやっぱり不明。

「TEAR is TEAR!!」という言葉はおそらく6話のラストにつながる言葉。「KF」によると、6話のラストはアウクソーの涙で閉じるらしい。
(2003.04.23)

 

■ 懐園剣 (p15)


ついに抜き身の状態が公開された懐園剣。柄の光っている部分がちゃんと螺旋の円十字になっている点に注目。p11でマドラが抜いている状態と微妙に異なる。
「カレンが産み落とした双剣」という設定もびっくりだが、マキシがジョーカーにおいても使用していたというのが予想外。タイカ宇宙でしか抜けない剣だと思ってましたが・・・。「双剣」というのが「ジョーカーとタイカにそれぞれ存在している」という意味なのか、「二振りが存在する」という意味になるのかは不明だが、カイエンがもつ黒のスパッドはこの大太刀と対になる剣らしい。3030年の時点では大太刀の方はアルルが所持、スパッドの方はこの巻で描かれるようにカイエンからミースに引き継がれる。

あ・・・もしかしたらマキシがジョーカーで使用したのがスパッドの懐園剣で、タイカで使用したのが大太刀の懐園剣ってことになるのか?んで、神界での懐園剣は「双剣の融合した姿」と考えればセリフのつじつまも合うし、一応納得。マドラが抜いている状態と異なることも説明がつく。

マキシを指すファーンドームの星王というのが何を意味しているのか、この辺もやっぱり不明。
(2003.04.23)

 

■ 暁姫とファントム (p16)


ハスハント解放戦に備えるマキシたち。ミラージュのマークと「XVIIII」が描かれているMHは暁姫。3015年に天照からエンジンをもらったダイアモンド・ニュートラルが、完成後の搭乗者を天照に一任して騎体を預けておいたという設定になっている。ロールアウトは雷丸、彗王丸と同じく3030年か。このシーンは3075年、マキシがミラージュ入りしているので装甲色はオレンジではなくオペラ・ピンク(膝にミラージュのマークがあるから)、名称もデストニアスに変わった後の仕様である。機体No.のXVIIIIはマキシのミラージュNo.である22とは異なるが、これはレッド・ミラージュの仕様と合わせて搭乗騎士のナンバリングがずらされているためと思われる。
んーっと、暁姫は剣聖に与えるという条件つきで一任されたはずでしたが、マキシが正式に剣聖になる前に渡されたということになりますね。

ファントムは、当初は剣聖慧茄が使用するノイエ・シルチスの重帝騎という設定だったが、11巻では黒色がマドラ・モイライ、白色はナイアス・ブリュンヒルデがそれぞれ搭乗している。この巻の終盤を読めばファントムはルーテン・シャープス博士がマドラのために作成したMHということ、マドラがミラージュのNo.10であることがわかり、黒色のファントムにミラージュのマークがついていることも筋が通る仕組みになっている。
ファントムの仮デザインはマジンガーZに出ていた「ガラダK7(マジンガーZが最初に戦った機械獣)」に似ていたのだが、正式デザインでは角などが変更された。
仮デザインもかっこよかっただけにちょい残念(TOJ#26などに掲載されてます)。
(2003.04.23)

 

■ 壊れたアウクソー (p18)


マキシが口にする「アウクソーは壊れちゃってて」の理由がわかるはp32、カイエンの「Seek out your next」によるものらしい。詳細な考察は後述。
アウクソーはフォーカスライトを再構築したマキシ専用のコンプリート・ファティマだが、彼女はマキシのパートナーになるとの話もあるので、今後どうなるかはやはり不明。彼女を再構築したエトラムル型ファティマが「デルタ・ベルン」ではないかとの噂もあるが、「デルタ・ベルン」は人型のものもある(マスターはデプレとコーラス24〜26世)との話もあり、バランシェ亡き今は(そしてセンセーが口を割らない限りは)全くもって謎。
(2001.04.22)

 

■ 3030年〜3075年における魔導大戦の状況 (p18)


ビルトの戦況報告から魔導大戦の45年間に何があったのかいろいろ読みとれる。
暴風三王女の足取りとか、ミューズの立ち位置とか、エストの流れ具合とか。
エストが誰とハスハ側についたのかがキーポイント。・・・たぶんソープであると予想。

斑鳩とタイトネイブはくっつくものと思っていたのだが・・・ワスチャだけが天照の直系の血を残す唯一の女性ということは、斑鳩も血を残さないということ。
それから、11巻でハスハの本隊と分断されフィルモアとの交渉に入ったナカカラのディスターヴ隊が、なぜか暴風3王女とハスハント解放戦に参戦するというのもポイントになる。解放戦にフィルモアが一切関わっていないことと(マドラはミラージュとしての参戦、ナイアスは不明)、「SW」で語られているダイ・グに出されたという謎の指令は微妙に絡んでいるものと思われるが、この辺はまあ12巻を楽しみにしましょうってことで。
(2003.04.27)

 

■ マキシの登場 (p18)


マキシがいきなり子供で登場・・・。彼の誕生についてはこれまで伏せられていた部分が多いが、11巻で一通りは明かにされる。くわしくは後述。
マキシは3031年誕生という設定でハスハ陥落の翌年に産まれることになる。幼少時を天照家で過ごしたため、王家の家訓にならって女子として育てられたとのこと。今回の登場が元服前かどうかは不明だが、見た感じではまだ女性の格好である(と云っても、成人後の斑鳩だってスカートだしね)。
マドラが「殺しても犯してもいけない」と云っているが、マキシがホントにミースを殺したいとか犯したいとか思っているのかは不明。実際のところマキシは星団史上最強であると同時にホントに最狂で最凶らしい。ただこうやって曲がりなりにも兄と共に戦おうとしているのであれば、多少は人間らしい情緒は持ち合わせていると思いたい。

マキシが聞き分けのないことについてバルンガがマドラに相談しているが、薔薇の剣聖であればこそマキシの制止役でいられるということに注意。おそらくセンセーであれば「あれはマキシがマドラの力を知っているからで、剣聖の位欲しさだけでは他人の言葉に耳を貸すはずがない」とか云うはずである。
(2003.04.27)

 

■ マドラ・モイライという名の騎士 (p17)


前述のとおり、マドラがミラージュのNo.10であることや、剣聖の称号を授与できる理由などについてはこの巻で語られるが、3075年のマドラは3030年と比べて明らかに性格が変わっている。3075年の方が本性のような気もするが、どちらかというとスパーク(ピッキング・ハリス)との人格融合が起きた感じである。
スパークは以前ハスハのスキーン隊の隊長であったことを考えると、(今までの素行は目をつぶって)ここでの立ち回りや物言いはスパーク本来のものと思えるんですよね。
逆に、かつて素行不良でハスハから追い出されてしまったというスパークの過去も、マドラが引き起こした凶状が本当の原因と考えると納得もいくはず。この辺の考察も後述とします。
ま、スパーク自身がちょっとイカレた変態であることは、今までの描写でも十分わかる訳ですが・・・仮にもスキーン隊の隊長でハスハきってのエースであったことを考えれば、騎士団の隊長に違わぬまともな人物であった部分もあると思われる訳です。
(2003.04.27)

 

■ 遡った時 (p20)


目的の時間より45年後の世界を見たのに「遡り過ぎた」と云っている。これは神界の時間の流れが通常の世界とは違うことを現すためのセンセーのお遊び。
(2001.04.22)

 

■ ネコ目エルフ耳の神 (p20)


天照大神とマキシ、シルビスの他に新キャラのシルがp20に出ている。公式ホムペとTOJ#23の説明をみる限り「シルビスのプロトタイプでアンカーの戦闘ヒューマン、センタイマとペアになる」ということだが、この辺は時間軸がわからないのでいつ誰が作ったのか、なぜ全能神レベルに昇華しているのかは不明。オンラインゲームPSOのハニューエルが元キャラだと云ってしまえばそれまでなんだけど。
(2001.04.22)

 

■ 44分間の奇跡 (p21)


なぜ神々の干渉する時間が44分間なのか?これはおそらくラキシスのシリアルNo.から用いられている。
ラキシス(BF44)は神につく側、クローソー(BF45)は人間につく側である。つまり魔導大戦は44(ラキシス)分間の神の奇跡に対して45(クローソー)年間の人間の反抗が続く時代と捉えることができる。実際にラキシスとクローソーが戦う訳ではないのだが・・・。
それよりマキシの云う「母と母であった方々(マザース)」の方が謎。おそらくミースが母親で、母であった方々というのは育ての親ということだろう。ってことは、カラーページに書いてあるようにナトリウム・フンフトってことか。フンフトは桜子の母親であるから、マキシは乳母であるフンフトを通して桜子と姉弟のような間柄であるとも云える。「SW」ではミラージュのマークをつけた服を着ている桜子が掲載されていたり、11巻の巻末にはヒュートランのメンテナンスを桜子が担当していると書いてあるのだが、マキシとの関係を考えると桜子の行動にも筋が通ってくる感じである。
(2003.04.29)

「ISSUE」p42によると、この奇跡の仕込みを神々が3075年の230年前、2845年ごろに行ったらしい。あるホムペで2845年はクーンがアース・ドラゴンの元へ行ったころではないかという邪推がされてました。うーむ、すんごいですね。
ボォス2999年のときにクーンがアース・ドラゴンの元で150年間眠っていたと確かに云ってます。
この「奇跡」と「仕込み」、マキシと懐園剣絡みのイベントだと思われるが、そうすっとハリコンや光のタイフォーンが絡んでくるはずで、でもハリコンの剣聖在位はもっと以前の話だし、ついでに2845年はディモスの剣聖在位の中でも2回目の在位期間の真っ只中だから、何がどうなってクーンが眠りに入ったのかは依然謎のまま。
(2001.05.13)

 

■ エートールSKS (p22)


見開き中央のエートールは他のエートールと若干形状が異なる。頭部の騎士団マークも異なるが、AP騎士団の各部隊のマークが公開されている訳ではないのでこれだけでは判断できない。少々情報不足だが、本丸を守っているんだからスキーン隊のSKSかなーとか思います。SKSは10巻p235に1コマだけ登場している。
(2001.04.22)

 

■ おじいさま (p26)


デプレがコレット王に対して「おじいさま」と呼んでいる。これは、ヤーボ亡き後ムグミカがデプレとマグダルの後見人になっていたから。コレット王からみれば全く血縁関係はないが、子供をもつことができないムグミカにとっては息子、娘も同然ということで、コレットが曾孫としてかわいがっているのであろう。父親のカイエンがあんなんだから下手したら実際の血縁よりも家族としての情は深いのかも知れない。
(2003.04.27)

 

■ 公宙 (p28)


「公宙」という単語から、ジョーカーでも衛星軌道上に国家の境界がないことが示唆されている。
宇宙からダイレクトで兵器の持ち込みが可能なのにこれでいいんだろうか?スターウォーズなどでは衛星軌道上にステーションがあって、惑星への降下船の取り締まりをやっている訳だが、これは惑星内で国家の分割がほとんどないから。・・・よくよく考えてみるとそっちの方が不自然だなぁ。
3巻でも大気圏突入後にイマラがコーラスへの入城許可をとっていたので、国境の基準は現在の地球に近いと考えられる。
宇宙での国境の設定は無理かもしれないが、ジョーカーであれば衛星軌道上も国境を置くべきではと思う。
(2001.05.13)

