(戻る)

トスカニーニの録音(1948年)


○1948年3月6日ライヴ−1

ハイドン:協奏交響曲変ロ長調

ミッシャ・ミシャコフ(バイオリン)
フランク・ミラー(ヴィオラ)
バオロ・レンツィ(オーボエ)
レナード・シャロウ(オーボエ)
NBC交響楽団
(ニューヨーク、ラジオ・シティ・スタジオ8H)

トスカニーニはハイドンと相性が良いと思いますが、これもテンポ早めの軽快な演奏ですが・旋律が気持ち良く歌われていて・独奏者の個性をよく生かして堅苦しいところがまったくありません。第1楽章も良いですが、ゆったりした第2楽章が特に魅力的です。


○1948年3月6日ライヴー2

モーツアルト:交響曲第39番

NBC交響楽団
(ニューヨーク、ラジオ・シティ・スタジオ8H)

テンポは全体的に早めですが、キビキビした表現が魅力的です。NBC響の弦は引きしまっていいますが、それでいて硬い印象がないのは、リズムがしっかり打てていて旋律が十分に歌われているからでしょう。トスカニーニらしい表現でありまがら、同時にモーツアルトらしさも失われていない、スッキリした近代的センスを感じさせる演奏に仕上がっています。第1楽章も引き締まった表情が速めのテンポに乗って活き活きとしていますが、特に第3楽章の活気のある表現が印象に残ります。


○1948年9月16日ライヴー1

ヴェルデイ:歌劇「オテロ」〜バレエ音楽

ミラノ・スカラ座管弦楽団
(ミラノ、ミラノ・スカラ座)

テンポはかなり早めに、バレエ音楽というよりはオーケストラ・ピースとして割り切って演奏されていると思います。歯切れよいリズムで、斬り口鮮やかな演奏です。明晰さと引き締まった造形が、トスカニーニとオーケストラとの同質性を感じさせ、実に子気味良い演奏です。


○1948年9月16日ライヴー2

チャイコフスキー:幻想序曲「ロメオとジュリエット」

ミラノ・スカラ座管弦楽団
(ミラノ、ミラノ・スカラ座)

力強く・歯切れ良く、トスカニーニらしさを感じさせる演奏です。叙情性とかロマンティックなムードを排除し・若干乾いた感触ではありますが、素朴で力強い感触で一本筋が通っているのが好ましいと思います。旋律線が直線的に・ぶつけるように歌われ、特に戦闘の場面の粗削りの迫力は聴き物です。オーケストラの精度は若干劣るのは否めませんが、トスカニーニの棒に喰いついていく熱いものを感じさせます。


○1948年9月16日ライヴ−3

シューベルト:交響曲第9番「ザ・グレート」

ミラノ・スカラ座管弦楽団
(ミラノ、ミラノ・スカラ座)

貧弱なアセテート盤の復刻であるためか、ホール全体の響きが十分に捉えられていません。管楽器が引っ込んで聴こえず、バランスが悪い録音です。オーケストラもコンサート向けのオケではないので、主兵NBC響と比べれば技術的には心もとない感じです。したがってNBC響との演奏で見られるような・トスカニーニらしい打ちつけるようなリズム・鋼のような強靭さは見られません。しかし、お互い気心が知れている関係であるということか・どこかアットホーム的な感じがするのが面白いと思えます。例えば普段のNBC響なら分厚い響きのなかで埋もれてしまいそうな第2ヴァイオリンやヴィオラの細かいパッセージがはっきり聴こえてくることで、この曲のブルックナー的な構造が写真をみるように分かってきます。またNBC響ならばもう少し分厚く出てくる旋律が、直線的にさりげなく提示されることでシューベルトの歌謡性が鮮明にされてくるのも興味深いと思えました。


○1948年9月16日ライヴー4

ロッシーニ:歌劇「絹のはしご」序曲

ミラノ・スカラ座管弦楽団
(ミラノ、ミラノ・スカラ座)

序奏冒頭の木管ののびやかさが印象的ですが、さらに一転して主部の生き生きした表情、ピチピチとした弾けるようなリズムがまさに本場のロッシーニです。表現の自在さ、テンポの自在さ。スカラ座のオケがトスカニーニの棒の下で嬉々として音楽しているのが眼前に見えるようです。


○1948年11月13日ライヴ

ブラームス:ヴァイオリンとチェロのための二重協奏曲

ミーシャ・ミシャコフ(ヴァイオリン)
フランク・ミラー(チェロ)
NBC交響楽団
(ニューヨーク、ラジオ・シティ・スタジオ8H)

斬り込みの鮮やかな造形と・しっかりとしたリズム処理から生まれる推進力は聴き物です。細身ですが・しなやかで強靭な造形は、フォルムへの意志を強烈に感じさせます。第1楽章は密度は高いのですが・独奏者がやや小粒なのでトスカニーニのペースで進みます。独奏者付き交響曲の様相も若干あり、第2楽章はちょっと弱く感じられます。


(戻る)