現代日本詩書綜覧 小寺謙吉 昭46 大判
大正末から戦後までの詩集をカラー モノクロ写真で紹介
瀧口修造序 詩集の形と存在そのものを通して訴えようとする原形質のなにものか
に触れられることを期待したいのである
附著者別詩書刊行年次書目
句集砌 森川暁水 函 昭和45 229頁
森川暁水 明34―昭51年大阪生 山本梅史に師事 ホトトギス派の異才
句集砌 より
新年の葬家しづかに道に向く
男女の仲あやにかなしも鴨はそら
人の世の老のわれあり鴨はそら
ところ得ていよいよ澄めり夜の蛾の眼
夜の蛾らに神は鳴く術たまわらず
西瓜食うて西瓜くさしも夜の師弟
けいとうの地の面の果に西はあり 梅干して西方浄土しかと見し
句集卯 橋關ホ 函 限定550部 昭和53 白燕発行 |
初花や鬼門の方に人の声 おのずから結目とけし夕霞 |
指きりや暮春の雲に梯子を掛け 鷹巣立つ嵐の老婆あぐら組み |
喪の終り青海亀を愛しけり むらさきの男来て魚煮え緊る |
神秘的時代の詩 吉岡実 函帯 限定700部 昭和49 湯川書房 |
18の詩を掲載 紙帙 150部 昭和50 湯川書房 |
著者私家本8部 昭和49 湯川書房 |
青い柱はどこにあるのか? 土方巽の秘儀によせて |
より 51行の21行まで |
闇夜が好き 母が好き つとに死んだカンガルーの 吊り袋のなかをのぞけ |
テル・テルの子供 ニッポンの死装束が白ならばなおさら |
青い柱を負って歩き給え 円の四分の一の スイカのある世界まで |
駆け足で ときには バラ色の海綿体へ 沈みつつ |
犬の四つ足で踊ること かがまること 凍ること |
天上の便器のはるか下で ハンス・ ベルメールの人形を抱き 骨になること |
それが闇夜が好きなぼくたちの 暁の半分死 |