 

■ メロディ家とハスハの関係、そしてセイレイ (p28)


副読本などでしっかり書かれているが、ハスハの前皇帝のフンフトがメロディ家の当主ピアノ・メロディ3世と不倫したため、アルルの実家は取り壊しになっている。その際にできた子供が10巻で登場したナトリウム・シング・桜子であり、フンフトは桜子をもうける際にダイバー・パワーを失っている。巫女たる所以に。
アルルから見ればお家取り壊しの原因である義母の国に雇われたことになるのだが、むしろ彼女の怒りは体裁を気にして一族を散り散りにさせたコーラスに向いていると思われる。セイレイは2989年のコーラス・ハグーダ戦でハグーダの裏にハスハがいたことを知っているので、王家のMHであるエンゲージを持ち出し、尚且つ敵国に寝返った(と見ている)アルルは許せないと。故に2人の激突は必至ってことです。
まあ、この2人の激突を止めるために、コーラスからマロリー・ハイアラキが駆けつけるので、コーラスもまたメロディ家を蔑ろにはしていないってことになりますか。
草葉の陰でサードが嘆いているかも知れないが、メロディ家が取り潰しになったのは、おそらく当時の国王であったサードにも責任の一端があると思われる(この人も奥さんを大事にしていなかったしね・・・)。
(2003.04.27)

 

■ コブラの配置 (p30)


デプレがヤーボの使用騎コブラの配置を気にしているが、これは形見としての気遣いであろうか?エートールは基本的に国家の所有物なので、こういった運用には問題があるような・・・。エンプレスが大破した場合の予備か?
このコブラは後にワンダン・ハレーがビルトとともに乗り込むことになる。
(2001.05.13)

それから前ページp29に書いてある「聖導騎士団」だが、セリフとこれまでの描写を見る限り、デプレが騎士団長、マグダル・ガードのアード・ゼニャッタとヒン・モンダッタ、アルル・フォルテシモ、そしておそらくSPK隊とかけもちだがロータス・バルンガもこの騎士団の在籍になると思われる。3075年にはこれにワンダン・ハレー、マドラ・モイライ、マキシが加わる訳だ。3075年の時点ではホントに星団史上最強騎士団と云える(レッド・ミラージュには勝てないだろうけど)。
(2003.04.27)

 

■ 次の主を探せ (p32)


カイエンの「Seek out your next」により精神崩壊を起こしてしまうアウクソー。
コンプリート・ファティマ故の「ただ一人のマスターがいなくなった→存在理由の消失→自滅」という感じだが、やはりここはカイエンに別れを告げられたことによる心因性のショックととらえるべきだろう。フォーカスライトの情報体を持ち、純血の騎士にのみ仕えることを望んできた彼女にとって、最後のマスターであるカイエンに一方的に別れを告げられたのだから、死にも等しい仕打ちである。

カイエンがシュペルターを使用しないのは、おそらくボスやんからムグミカを守るため。MH戦であれば星都ベイジを守ることが可能でも、テレポートでいきなりボスやんが来てしまえばMHに乗っていることが逆に仇になりかねない。ボスやんにとっては後の驚異となるマグダルを始末することよりも、現アトール皇女のムグミカを始末することが第一目標であろうから、ここでカイエンが残るのはヤーボの意志を継いでのことだと思われる。この後の展開を見ればカイエンとマグダルは最初から死を覚悟していたことがわかるが、ヤーボの意思を継いで王女と共にこの場に残ったカイエンは最高の「漢」ですね。
ボスやんとの戦闘を控えたカイエンにとって、アウクソーを生かしておくための唯一の方法が「別れ」だったということ。死ぬときまで付き従うことを望んでいたアウクソーと、たとえ壊れてでもいいから生き延びて欲しいと考えるカイエン・・・これは男と女の違いではなく、生きることの本当の意味を知っているカイエンならではの行動。ゲリラとA-Tに語っていたように物語中で最も命の尊さを知っているのはやっぱりカイエンなんですよね。
サリンジャーの「ライ麦畑でつかまえて」にこの部分を実にうまく語っている言葉が出てくるんですが、興味のある方は小説を読んで下さい。いい小説です。
(2001.05.13)

さて、冒頭の45年後のシーンに戻ってみると、彼女はこの後45年を経ても精神崩壊から立ち直っていないらしいことがわかる。バッハトマの管理下でまともな治療を受けられなかった可能性もあるが、ミースがいっしょにいるのであれば治療を行っていないはずがない。つまりそれだけアウクソーの心因的ショックは大きかったってことか・・・ファティマの精神面の弱さもこの辺から読み取れますね。
巻末にあるファティマのスペック表を見ると、アウクソーの精神安定性は「B1」にランクされており決して低い方ではないのだが、「A」のクローソーもコーラスの死により精神を閉ざした(クローソーの場合は感情面の多様さがそのまま精神面の弱さに直結している感じもする・・・全設定解除もいいことばかりではない)ことを考えると、いかにファティマが精神的に弱い存在であるかがわかる。戦闘能力が「A」で騎士レベルってことは、精神安定性が「A」で普通の人間と同じレベルと考えていいのかも知れないが・・・。
逆に、アトロポスは妹と戦うという過酷な運命を知ったにも関わらず、精神安定性「3A」故に精神崩壊も起こせない状態なのかも知れない。やっぱり三姉妹の中で一番可哀想な気がしますね。
(2003.04.24)

 

■ エートールの頭部 (p36)


エートールの頭部にもレッド・ミラージュと同様のアンカー・スリットが描かれている。整備などのためMHを固定する際に、この穴からアンカーを打ち出して姿勢を保つことが可能。
(2001.05.13)

 

■ 衛星軌道砲撃 (p37)


衛星軌道上からの砲撃が可能なら、地上から衛星軌道上への砲撃も可能なのでは?スターウォーズでもやってたし。
当たらなくても牽制くらいできるだろうし・・・。ま、今回は上空の戦艦のどれが敵でどれが味方かフタを開けてみなければわからないと云っているので、例え地上からの砲撃ができたとしても先手は打てないか。
(2001.05.13)

 

■ 帰還するモノ (p40)


マグダルが云う「帰還する者」とは、かつてのハスハの祖ファロスディー・カナーン超帝國皇帝のナインのこと。この後の展開を見てのとおり、捧げなければいけない「等価」とは、(今回のところは)ムグミカとカイエンの血ということになる。
10巻p232でマグダルがフェザー・ドラゴンの死を感じ取っていることが描かれていたが、ここでマグダルが囁くセリフはフェザー・ドラゴンとの契約を履行するムグミカの行動を予知したものではなく(いや、予知していた可能性も捨てきれないが)、歴代の巫女に受け継がれてきたナインの言霊と思われる。

ちなみにこれまでナインがジョーカーに帰還した時のことを思い出すと、AD8383の時に捧げられた「等価」はバーシャ、ドラゴンとの和平時に捧げられた「等価」はカイエンの両親、と無理矢理こじつけることもできる(捧げられる以前に現れたのは十分承知の上で)。まあこの時は星都が炎に焼かれた訳ではないが、基本的に代価なしでは降臨しない生神さまと考えてみると面白いかも知れない。
(2003.04.27)

 

■ 朝焼けと山 (p43)


p43下のカット、カラーであれば真っ黒の山の影と朝焼けで黒騎士のカラー(ブラックとオレンジ)と同じ色合いになってたはず。たぶん。
センセーかっこいい。
(2001.06.10)

 

■ エストとコクピット (p44)


黒騎士バッシュのファティマ側コクピットは、エストの特殊なプログラム、シンクロナイズ・フラッターの都合からプラスティック・スタイルの仕様に変更できないという設定だったが、ヘルメットや左右のコンパネなどは変更されているように見える。まあ、パーツ交換と考えればいいんだろうけど。
エストの右手の袖のマークが黒騎士のマークではなく、バッシュ王女のマークになってます。センセーがあえて2つのマークを書き込んでいるみたいですね。
デコースは装甲服で搭乗中。スパークに切られた縫い目の部分はエストが直したんでしょうか?
(2001.06.10)

 

■ ボスやんの侵入に注意 (p46)


バルンガが「MH戦だけならば・・・」と云っていることから、ボスやんのテレポートによる侵入に注意していることがわかる。カイエン、ムグミカだけでなくバルンガもこの後の展開を覚悟しているんでしょう。
(2001.06.10)

 

■ マキシ考察 (p46〜)


ミースの言葉から、マキシはミースの卵巣をアウクソーの子宮に仕込み、カイエンの冷凍精子を得て発生した後、再度受精卵をミースの(ファティマ型の)子宮に移して成長した子供だということがわかる。そして受精直後にバランシェの考えていたゲノム侵入型のプログラムが起動して遺伝的に全く別の「生物」に書き換えられていくと。

10巻ラスト、ミースがハスハ入りしたときにアウクソーと会話しながらマキシ構想のことを思い出してますが、このとき既に前フリしてあった訳ですね。
ミースはアウクソーに「あなたの子供が欲しい」と云って協力をお願いしたようだが、遺伝的にはカイエンとミースの子供になる訳で、アウクソーの子宮を借りるのは超帝國の騎士のDNAを維持するために必要な体質、つまり補修抗体を作り続けるファティマ型の胸腺をもつ体質を獲得するためということになる。ちょっとセリフを読み解きにくいが「超帝國騎士のDNAとも異なるワームループしたDNA」と「展開性抗体」も「胸腺」と同じくファティマ由来ってことですよね。

カイエンは遺伝的には何のつながりもないはずのクーンの面影を残していた。このことを考えれば、アウクソーの形質の一部はマキシに継がれると考えていいのだろう。そう考えないとアウクソーもちょっと可哀想な気が・・・。まあ、アウクソーからすればカイエンの子供を一時でも宿すことができただけで幸せだったのかも。

ミースがカイエンの生い立ちに詳しいのは、おそらくバランシェから聞いていたためである。両親の名前などについてもレッド・ドラゴンがバランシェに教えてくれたと考えていいだろう。
カイエンの生い立ちについて読者は10巻で既に知っていた訳だが、一応カイエン自身は知らないってこと(6巻参照)になってたはずで、ここまでペラペラしゃべるミースにちょっと首をひねっちゃいます。カイエンのことだから知らないフリをしていた可能性もありますが、基本的にカイエンって裏表のない性格だから、この辺ちょっと疑問。
しっかしアウクソーはフォーカスライトの情報を持っており、全てのファティマはスバースの遺伝情報をもっていることを考えると、マキシの遺伝子にはアッサラム・スキーンズ、ヤーン・バッシュ、ナッカンドラ・スバース、クーン、カイエン、ミース、バランシェのよくわからんプログラムと、とにかくムチャクチャな血筋であることがわかる。尚且つファティマの感覚でいけばバランシェ・ファティマの末弟に位置しており、出生後は天照家に籍を置いて元服まで成長、成人後はフェイツの名を継いでフェイツ公国の当主になるんだから、非常に厄介。

その他、気付いた点をいくつか。

ミースのお腹が目立っていないということは、ジョーカーの人達の妊娠期間は地球人とほぼ同じってことだろうか?寿命が長いから妊娠期間も長いと思っていました。受精卵は10年間寝かしたとの説明もあるが、アウクソーの胎内に胎盤が形成されてからでは移植は難しい(ジョーカーでは可能だろうが)と思えるので、正確には発生の開始以前で10年間が経過していると考えていいだろう。

