イワン・イワノフ・サノバビッチ

回顧録
「赤い国からの訪問者」

著者近影

キエフに生まれた俺は、15歳になった年にモスクワへと上京することになった。

最強に兵士となるために・・・

その前夜親父は俺に行った。「イワン!あの星をごらん。あの天高く輝くあの赤い星

おまえはあの星になるのだ!」

俺は父のひとみを見つめこう答えた。「父ちゃん、俺は必ずなって見せるよ!」と。

それから数年後

スペツナズとして生まれ変わった俺に転機が訪れた。

日本のカップうどんという不思議なものに遭遇した。

そう

あれはまさに遭遇にふさわしい出来事だった。

未知の食べ物であるカップうどんにお湯を注ぎ、きっちり5分間待って

ふたを外すと奇妙なものがあらわれた。

赤い狐であった。

やつはこう言い放って姿を消した。

「日本へ行き、新潟の栃尾の山でサバイバルゲームに参加しろ!!」と。

俺は残った麺と油揚げを平らげ、訳の判らないまま日本へと旅立った。

モスクワからウラジオストックまで俺は歩いた。

途中の村で俺はコサックダンスを習得し、エンターテイナーとしての仮の姿を手に入れた。

村人と別れを告げ俺はまた歩き続けた。

いつのまにか俺の口元には、薄ら笑いが浮かんでいた。

「無謀なまでに無思慮に始めた旅の割には、無難にいけてるじゃないか」と

ようやくウラジオストックにたどり着いた俺に、港の年老いた漁師はこう教えてくれた。

「ここいら辺の沿岸から日本へと回遊する鯨がおる。そやつの名はレッドオクトーバーぢゃ」

俺は早速そいつを探し始めた。

またも私の強運が力を発揮した。やつが目の前に現れこういった。

「お待ちしてましたご主人様。」

難なくやつの背にまたがると俺は日本に向かうように命じた。

「お任せください。そのかわらあとで海のトリトンを歌ってください。」



俺は何のことか理解できなかったが、誰かに間違えているのだろうということは推測できた。

俺は疲れていたのですぐ深い眠りについてしまった。

どのくらい眠っていたのだろう?目を覚ますとその気配に気づいたやつが俺に

「佐渡沖につきました。そろそろ一曲歌ったください。」と甘い声を出した。

俺はとっさにコサックダンスでごまかそうと踊り始めたが、

逆上したやつに振り落とされてしまった。

佐渡に泳ぎ着いた俺に村人がこう教えてくれた。

「あんたきっと城みちるに間違えられたんだよ。」と

小木港からジェットフォイルの船尾につかまり簡単に新潟に上陸。

そこで鉄砲鍛冶という団体と接触し、彼らとともに長岡の「INDY」という店にたどり着いた。

そこから急いで栃尾の山へ向かおうとする俺に

武内という名のやさしい目をした店長がこう言った。

「今年のシーズンは終わったよ」と・・・

肩を落とした俺に彼はこう言った。

「今日は室内でシューティングマッチの日だから遊んでゆきなよ。」

その後の俺の活躍はだれもが知るところである。

つづく