ファティマの体の特性をもつってーとバランシェの延命用ボディを思い出すが、こちらは脳の老化を防げず薬漬けの体になっていたはず。カイエンの場合はバランシェとは異なり脳自体に老化も防げる遺伝的特性があったと考えればいいか(脳に遺伝的な特性があるかどうかは知らんけど)。もうひとつ、バランシェは(カイエンを匂わせるように)ファテマの出産について「ただの人間に退化するだけ」と云っていたが、これもカイエンの実の両親を隠すための詭弁だったってことですね。

3030年現在で既にミースのお腹にはマキシがいるということになるが、この後のハスハ崩壊から解放までの45年間にアウクソーとミースがバッハトマの手の内にあるとしたら、誰が産まれたマキシをAKDに連れていくのだろうか?・・・フンフトが乳母であるのであれば、彼女と以前から交流のある東の君(つまり天照)が動いた可能性が高い。

p50のヤーンのスカートのマークが黒騎士のマークになってます。たぶんセンセーのミス。

コークス博士曰く「少女から年寄り細いのから太いのまで」のべつ幕なしに女性と関係をもってきたカイエンがミースにだけは手を出さなかったのは、「娘」として見ていたからなのだろうか?それともミースのもつ純粋さを汚したくなかったのか・・・。
考えてみるとミース・シルバーとカイエンの通り名シルバー・ナイトで「シルバー」つながりだった2人。一度も結ばれることなく子供だけは生まれてくるというのが、ちょっと悲しいですよね。この辺、女性の目から見た場合に共感できる部分があるのかどうか聞いてみたいです。・・・そんでもって産まれてくる子供は母親を親とも思っていない親不孝者のマキシ君なんだよね。可哀想だ。
(2003.04.29)

 

■ サロン・バスコとアラド・バスコ・スバース (p50)


ナッカンドラ・スバースの妻でアドラー出身の騎士であるサロンさん、今回で本編初出になります。
アトールの巫女とリチウム・バランスにより血の力を弱められて出産したってのも意外な設定。ナインは「騎士の血もやがて薄まる」とか云っていたのだが、これはモンドやロッテの時代を指していたと考えればいいのか。
スバースの血がジョーカー全体に広がった訳ではないってことは、今現在ジョカー全体に薄まってしまった騎士の血はどこから来たのか?
たぶん、超帝國で作られた騎士達の失敗作が星団に残されて、彼らの血が少しずつ広まっていったんでしょうね。
(2001.07.16)

スバースの額からファロスディー・カナーンの紋が消えていることに注意。わずかに残っている傷のようなものが10巻でナインにより消されたハイブレン・コントロールの痕。
サロンさんが抱いている子供がアラド・バスコ・スバース。ディモス・ハイアラキの母親で、ミッション・ルースの曾祖母。純血の騎士の血統は9巻の巻末や「KF」に書いてあるが、ルース家の血統が実はなかなか面白く、4100年代のウェイ・ルースはミッションの子孫、ディジナ・フレットはミッションの妹マロリー・マイスナーの子孫である。騎士の血は薄まっていると思われるが、2人とも純血の騎士の家系なのね。
(2003.04.29)

 

■ 黒のスパッド (p57)


ミースに託される大太刀と対になる黒のスパッド。懐園剣はカレンが産み落とした設定(カレンがタイカから持ち込んだとの設定もあり)だが、このスパッドには螺旋の円十字と超帝國の紋が入っており大太刀と同じくファロスディー・カナーンの時代からジョーカーに存在していたスパッドである可能性が高い。おそらくカイエンに剣聖の称号を与えたハスハ皇帝のボルサが与えたものと考えられるが、もしかしてヤーンが受精卵といっしょにレッド・ドラゴンに預けておいたのかも知れない。
ミースがこれを受け継いだとすれば、当然マキシの手に渡るはず。幾多の手を渡ってついに真の所有者に二振りの剣が集うということですね。

・・・でも大太刀の方はマキシがジョーカーから消滅した後にコーラス26世の手に渡るんだよねえ、そういえば。
(2001.07.16)

 

■ シャクターとグルーン (p80)


本編初登場のジャスタ宮殿騎士団。「OL」に書いてあるようにジャスタカーク公国はハスハ統合戦争時に領土を奪われた経緯があるため、この戦いに乗じて領土を奪還しようとしているのである。以前も書いたがアイオ・レーンはブーレイ傭兵騎士団の騎士団長でもある訳だが、ブーレイは登場する度にフィルモアやハスハの裏の顔として使われてきた実質幽霊騎士団である。ハスハともつながりのある騎士団の団長がハスハに弓を弾くというのも微妙に日和見な感じなのだが、今回参戦するブーレイはおそらくフィルモアの裏部隊として行動するはずで、結局のところアイオ・レーンがもつブーレイ騎士団の騎士団長という立場とはどんなもんなんだろ?
アイオ・レーンの駆るMHはサイレンM型のグルーン・エルダグライン。バッシュの兄弟騎でもある。今回は顔のデザインが「KF」の設定画と異なるが、シャクターの顔と合わせた仕様らしい。

ついでに、p61の青騎士は連載当初に三ツ星傭兵騎士団としてナイアスと共に降下していたのだが、単行本ではナイアスはブーレイ傭兵騎士団として降下しているので、このシーンは素直にウモスの青銅騎士団の参戦として受け取ればいいのだろうか?でもウモスはカラミティの騎士団だから、降下するならたぶんテレポートで来ると思われるし・・・。

あと、放送局の解析ファテイマって、民法の放送局でファテイマを置いておける余裕があるんだろうか?それとも放送局に雇われている騎士がいるのか?どちらかというと後者っぽい。
(2003.04.29)

 

■ A.K.D.の面々 (p62)


浮遊城の中のミラージュの面々。デイッパとランド、ランドの靴を磨いているのはタレイア?、その後ろがティスホーンか?ブーたれているのが斑鳩で、ランドが「王」と呼んでいるのはもちろんログナーのこと。「ミス何とか」とはバビロン騎士団のエレーナ・クニャジコーワのことで、彼女がブラフォードのドゥラーに飛び乗っていったということは、ログナーは既にハスハに潜入しており、彼女はログナー用のMH「雷丸」を届けるために出発したということ。3030年にこのMHがロールアウトしたことを考えればつじつまが合う。以前の設定どおりであれば、彼女はこの際にクルツ・ミラージュもいっしょに持ち出しているはずである。ブラフォードはロービジのテロル・ミラージュを持っていったはず。
「ボスヤスフォートを討つのは我らではない」と云いつつ、既に筆頭騎士とミラージュ・マシーンが投入されているのだ。

ソープの部屋にいる女の子はリィの娘パナール・エックスらしい。リィに替わってミラージュ騎士団の兵器管理を任せられるはずの人物である。
(2003.04.29)

 

■ アイシャはワックス・トラックス (p64)


ワックス・トラックスでヨーンの情報をもらうアイシャ。ヨーンの行動はAKDのパラギルドがトレースしているはずなのに、なんでアイシャは情報をもっていないのか?
ティンのときもそうだが、どうもAKDの魔導団はミラージュのレフトとだけおつき合いしているように見えますね。
ヨーンが桜子のつてでフェイツ公国に入ったというのも新しい設定。おそらく戦争が始まる以前に同じファティマ・マイトとして桜子がミースにコンタクトをとったのではないかと考えられるが・・・。ついでながらパルスェットはアイシャに保護された後におそらくミースの下でメンテナンスを受けているはずなので、いずれパートナーとなる2人がフェイツ公国で顔を合わせた可能性も考えられる。

ジャコーの横にいる女性はわかりにくいが頭部にヘッド・コンデンサがあり、おそらくジャコーのファティマ弁天であると思われる。
ワックス・トラックスはファティマの同伴が可能なんですね。今までそういう描写がなかったので意外。
(2003.04.29)

 

■ アララギ・ハイト登場 (p65)


基本的に戦国時代のジョーカー星団だから、あっちこっちで人が死んだりする訳で、そうすっと対凶悪犯罪組織としての警察ってのはいらないと思うのね。んーっと、なんつーの、騎士同士の手合いで片方が死んでも無罪放免だし、一般人が死んでも切り捨て御免みたいな雰囲気があるじゃないですか。とくにカステポーは無法地帯だから、一般人同士の争いで人が死んだとしても、事故届けとか死体の回収くらいしか警察の仕事はないと思う訳です。つまり、ジョーカーにおける警察機構ってのは現在の地球の組織よりずーっと格下の「人種」になると考えられます。
今の日本の警察ですらこれだけお馬鹿な扱いを受けていることを思えば、アララギ・ハイトが愚痴っているように騎士警察の存在なんてかなりチンケなものなんでしょう。騎士でない一般人の警察官なんて、道端の石みたいなもんだ。
ハイト君、一応騎士なので拳銃の携帯はしていないみたいです。
(2001.09.09)

 

■ 成人したユーゾッタ (p66)


いんや〜月日の流れるのは早いモノで、ユーゾッタがちゃんと成人してます。あんだけ子供の時に争ったユーゾッタとクリスの2人がともにハスハに付いて戦う訳ですね。というか、おそらくカイエンから師事を受けた騎士や本編登場以降、直接付き合いのあった騎士達(ジャコー、ダイ・グ、ミューズら)がみんな集う訳です。国家の思惑はそれぞれ違うんでしょうが、実はカイエンって慕われてるよねー。
ユーゾッタの中のカイエンが未だ「憧れ」なのか、それとも「師匠」なのか、意外と「本気」なのか、この辺の読み方によって出兵の進言の受け取り方が変わります。カイエンはこの後で死んでしまいますが、彼とつながりのあった騎士たちがどのように行動していくかは気をつけて見て行きましょう。
(2001.09.09)

 

■ ヒゲとヒゲのMH (p69)


付け髭としか思えんクラーケンベールのヒゲ、チンギス・ハンがこんなヒゲつけてましたね。後ろのリーオ・パイドルもそうなんですが、メヨーヨの騎士はこの格好でMHに乗り込むんでしょうか?つーか、やっと本編に登場したよねメヨーヨの軍服。かなーり初期設定だったから出ないと思ってたっす。
クラーケンベールのMHフランベルジュ・テンプル、モチーフはずばり「鐘」らしいんですが、宗教のないジョーカーの鐘ってどんなもんなんでしょう?メヨーヨじゃあドラ代わりに鐘でも突くんかい?

リーオ・パイドルは初代黒騎士ツーリー・パイドルの孫という設定。ツーリーは静とアルテン・サヤステが駆る破烈の人形と戦い敗れている。5巻に載っていたバッシュと破烈の人形の戦いはこの時の戦いを描いたものなのかも知れない。
(2001.09.09)

 

■ フィルモアの参戦 (p71〜)


ずらりと並んだ重装甲サイレン。降りたってすぐに隊列を組むあたり、バッハトマとは威厳が違いますな。p82に書いてあるようにハスハに降下した部隊は赤、青、黒の各グループからの選抜で構成されている。フィルモアのファティマはパラーシャ(p83の1コマ目)が着ているスーツが標準のもので、町(同じく4コマ目)や霧姫(p82下)のように個別のスーツを着ているファティマはそれぞれ名のあるマスターがいるはずなのだが、p83の2コマ目、3コマ目に登場しているファティマたちは名前も明かされぬまま通り過ぎてしまう。もったいないね。

クリスティンがもっている剣は10巻でブルーノが渡した父親バーバリュスの遺品。バーバリュスの自決はデコースに生き恥を晒されたことも遠因となっているのだが、ある意味では父親の仇とも呼べるデコースとクリスの絡みは今後出てくるのだろうか?上で書いたリーオや、この後出てくるセイレイなど、血縁の関係からみて因縁があるキャラクターがチラホラしているので、この点についても気をつけて見ていってみよう。
(2003.05.03)

 

■ ベルゲ・サイレン (p84)


回収用のMHに主力機の名前を与えるなんて天照だけだと思ったんですが、大国では当然のように運用していることが判明。閣座したMHや部品の回収といった作業をMHでやってしまうと土木工事用MHなんかも想像してしまいそうですが、回収時に戦闘に巻き込まれることを考えるとやはりMHでなければダメなんでしょうね。
ベルゲ・サイレンに乗り込む人もサイレン・ライダーになるのか?
つーか、最近のレッド・ミラージュの設定を見ていると、レッドをベースにしたベルゲ・ミラージュなんつーものはなくなるのではないかと思ってしまいます。破壊するためだけの本能しか持っていないMHが回収などの作業をやるとは思えないし。
(2001.12.15)

 

■ それぞれの覚悟 (p85)


クリスに自らが先鋒になるように進言するブルーノ。ブルーノは対ジュノーン戦のときもラルゴの両翼につきながら一撃でやられているので、この戦いにおける彼の覚悟は相当のものだったと考えられる。おそらくは一人でトライトンとクリスを守ろうとするほどの・・・。
一方、クリスが幼少の頃よりお目付け役として隣にいたトライトンは彼女の覚悟を痛いほど知っているのか、黙してクリスに従う覚悟を決めている。彼はクリスが敗れる時は自分も死ぬ時と考えているのだろう。
そしてクリス自身の覚悟はp87で描かれている。戦闘自体を楽しむメヨーヨ、宇宙で高み見物をしているフィルモアのお偉方、この二者に挟まれたフィルモアの騎士たちの苦しみと怒りはいずれ報われる時が来るのだろうか?

ブルーノが「トライトン」と飛び捨てしているが、これは部隊では位が上のハイランダーに対して話しているので、同列の位の者を呼ぶときに「さん」、「様」、「殿」をつけないようにしているだけ。次のページではトライトンに「殿下」と云っている。
ちなみにクリスはp85では「カンツィアン卿」、p102の乱戦時では「ブルーノ様」と呼んでいる。「様」・・・幼い頃の彼女の恋心がまだ残っていることに期待。
(2001.12.15)

 

■ クリスのイヤリング (p85)


クリスが耳につけているイヤリングはp118で描かれるように剣聖慧茄からダイ・グに渡されてきたアイテム。11巻のカラーページに載っているダイ・グの耳にはこのイヤリングがつけられており、おそらくダイ・グがフィルモアの皇帝になる際、つまり慧茄の下から一人立ちした際に贈られたものであると考えられる。

ついでながら、クリスのファティマである町がつけているイヤリングはp58のスキーン隊隊長のシュマイスの右肩についているマークと酷似している。もしかしたらこれはビィ家の紋であり、ハスハの数ある騎士団のマークと同様に超帝國から受け継がれてきた紋なのかも知れない。他にもクリスの胸元のペンダントがファロスディー・カナーンの紋といっしょだったり、ユーゾッタの帽子のマークがデプレの手甲に書いてあるマークといっしょだったり、超帝國から受け継がれた騎士の血はわずかであっても、その紋は星団各地に散らばって受け継がれていることがわかる。
(2003.05.04)

 

■ パイドル卿のアシュラ・テンプル (p91)


副読本を持っていないとわからないので一応。メヨーヨの副官リーオ・パイドル卿が使用するアシュラ・テンプルは他の騎士が使用する制式版ではなく、イラーが使用していたものと同型のプロトタイプである。副腕の形状などは違うが使用方法についてはp103で見れる。
やっぱかっこいいよねアシュラは。
(2001.12.15)

 

■ 突撃 (p92)


一応突っ込んでおこう。「突撃!!」って叫びながら突撃してしまうと後続と距離があいて単独突入になってしまう。全体で音速突撃することが破壊力を高めると思うので、ここでは「突撃!」と云ってからワンテンポ置いて加速するのが正解。
クリスの緊張がこんなところにも見て取れるってことで。
(2001.12.15)

 

■ 脱槍 (p98)


乱戦に突入すると同時に長モノ(槍)から振り回しやすい短モノ(メイス)に切り替える仕組みがかっこいい。なるほど長いエモノの欠点をこう補うとは。久々に見せるセンセーの武器へのこだわり。
そしてこれを回収するためにベルゲ・サイレンが降ろされたと・・・。
(2001.12.15)

 

■ 戦闘地震 (p99)


確かにこれだけの巨体が動けば震動もかなりのものになるでしょう。半径5kmで震度6だから、当然100〜200kmくらいまで震度1の地震になっているはず。こういった情報をすぐさま騎士に伝えるのはファティマの役目だが、おそらく集団戦闘の経験がないフィルモアの騎士達はいきなりこんなことを云われてもパニックで「だからどうしろと?」となるため、トライトンがファティマに向かって「補正を忘れずに目標の指示を出せ」と助言している訳である。
経験を積んだファティマならこういったことはちゃんとやってるとは思うのだが、経験のないファテイマであればMHの足がおぼつかずあっさり撃破されている可能性もあると。今回の戦闘に選抜された騎士はファティマの経験についても考慮されているとのことだが、やはりそれぞれ個人差があるからトライトンが指示を出しているってことですね。
町中で戦うウルトラマンや戦隊ロボは建物を壊さなくても地震だけで周囲に影響があるってことか。
(2001.12.15)

 

■ ネプチューンの間合い (p102)


ブルーノがクリスに間合いの取り方をレクチャーしている。ネプチューンは軽装甲で動きが素早いものの、重装甲MHは固く重いために撃破するには自機の重さに加えてスピードをのせなければならない。結果としてネプチューンはスピードをのせるための助走が必要となることから、ヒットアンドアウェーを行えと助言しているのである。
加えて、外側が固いモノを壊す場合は剣などの「斬る武器」よりも斧や棍などの「叩く武器」の方が効率的(内部を壊せるため)なのだが、クリスは剣で戦っているために余計に力を込めねばならず、この後で関節にガタが来てしまう。アイシャが云っているように装甲の弱い場所を狙うなら速度重視の武器でもよいが、クリスはまだそれができていないために強引に装甲の外側から叩くしかなく、剣にもダメージが溜まっていくことになる(アイシャは「素人は」と云っているが、甲冑を着ている人間の場合は切断系の武器よりも打撃系の武器の方が内部の肉体にダメージを与えやすいというのが武器の常識である。フレイルやメイスの攻撃力が弱いのはRPGだけ。切断系で相手を瞬時に倒すのはそれだけの強さをもつ者だけが可能とする戦法なので注意)。
黒騎士のデコはこの点を補うためにベイルをハンマーのように使っているのだが、初陣のクリスには少々酷なデビュー戦である。

ついでに、ブルーノがラッシュでアシュラ・テンプルを止める際に「ラッシュ!」と叫んでいるところ、これは人間に例えると「パンチ!」って云いながら殴っているようでちょいオマヌケに見えるが、おそらく言葉を発することで最大出力をのせるタイミングをパラーシャに指示しているものと考えられる。クリスは「URAAA」だからタイミングが取りにくいとか。なんてね。
(2001.12.15)

 

■ ガードスパイク (p103)


なるほど、設定画で描かれていたスパイクがないと思ったらこういうことが出来る訳ですね。アルカナ・サイレンにも同様の機能があるのでしょう。見た目とは裏腹に意外と役立つ武装です。
ハリネズミに噛みつく野犬の映像を見たことがあるんですが、やっぱり痛がってましたよ。
(2001.12.15)

 

■ メヨーヨとフィルモアの狙い (p104〜109)


クラーケンベールとパイドルの会話、フィルモアのお偉方の会話から各国の狙いが描かれる。
メヨーヨは大国フィルモアを引っぱり出したことで名を挙げ、フィルモアはナカカラを陣取った後でハスハに返還し恩を売ろうとしているのである。対コーラス戦では肩を並べていたハスハとフィルモアも裏ではこういったゴタゴタをやりあっているっつーことですね。もっとも、「SW」によると今回の戦でフィルモアは「国の存亡を賭けたある目的」をもってダイ・グを参戦させたことになっているので、本当の狙いは12巻を見るまでは何とも云えないのだが・・・。
クリスやブルーノ、トライトンや既に降下している騎士たちはお偉方の考えていることなどほとんど理解していないのだろう。すぐ横で聞いているダイ・グとイアン、ニオはこういったお偉方のやり方は面白くないと思ってるようだし・・・。案外レーダー8世の知略的な性質もじじぃどもの奸計により演出されていただけなのかも知れない。
(2001.12.15)

 

■ セイレイの参戦 (p110)


答礼を交わした後にブチ切れてイスを蹴飛ばしてしまうセイレイ。p112の背もたれのマークから、このイスは本来、弟のコーラス4世が座るイスと思われる。だからどーしたって訳ではないんですが。壊れなかったところを見るとネオキチン製のイスか。
しっかし、このシーンを見るまでコーラスとフィルモアが国交を断絶しているのを忘れてました。なるほどフィルモアのじじぃどもが驚くはずである。おそらく今回のセイレイの挨拶を機に、マスコミが騒いだり外交官が動いたりして二国間の国交が回復するのだろう。セイレイも「国交回復のために」とか周りに云われて無理矢理挨拶させられたのかも。大国であればあるほど以前のイザコザは置いておいて平和に向けてお互いに動かなければならないというのは地球といっしょですね。

セイレイが脱いだのは「礼服なんぞ着てられっか」+「今すぐ戦闘服に着替えて出陣してやる」って意味か・・・たぶん、エンゲージSR3とトリオのベルリンは地上戦用にセッティングしてあるので、宇宙戦は無理だったはず。ドテッ腹にへ先をブチこむっつったら、ヤマトにぶつかったデスラーの戦艦を思い出します。
一応、セイレイのパートナーはシクローン、今回初登場。
(2002.01.12)

 

■ ブルーノ三銃士昇格 (p115)


ダイ・グの「ブルーノに青騎士団を任せ」というセリフは、ブルーノを青グループのリーダーにするということらしい。現在は異なるが、以前は赤・青・黒グループのリーダーは「三銃士」と呼ばれていたはず。アルカナ・ナイトにして青グループリーダーってのは、ラルゴ・ケンタウリやバーバリュス・ビィを越えるほど出世街道まっしぐら状態である。とりあえず今後の活躍に期待しましょう。
(2002.01.12)

 

■ クリスの一撃 (p117)


アシュラ・テンプルの肩の装甲ごと首を落とすクリス。凄まじいの一言である。面白いのがアシュラ・テンプルの背中側から斬りつけているように見える点。この部分は相手の利き腕ではない側(斧を持っていない左側)にサイドステップを行って背後から剣が入るようにしているように見えるのだが・・・うーん、力任せに剣を振り下ろしたおかげで相手の機体が回転してしまっているだけか。
剣を折らずに固い装甲を切り抜けるのは技量が高い証拠なんだけどね(曲がっちゃいましたけど)。
(2002.01.12)

 

■ 皇帝の器 (p120)


ダイ・グの「生きてフィルモアに帰る」という言葉。3巻でのレーダー陛下とブルーノの会話を思い出して欲しい。位や立場に縛られていない「生きてこそ」という真の人間たる覚悟が歴代の皇帝にしっかりと受け継がれていることがわかる。ミヤザ・ヘクゼイの云う「器」は、権威を笠に着た虚勢者の口車に過ぎないのだ。
11巻最大の見せ場。
(2002.01.12)

ところで・・・ミヤザ・ヘクゼイがクリスを「抹殺したがっている」というのが引っかかりますね。あまりFSSでは見られない「はっきりとした」書き方です。
もしかしてクリスが殴り殺したという男の子って、ミヤザ・ヘクゼイの息子だったりして・・・在り得ないか?
(2003.05.29)

 

■ ダイ・グの参戦 (p123)


戦場に降りようとするダイ・グが羽織ったボロボロの上着は歴代の皇帝が着てきた戦闘服との設定。したがってこれは慧茄ではなく、レーダー8世から受け継いだものである。慧茄からのイヤリングはクリスに、レーダーからの戦闘服はダイ・グに、それぞれ受け継がれた訳だが、ハイランダーが受け継いだものがアイテムだけではないということはこれまでの描写を見ればわかる。

p123の1コマ目でダイ・グ、ニオ、イアンの後方に並んでいるのが皇帝警護騎士団。カラーページのナイアス・ブリュンヒルデが属する「白グループ」とはこの騎士団を指す。彼女が使用するファントムも本来フィルモアに帰属するMHであることを考えると、フィルモアの魔導大戦における表の顔と裏の顔もおぼろげに見えてくる。
(2003.05.06)

 

■ ベイルロックに疲労 (p124)


ベイルをハンマーのように使っていたからこうなったと。つまりエストは、これまでの戦法を続ければベイルを落とす可能性があるから、戦法を変えた方がいいと注意を促している訳ですね。その結果ファティマを人形と思っているデコースが逆にキレてしまうと・・・。
わし、思うにデコ助って対等の立場ってヤツを嫌ってると思うのね。上に立つか、下に付くか。基本的に「力が全て」って考えているから、余計にそういった順序をはっきりさせたがる訳です。確かにエストを殺しちゃう勢いではあるけど、それだけの気持ちをもって上下関係を明確にしておきたいと思ってる。
んで、トローラがきっとそういう垣根を取っ払った数少ない友人だったと思うわけです。だからソープにやられたときに「よくもトローラを!」って。
どうでしょう?
(2002.01.12)

 

■ 超帝國の血とハイブレン (p127)


超帝國の騎士であるカイエンはハイブレンのコントロールを受けてしまうという、またもや頭を悩ます新設定・・・という訳ではないか。確かに9巻p83に「騎士たちの血は多くの血と混ざりハイブレンのコントロールからも解放されることとなった」と書いてあるので、混ざっていない純血の騎士はハイブレンのコントロール下にあるということを暗に仄めかしていた訳ですね。カイエンの頭部にスバースのような「印」がないのは「制御プログラム」ではなく、自然発生によって親のコントロール因子を受け継いだためか。

最後までムグミカの盾として動いたカイエン、抵抗をするよりも永き生涯をハスハのために尽くした剣聖を抱きしめるために動いたムグミカ、この2人の縁も「深い」ですよね。ちょっと下世話な話題で申し訳ないんだけど、いろいろな女性と関係をもってきたカイエンなのに、その最後を看取ったのがミースとムグミカという「関係をもたなかった」女性であるというのが面白い。ミースはある意味で処女懐妊であり、天照の命がソープを身篭ったことの韻を踏んでいるんですよね。その子供であるマキシが神になるというのもまた・・・。
(2003.05.10)

 

■ 思念決界 (p131)


ボスやんが云うようにハスハの王宮に思念結界を張っていたのはムグミカである。
10巻ラストで天照がフェザー・ドラゴンが死んだことを察知し、この事実をマグダルが既に掴んでいることを口にしていたのだが、この部分から「マグダルはムグミカとフェザー・ドラゴンの契約についても薄々知っていた」と考えることもできる。そうなると、ムグミカの思念結界は、「ドラゴンとの契約を履行する際にカイエンとムグミカの身を案じるあまりに突っ込んでくると思われる者」、「例え良心による行動であっても結果としてナインの召還を妨げる可能性のある者」であるマグダルを制止させるために張られていた結界であると受け取れるのだが・・・。
(2002.03.09)

 

■ ダイバー戦 (p134)


ボスやんvs天照ママ以来のダイバー戦となるボスやんとマグダルのカード。ボスやん曰く「君はダイバー戦を知らなさすぎる」とのことだが、前回の戦いの時は4つのダイバーの能力(ダイバー、ルシェミ、パ・ラ、ハイブレン・・・詳細は切抜帖を参照のこと)も明かされていなかったし、戦いの途中でソープが神の力を使用してしまったので、ダイバー同士の高レベルな戦いは読者にとってもほぼ初見である(10巻の浮遊城戦は直接対決ではない)。そもそも現在のジョーカーではダイバー同士の戦いはほとんどないものと思われる。騎士以上に能力の発現率が低く、ボスやん以外のダイバーは対騎士戦で勝てず、戦で消費するよりも各国で情報収集を行っている方が利用価値が高いからだ。
(2003.05.10)

マグダルが死ねば自分だけが超帝國の血を受け継ぐことになるとボスやんは云っているが、「血」という意味ではマグダルの実兄であるデプレや純血の騎士たちも数えることができる。超帝國の皇帝として、とくにダイバーとしての血であればボスやんのセリフも納得がいくが・・・そもそも純血のダイバーであるボスやんは超帝國がジョーカーを去ってから天照の命の下を訪れるまでどのように「存在」していたのか?
カイエンのように受精卵がドラゴンにより保管されていたとは思えないし、純血の騎士の系譜のようにダイバーとしての血が続いてきたとも思えないことから、ハスハの巫女のように記憶だけが受け継がれてきたと考えればいいのだろうか?
(2002.02.11)

 

■ 血の召還 (p137)


前述のとおり、カイエンとムグミカが死ななければならなかった理由、それはずばりナインを召還するために「等価」としてその血(といっても命そのもの指すが)を捧げる必要があったから。劇中のセリフと描写を見る限り、ムグミカは20年前にフェザー・ドラゴンの転生を封印、その代償として自分とカイエンの命を捧げたとき、その身(幼生の体)を依代としてナインを召還するという契約を結んだものと考えられる。ナインであればボスやんを抑えられると思ったんでしょう(その根拠までは不明)。
なぜここでフェザー・ドラゴンなのか、これが厄介。9巻p180でムグミカが「アトールの光フェザー・ドラゴンの幼生が転生するまで」と云っているので、元々アトールの巫女とフェザー・ドラゴンが何らかのつながりをもっていた可能性はある。
ここで、他のドラゴンについて考えてみると・・・
レッド:アトロポスと契約中。成長のための半生を犠牲にする替わりに命の水を渡している。ただしアトロポスはこれを拒否し、自分が望むときにすえぞう自身の手により消滅させられるようお願いしている。
サンダー:ドラゴン・ドロップにより、静が望むとき、必ず手を貸すことを約束している。これも一種の契約。
ブラック:契約とは呼べないがエストを保護している。
アース:未だ明らかにされていないが、クーンと何らかの契約を交わしている可能性大。こっちの方はモナーク・セイクレッドが絡んでくるため、血の召還より厄介。
と、いう訳でフェザー以外は契約できなかったとも考えられる。
フェザー・ドラゴンが他のドラゴンより転生が早まった理由は、ムグミカとの契約により幼生の状態で封印されるよう、意図的に成体の体を捨て去ったと予想することができるが・・・さて、どうでしょう。
他にもレッド以外の4体のドラゴンは、地・水・火・風の4元素と符合していて、フェザーが「火」なのかなーとか。
今回の情報から全てを推し量るのは無理っす。
(2002.02.11)

 

■ ナインの炎 (p140)


仮にも超帝國の後継者を名乗っているボスやんですらも太刀打ちできないナインの炎、いや、「焔」か。ナインが発現しているところから、なんとなくレッド・ミラージュのフレイム・ランチャーと同じ、スタント遊星のフレアと同質の焔(無色)ではないかと思われるが、確証はない。
ムグミカとカイエンがボスやんの侵入前に下がるようにヘアードに話していたのだが、もし彼女がいなかったらマグダルはどうなっていたのだろうか?・・・ま、ナインが気を利かしてデプレの下にテレポートさせただろうけど。
(2002.03.09)

 

■ ナインの死生観 (p144)


「肉体と精神の死だけではなく・・・・死んだ者のことを思い出してくれる者がひとりもいなくなった時こそが真の死と思う時もある・・・・」というナインのセリフ。実は10巻最後の天照の独白とつながっている。ジョーカーで肉体と精神を失った人間達の存在も、天照という神が生きている限り、その存在には意味があり続けるという、全てのキャラクターに対する救済の言葉。
カイエン、ムグミカの死を悲しむ読者の心に向けられたセンセーからのお言葉のようにも感じますね。
(2002.03.09)

 

■ 召還されしモノ (p145)


ムグミカがナインを呼び出す際に、命の水を使用していたことが明かされる。また、それはナインを呼び戻す(そっか、だから召喚ではなくて、召還なのね。納得。)だけではなく、騎士の頂点たる存在「十曜の守護者」を呼ぶためのものであったことが判明する。
十曜の守護者とは何者なのか?・・・十曜とはタイカの10の星のことを指すことから、そのクラインをもっているU.R.I.を想像してしまうのだが、タイカの守護者であればシルヴィスのガードナーに転生するマキシと考えても問題ないだろう。p153のドラゴンたちもおそらくミースの胎内で目覚めたマキシに注目しているはずであるし・・・。
ただ神との対峙のためにマキシが召還されて、けどマキシはミラージュつまり神のお膝元に下り、尚且つ自身もいずれ神となってしまう当たりが腑に落ちない感じはある。この辺はナインも読み間違えしているのかも知れない。ナインが「十曜の守護者」を知っているのは、おそらくモナーク・セィクレッドにその名が記されているためと考えられるが、この「聖典」もまた神界の事象までは捉えていない可能性がある(太古にヒトにより書かれたモノなのか)。
ついでに、未だ世に存在していないはずのモノが「召還」の対象になってしまうのは、カレンなどと同じく神界から見れば既にマキシ(ファーンドームの星王)は存在していることになっているためと思われる。何から何まで「鶏が先か卵が先か」という感覚ですね。

うーん、よくよく考えるとナインは天照太祖帝レディオス・フォーカスライトにドーターを授けているんですよね。まさかこの人物の子孫(天照)が神になって、自分が授けたドーターを神の尖兵となってしまうログナーに使用するとは思っていなかったってことですね。神と対峙するとか云っておきながら、それ以前に塩を送るようなマネをしてしまうのは、ナイン(とその記憶を継いでいたムグミカ)も金剛さまもいっしょ。このヒトも人間に味方すると云いつつ最強のMH3騎を天照に渡しちゃうし。

一応、9巻ラストで出ているナインは、アトールの巫女に代々受け継がれてきた「記憶としてのナイン」、今回召還されたのは、AD世紀に実在した正真正銘の「超帝國の女皇帝ナイン」で、二者は微妙に異なるので注意。ちょっと気になるのがp155では「あの世から呼び戻す」と云っているのに、p142では彼女が生きている頃には建国されていなかった「ハスハ(の王)」を口にしている点。個人的にナインは死んでいるのではなく、まだクラウン銀河のどこかに存在し続けており、現在もジョーカーを見ていると思うんですよね。ま、ファロスディー・カナーンの時代からハスハの地名があったのかも知れませんが。
(2003.05.10)

 

■ ハスハ陥落を見つめる女性 (p152)


ハスハの炎を見つめる女性はカラーページで紹介されているようにナトリウム・フンフト。ファティマ・マイトであるナトリウム・シング・桜子の母親で、ムグミカの前の代のアトールの巫女である。個人的にナイスな人妻キャラ。彼女が十曜の守護者の産声を聞けるのは、(カラーページの紹介にあるように)フェザー・ドラゴンから巫女としての責務を負わされたためであろう。彼女はこの後マキシを育てることになる。
ついでに・・・この後ボスやん率いるバッハトマはハスハを占領下にせずカステポーに舞い戻るのだが、では何故ミースとアウクソーはこの後45年間もハスハに残り、バッハトマに捕らえられてしまうのだろうか?以前、ミースに関してはバッハトマもフリーパスで入国させたとの話があったので、解放戦の時にたまたま居残ってしまっていたと考えればいいのだろうか?
うーむ・・・というか、カイエンに気絶させられた彼女はいったいどうやって王宮の外まで脱出したのだろうか?カイエンが外に移動してやったとしても、つい先刻までMHの市街戦があったはずだし。
(2002.03.09)

つけたし。フンフトの付き人がハスハ陥落と日の出を勘違いしていることから、彼女たちはハスハよりもかなり西の土地に住んでいることがわかる。おそらくハスハの領土外であると思われるが、かつて巫女であった人物が国外まで追放されてしまうというのも酷い話である。10巻の桜子の涙の重さもこの辺から読み取れますね。
(2003.05.10)

 

■ アトロポス登場 (p153)


ドラゴンが揃って十曜の守護者を見つめる中、ただ独り爆睡を続けるトリアタマ。横の足はアトロポスですね。彼女も既にハスハ入りしているらしい。
(2002.03.09)

 

■ 脳共鳴 (p154)


一応、生きているはずのマグダルについて最も近しいはずのデプレが「消えた・・・」と云っており、大脳中枢の破壊により脳共鳴も切れてしまったことがわかる。現在の地球においても一卵性双生児の間でお互いを感じとったり体や精神的なダメージを共有する症例があるらしい(脳共鳴とは呼ばないようです)が、マグダルとデプレは二卵性の双生児であって少々事情が違う。この辺の能力もまた超帝國の血故にと云ったところか。
マグダルとデプレが発生段階からお互いを支え合っていたことが、以前ミースの口から語られたが、ヤーボの胎内にいる時はまだ大脳ができていないはずなので、脳の分化が派生するときに交感能力が大脳に移行していったものと考えられる。
小脳は主に運動能力を司るため、騎士とダイバーの二人で共鳴することはできないのだろう。
(2002.04.13)

 

■ 西の守り (p155)


王宮陥落を受けてバッハトマの西への進軍を止めようと提案するギラ。西の守りはデプレたちが向かっていたはずなので、ここではデプレたちが挟み撃ちにならないよう、先に西側にあるノウラン(たぶんノウリンは誤植)の予備戦力と合流してから再度東側に戻り、ハスハント側から攻めてくる敵を押さえ込むと云っているのである。西にはスバース市があるので、アルルの「そちらに向かいます」はその「東側に向かう役目」は私が行うのでギラ様は西に向かってスバース市で議会の立ち上げを行ってくれという意味。したがってアルルはハスハント方向へ向かって移動することになり、マグダルの消失点に向かっていくことになる。
巻末の地図をよく見ておかないとちょっと混乱しますね。
(2002.04.13)

 

■ ナカカラのディスターブ隊 (p156)


「NT2001年11月号」の開戦直後の状況を見る限り、ナカカラのディスターブ隊は45騎のエートールFRを所持、隊長はジャライス・ダーラとなっている(この図は少々わかりにくく誤植もひどい)。国境軍の騎士団は既にメヨーヨがつぶしたので、現在この部隊は王都ナカカラに孤立した状態にある。したがって、この部隊と合流するためには陣取っているメヨーヨを排除するか、フィルモアに協力要請をしなければならない。
上(公宙)で王族がたむろしていていつでも政治的な意見を出せる状態にあるフィルモアと異なり、ハスハは騎士団が議会を立ち上げて政治的な判断をしなければならないとバルンガは云っている訳である。
・・・ハスハがいかに緊迫した状態であるかわかりますね。単純に王宮が落ちただけではないのです。
んで、政治的な判断をギラがやるから軍の管理はバルンガに預けると。うーむ、総騎士団長であるカイエンがいなくなったことも若干響いてます。
(2002.04.13)

 

■ さすがバルンガだね (p157)


マギーの言葉。何を意味しているのかわかりにくいが、おそらく軍司令などできないと云いつつもしっかりアルルを御している手腕を褒め称えての言葉と考えられる。・・・たぶんね。
ベクターとゲンジャが動き出すなら、ハレーとの再会もありうる・・・というのは深読みしすぎ?p158のエートール・スクリティがもつ盾にスバース隊のマークが入っていることから、ベクターとゲンジャもデプレ指揮下の聖導騎士団に入っていることがわかる。
(2002.04.13)

 

■ エンゲージ・オクターバーのコクピット (p159)


ユリケンヌがなぜかアルルの真横に座っている。ただ移動するだけではなくいつ戦闘になるかも知れないのに、こんなところにいていいのだろうか。もしかして副座式のコクピット?うんにゃ、初登場時には頭部にファティマのシルエットが見えていたし・・・。いざとなれば頭部のファティマ・ルームに移動するのだろう。MH内のファティマの移動はアルカナ・サイレンのテスト時にオキストロがやっている。
(2002.04.13)

 

■ 色々なMHと「どんな奴でもいい」マイスター (p159)


マギーの期待通り、少なくともアルルを狙っている騎士としてセイレイとネイパーがいるので、もしかしたらジェイド・テンプルことエンゲージSR3やAUGEに遭遇するかも知れない。また大太刀の懐園剣を渡す相手がマキシであることを考えると、アルルの行く先にはデストニアスも絡んでくるはずである・・・かなり先の話になるだろうけど。マイスターについてはソープ乱入を示唆するセンセーのサービスセリフ。
(2002.04.13)

 

■ MHの飛行 (p159)


MHの登場によりジョーカーから全ての兵器が消え去ったことは、以前からセンセーが云っていたこと。したがって、現行の戦闘機以上の飛行性能をどこかで見せつける必要があったために、ここで入れてしまったと思われる。ただ、ここまで高速で飛ばれるとレッド・ミラージュのブーメラン・ユニットやジュノーンのランド・ブースターの役割が見えなくなってくる。センセーの今後の描写に期待します。
でも、見た目上で音速以上に速い機体に外気を入れるとは・・・これもMHのシールド機能によるものか。
(2002.04.13)

 

■ ジャスタカークのギーレル侵攻 (p160)


アイオ・レーンのセリフからジャスタ宮殿騎士団はギーレル・ハスハ王国の一部の奪回のみに動いたことがわかる。セリフで「ギーレル王国にいるA・トール・パローラ隊」となっているが、おそらく旧王都ギーレルに配置されているのがパローラ隊、首都パーフェーンに配置されているのがスパチュラー隊である。つまりアイオ・レーンたちは王都ギーレルやパーフェーンへの侵攻は行わず、ハスハ共和国騎士団をかつての領土から排除した段階で戦闘を休止。今後の腹づもりとしては(可能であれば)エープ騎士団とはもめずにこの後この地に降りてくるMHを排除していって最終的に「この地を守った見返りに」ジャスタカーク公国に領土の返還をするように交渉するつもりであると考えられる。
(2003.05.18)

 

■ クバルカンの密偵 (p161)


ギーレル・ハスハ王国の国境付近で偵察を行っているのは、巻末の説明を読んでいけばファティマ・瑠璃とそのマスターの名前からクバルカンのノンナ・ストラウスであることがわかる。クバルカン法国のルーン騎士団は女人禁制との設定であったが、「大司教」という肩書きを考えると、彼女は「尼さん」という扱いになるのかも知れない。「SW」に掲載されているキャラシートを見た時、頭髪が一切隠れているので「剃っている?」と思ったんですが・・・今回を見る限りではちゃんと地毛っぽいですね。
戦地に似つかわしくないバッグやファッション雑誌を持ち込むあたりや、ゲスト出演している「プロムナード」でも「お嬢様」と呼ばれるなど、実はクバルカンのお偉方の娘という設定のような気もしますね。

ノンナはナイアスをかなり嫌っているようだが、3075年のハスハント解放戦ではお互いにハスハの友軍として参戦するはずである(ノンナはミューズの部下として)。この辺の経緯も面白くなりそうですね。
(2003.05.18)

 

■ ブーレイ傭兵騎士「軍団」 (p163)


コミックで追加された部分で最もびびらせてくれるブーレイ傭兵騎士団の参戦。いきなり「ブーレイ○○」と2桁のコードで通信を取り合っていることから、今回のブーレイは虹色に彩られた9騎(通り名ではセブンズ・ブーレイで7騎)の傭兵騎士団という設定を無視した大部隊で構成されていることがわかる。「紫中隊」や「赤中隊」と呼んでいるが、3〜4名で小隊が構成されていたとしても、中隊はその2〜3倍、その中隊が虹色の色数(今回は7色)だけあったとすればかなりの大部隊である。
ナイアスが率いていることから今回のブーレイ傭兵騎士団の中身は2989年と同じくフィルモアということになるが、3巻で描かれていたようにブーレイ傭兵騎士団はハスハによって運営される場合もある。もしブーレイがこの2国間だけにより運営されていたとすると、今回の参戦はハスハから見て「フィルモアが暴れている」ようにしか映らないということになり、これは少々おかしい(クリス率いる本隊は友軍としての参戦を表明しているから)。・・・となると、ブーレイを動かすことができる国は他にもあると考えて、その時々によって中身はバラバラ、しかも互いに常に中身が確認できている訳ではないと考えた方がいいだろう。つまりハスハから見て今回のブーレイ傭兵騎士団は「一体どこの国が入ってきやがった?」と映るはずである(まだハスハの連中はブーレイの参戦を知らないけど)。

今回のブーレイ傭兵騎士団は、おそらくフィルモア本隊がナカカラと交渉を進める際に、「交渉が長引けば戦火はどんどん広がっていく」ことを印象づけ焦らせることを目的として参入した部隊と考えられる。したがってオーナーは「フィルモア」、敵は「立ち塞がる全てのMH」となり、当然フィルモア本隊とぶつかっても戦闘は継続することになる。
傭兵騎士団の構成員についてだが、各部隊の下っ端騎士は本当に傭兵だったとしても、部隊長はおそらくフィルモア本隊の選抜から漏れた者・・・というか、こちらがおそらく本当に選抜された騎士である可能性が高い。なんせ連続して戦闘をしても勝ち続けなければならないから。

うーん・・・そもそも「ブーレイ」という名前のMHなどは存在しないのかも知れない。2989年はL型サイレンだったが、場合によってはエートールだったり、どこぞの国が新型MHのテストをするためにブーレイの装甲をつける場合もあるのかも知れない。以前ビュラードがペスタコで見たというブーレイも、おそらくはサイレンではなかったのだろう。
今回の「ブーレイ」は瑠璃が云っているようにフレームはフェードラ、エンジンはエートールというMH(名称はT-233)である。「中立をもって成る」バキン・ラカンが裏でブーレイを使ったことがあるとは思えないが、有名なMHであればフレームのコピーも可能になるのだろうか?
ファントムだけ三ツ星傭兵騎士団のマークをつけていても、T-233にはちゃんとブーレイのマークがついているので、なぜすぐにバレる偽装をしているのかはちょっと疑問。またジゼルはフィルモアのマークの入ったスーツを着ているが、本来なら彼女もフィルモアのマークがついていないスーツに着替える必要があるはず。これは、ナイアスが自分のファティマを人前に晒す・・・つまり自分が敗れることを想定していないからと考えられる。よほど敗れない自信があるのか、敗れた際に自爆するつもりなのかは不明ですが。

ところで、瑠璃は音などからT-233の中身を解析したのだが、ウリクルは2989年のブーレイの中身を解析することはできなかった・・・これは、ウリクルの戦闘経験の無さが影響しているのだろうか?ウリクルの戦績は不明だが、コーラス3世はあまり戦場に出ていなかったと考えれば、一応説明可能かなーと思うのである。
(2003.05.19)

 

■ 斥候隊 (p168)


ん〜っと、メヨーヨはナカカラに攻め入ろうとしていたから、斥候隊は戦場よりもナカカラよりに待機していたと。町が退避の方向としてナカカラ方向に移動していたのは、フィルモアの進軍方向がナカカラを背にする形だった(p70)から・・・なのでここで出会ってしまったと。要するにフィルモアの降下地点が既に本隊と斥候隊の間だった訳ですね。テレポートによる降下の欠点かも知れないです。ふむふむ。
(2002.04.13)

 

■ ファティマ・チャンダナ (p173)


ダイ・グのパートナーであるチャンダナは、慧茄より受け継いだファティマ。バランシェ曰くファティマの弱点である精神面の弱さを克服した(克服し過ぎてパートナーとの交流がほとんどできない状態だが)とのことだが・・・巻末のスペック表を見ると、精神安定性は何故か「B1」である。これはちょっとおかしい。アトロポス以上にある意味強靭な精神をもつと考えれば、「VA」ぐらいあってもいいのにね。スペックの認定を行った医師がほとんど変化のない表情からも精神面の挙動を調べ上げたとでもいうのか?
(2003.05.19)

 

■ ジャンシー・ガラー三銃士 (p174)


ジャンシー・ガラーはフィルモアの皇帝騎士団(白騎士団)の団長で天位騎士である。乗っているのはサイレン[R](「NT2002年2月号」では[A]と表記されていた)。パートナーはシンドラー。
ニオやケーニヒも降下したらしいけど、ハスハ王宮陥落を受けてメヨーヨが退避するので、活躍はなさそうですね。国境まで後退せよ・・・って斥候隊の3騎はこのまま孤立?意外と厳しいクラーケンベールなのでした(マジでダイ・グに倒されちゃったのかな?)。
(2002.04.13)

 

■ 大脳中枢の破壊 (p176)


なんとマグダルは大脳中枢を破壊された模様。ダイバーパワーまで無くしてしまったらデプレが剣聖剣技を使えなくなるんじゃないのか(デプレはマグダルのダイバーパワーを受けて剣聖剣技を行使するという設定)?
問題なのが、歴代の巫女の力、超帝國から続く皇帝の記憶がどうなってしまったかという部分。血縁ではなく、記憶の受け渡しという形で引き継がれていくアトール聖導王朝皇帝の位だから、これが無くなってしまうとハスハ共和国連合の再興はできてもアトール聖導王朝の再興はほぼ不可能となってしまう。3075年の解放戦が聖導王朝の復活を目的としているのか、共和国連合の復活を目的としているのか、振り返ってみるとどちらとも明記されてないんだよね。
(2002.05.13)

 

■ マグダルを追う者 (p176)


バッハトマはマグダルの捜索にケサギとカエシを向かわせたが、ハスハはまだ誰も向かわせていない。アルルとスクリティの2名はバッハトマの西への進軍を抑えると同時にマグダルを保護しようとしているが、この乱戦状態では目的を一つに絞らなければ達成は無理であろう。つまりヘアードさんの頑張りにかかっている訳である。
ヘアードさんのパートナーであるナルーシャとMHエート−ル[シルバー]は今どこに行っているのか。王宮が落ちる前にナルーシャがMHで待機していたのであれば、脱出してこの後合流も可能だと思うのだが・・・つーか、シルバーの活躍が見たい。
(2002.05.13)

 

■ バッハトマの降下 (p177)


2コマ目、デコースの後ろを飛んでいる宇宙船はバッハトマの軍艦。p27で衛星軌道上で屯していたやつです。たぶんアウェケンの回収に降りてきたんでしょう。バッハトマの目的は王都の制圧ではなく聖導王朝の王族抹殺だったようなので、この後軍隊が降りてきて残った市民を制圧というのではないみたいです。

このページでの会話からバッハトマの今後の動向は全てボスやんの頭の中にしかないということがわかる。治めるべき民や審議すべき議会が存在しないブラック・スリーは、フィルモアやハスハと違って大勢で意志決定をしなくてもいい分、身軽に行動して相手が出方を決める前に次の行動に移ることが可能な訳だ。p26でコレット王が「バッハトマ帝都を灰にしたところで彼らは何も失わぬ」と云っていたが、実質この3人がいれば国として行動がとれることを考えればかなり的を射た発言であったことがわかる。
国力としては弱いはずのバッハトマは、ハスハの解体を他国に任せることで合理的にハスハの国力を低下させていく。小国には小国の戦い方があるってことです。
んで、面白いのが3075年のハスハント解放戦。国が強大になると全体を制御する議会が必要となり、結果的に首都と呼ばれる国のトップが形成される。バッハトマの勢力の増大が、逆に攻め入られる急所を持たせてしまっている訳ですね。ミス・マドラの「45年前と逆ですね」というセリフもこれを覚えておくと深いモノになる。
(2002.05.13)

 

■ フィルモアの動向 (p179)


MH430騎をナカカラに降ろすなら、そのままベイジのバッハトマを蹴散らすことも可能なのだが、フィルモアの狙いはディスターブ隊及びナカカラの独立、つまりハスハの解体である。430騎を揃えるのも交渉中に他国から干渉させないようにするための脅しと考えられる。
うーむ、ギラが早く議会を立ち上げないと合流できないエープ騎士団の各部隊がそれぞれバラバラに動かなければならない訳ですね。結局メヨーヨの大暴れがフィルモアの利権につながってしまったと・・・なんて傍迷惑な山賊国家だ。
(2002.05.13)

 

■ 爺ちゃんクラブ (p181)


クープ博士のアパート(お!賃貸なのね)で会話する帝国老人クラブの面々。「緊張感もありゃせん」とか、「迷いも恐れもありゃせんよ」とか、ぜーんぜんダイ・グの気持ちをわかってない爺さまたち。大体こいつらが庇ってやったクリスが皇宮や議会では悲惨な目にあっているのに、ちょい無責任すぎやせんか?
p182では「責任がもうないからの〜〜」って云ってるから、自覚はあるのね。
うーん、カイエンが死んだ事実をなぜこいつらやミマス帝が知っているのか?王宮が落ちただけじゃ証拠にならないし、直接確認したのは現在逃亡中のヘアードのみのはず。ボスやんが高らかに宣言するとも思えないし・・・おそらくダイバーズ・パラ・ギルドのつながりでこういった情報が各国のトップにすぐ流れるのだろう。

爺さまたちのセリフから各キャラの相関を推察しよう。
まずダイ・グがド・ラ・フィルモアの甥であるということ。ってことは、ド・ラは慧茄の息子でありミマス帝の甥であるということ。純血の騎士の子供であれば騎士であると思われるが、慧茄を「慧茄様」と呼んでいるので慧茄の娘の婿と考えた方がいいか。あ、でもp182では「慧茄のばあ様」って呼んでるしなー。ちょっと厄介。
スティール・クープ博士が桜子に跡を譲るということは、彼女はクープ博士の弟子だったってことですね。ジュノー出身でカステポー在住の桜子がなんでフィルモアに多くのファティマを残していたのか、これでわかりました。クープ博士、ヒゲ剃ったね。
ルーテン・シャープスはフィルモアのMHマイト。本人が語っているようにマドラとナイアスが使用するファントムは彼の作品になる。3騎の内の残る1騎は「SW」に掲載された赤いファントムでこれは慧茄とラ・クラトーマが使用する予定。

ついでに、彼らの会話からやはりログナーは剣聖クラスの最強騎士であることがわかる(まあ、MTBなどの剣聖剣技を使えるというだけで既に剣聖と同レベルな訳だが)。カイエンの死は速攻で伝わったのに、ログナーの死と再生は誰も知らないのね。さすが秘密主義のミラージュ。レーダーがカイエンに「殿」をつけるのは、ハスハ統一時の活躍を知っているからだろう(年上だから敬意をはらってる)。ジョーカーの多くの人間は現在のカイエンが昔のカイエンとは別人と思っている、または冷凍冬眠していたと信じているらしいが、レーダーほどの人間になるとカイエンがおそろしく長寿であることを知ってるみたいですね。
(2002.05.13)

 

■ 剣聖ミス・マドラ (p184〜)


3030年においてカイエンと並んで剣聖の称号をもつミス・マドラが登場。p188以降でその過去とピッキング・ハリスとの「関係」が描かれるが、ここでは「NT2002年5月号」に掲載された彼女のプロフィールについて焦点を当てたい。

まず本名がマドラ・モイライ。モイライとはギリシャ神話におけるアトロポス、ラキシス、クローソーら運命を司る三姉妹の女神を指す言葉である。クローソーの容姿とラキシスの狂気、姿を変えながら本編に絡んでくるストーリー・テラーとしてのアトロポスの役割を併せ持つキャラクターとして考えるとなるほど納得の名前だが、センセーが果たしてそういった意味でこの名前を用いたのかは謎。

彼女は2960年にクルマルス・バイオラ・スパークを駆ってジュノーで大暴れしたとのこと。その後にハスハに渡ってエープ騎士団のスキーン隊に任官、エートールSKSに搭乗したらしいので、ジュノーでの大暴れとはミマス帝の王宮女官に任官していた頃のエピソードとなる。副読本にみられるオルカオン・ハリスの説明で、ハリス家の名前が地に落ちた理由である「娘の凶事」とはこのことを指すのだろう。
んで、今回のエピソードでピッキング・ハリスがナトリウム・フンフト・アトールにより引き出された人格であることが明かされるのだが、そうなるとハリスがハスハから追い出された理由である「凶事」とは、フンフトがハスハの巫女ではなくなったこと、つまりコーラスのメロディ家当主との浮気によりアトール聖導王朝の皇帝の座から降ろされたことで、マドラが暴走したのではないかと考えることができる。

その後、ピッキング・ハリスの状態でミラージュ騎士団に入団したのは、おそらくフンフトと天照(東の君)の間で密約があり、天照に譲渡したと考えるべきなのだろうが、この巻のラストでマドラが出ていったことはソープも知らないようなので、ソープがこの辺の裏事情についてどこまで知っているのかはイマイチ不明(いや、知ってるんだろうけどとくに注意を向けていないような)。また、フィルモアとのつながりについては詳細が明かされていないのだが、10巻でデコースが「慧茄の出来損ない」と呼んでいるところを見ると、ピッキング・ハリスとして慧茄に師事していたことがあるのかも知れない。

マドラが魔導大戦において目覚めたのは、彼女が認めた「ミストレス(=マスター)」が一大危機に陥ったためらしい。この「ミストレス」が一体誰なのかは副読本などでも明かされていないが、現時点で最も危険な位置にいる人物といえばハスハの巫女マグダルであろう。
ハイブレン制御が効かない剣聖ということは、ボスやんを瞬殺できる騎士ということ。ある意味で超帝国の汚点は超帝国が拭うことになる・・・のかな?
(2003.05.27)

 

■ 弱きを助け・・・ (p188)


騎士の力が発現しているか否かもわからない娘に剣を向けている時点で、全然「弱きを助け」ていないオルカオン・ハリス。云ってることとやってることがムチャクチャ・・・。
もしマドラが普通の人間であれば、木刀で殴られた時点で即死。オルカオンは娘とはいえ生身の人間を殺害したことで星団法違反、騎士能力剥奪の上、お家の取りつぶしになってたはずである。娘が死ななかった時点で騎士級の耐久力をもっていることに気付けっつーの。
ビュラードの母親もそーだったけど、純血の騎士であることを誇るあまり「坊ちゃん・嬢ちゃん騎士」に甘んじているキャラも少なくない。しかもこの代償がユーゾッタの猫可愛がりかと思うと、個人的にラルゴ・ケンタウリを超える最低騎士トップにランクイン。

あと、この頃のオルカオンは二枚刃の下駄を使用していたのね。一枚刃の下駄を履くまでさらに精進したんでしょう。
(2002.06.13)

 

■ 右腰に刀 (p190)


オルカオン・ハリスがミマス帝に話しているシーンで右腰に刀を差しているように見えるのだが、これは主に上申するために左腰に差していた刀を抜いて右手に持っているのである。つまり「私はあなたに対して刀を抜きませんよ〜」という意志を表すサムライのご挨拶。
畳または木造の床間であれば、部屋にはいる前に履き物を脱ぐ(2巻クローソー参照)作法で合っているはずなのだが、普通の土足で入れる床なのに座る直前に下駄を脱ぐことで(彼なりに)礼儀を表現している訳ですね。TPOに合わせた行動ができなかったり、騎士の血筋に拘ったりと、ジョーカーの中でも時代錯誤な騎士なのかも知れん。
(2001.06.13)

 

■ ミマス帝の気遣い (p190)


歴代のバキン・ラカンの聖帝は相手を見た瞬間に騎士能力のレベルを見極めることができる。剣聖レベルと見抜いたはずのミマス帝がここでマドラを預かることにしたのは、オルカオンの元に置いておいても彼女に重圧を与えるだけだということも見抜いたからである。彼女なりの重臣への気遣いですね。
もっとも、ミマス帝も剣聖レベルの騎士を見る機会は限られている(カイエンと慧茄、もともと一時代に一人しかいないから当然なんだけど)ので、マドラが本当に剣聖レベルであるかどうかを見極めるためにカイエンと会わせることにしたようですが。というか、一時代に三人目の剣聖が現れたことが信じられなかったのか?

マドラがミマスに名前を名乗る際に「マドラ・モイライ」を名乗っているので、この名前はオルカオンが名づけた幼名と考えていいはず。となると、オルカオン・ハリスが「マドラ・モイライという人物がミマス帝から薔薇の剣聖の称号を得た」ことを知れば、「自分の娘が剣聖になった」として喜ぶこともできると思うのだが・・・10巻を見ていると「ピッキング・ハリス」としての顔しか知らないように見えるんですよね。・・・でも、p196では「オヤジもこの方がよろこんでいる」と云っていて、「モイライとしてよりもスパークとして生きること」を認めているようにも読み取れます。となると、『オルカオンはマドラが狂人的な騎士であることを知ったが、その凶状からハリス家の長女である事実を伏せており、現在はフンフトにより呼び出されたスパークを実の娘として見ている』と考えるとつじつまが合います。
つまり、「薔薇の剣聖」という称号は星団でもごくごく一部の人間しか知らない(オルカオンは知っているがそれを公には口にできない)トップ・シークレットってことですよね。
フィルモアじーちゃんズがマドラを知っているのは、ミマスから慧茄へ伝わった情報とも考えられるが、やはりミマスが姉である慧茄に紹介し、ピッキング・ハリスまたはマドラ・モイライとして慧茄に師事したと考えてもいいのかも知れない。
(2001.06.13)

 

■ カイエンの正真正銘の本気モード (p192)


それぞれの剣聖剣技が多少デラックスになっている部分ではなく、残像に対してミラーを発生させる技量が凄まじいと思うのだが、これらの技の全てはスカートをめくるための牽制技(なんつーベタな洒落なんだ)っつーところがカイエンなんでしょうね。
ミラーを体得できなかったディモス・ハイアラキと比べると天地ほどの差があるようにも見えますが、自分の得意とする技を牽制なしで全身全霊を込めて真っ向勝負したときに負ける可能性がない、というのが剣聖なのでしょう。5巻でのソープとディモスの勝負はそれだけ高度な戦いであったと考えるべき。でなきゃナイト・マスターの紋を渡すはずがない。
ん?マドラはスカートをめくられなかったからナイト・マスターの紋をもらったことになるのか?星団史上最初で最後のとんでもねー紋の譲渡ですね。
さて、FSS史上スカートをめくったキャラはこれにて3人目。単純に下心丸見えな2人目、3人目と比べると、最も長寿な1人目が最も幼稚な理由でめくってますね〜。

この時のカイエンはミラージュのマークをつけていないが、襟章がA.K.D.における少将のものといっしょなので、一応まだミラージュに在籍していた頃、またはミラージュから抜けた(厳密には抜けた訳ではないんだけど)直後の時代と考えられる。

ついでなんで、ここで「最強騎士」について桜牧師の意見をまとめておきます。
「最強騎士」を考えた場合、カイエン、マキシ、マドラ、ログナー、スバースあたりに行き着くのは、このマンガの読者であれば大抵納得できると思います。「戦闘能力」として見た場合は拮抗しているような気もしますが、桜牧師は『「最強」であるということは、「どのような相手でも殺せる」という「強い意志力」を伴わねばならない』と考えます。その点ではかつてアトロポスに敗れたカイエンは剣聖の中でも「弱い」部類に入ります。対峙した瞬間にボスやんに切りかからず最終的に斑鳩をかばって死んでしまったログナーも同様。つまり常に本気を出せない以上は「最強」の名を冠することもできないと思う訳です(そもそもカイエンには期待するなとセンセーも云っているし)。
逆に「狂気」を伴ってどのような相手も殺せる騎士はやはり「強い」部類になるので、最狂で最凶のマキシがやはり最も強い騎士・・・という結論になります。「星団史上最強騎士」と云われる以上、ジョーカーに住む人々から見てもやはりマキシは最強であったのではないかと。
ただし、死後何度でも蘇り、ジョーカーから離れた後も天照に付き添ったログナーの力はやはりある意味「無限大」のような気もします。つーか、個人的な好みではログナーが最強であって欲しいんですよね。「天位」や「ナイトマスター」よりも「暗黒騎士」という通り名にカッコよさを感じますわ。「剣聖」なんぞログナーには似合わん。
(2003.05.27)

 

■ ミマスの一言 (p193)


ミマス帝の「ち、ちょっとまって」は前のページ1コマ目のカイエンに投げた言葉。騎士の動きは実際には瞬きの瞬間くらいのスピードで行われるものなので、彼女のセリフはカイエンが既に技を出し終えてから発せられている訳である。センセーのこだわりがわかるコマ割り。
フンフトもそうだけど最近の人妻キャラには・・・◎をあげましょう(いや、個人的にね)。
(2002.06.13)

 

■ この手の女はだめ (p195)


泣き出すマドラを見て狼狽えるカイエン。この数十年後にフロート・テンプルで出会った際には「そっちの姉さん」呼ばわりである(5巻)。性格と騎士としての力量の違いはあるにしても、自分が泣かした女の顔くらいは覚えておこーね。・・・つーか、無理だって。
カイエンの逃げ方も何十年立っても変わらない(10巻)。
(2002.06.13)

 

■ ピッキング・ハリスの正体 (p196)


ま、本人がしっかり語っているので考察する必要はありませんね。ヤーボと恋仲だったことや、このヤーボがカイエンの子を宿すという奇しなる運命(とセンセーのキャラ相関の妙技)も気になるところですが・・・最大の注目すべき点はクラカラインとベルクトが同室にいることである。だってさぁー・・・
この2人、ずっと見てたってことだよね、プレイを・・・。
いやいや、いかんですよ、そういうのは。いや、どうなんだか知らないけど。
(2002.06.13・・・何書いているのかわからないヒト、ごめんなさい)

 

■ 子供を産んで (p198)


意識してのセリフなのかどうかは不明だが「血を遺す」ことを考えているマドラ。うーむ、ベルベット・ワイズメルを産むのはピッキング・ハリスではなくて、マドラということですね。別人格・戦闘能力抑制という条件下とはいえ、自分の体を傷つけた男に惚れ込んだということか。あるいは騎士の力を残そうとする本能がその相手としてデコースを選んだのか。
うぅ、そう考えると「プログラム」に選ばれてばかりのデコースってことに。たまにはパンピーの恋愛沙汰で翻弄させてやりたいですわ。
(2002.06.13)

 

■ 注意一秒怪我一生 (p200)


ハスハに到着するまでの1秒を争った結果がサンダー・ドラゴンによる昇天バズーカ。怪我っつーかご臨終・・・いんやぁ格言のお勉強までさせてくれる漫画はFSSだけです。命って儚いなぁー。
・・・思うに、魔導大戦の後期にクバルカンが(正式に)参戦するのは、このサンダー・ドラゴンの怒りが引き金になっているのでは?
静がドラゴン・ドロップを得られたのは、ヒトとヒトの争いをカステポーに持ち込まないという誓いを成し遂げたためである。その禁が破られようとしているのであれば、当然、静はミューズを説得し、大戦を終息するよう働きかけ、今回もドラゴンに誠意を尽くそうとするはずである。例えその誓いが一度守り通されたものであったとしても、彼女は「サンダー・ドラゴンが絶対の信頼を寄せる者の証」として、ドラゴン・ドロップを与えられたのだから・・・。
(2003.05.28)
 
 
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